不動産を売るとき、多くの方がまず考えるのは「仲介」です。物件の状態が良く、取引がスムーズに進めば、仲介のほうが高く売れることが多いのは確かです。
ただ、すべての不動産が仲介に向いているわけではありません。古い建物や借地権付きの物件、入居者がいる物件、早く現金にしたい事情がある場合などは、不動産会社に直接買い取ってもらう「買取」のほうが、結果的に満足のいく売却になることも少なくありません。
この記事では、仲介と買取の違いを簡単に整理したうえで、どんな物件・どんな状況なら買取が向いているのかを具体的に紹介します。
仲介と買取の違い
「仲介」は、不動産会社が買主を探し、売主と買主をつなぐ売り方です。「買取」は、不動産会社自身が買主になり、売主から直接買い取る売り方です。

流れの上で一番大きな違いは、買取には「販売活動の期間」がないことです。買主を探す必要がないため、相談・査定から契約、決済・引き渡しまでが短く済みます。また、買主が不動産のプロなので、一般の方同士の売買に比べて、引き渡しの条件などを売主に有利な形(ゆるやかな形)にできる場合があります。
| 仲介 | 買取 | |
|---|---|---|
| 買主 | 一般の個人など | 不動産会社 |
| 売却価格 | 相場どおりの価格で売れる可能性がある | 仲介より低くなりやすい(市場価格の7〜8割程度と言われることが多い) |
| 売却までの期間 | 3〜6ヶ月程度。売れなければさらに延びる | 数週間〜1ヶ月程度が目安 |
| 仲介手数料 | かかる | かからない |
| 内覧・広告 | 必要。周囲に売却が知られやすい | 不要。周囲に知られにくい |
| 契約不適合責任 | 負うのが一般的 | 免除の特約にできることが多い |
| 建物・荷物 | 修繕や片付けを求められることが多い | 現況のままで可能なことが多い |
違いをさらに詳しく比較したい方は、買取と仲介の違いを徹底比較もあわせてご覧ください。
価格だけでなく「売買条件」と「手取り」で比べる
売却を考えるとき、つい売買価格だけに目が行きがちですが、実際には次のような条件もあわせて決まります。
- 売買価格
- 契約・引き渡しの時期
- 境界の明示、測量の費用負担
- 建物を解体するか、どんな状態で引き渡すか
- 契約不適合責任を負うかどうか
- 入居者(借家人)がいる場合の対応
価格は仲介のほうが高くなる傾向がありますが、仲介では測量や解体、修繕、残置物の撤去などを売主が負担し、売却後の責任も負うのが一般的です。手元に残る金額や、売るまでにかかる手間・時間、売った後のリスクまで含めて比べることが大切です。
【試算】築40年の戸建てを売る場合
あくまでイメージですが、相場3,000万円程度の古い戸建てを売るケースで比べてみます。
| 仲介で売る | 買取で売る | |
|---|---|---|
| 売買価格 | 3,000万円(売れた場合) | 2,400万円 |
| 仲介手数料(税込) | 約105万円 | 0円 |
| 測量・残置物撤去・修繕など | 約100万円(売主負担の場合) | 0円(現況のまま) |
| 売却までの期間 | 半年〜(値下げの可能性あり) | 1ヶ月程度 |
| 売却後の責任 | 契約不適合責任を負う | 免責にできることが多い |
| 手元に残る金額(税金・印紙代などを除く) | 約2,795万円 | 約2,400万円 |
この例では仲介のほうが手取りは多くなりますが、売れるまでの固定資産税や管理費、値下げの可能性、売却後に不具合が見つかった場合の修繕費などを考えると、差は縮まることもあります。どちらを選ぶかは、何を優先するかで変わります。
仲介のメリット・デメリット
メリット:条件が良ければ高く売れる
仲介を依頼すると、不動産会社が広告や内覧の案内、購入希望者との価格交渉の窓口、契約書類の作成などを行います。立地や築年数、管理状態、周辺環境などの条件が良ければ、相場どおりか、それ以上の価格で売れる可能性があります。特に、リフォームしなくてもそのまま住める物件は高値がつきやすいです。
デメリット:時間がかかり、確実性に欠ける
買主が見つかるまで売れないため、順調でも3〜6ヶ月ほど、長ければ1年以上かかります。購入希望者の住宅ローン審査が通らなかったり、途中で気が変わったりして、話が流れることもあります。売れなければ値下げを求められることもあり、最初の査定額で売れるとは限りません。
買取のメリット・デメリット
メリット:早く・確実に・手間なく売れる
条件が合えばすぐに契約でき、早ければ数週間で現金化できます。買主がローンを組むわけではないので、ローン審査で話が流れる心配もありません。仲介手数料がかからず、建物や荷物をそのままにして売れることが多いほか、契約不適合責任を免除する特約にできるのも大きな利点です。
デメリット:価格は仲介より低くなりやすい
買取会社は、買い取った後の改修費や販売までのリスク、利益を見込んで価格を出すため、仲介で売れた場合の価格より低くなるのが一般的です。ただし、物件によっては後で紹介するように、買取のほうが有利になることもあります。
仲介に向かない不動産とは
仲介会社の収入は、売買が成立したときの仲介手数料です。手数料の上限は宅地建物取引業法で決まっており、売買価格に比例します。
| 売買価格 | 仲介手数料の上限(税抜) |
|---|---|
| 200万円以下の部分 | 5% |
| 200万円超400万円以下の部分 | 4% |
| 400万円超の部分 | 3% |
売買価格が400万円を超える場合は、これをまとめた「売買価格×3%+6万円(+消費税)」という計算式がよく使われます。なお、2024年7月からは、800万円以下の低廉な空き家などについて、仲介会社が受け取れる報酬の上限が30万円(税抜)まで引き上げられています。手数料の詳細は不動産売却の手数料はいくら?で解説しています。
手数料が価格に比例する以上、売買価格が小さい物件は、仲介会社にとって手間のわりに収益が少ない案件になりがちです。もちろん、価格に関係なく真剣に取り組む会社や担当者もいます。
また、売主にリスクがある不動産も仲介には向いていません。築年数の古い建物、不具合のある建物、近隣とのトラブルを抱えた物件などを一般の方に売ると、引き渡し後に問題が見つかった場合に、売主が修繕や代金の減額、契約の解除などを求められることがあります。こうした物件は、リスクを織り込んで買い取る買取会社に売るほうが安心です。
買取が向いている7つのケース
① すぐに現金が必要なとき
仲介では、順調でも売却までに3〜6ヶ月ほどかかり、買主が見つからなければさらに延びます。相続税の納税期限がある、住み替え先の代金を払う必要がある、ローンの返済が苦しいなど、期限がある場合は買取が向いています。条件がまとまれば、スムーズに現金化できます。
② 周囲に売却を知られたくないとき
仲介で売る場合、不動産ポータルサイトやチラシに物件情報が出るため、近所の人に売却が知られやすくなります。「未公開物件」として広告を控えることもできますが、専任媒介や専属専任媒介で依頼すると、不動産会社間の情報システム(レインズ)への登録が義務づけられているため、完全に伏せることは難しいのが実情です。買取なら広告を出さずに売れます。
③ 売却後のトラブルを避けたいとき
契約不適合責任とは、引き渡した不動産が種類・品質・数量について契約の内容と合っていなかった場合に、売主が負う責任のことです。たとえば売却後に雨漏りやシロアリ被害、柱の腐食、地中の埋設物などが見つかった場合、買主から修補や代金の減額、損害賠償、契約の解除などを求められることがあります。
仲介で一般の方に売る場合、売主はこの責任を一定期間負うのが一般的です。買取では、不動産会社が建物の状態を織り込んだうえで価格を出すため、責任を免除する特約で契約することが多く、売った後の心配が少なくなります(ただし、知っていて伝えなかった不具合は免除されません)。
④ 築年数が古い・修繕が必要な物件を売りたいとき
古い物件や傷んだ物件は、仲介に出しても希望どおりの価格がつきにくく、売主の負担で解体したり修繕したりしてから売ることもあります。買取なら、不動産会社が購入後にリフォームや解体、清掃などを行うので、売主が手をかける必要はありません。家財が残ったままでも引き取ってもらえることが多いです(参考:ボロ家の買取はどこまで可能?)。
⑤ 借地権・再建築不可・共有持分などの訳あり物件
借地権付きの建物、再建築不可物件、共有持分、事故物件などは、住宅ローンが使いにくかったり、使い方に制約があったりして、一般の買主がなかなか見つかりません。こうした物件は、扱いに慣れた買取会社であれば、権利関係の整理や再生の方法を踏まえて買い取ることができます。
- 借地権:借地権の買取とは?
- 再建築不可物件:再建築不可物件の買取
- 共有持分:共有持分の買取とは?
- そのほかの訳あり物件:訳あり物件の買取とは?
⑥ 入居者・テナントがいる物件を売りたいとき
入居者がいる戸建てやアパート、テナントが入っているビルは、自分で住みたい一般の買主には売れず、買主は投資家に限られます。立ち退きを前提にするなら、交渉や立退料の負担も必要です。買取会社なら、入居者がいる状態のまま買い取り、その後の対応を引き受けられることがあります。
⑦ 仲介で長く売れ残っているとき
仲介に出して1年近く買い手がつかない場合は、買取を検討するタイミングです。長く売れ残っていると、その地域で物件を探している人にはすでに情報が知られており、「魅力がない」「値下げを待とう」と見られている可能性があります。ずるずると値下げを繰り返すより、買取ですっきり手放したほうが早いこともあります。
なお、一定期間内に売れなければあらかじめ決めた価格で買い取ってもらう「買取保証」という方法もあります(参考:買取保証とは?)。
マーキュリーの買取事例
当社は、権利関係が複雑な不動産や、古い建物・入居者のいる物件などを直接買い取り、権利の整理から再生まで一貫して手がけています。権利調整の実績は400件を超え、そのほかにも開発や再生の事業を数多く手がけてきました。仲介では売りにくい物件の事例をいくつかご紹介します。
テナントが残る老朽ビルを、相続対策で売却(港区赤坂)
大型店舗の退去で収入が大きく減り、相続対策として売却を決めたオーナー様の商業ビルです。当社が取得した後、焼き肉チェーン店を含む6店舗と明け渡しの交渉を行い、約1年で全店舗から退去の合意を得ました。
事例を見る:港区赤坂
賃貸中の建物と空き家をまとめて買取(目黒区八雲)
相続対策として資産を現金化したいというご相談でした。かつて郵便局として貸していた建物と、空き家になっていた戸建てをまとめて当社が取得し、賃貸借契約の明け渡しも当社が交渉して進めました。
事例を見る:目黒区八雲
入居者のいる老朽アパートを、そのまま買取(品川区西五反田)
借地上のアパートが老朽化し、相続対策もかねて手放したいというご相談でした。3戸のうち2戸に入居者がいましたが、引越し費用は当社がすべて負担し、建物はそのままの状態で買い取りました。
事例を見る:品川区西五反田8丁目
私道に面した老朽戸建てを買取(目黒区中目黒)
資産整理のため、私道に面した古い戸建てを売りたいというご相談でした。当社が建物ごと買い取り、私道の所有者から通行・掘削の承諾を取得したうえで、店舗ビルに建て替えました。
事例を見る:目黒区中目黒
仲介と買取のよくある質問
Q. 買取価格は仲介と比べてどのくらい安くなりますか?
一般的には、市場価格の7〜8割程度と言われることが多いです。ただし、仲介手数料や修繕・解体費用がかからないこと、売却後の責任を負わずに済むことなどを考えると、手元に残る金額の差はもっと小さくなることがあります。
Q. 買取だとどのくらいで現金化できますか?
物件の調査や権利関係の確認が済めば、数週間から1ヶ月程度で決済まで進むのが一般的です。相続登記が済んでいないなど手続きが必要な場合は、その分の期間がかかります。
Q. 仲介で売り出している途中で、買取に切り替えられますか?
切り替えられます。ただし、媒介契約の期間中に別の会社へ売る場合は契約内容の確認が必要です。一般媒介なら自由に売れますが、専任媒介などでは契約の解除や期間満了を待つ必要がある場合があります。
Q. 買取なら家の中を片付けなくても大丈夫ですか?
多くの場合、家具や荷物が残ったままでも買い取ってもらえます。当社でも、残置物がある状態での買取に対応しています。
Q. 買取でも契約不適合責任を負うことはありますか?
買取では免除の特約で契約するのが一般的ですが、売主が知っていながら伝えなかった不具合については、特約があっても責任を免れません。雨漏りや境界のトラブルなど、把握していることは事前に伝えておきましょう。
Q. マーキュリーはどのエリアに対応していますか?
東京都内を中心に、首都圏で開発を行っています。
まとめ
一般的には仲介で売るケースが多いものの、すぐに現金化したいとき、周囲に知られたくないとき、売った後の責任を避けたいとき、古い物件や借地権・再建築不可などの訳あり物件、入居者のいる物件、長く売れ残っている物件などは、買取のほうが希望に沿った売却になりやすいです。
価格だけでなく、手元に残る金額、かかる時間と手間、売却後のリスクまで含めて判断しましょう。仲介では売りにくい物件をお持ちの方は、株式会社マーキュリーにご相談ください。





