

マンションを売却するときに大切なのは、最初から「できるだけ高く売る」ことだけを考えないことです。相場、住宅ローン残高、売却期限、費用、管理状況を整理し、そのうえで仲介と買取のどちらが合うかを判断すると、売却後の手取り額やスケジュールを見通しやすくなります。
また、区分マンションと一棟マンションでは、買主が見るポイントも違います。区分マンションでは立地や室内、管理状態が重視されやすく、一棟マンションでは家賃収入や入居率、修繕履歴など収益性が重要です。
この記事では、マンション売却で押さえたいポイントを先に整理したうえで、売却の流れ、費用・税金、区分・一棟それぞれの注意点まで順番に解説します。
① 現在の相場と査定価格の根拠
② 住宅ローン残高と売却後の手取り額
③ いつまでに売りたいのか
④ 仲介と買取のどちらが目的に合うか
⑤ 管理費・修繕積立金・大規模修繕など管理状況
⑥ 売却にかかる費用と税金
査定額の高さだけで不動産会社を選ばず、「その価格でどう売るのか」まで確認することが大切です。
マンション売却で押さえたい7つのポイント
高く売るためのコツだけでなく、売却期間・費用・住宅ローンまで含めて判断すると、途中で計画を変更するリスクを減らせます。
1.まず相場を知り、査定価格の根拠を確認する
マンション売却では、最初に「いくらで売れそうか」を把握します。
同じマンション内や近隣で、広さ・階数・向き・築年数が近い物件が売り出されていれば参考になります。ただし、ポータルサイトに掲載されている価格はあくまで売出価格で、実際の成約価格とは限りません。
そのため、不動産会社の査定を受けたら金額だけを見るのではなく、周辺の成約事例や同じマンション内の取引、現在売り出されている競合物件など、査定の根拠まで確認しましょう。
2.住宅ローン残高と手取り額を先に計算する
住宅ローンが残っているマンションでも売却できますが、一般的な売買では決済時までにローンを完済し、抵当権を抹消できる状態にする必要があります。
売却価格だけを見るのではなく、
- 住宅ローン残高
- 仲介手数料などの売却費用
- 登記費用
- 売却益が出る場合の税金
を差し引き、実際にいくら手元へ残るのかを確認しておきます。
住宅ローンが残る不動産の売却については、住宅ローンが残る家を売却する方法も参考にしてください。
3.「高く売りたい」と「早く売りたい」の優先順位を決める
価格を重視するのか、売却時期を優先するのかによって売り方は変わります。
時間をかけて一般の購入希望者を探せるなら仲介が向いています。一方、住み替えや相続、資金需要などで期限がある場合は、不動産会社による買取も選択肢になります。
4.査定額が一番高い会社だけで決めない
査定価格は「その価格で必ず売れる」という保証ではありません。
相場より高い査定を提示され、その価格のまま長期間売れず、何度も値下げすることもあります。
査定を比較するときは、価格だけではなく、販売方法、想定する買主、売却期間、同じタイプのマンションの取扱経験まで確認しましょう。
5.売却前の高額リフォームは慎重に判断する
室内をきれいにすれば印象は良くなりますが、高額なリフォーム費用を売却価格へそのまま上乗せできるとは限りません。
購入後に自分好みにリフォームしたい買主もいるため、工事をする前に「現状のまま売る場合」と「工事後」の査定を比べることをおすすめします。
6.管理状況が分かる資料を準備する
区分マンションでは、室内だけでなくマンション全体の管理状態も購入判断に影響します。
- 長期修繕計画
- 管理規約
- 管理費・修繕積立金
- 総会議事録
- 大規模修繕の履歴
- 今後予定されている修繕や一時金
などを確認できるようにしておくと、売却活動を進めやすくなります。
7.売却期限から逆算して準備する
マンションは売り出せばすぐ買主が決まるとは限りません。
住み替え先の引渡し、相続税の納付、資金計画など期限がある場合は、「いつまでに売買契約を結ぶ必要があるか」「いつまでに決済したいか」を逆算し、余裕を持って査定を始めましょう。
仲介と買取、マンション売却ではどちらを選ぶ?
市場価格に近い価格を狙いたいなら仲介、売却時期を優先したい場合や一般の買主へ売りにくい物件では買取が選択肢になります。
| 比較項目 | 仲介 | 買取 |
|---|---|---|
| 買主 | 一般の購入希望者・投資家など | 不動産会社 |
| 価格 | 市場価格に近い価格を狙いやすい | 仲介より低くなることが多い |
| 期間 | 買主探しに時間がかかる場合がある | 比較的短期間で進めやすい |
| 内覧 | 購入希望者の内覧がある | 一般客向けの内覧は原則不要 |
| 仲介手数料 | 発生する場合がある | 直接買取なら原則不要 |
どちらが優れているというより、「価格」と「時間」のどちらを優先するかで選びます。
区分マンションと一棟マンションでは売却時の評価ポイントが違う


| 項目 | 区分マンション | 一棟マンション |
|---|---|---|
| 主な買主 | 自己居住者・投資家 | 投資家・法人 |
| 主な評価 | 立地・階数・向き・眺望・室内・管理状態 | 収益性・入居率・修繕状況・土地価値 |
| 主な資料 | 管理規約・長期修繕計画など | レントロール・賃貸借契約・修繕履歴など |
同じ「マンション」という名称でも、区分と一棟では査定の考え方が大きく違います。
一棟マンションは、建物自体だけでなく「どれだけ家賃収入を生むか」という収益物件としての価値が重視されます。
マンション売却の流れ


| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 1 | 相場・住宅ローン残高・売却期限を確認する |
| 2 | 不動産会社へ査定を依頼する |
| 3 | 売却方法と不動産会社を決める |
| 4 | 仲介なら媒介契約を結び販売活動を始める |
| 5 | 内覧・購入申込み・条件交渉に対応する |
| 6 | 売買契約を締結する |
| 7 | 決済・所有権移転・引渡しを行う |
| 8 | 必要に応じて翌年に確定申告する |
査定では「価格の根拠」まで聞く
査定結果が出たら、「○○万円です」という数字だけではなく、なぜその価格になるのかを聞きます。
同じマンション内での成約、周辺の競合物件、階数、方角、眺望、室内状態、管理状況など、具体的な根拠があるか確認しましょう。
内覧では清潔感と情報開示を意識する
居住中のマンションでも売却できます。玄関、リビング、水回りを中心に整理し、換気や照明も確認しておくと印象が良くなります。
一方、設備故障や雨漏りなど把握している不具合を隠すのは避けましょう。契約内容に適合しない状態で引き渡した場合、契約不適合責任が問題になることがあります。
買主の住宅ローン審査が終わるまでは確定と考えない
購入申込みが入っても、買主が住宅ローンを利用する場合は審査があります。
ローン特約付きの契約では、審査結果によって契約が白紙解除となる場合もあるため、契約書の条件と買主の資金計画を不動産会社に確認しておきましょう。
マンション売却で失敗しやすいポイント
「査定額の高さ」「売出価格」「リフォーム」「売却期間」の判断を誤ると、結果的に値下げや手取り減少につながることがあります。
相場より高く売り出し、そのまま長期間動かさない
高く売りたい気持ちから相場より大幅に高く設定すると、購入希望者の検索条件から外れ、内覧自体が入りにくくなることがあります。
一定期間反響がなければ、問い合わせ数や内覧数を確認し、価格や販売方法を見直します。
同じマンション内の競合物件を見ていない
マンションは同じ建物内で複数住戸が同時に売り出されることがあります。
同じ間取りや近い階数の住戸が自分より安く販売されていれば、比較されやすくなります。売却開始後も競合状況は定期的に確認しましょう。
高額なリフォームを先に行う
リフォーム済み物件を好む買主もいますが、好みは人によって異なります。
工事費以上に高く売れるとは限らないため、まず現況で査定を受ける方が判断しやすくなります。
告知すべき不具合を伝えていない
雨漏り、設備故障、過去の漏水など、取引判断に影響する情報は不動産会社へ伝えます。
売買契約では物件状況確認書や設備表などを用いることもあるため、分かる範囲で正確に整理しておきましょう。
区分マンションを売却するときの注意点


管理費・修繕積立金と値上げ予定を確認する
管理費や修繕積立金の現在額だけでなく、今後の増額や一時金の徴収が決まっている場合は購入希望者の判断材料になります。
滞納がある場合も、売却前に管理会社や不動産会社へ相談してください。
大規模修繕の予定を確認する
大規模修繕が近い場合は、工事内容、修繕積立金の状況、一時金の有無などを確認します。
修繕履歴がしっかりしていることは、管理状態を確認する材料にもなります。
賃貸中ならオーナーチェンジとして評価される
入居者がいる区分マンションを売却する場合、主な買主は投資家になります。
この場合は、室内の見た目より賃料、利回り、賃貸借契約、入居期間などが重視されます。
一棟マンションを売却するときの注意点


レントロールを正確に整理する
一棟マンションでは、各住戸の賃料、共益費、入居状況、契約開始時期などをまとめたレントロールが査定・売却で重要になります。
買主は現在の収入だけでなく、賃料設定が相場と合っているか、空室がどの程度あるかも確認します。
修繕履歴と今後の修繕リスクを整理する
外壁、防水、給排水、エレベーターなどの修繕履歴がある場合は、工事内容や時期が分かる資料を準備します。
売却前に大規模修繕をするべきかは一律ではありません。工事費と査定価格への影響を比較して判断しましょう。
収益性と土地価値の両方を見る
築年数が古い一棟マンションでは、現在の収益力だけでなく、土地面積、容積率、将来の建替え・再開発可能性などが評価される場合があります。
マンション売却前に準備しておきたい書類
| 区分マンション | 一棟マンション |
|---|---|
| 登記識別情報または権利証 | 登記関係書類 |
| 固定資産税納税通知書 | 固定資産税関係資料 |
| 管理規約・長期修繕計画 | レントロール |
| 管理費・修繕積立金の資料 | 賃貸借契約書 |
| 購入時の売買契約書 | 修繕履歴・管理委託契約書 |
| パンフレット・間取り図 | 確認済証・検査済証・図面など |
査定時点ですべて揃っていなくても相談できます。見つからない資料がある場合は、不動産会社へ確認しながら準備しましょう。
マンション売却にかかる主な費用


| 費用 | 内容 |
|---|---|
| 仲介手数料 | 仲介会社へ支払う成功報酬 |
| 印紙税 | 売買契約書に課税される税金 |
| 抵当権抹消費用 | 住宅ローン完済時などに必要 |
| 司法書士報酬 | 登記手続きを依頼した場合 |
| 引越し費用 | 居住中のマンションの場合 |
| 譲渡所得に対する税金 | 売却益が出た場合 |
売却価格がそのまま手元に残るわけではありません。査定時には「売却価格」だけでなく「手取り額」まで試算してもらうと判断しやすくなります。
マンション売却にかかる税金
譲渡所得 = 譲渡価額 -(取得費+譲渡費用)- 特別控除
マンションを売却して利益が出た場合、その譲渡所得に対して所得税・住民税などがかかります。
建物部分の取得費は減価償却を考慮するため、購入時の価格をそのまま取得費として使うわけではありません。
所有期間によって税率が変わる
売却した年の1月1日時点での所有期間が5年以下なら短期譲渡所得、5年を超えていれば長期譲渡所得になります。
| 区分 | 所有期間 | 所得税・住民税等の合計税率 |
|---|---|---|
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 39.63% |
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 20.315% |
※復興特別所得税を含みます。
マイホームなら3,000万円特別控除を使える場合がある
自分が住んでいたマンションを売却した場合、一定の要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。
特例には適用要件や併用制限があります。具体的な税額は税理士や税務署へ確認してください。
マンション売却後に忘れたくないこと
売却は引渡しで完全に終わるわけではありません。譲渡所得が出た場合や税制特例を利用する場合は、翌年の確定申告が必要になることがあります。
売却益が出た場合や、3,000万円特別控除などの特例を利用する場合は、原則として売却した翌年に確定申告を行います。
売買契約書、取得時の資料、仲介手数料などの領収書は税額計算に使うため、売却後も保管しておきましょう。
売却実績も不動産会社選びの判断材料にする
「マンション売却に強い」と書かれているだけでなく、実際にどのようなマンションを扱っているかも確認してみましょう。
特に一棟マンションでは、築古、空室、修繕、借地権、権利関係などによって売却方法が変わります。
マーキュリーでは、マンション・アパート・ビルなどの収益不動産について、買取や権利調整、再生を含めた相談に対応しています。
マンション売却はマーキュリーへご相談ください
マンションの売り方は、区分か一棟か、居住用か投資用か、住宅ローンの有無、空室や修繕の状況によって変わります。
マーキュリーでは、区分マンションに加え、一棟マンション・アパート・ビルなどの査定・買取にも対応しています。
「今売ったらいくらになるか知りたい」「仲介と買取を比較したい」「空室や修繕がある状態でも売れるか確認したい」といった段階からご相談いただけます。
マンション売却のポイントに関するよくある質問
同じマンションで複数の部屋が売りに出ている場合は価格を下げるべきですか?
すぐに値下げする必要はありません。階数、向き、眺望、室内状態などで評価は変わるためです。ただし、条件の近い住戸が自分より安く販売されている場合は比較されやすいため、反響状況を見ながら売出価格を調整するか検討しましょう。
マンション売却ではどのくらい内覧が入れば順調と考えられますか?
地域や価格帯、売出時期によって異なるため、一律の回数では判断できません。重要なのは、問い合わせがないのか、問い合わせはあるが内覧につながらないのか、内覧後に申込みがないのかを分けて確認することです。
売却活動中に管理費や修繕積立金が上がった場合はどうなりますか?
売買契約前であれば、新しい金額や増額内容を購入希望者へ説明する必要があります。すでに契約している場合は契約内容や変更時期によって対応が変わるため、不動産会社へ速やかに伝えてください。
購入希望者の住宅ローン審査に落ちた場合、売買契約はどうなりますか?
住宅ローン特約が付いている契約では、定められた条件を満たした場合に契約が解除されることがあります。期限や対象となる融資などは契約書ごとに異なるため、契約前にローン特約の内容を確認しておきましょう。
売却中に設備が故障した場合は修理してから引き渡す必要がありますか?
必ず修理が必要とは限りません。故障内容を買主へ伝え、修理して引き渡すのか、現状のまま引き渡すのかを契約条件として決めることがあります。把握している不具合は不動産会社へ早めに伝えてください。
マンション売却後に確定申告が不要な場合もありますか?
譲渡所得が生じていない場合など、確定申告が不要となるケースもあります。一方、3,000万円特別控除などの特例を利用する場合は申告が必要です。個別の税務判断は税務署や税理士へ確認してください。





