

「相続した実家で孤独死があった」「自殺があった物件を売却したいが、買い手が見つかるのか分からない」という方もいるのではないでしょうか。
いわゆる事故物件でも売却はできます。一般の買主を探す仲介では時間がかかることがありますが、事故物件や告知事項のある物件を扱う不動産会社へ直接売却する方法もあります。
ただし、事故物件だからといって「通常価格の何%になる」「何年経てば告知しなくてよい」と一律に決まるわけではありません。死因、発見までの期間、特殊清掃の有無、周囲への周知状況、物件の立地や建物状態などによって扱いは変わります。
この記事では、事故物件の告知ルール、仲介と買取の違い、査定価格を左右するポイント、買取会社の選び方、相続した事故物件を売る場合の税金まで順番に解説します。
・事故物件でも売却は可能
・自然死だから必ず告知不要、自殺だから永久に必ず告知という単純なルールではない
・売買では賃貸のような「概ね3年」という一律の期間基準は設けられていない
・事故物件の買取価格について公的な「○割」という統計はない
・査定では死因だけでなく立地、築年数、発見までの期間、特殊清掃、周知状況なども確認される
・売却前に高額なリフォームや解体を行った方がよいとは限らない
- 1 事故物件とは?まず「告知が必要か」を確認する
- 2 事故物件でも仲介と買取のどちらでも売却できる
- 3 事故物件の買取相場に「○%」という決まりはない
- 4 事故物件の査定額を左右する7つのポイント
- 5 事故物件を少しでも高く売るために確認したいこと
- 6 売却前に特殊清掃・リフォーム・解体をした方がいい?
- 7 事故物件の買取会社を選ぶ5つのポイント
- 8 事故物件を売るときの告知で注意すること
- 9 事故物件を買取で売却する流れ
- 10 相続した事故物件を売却するときの注意点
- 11 相続した事故物件の売却で確認したい税制
- 12 事故物件・告知事項のある不動産はマーキュリーへご相談ください
- 13 事故物件の買取に関するよくある質問
事故物件とは?まず「告知が必要か」を確認する


「事故物件」という言葉に、法律上の明確な定義があるわけではありません。
一般には、過去に人の死などが発生し、買主が購入を判断するうえで心理的な抵抗を感じる可能性がある不動産を指して使われています。
不動産取引で重要になるのは、その物件を「事故物件」と呼ぶかどうかより、取引時に人の死について何を告げる必要があるのかです。
国土交通省は2021年10月、「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を公表しています。
参考:国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」
自然死・日常生活上の不慮の死
老衰や病気による自然死、転倒や誤嚥など日常生活の中で起きた不慮の事故死については、原則として宅地建物取引業者が取引相手へ告げなくてもよいとされています。
人が生活する住宅では自然死が起こり得るため、それだけで当然に心理的瑕疵として扱うものではないという考え方です。
ただし、発見が遅れて特殊清掃や大規模な消臭・リフォームなどが行われた場合は扱いが変わります。
自殺・他殺など
自殺や他殺など、自然死・日常生活上の不慮の死に該当しない人の死は、買主の判断へ重要な影響を与える可能性があります。
売買取引については、賃貸借取引に設けられている「概ね3年間」のような一律の告知期間は示されていません。
そのため、「3年経ったから売買でも告知しなくてよい」と判断するのは避けた方がよいでしょう。
買主から聞かれた場合は死因・期間にかかわらず確認が必要
国土交通省のガイドラインでは、通常は告げなくてもよいケースであっても、買主や借主から人の死について質問された場合や、社会的影響が大きく相手方が把握しておくべき事情がある場合などには、告げる必要があるとしています。
「自然死だから絶対に言わなくてよい」と自己判断せず、売却時には分かっている事実を不動産会社へ伝えておくことが大切です。
事故物件でも仲介と買取のどちらでも売却できる
事故物件の売却方法は、大きく分けると「仲介」と「買取」です。
| 比較項目 | 仲介 | 買取 |
|---|---|---|
| 買主 | 一般の個人・法人など | 不動産会社 |
| 売却価格 | 市場価格に近づけやすい | 再販費用等を考慮して査定 |
| 売却期間 | 買主が見つかるまで必要 | 条件が合えば短縮しやすい |
| 広告 | 販売活動を行うことが多い | 一般公開せず進められる場合がある |
| 仲介手数料 | 発生する | 直接買取なら原則不要 |
| 向いている人 | 時間をかけても価格を重視したい | 期間・手間を抑えて売却したい |
時間をかけられるなら仲介も選択肢
事故内容の影響が比較的小さく、立地や建物条件がよい物件なら、仲介で買主を探せることがあります。
一般市場へ広く売り出せるため、条件が合う買主が見つかれば買取より高い価格で売れる可能性があります。
一方、内覧のたびに告知事項の説明が必要になったり、購入希望者が見つかっても心理的な理由から見送られたりするケースがあります。
早めに手放したいなら買取を比較する
不動産会社による直接買取では、会社自身が買主になるため、一般の購入希望者が現れるまで待つ必要がありません。
相続した空き家を長く管理したくない、遠方に住んでいる、特殊清掃や荷物整理をどうすればよいか分からないといった場合にも相談しやすい方法です。
ただし、買取価格は再販売に必要な費用やリスクなどを踏まえて決まるため、仲介による想定成約価格より低くなるのが一般的です。
事故物件の買取相場に「○%」という決まりはない


事故物件の買取について調べると、「通常相場の50%」「70~80%」などさまざまな数字が出てきます。
しかし、事故物件だけを集計した国や自治体の公的な買取価格統計はありません。
そのため、インターネット上で紹介されている割合は、各社の取引経験などをもとにした目安として見る必要があります。
同じ「孤独死があった物件」でも、都心駅前のマンションと郊外の築古戸建てでは、事故がなかった場合の不動産価値そのものが違います。
査定では、まず通常の不動産としての価値を確認したうえで、告知事項や再販売に必要な費用・リスクなどを加味します。
事故物件の査定額を左右する7つのポイント
上位記事でも特に詳しく説明されているのが、「何が価格を下げるのか」という部分です。
1.死因
自然死・事故死・自殺・他殺など、発生した出来事によって買主が感じる心理的な抵抗は異なります。
ただし、死因だけで機械的に何%下がると決まるものではありません。
2.発見されるまでの期間
早期に発見されたケースと、長期間発見されず室内に臭いや汚損が残ったケースでは、建物への影響が異なります。
特殊清掃や床・壁の交換が必要な状態であれば、その費用も査定で考慮されます。
3.事故からの経過期間
事故からどの程度時間が経っているかも、買主の受け止め方に影響することがあります。
ただし、時間が経過しただけで告知事項が自動的に消えるわけではありません。
4.報道・近隣への周知状況
事件が大きく報道された、地域で広く知られているといった物件では、再販売時の影響が長く残ることがあります。
反対に、周囲にほとんど知られていないケースでは影響が比較的小さいこともあります。
5.物件の立地
駅近や人気住宅地など、もともとの需要が高い物件では、告知事項があっても価格とのバランスで購入を検討する人が現れることがあります。
事故物件かどうかだけでなく、通常物件としてどの程度需要がある土地・建物なのかが重要です。
6.建物の状態
事故とは関係なく、雨漏り、シロアリ、設備故障、築年数なども査定対象です。
「価格が低いのはすべて事故のせい」とは限りません。
7.再販売・活用の方法
不動産会社によって、購入後の活用方法は異なります。
リフォームして売却する会社、賃貸運用を得意とする会社、建物を解体して土地として活用する会社など、出口戦略によって査定額に差が出る場合があります。
事故物件を少しでも高く売るために確認したいこと
事故物件だからといって、すぐに大幅な値下げをして売り出す必要はありません。
事故がなかった場合の市場価格を先に調べる
まず確認したいのは、同じエリア・築年数・面積の一般的な不動産価格です。
通常物件としての基準価格が分からなければ、事故による減額が妥当なのか判断できません。
国土交通省の「不動産情報ライブラリ」では、周辺の不動産取引価格などを確認できます。
複数社へ査定を依頼する
事故物件は会社によって再生方法や再販売先が違うため、通常物件以上に査定額へ差が出る可能性があります。
一社だけで決めず、事故物件や訳あり物件を扱う会社を含めて比較すると、提示された価格が妥当か判断しやすくなります。
査定額だけでなく減額理由を確認する
「事故物件なので500万円下がります」という説明だけでは、価格の妥当性を判断しにくいでしょう。
通常物件としての査定価格はいくらなのか、特殊清掃・リフォーム・再販リスクなどをどのように見ているのか、査定の根拠を確認してください。
売却前に特殊清掃・リフォーム・解体をした方がいい?
「事故物件だからきれいにしてから売らなければ」と考える方もいますが、先に高額な費用をかける必要がない場合もあります。
特殊清掃を先に依頼する前に査定する
衛生上すぐに対応が必要なケースを除き、売却を前提としているなら、先に不動産会社へ現在の状態を伝えて相談する方法があります。
会社によっては物件取得後の再生計画に合わせて清掃・リフォームを行うため、売主側で先に工事を行っても、その費用分だけ査定価格が上がるとは限りません。
リフォーム費用がそのまま売却価格に上乗せされるとは限らない
300万円かけて内装をきれいにしたからといって、必ず300万円以上高く売れるわけではありません。
買取を検討している場合は、現況査定とリフォーム後の想定価格を比較してから判断する方がよいでしょう。
解体すれば告知しなくてよくなるわけではない
建物内で人の死があった場合、建物を壊して更地にすれば事故の事実がなくなるわけではありません。
売買時に何を説明すべきかは、出来事の内容や社会的影響などを踏まえて判断する必要があります。
また、再建築不可物件などでは建物を解体すると利用価値が下がるケースもあります。
売却予定であれば、解体前に査定を受けることをおすすめします。
事故物件の買取会社を選ぶ5つのポイント


事故物件・訳あり物件を扱っているか
通常のマンションや戸建てを中心に扱う会社では、事故物件の再販売方法がなく、査定自体を断られることがあります。
心理的瑕疵や告知事項のある物件を扱っている会社か確認しましょう。
告知ルールを正しく説明してくれるか
「3年経てば絶対に言わなくてよい」「買取なら事故を隠してもよい」といった説明をする会社には注意が必要です。
国土交通省のガイドラインに沿って、何を確認し、何を買主へ説明するのかを説明できる会社を選びましょう。
査定価格の根拠が分かるか
事故物件は公的な買取率がないからこそ、査定根拠が重要です。
周辺相場、事故内容、建物状態、再生費などをどのように評価したのか確認してください。
契約条件を確認する
提示された「買取価格」と売主の最終的な「手取り額」は同じとは限りません。
抵当権抹消費用、登記関係費用、譲渡所得税など、売主側で必要になる費用や税金があります。
また、契約不適合責任を免責とする場合は、売買契約書にどこまで免責されるのかを確認しておきましょう。
売却を急がせないか
事故物件だからと不安をあおり、「今日契約しなければ買えない」などと極端に契約を急がせる会社は慎重に判断しましょう。
査定金額と条件を確認し、納得してから契約することが大切です。
事故物件を売るときの告知で注意すること
事故物件の売却で最も避けたいのは、事実を自己判断で隠すことです。
ただし、「事故があった物件はすべて同じ内容を告げなければならない」という意味でもありません。
まず不動産会社へ知っている事実を伝える
売主が知っている死因、発生時期、発見時の状況、特殊清掃の有無などは、最初の相談段階で伝えておきましょう。
告知が必要かどうかを判断するためにも、情報を伏せないことが重要です。
分からないことまで推測して説明しない
一方で、分からない事実を売主自身が調査して断定する必要はありません。
国土交通省のガイドラインでは、宅地建物取引業者について、亡くなった方や遺族へ聞き込みをしたり、インターネットで事件を網羅的に調査したりするまでの義務はないと整理されています。
知っている内容を正確に伝え、不明点は不明のまま整理することが大切です。
告知義務違反の損害額を一律に決めることはできない
元記事では「物件価格の20~50%の損害賠償が認められる」としていましたが、損害賠償額について一律の基準はありません。
事案によっては、契約解除や損害賠償などが問題になる可能性がありますが、事故内容や買主の判断への影響、契約内容などによって結論は異なります。
事故物件を買取で売却する流れ


-
不動産会社へ相談する
所在地、物件種別、事故の内容、発生時期、特殊清掃の有無など、分かる範囲で伝えます。 -
机上査定を受ける
周辺相場や物件概要から概算価格を確認します。 -
現地査定・物件調査
建物状態、告知事項、権利関係などを確認します。 -
正式な買取条件を確認する
買取価格だけでなく、残置物、引渡条件、契約不適合責任なども確認します。 -
売買契約・決済・引渡し
条件に納得できれば契約し、代金受領と所有権移転を行います。
机上査定はあくまで概算です。現地を確認した結果、建物の状態などによって正式な価格が変わることがあります。
また、正式な「買取価格」と「手取り額」は同じ意味ではありません。税金や売主側の費用まで含めて資金計画を考えましょう。
相続した事故物件を売却するときの注意点
事故物件を相続したケースでは、通常の売却手続きに加えて相続手続きも必要になります。
相続登記を確認する
亡くなった方の名義のままでは、そのまま通常の売買による所有権移転を進めることはできません。
誰が物件を相続するのかを整理し、必要な相続登記を行います。
相続人が複数いる場合は売却方針を決める
兄弟姉妹など複数人が相続する場合は、誰が不動産を取得するのか、売却して現金で分けるのかを決めます。
すでに共有名義になっている不動産全体を売却するには、原則として共有者全員の合意が必要です。
事故の詳細が分からない場合もそのまま相談する
相続した物件では、「親から詳しい話を聞いていない」「いつ亡くなったのか正確に分からない」といったこともあります。
分からない内容を推測して説明するのではなく、把握している範囲を不動産会社へ伝えましょう。
相続した事故物件の売却で確認したい税制


相続空き家の3,000万円特別控除
被相続人が一人で暮らしていた一定の古い住宅を相続して売却した場合、要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。
2024年1月1日以後の譲渡で、対象となる家屋・敷地を取得した相続人が3人以上いる場合は、1人あたりの控除限度額は2,000万円です。
対象になる家屋の建築時期、売却期限、売却金額など細かな要件があるため、事故物件であっても自動的に利用できるわけではありません。
参考:国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
相続税の取得費加算の特例
相続税を支払った方が、相続した不動産を一定期間内に売却した場合、相続税額の一部を譲渡所得計算上の取得費へ加算できる場合があります。
要件の一つは、相続開始の日の翌日から、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売却することです。
なお、相続空き家の3,000万円特別控除と取得費加算の特例は、同じ不動産について併用できません。
「事故物件だから譲渡損失を給与と相殺できる」とは限らない
元記事では、事故物件を安く売って損失が出た場合に給与所得などと損益通算できると説明していましたが、不動産の譲渡損失は原則として他の所得と自由に相殺できるものではありません。
マイホームの譲渡損失については一定の特例がありますが、住宅ローンや居住状況などの要件があります。
相続した空き家だから当然に利用できる制度ではないため、実際の申告では税理士や税務署へ確認してください。
事故物件・告知事項のある不動産はマーキュリーへご相談ください


事故物件の売却では、「事故があった」という一点だけで価格を判断するのではなく、不動産そのものの価値と告知事項の影響を分けて考えることが大切です。
マーキュリーでは、事故物件・心理的瑕疵・告知事項のある物件を含む、一般市場では売却条件を整理しにくい不動産についてご相談を受け付けています。
また、直接買取の場合は、物件の状況に応じて現況での買取、売主側での測量・解体不要、契約不適合責任免責での取引についてもご相談いただけます。
特殊清掃やリフォーム、家財処分などへ先に費用をかける前に、現在の状態でどの程度の査定になるのかを確認する方法もあります。
「相続した物件で詳しい事故内容が分からない」「一般の不動産会社に相談したが売却が難しいと言われた」といった場合も、分かる範囲の情報からご相談ください。
事故物件の買取に関するよくある質問
自然死でも特殊清掃を行った場合は告知が必要ですか?
自然死や日常生活上の不慮の死は原則として告げなくてもよいとされていますが、発見が遅れ、特殊清掃や大規模な消臭・リフォームなどが行われた場合は扱いが異なります。売却時には死因や発見状況、清掃の有無を不動産会社へ伝え、個別に判断してもらいましょう。
売主自身も事故の詳しい内容を知らない場合はどうすればよいですか?
把握している事実をそのまま不動産会社へ伝えればよく、分からない内容まで推測して説明する必要はありません。相続物件などで詳しい事情が不明な場合は、「分かっていること」と「分からないこと」を分けて伝えることが大切です。
マンションの共用部分で人が亡くなった場合も告知が必要ですか?
発生場所、死因、その共用部分を日常的に利用するか、事件性や社会的影響がどの程度あるかなどによって判断が変わります。一律に「マンション内ならすべて告知」「専有部分以外なら不要」とは判断できません。
特殊清掃をしていない状態でも査定を依頼できますか?
査定を相談すること自体は可能です。売却を前提としている場合は、先に高額な清掃・リフォーム費用をかけるより、現況での査定と清掃後の想定価格を比較してから判断する方法があります。ただし衛生上緊急の対応が必要な場合は別途対応してください。
相続人が複数いる事故物件でも買取を依頼できますか?
相談は可能ですが、不動産全体を売却する場合は、原則として売却権限を持つ相続人・共有者の合意が必要です。遺産分割が終わっていない場合は、誰が不動産を取得するのかを整理してから売却手続きを進めます。
事故の事実を伝えると必ず査定価格は下がりますか?
必ず下がるとは限りません。自然死で特殊清掃もなく、取引への心理的影響が小さいケースなどもあります。査定価格は事故内容だけではなく、立地、築年数、土地価格、建物状態、周辺需要などを含めて総合的に決まります。





