
使わなくなった実家や空き家、相続した土地などを「手放したい」と考える方は年々増えています。住む予定がないのに固定資産税を払い続けたり、草刈りや見回りに時間を取られたりする状態は、気持ちの面でもお金の面でも負担になりがちです。
人口減少や都市部への人の集中によって、郊外や地方の不動産が「売りたくても売れない」状態になるケースもあります。持っているだけで出費がかさんでいく、いわゆる「負動産」です。
一方で、不動産を手放す方法は売却だけではありません。不動産会社による買取、相続放棄、相続した土地を国に引き取ってもらう「相続土地国庫帰属制度」、寄付など、状況に応じて選べる方法がいくつかあります。それぞれにメリットと制約があるため、ご自身のケースに合った方法を見極めることが大切です。
この記事では、不動産を手放す方法ごとの特徴と費用、持ち続けた場合のコスト、2024年以降の法改正で変わったことまでを整理します。
なぜ今「不動産を手放したい」人が増えているのか


不動産を手放したいと考える理由で多いのは、相続で望まない形で物件を引き継いだケースです。遠方の実家や、使い道のない土地を相続し、管理の手間だけが残ってしまうことは珍しくありません。
総務省の「令和5年住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家は900万2千戸、空き家率は13.8%と、どちらも過去最多・過去最高になりました。賃貸用や売却用、別荘などを除いた、使い道が決まっていない空き家だけでも385万6千戸あります。
高齢化にともない、親が施設に入ったり亡くなったりしたあと、誰も住まなくなった家が残るケースも増えています。こうした家は放っておくほど傷みが進み、価値も下がっていきます。
さらに、法律の面でも「持っているだけ」では済まなくなってきました。2024年4月からは相続登記が義務になり、2026年4月からは住所や氏名が変わったときの変更登記も義務になっています。管理が行き届かない空き家には、行政から指導や勧告が入る仕組みも強化されました。使っていない不動産にお金と手間をかけ続けることに疑問を感じ、早めに手放す方が増えています。
不動産を手放す主な方法


不動産を手放す方法は、大きく「売却(仲介)」「買取」「相続放棄」「相続土地国庫帰属制度」の4つに分けられ、ほかに寄付や無償で譲る方法もあります。仕組みも条件も違うので、まずは全体を見ておきましょう。
買い手が見つかりやすい立地の物件なら仲介、老朽化した家や再建築不可の土地なら買取が現実的です。相続放棄は財産そのものを引き継がない選択で、国庫帰属制度はお金を納めて国に土地を引き取ってもらう制度です。
| 手放す方法 | 主な対象 | お金の出入り | 期間の目安 | 向いているケース |
|---|---|---|---|---|
| 売却(仲介) | 需要のある不動産 | 売却額を受け取る(仲介手数料がかかる) | 数カ月〜1年以上 | 立地がよく買い手が見込める |
| 買取 | 築古・訳ありを含む幅広い物件 | 買取額を受け取る(仲介手数料なし。相場の7〜9割程度) | 最短数日〜1カ月 | 早く確実に手放したい |
| 相続放棄 | 借金などを含む相続財産すべて | なし(すべての財産を受け取らない) | 相続人になったことを知ってから3カ月以内に申述 | 借金などのマイナスが大きい |
| 相続土地国庫帰属制度 | 一定の要件を満たす土地(建物は不可) | 審査手数料と負担金(原則20万円)を納める | 審査に半年〜1年程度 | 売れない土地を国に引き取ってほしい |
| 寄付・無償譲渡 | 隣地所有者や自治体などが引き取る場合 | なし(登記費用などがかかることも) | 相手次第 | 引き取ってくれる相手がいる |
「お金に換えたい」のか、「とにかく負担から解放されたい」のかで、合う方法は変わります。ここから、それぞれを詳しく見ていきましょう。
売却(仲介)で手放す場合のポイント


仲介は、不動産会社に買い手を探してもらう、もっとも一般的な方法です。相場に近い金額で売れることが期待でき、立地のいい物件や築年数の浅い物件に向いています。
ただし、買い手が見つかるまでに数カ月、条件によっては1年以上かかることもあり、その間も固定資産税や管理の負担は続きます。たとえば固定資産税が年12万円の物件なら、売れるまで1年かかるとそれだけで12万円の出費になります。
売れたときには仲介手数料がかかります。上限は法律で決まっていて、売買価格が400万円を超える場合は「売買価格×3%+6万円+消費税」です。1,000万円で売れた場合は、約39万6,000円になります。なお、2024年7月からは、800万円以下の空き家などについて、仲介手数料の上限を30万円(税別)まで受け取れる特例ができました。安い物件でも仲介を引き受けてもらいやすくするための見直しですが、売主の負担はそのぶん増える場合があります(仲介手数料の上限と計算方法)。
会社を選ぶときは、査定額の根拠をきちんと説明してくれるかを確認しましょう。周辺の成約事例や物件の状態をふまえた説明があるかどうかが、信頼できる相手かを見分ける手がかりになります。
買取で手放す場合のポイント


買取は、不動産会社が直接買主になって物件を買う方法です。市場で買い手を探さなくていいため、早く確実に手放したい方に向いています。早ければ数日から数週間でまとまることもあります。
買取の価格は相場の7〜9割程度になるのが一般的ですが、仲介手数料はかからず、契約で決めた金額と日程で確実に売れます。仲介のように「買い手のローン審査が通らず白紙に戻る」といった心配も小さく、引渡しの時期も調整しやすいので、次の予定を立てやすくなります。
また、老朽化した家、再建築不可の土地、共有名義や借地など権利関係が複雑な物件といった「訳あり物件」に対応しやすいのも買取の強みです。家具や荷物が残ったまま、建物が傷んだままでも、現況で引き取ってもらえることが多くあります。
買取を頼むときは、訳あり物件の扱いに慣れた会社を選ぶことが大切です。似た物件を買い取った実績があるか、査定額の根拠をどう説明するかを確認すると、安心して任せられるか判断しやすくなります。空き家の買取については空き家買取とは、再建築不可の土地は再建築不可物件の買取、共有名義の不動産は共有持分の買取で詳しく解説しています。
相続放棄という選択肢


相続放棄は、亡くなった方の財産を一切引き継がない選択です。借金などのマイナスの財産が多い場合や、引き継ぎたくない財産がある場合に検討されます。家庭裁判所で手続きをすると、はじめから相続人ではなかったものとして扱われます。
注意したいのは期限です。原則として、自分が相続人になったことを知った日から3カ月以内に、家庭裁判所に申述しなければなりません。期限内に決められない事情がある場合は、期間の延長を申し立てることもできます。期限を過ぎたり、相続財産を売ったり処分したりすると、相続を認めた(単純承認)とみなされ、放棄できなくなることがあります。
相続放棄は「いいとこ取り」ができません。不動産だけを手放して預貯金は受け取る、ということはできず、プラスの財産もマイナスの財産もすべて放棄することになります。また、一度放棄すると原則として取り消せません。「売れないと思っていた土地に、実は値段がついた」とあとからわかっても手遅れです。放棄を決める前に、不動産にどのくらいの値段がつくのかを確かめておきましょう(相続放棄の前に不動産の査定を)。
【制度メモ】相続放棄後の管理の責任
2023年4月に施行された改正民法で、相続放棄をした人の管理の責任が整理されました。放棄した時点でその財産を「現に占有している」場合、たとえば同居していた家に住み続けている、鍵を預かって管理している場合などは、次の相続人や家庭裁判所が選ぶ相続財産清算人に引き渡すまで、自分の財産と同じ程度の注意で保存しなければなりません。一方、一度も住んだことがなく、管理もしていない遠方の実家などは、原則としてこの義務を負いません。ご自身がどちらに当てはまるかは、司法書士や弁護士に確認しておくと安心です。
相続土地国庫帰属制度で土地を手放す


相続土地国庫帰属制度は、相続や遺贈で取得した土地を、負担金を納めて国に引き取ってもらう制度です。2023年4月27日に始まり、売るのが難しい土地を抱える方の新しい選択肢になっています。相続放棄と違い、ほかの財産は相続したまま、不要な土地だけを手放せるのが特徴です。
利用できない土地
法務局の審査を受けて承認される必要があり、どんな土地でも引き取ってもらえるわけではありません。主に次のような土地は対象外になります。
- ●建物が建っている土地(先に解体が必要)
- ●抵当権などの担保権が設定されている土地
- ●通路など、ほかの人が使っている土地
- ●土壌汚染がある土地
- ●境界がはっきりしない土地、所有権について争いがある土地
- ●管理に多くの費用や手間がかかる崖地、地中に埋設物がある土地など
費用と期間
申請のときに土地1筆あたり14,000円の審査手数料がかかり、承認されると負担金を納めます。負担金は原則20万円ですが、市街化区域などにある宅地や、一部の農地・森林は面積に応じて計算されるため、広い土地では高くなります。建物がある場合は解体費、境界があいまいな場合は測量費も別にかかります。審査には半年から1年程度かかるのが一般的です。
【データ】実際にどれくらい使われているか
法務省の統計(2026年9月30日時点の速報値)では、制度が始まってからの申請は6,125件、そのうち国に引き取られた(帰属した)のは3,231件です。却下・不承認は合わせて189件ですが、申請の取下げも1,162件あり、そのうち415件は「却下・不承認になることがわかった」ことによる取下げでした。申請の内訳は、田・畑が2,372件、宅地が2,135件、山林が928件です。
要件を満たすかどうかの確認や解体・測量に費用と時間がかかるため、買取などほかの方法とも比べたうえで選ぶことが大切です。
寄付・無償で譲るという方法
お金にならなくてもいいから手放したい、という場合は、寄付や無償で譲る方法もあります。
- ●隣地の所有者に譲る:土地を広げたい隣の方にとっては価値がある場合があります。まずは声をかけてみる価値があります
- ●自治体に寄付する:公園や道路など、使い道がある場合に限られ、実際には受け付けてもらえないことが多いです
- ●空き家バンクに登録する:自治体が運営する、空き家を探している人とのマッチングの仕組みです
個人に無償で譲ると、受け取った側に贈与税がかかることがあります。また、法人に無償で譲る場合は、渡した側に譲渡所得税がかかることもあるため、事前に税理士や税務署に確認しておきましょう。
手放さずに放置するとかかる「維持コスト」


手放すかどうか迷っている間も、持っているだけで費用はかかり続けます。代表的なのが固定資産税で、毎年1月1日時点の所有者にその年の1年分が課税されます。市街化区域にある不動産なら、都市計画税もかかります。
たとえば固定資産税が年10万円、火災保険料が年3万円、管理や草刈りの費用が年4万円かかる物件を5年持ち続けると、それだけで85万円の出費になります。遠方の物件なら、見回りのための交通費も上乗せされます。
| 維持コストの項目 | 年間の目安 | 5年間の合計 |
|---|---|---|
| 固定資産税・都市計画税 | 約10万円 | 約50万円 |
| 火災・地震保険料 | 約3万円 | 約15万円 |
| 管理・草刈りなど | 約4万円 | 約20万円 |
| 合計 | 約17万円 | 約85万円 |
※金額は一例です。物件の評価額や地域、管理の頻度によって大きく変わります。
放置すると固定資産税が上がることも
住宅が建っている土地は「住宅用地の特例」で固定資産税が大きく軽減されています。しかし、2023年12月に施行された改正空家法により、管理が行き届かない「管理不全空家」として市区町村から勧告を受けると、この特例が外れます。さらに状態が悪い「特定空家」に指定されて命令に従わない場合は、50万円以下の過料の対象にもなります(空家対策特別措置法とは)。
建物は時間とともに傷み、修繕費が増える一方で、買い手の関心は薄れていきます。手放す時期を逃すほど、受け取れる金額は小さくなりやすいのです。
負動産になる前に|早めの判断が負担を減らす


「負動産」とは、持っているほど維持費や管理の手間がかさみ、資産というより負債に近くなってしまう不動産のことです。需要の少ない地方の土地や、建て替えができない物件などがなりやすいとされています。
負動産にしないためにいちばん大切なのは、判断を先延ばしにしないことです。空き家は放置する期間が長いほど傷みが進み、買い手の候補も減っていきます。早く動くほど、選べる方法の幅も広がります。
相続した家なら、税金の特例の期限にも注意
親が一人で住んでいた古い家を相続して売る場合、相続開始から3年目の年末までに売れば、「相続空き家の3,000万円特別控除」で税金を大きく減らせる可能性があります(2027年12月31日までの売却が対象)。相続税を払った場合は、相続開始から約3年10カ月以内に売ると、相続税の一部を取得費に加えられる特例もあります。様子を見ているうちに期限を過ぎてしまわないよう注意しましょう。
まずは今の価値を知る
手放す方法を選ぶ第一歩は、自分の不動産にどのくらいの価値があるのかを知ることです。2026年の令和8年地価公示では全国の全用途平均が5年連続で上がりましたが、地域による差は大きく、値段がつきにくい土地もあります。査定を受けて現状を知れば、売却・買取・国庫帰属のどれが現実的かを落ち着いて判断できます。
「売れるかどうかわからない」という段階でも、専門の会社に相談してみる価値は十分にあります。相続した家の手放し方は実家の処分方法、空き家の売り方は空き家の売却・買取ガイド、相続登記が済んでいない場合は相続登記が未了の不動産の売却もあわせてご覧ください。
マーキュリーが選ばれる4つの理由|あらゆる不動産を価値ある未来へ


不動産を手放したいとき、どの会社に相談するかは大きな分かれ道になります。マーキュリーは2004年の設立以来、一般には扱いが難しいとされる物件も自社で直接買い取ってきました(東京都知事(5)第84482号)。選ばれている4つの理由をご紹介します。
① 複雑な権利関係も整理できる権利調整力
共有名義の不動産、相続人が多い物件、借地権がからむ土地など、権利関係が複雑なケースは少なくありません。マーキュリーは、こうした権利調整を426件手がけてきました。当社が買主として権利を取得したうえで、ほかの共有者様や地主様との話し合いを当社自身の立場で進めるため、売主様が交渉の矢面に立つ必要はありません。共有名義の不動産は、ご自身の持分だけでも買い取っています(共有持分事業)。
② 再建築不可・空き家の再生力
接道の条件を満たさない再建築不可の土地や、長く空き家になっていた家なども、再生を前提に買い取っています。たとえば港区南麻布では、長年空き家になっていた長屋の一部を、隣接部分とあわせて一括で買い取り、新築住宅として再生しました(事例を見る)。他社で断られた物件でも、まずはご相談ください。
③ 相続した不動産のご相談にも対応
相続した不動産を手放す場合、登記や税金など関連する手続きが多くなりがちです。当社が買主として現況のまま買い取り、相続登記や税務申告が必要な場合は提携の司法書士・税理士をご紹介して、売却と並行して進められるようにサポートします。世田谷区成城では、相続した借地の家を使う予定がなく、地代だけを払い続けていた方から、相続登記を担当した司法書士事務所を通じてご相談をいただき、当社が購入しました(事例を見る)。
④ 直接買取で仲介手数料ゼロ・現況のまま
マーキュリーが直接買い取るため、仲介手数料はかかりません。修繕や解体、片付けは買取後に当社が行うので、建物が傷んだまま、荷物が残ったままでもお引き渡しいただけます。契約で決めた金額と日程で確実に手放せるため、次の予定も立てやすくなります。
不動産を手放すことに関するよくある質問
Q. いらない不動産だけを相続放棄することはできますか?
できません。相続放棄をすると、不動産だけでなく預貯金などのプラスの財産もすべて受け取れなくなります。不要な土地だけを手放したい場合は、相続したうえで売却・買取を検討するか、相続土地国庫帰属制度を利用する方法があります。
Q. 相続放棄をすれば実家の管理はしなくてよいですか?
放棄した時点でその家に住んでいたり、鍵を預かって管理していたりした場合は、次の相続人などに引き渡すまで保存する義務が残ります。一度も住んだことがなく、管理もしていなかった場合は、原則としてこの義務は負いません。
Q. 相続土地国庫帰属制度の費用はいくらですか?
申請時に土地1筆あたり14,000円の審査手数料がかかり、承認されると負担金を納めます。負担金は原則20万円ですが、市街化区域などの宅地や一部の農地・森林は面積に応じて計算されます。建物がある場合は解体費、境界があいまいな場合は測量費も別にかかります。
Q. 建物が建っている土地も国に引き取ってもらえますか?
建物が建っている土地は、相続土地国庫帰属制度の対象外です。利用するには先に建物を解体する必要があります。解体費用をかけるよりも、建物ごと現況のまま買い取ってもらうほうが負担が少ない場合もあります。
Q. 空き家を放置するとどうなりますか?
固定資産税や管理費がかかり続けるうえ、建物が傷んで価値が下がっていきます。管理が不十分な空き家として市区町村から勧告を受けると、固定資産税の住宅用地の特例が外れ、税額が上がります。倒壊や近隣への被害が出れば、所有者として責任を問われることもあります。
Q. 売れないと言われた不動産でも買い取ってもらえますか?
一般の買い手がつきにくい物件でも、再建築不可の土地や権利関係が複雑な物件の扱いに慣れた買取会社なら、買い取ってもらえることがあります。相続放棄や国庫帰属を決める前に、一度査定を受けて値段がつくかどうかを確かめておきましょう。
Q. マーキュリーの対応エリアはどこですか?
東京都内を中心に、首都圏で開発を行っています。
まとめ|マーキュリーへご相談ください
不動産を手放す方法には、仲介、買取、相続放棄、相続土地国庫帰属制度、寄付などがあります。それぞれに条件や向き不向きがあるため、ご自身の状況に合った方法を見極めることが、負担を減らす近道です。
- ●早く確実に手放したいなら買取。訳あり物件も現況のまま引き取ってもらえることが多い
- ●相続放棄はすべての財産を手放す選択。3カ月の期限があり、取り消せない
- ●国庫帰属制度は建物のない土地が対象。審査手数料と負担金(原則20万円)がかかる
- ●放置すると維持費がかさみ、管理不全空家になれば固定資産税も上がる
- ●相続した家は税金の特例の期限にも注意
マーキュリーは、権利関係が複雑な物件、再建築不可の土地、相続した不動産など、扱いが難しいとされるケースにも対応しています。「手放せるかどうかわからない」という段階でも構いません。まずはお気軽にご相談ください。





