離婚にともなう不動産の売却は、結婚生活で築いた財産を整理し、新しい生活へ踏み出すための大きな節目です。マンション、戸建て、土地のどれであっても、財産分与、住宅ローンの精算、共有名義の解消など、決めなければならないことはたくさんあります。進め方を誤ると、あとからトラブルになったり、思わぬ出費が生じたりすることもあります。
この記事では、物件の種類に限らず、離婚で不動産を売るときに共通する考え方と注意点を、順を追って解説します。2026年4月からは財産分与を請求できる期間が延びるなど、ルールも変わっています。マンションに絞った解説は離婚でマンションを売却するにはもあわせてご覧ください。
離婚で不動産を売却するか保有するかの選択肢
離婚するときの不動産の扱いは、大きく「売って現金で分ける」か「どちらかが住み続ける」かに分かれます。家計の状況、子どもの有無、住宅ローンの残りによって、どれがいいかは変わります。まずは選択肢を整理し、自分たちにとって何が現実的かを見極めることが出発点です。
| 選択肢 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 売却して分ける | 現金で公平に分けやすく、関係をすっきり清算できる | 引越しが必要。売れるまでに時間がかかることも |
| 一方が住み続ける | 子どもの学区など生活環境を保てる | ローンの名義や連帯保証が元配偶者に残りやすく、数年後にトラブルが再燃することがある |
| 賃貸に出して共有のまま | 家賃収入を得られる | 共有関係が続き、修繕や売却のたびに相手との話し合いが必要。住宅ローンが残っていれば金融機関の承諾も必要 |
子どもの学区を変えたくない場合は、一方が住み続ける選択も考えられます。ただし、住み続ける側に返済できる収入があるか、ローンの名義人が家を出る場合に金融機関が認めるかなど、確認すべき点が多くあります。新しい生活の資金をお互いに確保したい場合は、売って現金化するほうが公平に分けやすく、関係も清算しやすいでしょう。選択肢ごとの考え方は離婚したら家はどうする?でも解説しています。
財産分与における不動産の扱い
財産分与とは、結婚している間に夫婦で築いた財産を、離婚のときに分ける手続きです。不動産も対象になり、原則として2分の1ずつ分けます。2026年4月に施行された改正民法では、夫婦それぞれの貢献の程度は、違いが明らかでない限り等しいとする考え方が条文で示されました。
一方、結婚前から一方が持っていた不動産や、親から相続・贈与を受けた不動産は「特有財産」として、原則として分与の対象になりません。購入時の頭金を一方の親が出した場合や、結婚前の貯金を頭金にした場合は、その分を考慮して分け方を決めます。
名義が夫だけ、妻だけになっていても、結婚している間に買った不動産であれば夫婦の共有財産として分与の対象になります。名義と分与の割合は別の話だと考えておきましょう。
不動産の分け方は「売って分ける」か「代償金」
不動産は現金と違い、そのままでは半分に分けられません。そのため、次のどちらかで分けることになります。
- ●売却して代金を分ける:売却代金からローンや諸費用を引いた残りを分ける。金額がはっきりして公平に分けやすい
- ●一方が取得し、他方に代償金を払う:住み続ける側が、相手の取り分を現金で払う。まとまった資金が必要
不動産の評価額はどう決める?
財産分与では、原則としてその時点の時価(実際に売れる価格)で評価します。固定資産税評価額は時価より低く出ることが多く、路線価も時価の8割程度が目安とされるため、そのまま使うと一方に不利になることがあります。不動産会社の査定額や、近くの成約事例をもとに時価を確かめ、お互いが納得できる金額を決めましょう。
財産分与の対象になる財産は、原則として別居した時点のものが基準になります。具体的な分け方は財産分与で不動産を売却する分け方で詳しく解説しています。
財産分与の基本的な流れ
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 1. 財産の洗い出し | 不動産、預貯金、保険、退職金などを一覧にする |
| 2. 評価額の確認 | 査定額や近くの成約事例で、不動産の時価を確かめる |
| 3. 住宅ローンの確認 | 残高とローンの組み方(単独・ペアローン・連帯保証)を確認する |
| 4. 分け方の決定 | 売却か代償金か、割合をどうするかを話し合う |
| 5. 取り決めの書面化 | 離婚協議書を作り、公正証書にしておく |
財産分与を請求できる期限
財産分与は離婚したあとでも請求できますが、期限があります。2026年4月1日以降に離婚した場合は離婚から5年、2026年3月31日までに離婚した場合は従来どおり離婚から2年です。また、今回の改正で、家庭裁判所が相手に財産の情報を開示するよう命じられる仕組みもできました。話し合いでまとまらない場合は、家庭裁判所の調停や審判で決めることになります。
住宅ローンが残っている場合の対処法
離婚でいちばん悩ましいのが、住宅ローンが残っている場合です。売却代金でローンを完済できる「アンダーローン」なら、残ったお金を分与できます。売却額がローンの残りを下回る「オーバーローン」の場合は、足りない分を自己資金で補うか、別の方法を考える必要があります。
まずはローンの残高証明書で正確な残りを確認し、不動産の時価と比べましょう。このとき、仲介手数料などの諸費用(売却価格の4〜5%程度)も差し引いて考えるのがポイントです。たとえばローンの残りが2,000万円で時価が2,500万円ならアンダーローン、時価が1,800万円ならオーバーローンです。
オーバーローンの不動産は、財産分与のうえでは「価値がない」と扱われるのが一般的です。ただし、残ったローンの返済義務は名義人に残るため、誰がどう返すかを別に取り決めておく必要があります。返済が難しい場合は、金融機関の同意を得て売る「任意売却」という方法もあります(オーバーローンの家を売却する方法)。
ペアローン・連帯保証・連帯債務に注意
夫婦それぞれがローンを組む「ペアローン」、一方が借りて他方が連帯保証人になっている形、夫婦が一緒に借りる「連帯債務」の場合、離婚しても返済義務や保証人の立場は自動的には消えません。名義人が返済を滞らせれば、保証人に請求が来るおそれがあります。
住み続ける側が単独のローンに借り換えれば整理できますが、収入などの審査を通る必要があります。確実に関係を解消するには、売却してローンを完済するのがいちばんです。
名義人が出て行き、相手が住み続ける場合
住宅ローンは「借りた本人が住むこと」を前提に組まれています。名義人が家を出て、元配偶者や子どもだけが住む状態は、契約違反とされるおそれがあります。この形を選ぶ場合は、金融機関に相談したうえで、返済の取り決めを公正証書にしておきましょう。
共有名義の不動産を売却する際のポイント
夫婦でお金を出し合って買った不動産は、共有名義になっていることがよくあります。共有名義の不動産を丸ごと売るには、原則として共有者全員の同意と署名が必要で、片方が反対すると売れません。
持分の割合は、購入時に出したお金の割合で登記されているのが通常です。たとえば夫6割・妻4割といった形です。ただし、財産分与では登記の持分とは別に、結婚している間の貢献をふまえて分け方を決めます。
相手が売却に同意しない場合
- ●家庭裁判所で財産分与を決める:調停や審判で、不動産の扱いを含めて決めてもらう。離婚前なら離婚調停の中であわせて話し合える
- ●共有物分割請求をする:裁判所に共有状態の解消を求める方法。分けられない不動産は、どちらかが買い取るか、最終的には競売になることもある(共有物分割請求とは)
- ●自分の持分だけ売る:自分の持分は相手の同意がなくても売れる。ただし、全体を売って分ける場合より価格は低くなる(共有持分の買取とは)
もっとも望ましいのは、二人が合意して一緒に売ることです。そのうえで、話し合いが進まない、相手と顔を合わせたくないといった場合に、持分の売却が現実的な選択肢になります。
単独名義でも勝手に売られないように
単独名義の不動産は、名義人だけで売却の手続きができてしまいます。財産分与の話し合いの最中に相手が勝手に売ってしまう心配がある場合は、「処分禁止の仮処分」を申し立てる方法もあるため、弁護士に相談しておきましょう。
名義・登記の確認
売る前には、登記簿で名義や持分を正確に確認しておきましょう。親から相続した土地が亡くなった親の名義のままになっている場合は、相続登記を済ませないと売却できません(相続登記が未了の不動産の売却)。戸建てや土地では、隣地との境界がはっきりしているかも確認しておくと、売却がスムーズです。
離婚に伴う不動産の売却タイミング
売却を「離婚前にするか」「離婚後にするか」も重要です。財産分与の進め方、税金、気持ちの負担をふまえて判断します。
| タイミング | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 離婚前に売る | 現金化してから財産分与を話し合えるので、金額がはっきりする。連絡も取りやすい | 離婚を急ぐあまり売り急ぎ、価格が下がるおそれ |
| 離婚後に売る | 落ち着いて売却を進められる | 共有関係が続き、連絡を取り合う必要がある。財産分与の期限にも注意 |
第三者に売る場合は、離婚前でも離婚後でも3,000万円特別控除は使えます。ただ、離婚後は連絡が取りにくくなることも多いため、できれば離婚前に売却の方針と分け方を決めておくのがおすすめです。
【市況データ】2026年の不動産市場
2026年3月に公表された令和8年地価公示では、全国の全用途平均が2.8%上がり、5年連続の上昇となりました。一方、東日本不動産流通機構によると、2026年9月の首都圏の中古マンションは成約件数が前年同月比22.7%減り、平均成約価格も4.5%下がっています。中古戸建ては成約件数が16.5%減ったものの、平均成約価格は5.4%上がりました。
土地の値段は上がっていますが、中古住宅の取引は鈍くなりつつあり、売り出しても成約までに時間がかかりやすい状況です。話し合いが長引くほど、売れる価格が下がるおそれもあります。季節でいえば転勤や入学が重なる1〜3月は取引が活発になりやすいものの、離婚の事情を優先すべき場面も多く、時期だけにこだわりすぎないことも大切です。
出典:東日本不動産流通機構(REINS)|不動産市場動向(統計)
離婚で不動産を売却するときの税金
売って利益が出たとき(3,000万円特別控除)
不動産を売って利益(譲渡所得)が出ると、所得税と住民税がかかります。税率は、売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていれば20.315%、5年以下なら39.63%です。
自分が住んでいた家を売る場合は、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」で、利益から最大3,000万円を差し引けます。たとえば利益が2,500万円なら、課税される所得はゼロです。共有名義で夫婦ともに住んでいた場合は、それぞれが自分の持分について最大3,000万円の控除を受けられます。すでに家を出た側も、住まなくなってから3年目の年末までに売れば対象になります。
| 主な要件 | 内容 |
|---|---|
| 自分が住んでいた家 | 住んでいる家、または住まなくなってから3年目の年末までに売る家 |
| 特別な関係の人への売却でない | 配偶者、親子、生計を一にする親族などへの売却は対象外 |
| 確定申告 | 税額がゼロでも、売った翌年に申告が必要 |
| 前年・前々年に同じ特例を使っていない | マイホームの譲渡損失の特例なども含む |
特例の詳細は3,000万円特別控除の要件、確定申告の方法は不動産売却の確定申告で解説しています。
売らずに財産分与で不動産を渡すとき
売却せずに不動産そのものを元配偶者に渡す場合も、税金に注意が必要です。
| 立場 | かかる税金 |
|---|---|
| 渡す側 | 分与した時点の時価で売ったものとみなされ、利益が出れば譲渡所得税がかかる。離婚が成立したあとに渡せば、元配偶者は「特別な関係の人」に当たらないため、3,000万円特別控除が使える |
| 受け取る側 | 原則として贈与税はかからない(分与額が多すぎる場合などを除く)。名義変更の登録免許税(固定資産税評価額の2%)がかかる。不動産取得税は、夫婦の財産を清算する趣旨の分与であれば原則かからない |
名義の移転は離婚が成立したあとに行うこと、離婚協議書に財産分与の趣旨を明記しておくことがポイントです。具体的な税額は、税理士や税務署に確認しておくと安心です。
離婚不動産の売却で起こりやすいトラブルと対策
離婚にともなう不動産の売却では、気持ちの対立に加えて、お金や契約をめぐるトラブルも起きがちです。
| よくあるトラブル | 対策 |
|---|---|
| 売却代金の分け方で揉める | 分け方を離婚協議書に書き、公正証書にしておく |
| 名義人が勝手に売ってしまう | 心配があれば処分禁止の仮処分を検討する |
| 住み続ける側のローン返済が滞る | 連帯保証の有無を確認し、返済の取り決めを書面に残す |
| 売り出し価格や売り方で意見が合わない | 査定額の根拠を二人で確認し、最低価格を事前に決めておく |
| 財産分与の請求期限を過ぎてしまう | 離婚前、遅くとも離婚後早めに取り決める |
口約束で済ませると、あとから「言った・言わない」の争いになりかねません。また、急いで売ろうとして相場を確かめずに契約してしまうケースもあります。自宅を不動産会社に売る契約はクーリング・オフの対象にならないため、その場で即決せず、査定額の根拠を確認してから契約しましょう。
相談先の選び方
財産分与の取り決めや調停は弁護士、税金は税理士、売却は不動産会社と、相談先は分かれます。不動産会社を選ぶときは、共有名義や離婚にともなう売却の扱いに慣れているかを一つの基準にするとよいでしょう。二人の日程の調整や、相手と顔を合わせずに進める工夫など、離婚ならではの配慮が必要になるためです。
マーキュリーが選ばれる4つの理由|あらゆる不動産を価値ある未来へ
マーキュリーは2004年の設立以来、マンション、戸建て、土地を問わず、権利関係が複雑な不動産も自社で直接買い取ってきた会社です(東京都知事(5)第84482号)。離婚にともなう売却で役立つ強みを4つご紹介します。
① 共有名義の持分だけでも買い取れる
共有名義は、離婚にともなう不動産売却でもっともつまずきやすいポイントです。相手が売却に応じない、もう連絡を取りたくないという場合は、ご自身の持分だけを当社が買い取る共有持分事業でご相談をお受けしています。持分の売却に元配偶者の同意は必要ありません。ご相談や査定の段階で、当社から元配偶者の方に連絡することもありません。売買が成立したあとは、当社が新しい共有者として、元配偶者の方と話し合いを進めます。
② 権利調整の実績426件
共有持分、借地権、底地など、権利が複雑に絡んだ不動産の権利調整を426件手がけてきました。借地の上に建つ家を夫婦で共有している場合など、権利が重なったケースにも対応しています。
③ 築古・訳ありの家や土地も現況のまま
築年数の古い戸建て、再建築不可の家、境界がはっきりしない土地なども、現況のまま買い取っています。修繕や片付けは買取後に当社が行うため、売る前に費用をかける必要はありません。親から相続した不動産が絡む場合は、相続登記や税務申告について提携の司法書士・税理士をご紹介します。
④ 直接買取で仲介手数料ゼロ・周囲に知られにくい
当社が直接買い取るため、仲介手数料はかかりません。広告や内覧がないので、近所や知人に離婚を知られずに手続きを進められます。契約で決めた金額と日程で確実に売れるため、離婚後の生活設計も立てやすくなります。
離婚と不動産売却に関するよくある質問
Q. 離婚で不動産はどう分けるのが一般的ですか?
財産分与は原則2分の1ずつです。不動産はそのままでは分けられないため、売却して代金を分けるか、一方が取得して他方に代償金を払う方法が一般的です。お互いに新しい生活の資金が必要な場合は、売って現金で分けるほうが公平に分けやすくなります。
Q. 名義が夫だけの家でも財産分与の対象になりますか?
結婚している間に買った家であれば、名義が一方だけでも夫婦の共有財産として財産分与の対象になります。一方、結婚前から持っていた家や、親から相続した家は、原則として対象になりません。
Q. 財産分与で不動産の評価額はどう決めますか?
原則として、その時点の時価(実際に売れる価格)で評価します。固定資産税評価額や路線価は時価より低く出ることが多いため、不動産会社の査定額や近くの成約事例をもとに、お互いが納得できる金額を決めましょう。
Q. 財産分与はいつまで請求できますか?
2026年4月1日以降に離婚した場合は、離婚から5年以内です。2026年3月31日までに離婚した場合は、離婚から2年以内となります。期限を過ぎると請求できなくなるため、早めに取り決めておきましょう。
Q. 住宅ローンの連帯保証人は離婚すれば外れますか?
離婚しても自動的には外れません。金融機関の承諾がなければ、保証人の立場はそのまま残ります。外すには、売却してローンを完済するか、住み続ける側が単独で借り換えるなどの方法が必要です。
Q. 財産分与で家をもらうと税金はかかりますか?
受け取る側には原則として贈与税はかかりませんが、名義変更の登録免許税(固定資産税評価額の2%)はかかります。渡す側には、時価で売ったものとして譲渡所得税がかかる場合があります。離婚成立後に渡せば、渡す側は3,000万円特別控除を使えます。
Q. マーキュリーの対応エリアはどこですか?
東京都内を中心に、首都圏で開発を行っています。
まとめ|マーキュリーへご相談ください
離婚にともなう不動産の売却は、財産分与、住宅ローン、共有名義、売却のタイミング、税金と、考えることがたくさんあります。
- ●財産分与は原則2分の1。名義が一方だけでも結婚中に買った不動産は対象
- ●評価は時価が原則。査定額や成約事例で確かめる
- ●財産分与の請求期限は離婚から5年(2026年4月以降の離婚)
- ●ペアローンや連帯保証は離婚しても外れない
- ●相手が売却に応じなければ、調停・共有物分割請求・持分の売却も選択肢
- ●売却益には3,000万円特別控除。財産分与で渡すなら離婚成立後に
物件がマンションでも戸建てでも土地でも、正確な情報をもとに、納得して進めることが大切です。マーキュリーは、不動産全体の買取も、持分だけの買取もご相談いただけます。離婚にともなう売却でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。





