

「親から相続した広い土地を売りたいのに、なかなか買い手が見つからない」「税金や草刈りの負担ばかりが重い」——広い土地をお持ちの方から、こうしたご相談をよくいただきます。
広い土地は、面積の分だけ総額が大きくなり、一般の個人では手が届きません。そのため、買い手は住宅会社やデベロッパーなどに限られ、普通の土地と同じ売り方ではうまくいかないことが多いのです。
この記事では、広い土地が売れにくい理由、持ち続けるコスト、売り方の選択肢、広い土地ならではの法律上の手続きと注意点を、土地の買取と開発を手がける当社の事例を交えて解説します。
広い土地は持っているだけでコストがかかる


広い土地は、草刈りや清掃、不法投棄の対策など、管理の手間と費用がかかります。遠方に住んでいて管理を業者に頼めば、その分の費用も毎年発生します。
さらに大きいのが固定資産税・都市計画税です。土地の税金は面積に比例して増えるうえ、建物が建っていない更地では「住宅用地の特例」が使えず、税額が大きく跳ね上がります。
【試算】30坪と300坪で税金はどれくらい違う?
東京23区内で、公示地価が1坪200万円の土地を例に、年間の管理費用と固定資産税・都市計画税の目安を試算しました。
| 30坪(約99㎡) | 300坪(約992㎡) | |
|---|---|---|
| 草刈りなどの管理費用(年間・当社の目安) | 5万〜15万円 | 50万〜80万円 |
| 土地の評価額(公示地価の7割) | 4,200万円 | 4億2,000万円 |
| 住宅が建っている場合 | 約14万円 | 約252万円 |
| 更地の場合 | 約50万円 | 約500万円 |
試算の前提
- 固定資産税評価額は公示地価のおおむね7割として計算しています。
- 住宅が建っている場合は住宅用地の特例を適用しています。1戸あたり200㎡までの部分(小規模住宅用地)は固定資産税の課税標準が6分の1・都市計画税が3分の1、200㎡を超える部分(一般住宅用地)は固定資産税が3分の1・都市計画税が3分の2になります。
- 更地は住宅用地の特例がなく、負担調整措置により課税標準を評価額の7割として計算しています。
- 税率は固定資産税1.4%、都市計画税0.3%です。実際の税額は、負担調整の状況や東京都独自の軽減措置などにより異なります。
同じ地価でも、面積が10倍になれば税金もほぼ10倍です。300坪の更地なら、何もしなくても年間500万円近い税金がかかる計算になります。古家を解体して更地にすると、翌年から税額が大きく上がる点にも注意しましょう。
売るまでの間は、土地の一部を駐車場や資材置き場として貸すなど、収入を得る工夫も検討の余地があります。
広い土地が売れにくい理由


① 総額が大きく、個人には手が届かない
1坪200万円の土地なら、30坪で6,000万円、300坪では6億円になります。個人が自宅用に買うには住宅ローンの借入額にも限りがあり、ここまで広い土地を一括で買える人はほとんどいません。
② 買い手が住宅会社やデベロッパーなどに限られる
広い土地の主な買い手は、戸建て分譲をする住宅会社、マンションやアパートを建てるデベロッパー、商業施設や物流施設を計画する企業などです。企業は、その土地で採算の合う事業ができるかどうかで購入を判断するため、立地が悪く住宅の需要が少ないエリアや、土地の形が使いにくい場合は、購入を見送られてしまいます。
③ 開発に手間と費用がかかり、その分価格が下がる
広い土地を戸建て用に分けて売る場合、奥の区画まで道路を通す必要があり、その道路部分は売れない土地になります。開発許可の手続きや、道路・上下水道の整備、造成、測量などの費用と時間もかかります。買い手はこれらを見込んで価格を出すため、1坪あたりの価格は、周辺の小さな土地の相場より低くなるのが一般的です。
相続税の評価でも、三大都市圏で500㎡以上などの条件を満たす土地は「地積規模の大きな宅地」として評価が下がる仕組みがあり、広い土地は単価が下がりやすいことが制度にも反映されています。
広い土地の売り方


広い土地の売り方には、主に次のような選択肢があります。
| 売り方 | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|
| 不動産会社にまとめて買い取ってもらう | 早く確実に売りたい、手間をかけたくない | 開発の手間とリスクの分、価格は低めになりやすい |
| マンション・商業用地として売る | 駅に近い、容積率が高い、商業地域にある | 立地や用途地域の条件が合わないと買い手がつかない |
| 分筆して一部ずつ売る | 一部だけ現金化したい、個人向けの広さに分けられる | 測量・分筆の費用と時間がかかる。分け方次第で残りの土地の価値が下がる |
| 隣地の所有者に売る | 隣地が土地を広げたいと考えている | 相手次第で、価格や時期の調整が必要 |
| 等価交換・活用 | 手放さずに有効活用したい | 事業のリスクや長い期間を伴う |
不動産会社にまとめて買い取ってもらう
買取会社に土地をまとめて売る方法です。買取会社が自ら開発や分譲を行う前提で買い取るため、一般の買主を探す必要がありません。
- 売却が早い:仲介では買い手が見つかるまで数ヶ月以上かかることもありますが、買取なら条件がまとまれば数週間〜1ヶ月程度で取引できることもあります。
- 手間が少ない:古家の解体や草刈り、残置物の撤去などをせず、今の状態のまま買い取ってもらえることが多いです。境界が確定していない土地でも相談できます。
- 仲介手数料がかからない:不動産会社が直接の買主なので、仲介手数料は不要です。

マンション用地・商業用地として売る
駅に近く容積率が高い土地なら、マンション用地としてデベロッパーにまとめて売れる可能性があります。土地を分けたり、細かく調整したりする必要がなく、比較的高い価格がつきやすいのが特徴です。

交通の便が良い場所や商業地域にある土地なら、店舗やオフィスビル、ホテル、物流施設などの用地として売れる場合もあります。どんな用途に向いているかは、用途地域や容積率、前面道路の幅などで決まります(参考:建築基準法とは?)。

分筆して一部ずつ売る
土地を分筆して、個人が買いやすい広さに分けて売る方法です。一部だけを売って残りを持ち続けることもできます。ただし、分筆には確定測量と分筆登記が必要で、数ヶ月の時間と数十万円以上の費用がかかります。分け方によっては、残った土地が道路に接しなくなったり、形が悪くなったりして価値が下がることもあるため、分筆前に全体の計画を立てることが大切です(参考:分筆して土地の一部を売却するには?)。
等価交換や活用を検討する
すぐに手放す必要がない場合は、土地を提供してデベロッパーが建物を建て、完成した建物の一部を土地の対価として受け取る「等価交換」や、定期借地として貸し出す方法もあります(参考:等価交換とは?)。
広い土地ならではの法律上の手続き
広い土地の売買には、一般的な土地にはない届出や許可が関わることがあります。売り出す前に確認しておきましょう。
| 手続き | 主な対象(東京23区などの場合) | 内容 |
|---|---|---|
| 開発許可(都市計画法) | 市街化区域で500㎡以上の開発(区画や形質の変更) | 分譲のために道路を造るなどの場合、都道府県知事などの許可が必要。買い手が取得するのが一般的だが、許可が取れるかどうかが価格に影響する |
| 公有地拡大推進法の届出 | 市街化区域で5,000㎡以上の土地を有償で譲渡するとき | 売主が契約前に届け出る。自治体が買取りを希望する場合は協議が行われ、その間は一定期間売却できない |
| 国土利用計画法の届出 | 市街化区域で2,000㎡以上の土地の売買 | 買主が契約から2週間以内に届け出る |
| 土壌汚染の調査(土壌汚染対策法・東京都の条例) | 3,000㎡以上の土地の形質の変更など | 工事の前に届出が必要で、過去の使われ方によっては土壌調査を求められる |
| 埋蔵文化財の確認 | 周知の埋蔵文化財包蔵地にある土地 | 工事の前に試掘や発掘調査が必要になることがあり、工期と費用に影響する |
市街化調整区域にある土地は、原則として建物を建てられないため、売り方がさらに限られます(参考:市街化調整区域の土地は売却できる?)。区域区分や用途地域については都市計画法とは?で解説しています。
広い土地を売るときの注意点


境界の確定と測量は早めに
広い土地は隣接する土地の数が多く、境界の確定に関わる隣地の所有者も多くなります。全員の立会いと合意を得るには時間がかかるため、売却を考え始めた段階で、土地家屋調査士に相談しておきましょう。古い測量図しかない場合、実際の面積が登記簿と大きく違うこともあります。
税金と特例を確認する
売却額が大きくなる分、譲渡所得税・住民税も高額になりがちです。所有期間が5年を超えているか(売った年の1月1日時点)で税率が大きく変わるほか、相続した土地なら相続税の取得費加算の特例、自宅の敷地なら居住用財産の3,000万円特別控除などを使える場合があります。売却の前に税理士に試算してもらうと安心です(参考:土地を売った時の税金はいくら?)。
共有名義・相続登記を整理しておく
相続した広い土地は、兄弟などの共有になっていることも少なくありません。全体を売るには共有者全員の同意が必要です。相続登記が済んでいない場合は、先に名義を整えておく必要があります(2024年4月から相続登記は義務化)。相続した土地の売り方は相続した土地を売却する方法をご覧ください。
広い土地の取引に慣れた不動産会社に相談する
広い土地は、どんな事業に使えば最も価値が出るかによって価格が大きく変わります。戸建て分譲、マンション、アパート、店舗など、複数の活用方法を検討したうえで価格を出せるかどうかが重要です。相談するときは、同じくらいの規模の土地を扱った実績があるか、価格の根拠や想定する事業の内容をきちんと説明してくれるかを確認しましょう。
土地売却の基本的な流れは土地売却の流れ、土地の買取については土地買取の相場・流れで解説しています。
マーキュリーの事例
当社は、土地・借地・底地などの買取から開発まで一貫して手がけ、土地の買取実績は78件、開発事業は38件にのぼります(当社サイト掲載時点)。権利関係が複雑な土地や、規模の大きい土地もお受けしてきました。
約250坪のマンション敷地の売却を推進(港区高輪)
敷地約250坪の「高輪交陽ハイツ」で、当社が住戸を取得して管理組合の理事長を務め、区分所有者の皆様と再生の方法を検討しました。建て替えと敷地売却で経済条件を比べた結果、敷地売却を選び、事業協力者として選ばれた大手デベロッパーへの売却につなげました。
事例を見る:高輪交陽ハイツ
借地人のいる約142坪の土地を整理し、デベロッパーへ売却(文京区本駒込)
借地人3名のいる約142坪の底地を取得し、約3年かけて借地権を順次買い取って所有権にまとめたうえで、更地にして大手デベロッパーに売却しました。
事例を見る:文京区本駒込
約61坪の土地を分筆し、宅地として販売(世田谷区東玉川)
1筆の土地に4軒の借地が設定されていた約61坪の土地で、確定測量と分筆を行い、再建築不可だった奥の区画も建てられる状態に整えたうえで、造成済みの宅地として販売しました。
事例を見る:世田谷区東玉川
約78坪の土地に10階建ての賃貸マンション(台東区三ノ輪)
旧工場が建つ約78坪の借地を買い取り、用途地域や容積率を踏まえて、鉄筋コンクリート造10階建ての賃貸マンションを建てました。
事例を見る:MERCURY三ノ輪
広い土地の売却に関するよくある質問
Q. 広い土地はなぜ売れにくいのですか?
総額が大きく個人では買えないため、買い手が住宅会社やデベロッパーなどに限られるからです。企業は開発の採算が合うかで判断するため、道路や造成の費用、開発の手間を見込んで価格を出し、立地や形によっては購入を見送ることもあります。
Q. 広い土地は分筆して売ったほうが高く売れますか?
個人が買いやすい広さに分ければ、坪単価は上がりやすくなります。ただし、測量・分筆の費用と時間がかかり、分け方によっては残った土地が使いにくくなることもあります。全体をまとめて売る場合と比べて判断しましょう。
Q. 更地にしてから売ったほうがいいですか?
一概にはいえません。更地にすると住宅用地の特例が外れ、翌年からの固定資産税が大きく上がります。買取会社やデベロッパーに売る場合は、古家付きのままでも取引できることが多いので、解体する前に相談しましょう。
Q. 広い土地を売るときに届出は必要ですか?
市街化区域で5,000㎡以上の土地を売る場合は、売主が契約前に公有地拡大推進法の届出をする必要があります。2,000㎡以上の場合は、買主が契約後に国土利用計画法の届出をします。開発許可や土壌汚染の調査が必要になることもあります。
Q. 古家や草木が残ったままでも買い取ってもらえますか?
当社では、古家や残置物、草木がある状態のままでも買取のご相談をお受けしています。境界が確定していない土地も、まずはそのままご相談ください。
Q. マーキュリーはどのエリアに対応していますか?
東京都内を中心に、首都圏で開発を行っています。
まとめ


広い土地は、総額が大きく買い手が企業などに限られるうえ、開発の手間や費用がかかるため、一般的な土地より売れにくいのが実情です。一方で、持っているだけで税金や管理費の負担は重く、更地ならなおさらです。まとめて買取会社やデベロッパーに売る、分筆して一部ずつ売る、等価交換で活用するなど、土地の条件に合った方法を選びましょう。境界の確定や法律上の届出にも時間がかかるので、早めの準備が大切です。
株式会社マーキュリーは、戸建て、アパート、マンション、賃貸併用住宅、既存建物のリフォームなど、さまざまな事業の中から土地を最も活かせる方法を考えて、買取価格をご提案します。広い土地、古家付きの土地、境界が確定していない土地も、そのままご相談ください。





