共有持分を相続したらどうする?共有のリスク・避ける分け方・手放す方法と相続放棄の注意点

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最終更新日:2026/10/29

共有持分を相続したら整理する4つのポイント共有持分を相続したら整理する4つのポイント

「親の家を兄弟で相続することになったけれど、どう分ければいいのかわからない」「とりあえず共有名義にしたものの、この先が不安」——不動産の相続では、多くの方がこの壁にぶつかります。
現金と違って、家や土地はきれいに切り分けられません。そこで相続分に応じて全員で持つ「共有」を選ぶ方は少なくありませんが、売るにも建て替えるにもほかの共有者の同意が必要になり、時間がたつほど相続で権利者が増えて身動きが取れなくなっていきます。
この記事では、不動産を共有で相続するリスク、共有にしないための遺産分割の方法、すでに共有持分を相続した場合の手続きと手放し方、相続放棄との違い、かかる税金までを順に整理します。

共有持分のおさらい

共有持分は「面積」ではなく「権利の割合」共有持分は「面積」ではなく「権利の割合」

1つの不動産を複数の人で所有している状態を「共有」といい、それぞれが持っている権利の割合を「共有持分」といいます。

押さえておきたいのは、共有持分は「面積の割合」ではなく「権利の割合」だという点です。100㎡の土地を2分の1ずつ共有していても、それぞれが50㎡ずつ使えるわけではありません。各共有者は、持分に応じて不動産全体を使う権利を持っています。その一方で、使っていなくても持分に応じて固定資産税や修繕費を負担する義務があります。

相続で共有になるパターンは、大きく2つに分かれます。

  • 親が単独で持っていた不動産を、複数の相続人で相続する:遺産分割がまとまらず、法定相続分どおりに登記して共有になるケースが代表的です。
  • 親がもともと持っていた共有持分を相続する:親が叔父と共有していた土地の持分を引き継ぐ、といったケースです。面識の薄い親族と共有関係になることもあります。

共有持分の基本的なルールは共有持分とは?できること・できないこと、持分割合の決まり方は不動産の持分割合とは?で解説しています。

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不動産を共有で相続するリスク

不動産を共有相続する4つのリスク不動産を共有相続する4つのリスク

売却や活用に全員の同意が必要になる

不動産全体の売却や建て替えには共有者全員の同意が、賃貸に出すなどの管理には持分の過半数の同意が必要です。一人でも反対すれば売れませんし、持分が半分ずつなら貸すこともできません。相続人それぞれの経済状況や思い入れが違うため、意見はなかなかそろいません。

管理の責任があいまいになる

共有者が複数いると、誰が管理するのかがあいまいになりがちです。固定資産税の納税通知書は代表者に届くため、一人が立て替え続けて不満がたまることもあります。賃貸しているなら窓口は誰か、設備が壊れたら誰が修理費を出すのか。決めておかないと空き家のまま傷み、価値が下がるうえに近隣トラブルの原因にもなります。

次の相続で共有者がさらに増える

共有者の一人が亡くなると、その持分はさらにその人の相続人に引き継がれます。兄弟3人の共有だったものが、一世代進むと甥や姪を含む10人近い共有になることも珍しくありません。面識のない親族や遠方に住む人が増えるほど、全員の同意を取るのは難しくなります。

共有者の事情に巻き込まれる

共有者が認知症になれば売却の手続きができなくなり、成年後見人が必要になります。共有者が自分の持分を第三者に売れば、知らない人や会社が共有者になります。また、共有者の一人が不動産全体を勝手に売る契約をしてしまうトラブルもあります(その場合でも、ほかの共有者の持分が買主に移ることはありません)。具体的な事例は共有持分のトラブル事例と対処法で紹介しています。

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なぜ相続で共有が選ばれてしまうのか

不動産相続で共有名義が選ばれやすい3つの事情不動産相続で共有名義が選ばれやすい3つの事情

不動産の分け方で話がまとまらない背景には、たいてい次のような事情があります。

  • 家は半分に割れないし、土地も間口や広さが足りなければ公平に分けられない
  • 売って現金で分ければ公平だが、「実家は売りたくない」という相続人がいる
  • 一人がまとめて相続し、ほかの相続人にお金を払えばいいが、そのお金がない

こうして結論が出ないまま、「とりあえず相続分どおりに共有にしておこう」となりがちです。

共有で相続するメリット・デメリット

共有相続のメリットと2つのデメリット共有相続のメリットと2つのデメリット

メリット:その場は公平に分けられる

不動産は評価の仕方で金額が大きく変わるため、誰か一人が取得すると「評価が安すぎる」「高すぎる」ともめやすい財産です。共有なら、不動産には手をつけず権利だけを相続分どおりに分けるので、その場では誰も損をしない形になります。売るか残すかの結論を急がなくてよい点もメリットといえます。

デメリット:問題を先送りしているだけになりやすい

ただし、共有は「決めないことを決めた」状態です。先ほどのリスクのとおり、売却や活用には全員の同意が必要で、時間がたつほど共有者が増え、解消は難しくなります。
よくあるのが、相続人の一人が実家に住み、ほかの相続人に家賃相当額を払う約束をしていたのに、いつの間にか払われなくなるケースです。家族の方向性の違いから関係がぎくしゃくし、話し合い自体ができなくなることもあります。

共有にしないための遺産分割の方法

これから遺産分割をするなら、できるだけ共有を避ける分け方を検討しましょう。主な方法は次の3つです。

方法内容向いているケース
現物分割不動産ごとに相続人を分ける、または土地を分筆して分ける不動産が複数ある、土地が広い
代償分割一人が不動産を相続し、ほかの相続人に代償金を払う住み続けたい相続人がいて、代償金を払える
換価分割不動産を売って、代金を相続分どおりに分ける誰も住む予定がない

代償金を用意できない場合は、生命保険金を代償金に充てる、分割払いにする、といった方法もあります。換価分割で売る場合は、相続人全員の協力が必要です。
当社が借地権を買い取った台東区三ノ輪の事例では、相続人5名で遺産分割をした結果、1名が借地権付きの旧工場を単独で引き継ぎ、その方から当社がすぐに買い取りました。共有にせず一人に集約したことで、売却がスムーズに進んだケースです(事例を見る:MERCURY三ノ輪)。

遺産分割は10年以内に

遺産分割に期限はありませんが、2023年4月の民法改正で、相続開始から10年を過ぎると、生前贈与などの「特別受益」や介護などの「寄与分」を考慮した分割を原則として主張できなくなりました。また10年経過後は、遺産共有の状態でも共有物分割請求で解決できるようになっています(参考:共有物分割請求とは?)。先送りにするほど選択肢が狭まると考えておきましょう。

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共有持分を相続したらまずやること

登記簿で共有者と持分を確認する

法務局で登記事項証明書を取り、誰がどれだけの持分を持っているかを確認します。親が持っていた共有持分を相続する場合は、ほかの共有者がすでに亡くなっていて、実際の共有者がさらに増えていることもあります。

3年以内に相続登記をする

2024年4月から相続登記が義務になり、相続で不動産(共有持分を含む)を取得したことを知った日から3年以内に登記をしなければ、10万円以下の過料の対象になります。2024年4月より前に相続した不動産も対象で、その期限は2027年3月31日です。遺産分割がまとまらない場合は、法務局に「相続人申告登記」をしておけば、ひとまず義務を果たせます。
登記がまだの不動産の扱いは相続登記が未了の不動産は売却できる?で解説しています。

使い方と費用負担を話し合っておく

しばらく共有のままにするなら、誰が使うのか、使用料はいくらか、固定資産税や修繕費をどう分担するのかを書面で決めておきましょう。共有者の一人が住む場合、ほかの共有者に持分に応じた使用料を払う義務があることも、2023年の改正で明文化されています。

相続した共有持分を手放す方法

共有持分を相続したときの3つの対処法共有持分を相続したときの3つの対処法

「自分の持分だけでも売れるのか心配」「相続をきっかけに家族の関係がぎくしゃくしたので、早く手放したい」——そんな方のために、主な方法を紹介します。

① 共有者全員で協力して売る

全員の方向性がそろっているなら、不動産全体をまとめて売るのが最も高く売れる方法です。買主は普通の不動産として100%の所有権を取得できるので、価値を下げずに売却できます。代金は持分に応じて分けます。

② ほかの共有者に持分を買い取ってもらう

住んでいる共有者など、不動産を残したい人に自分の持分を買い取ってもらう方法です。相手に資金があることが前提になります。親族間で時価より極端に安く売ったり、無償で渡したりすると、受け取った側に贈与税がかかることがあるので注意しましょう。

③ 土地を分筆して単独名義にする

土地が広い場合は、持分に応じて分筆し、それぞれの単独名義にする方法もあります。共有者全員の合意が必要なうえ、土地の形や間口、道路との接し方によって区画ごとの価値が変わるため、面積どおりに分けても公平にならないことがあります。分けた区画が道路に2m以上接しないと、建物を建てられない土地になってしまう点にも注意が必要です。

④ 自分の持分だけを買取会社に売る

①〜③はほかの共有者の協力が必要ですが、自分の持分を売ることには同意がいりません。話し合いができない、関係がこじれていて直接やりとりしたくない、といった場合でも共有から抜けられる方法です。
ただし、持分だけを買いたいという一般の個人はまずいないため、多くの仲介会社は持分の売却を扱いません。買い手は共有持分を扱う買取会社が中心で、価格は「全体の価格×持分割合」より低くなります。その分、早く確実に現金化でき、売却後の共有者との話し合いからも解放されます。
なお、遺産分割前でも、法定相続分で相続登記をすれば自分の持分を売ることは可能です。ただし、ほかの相続人との関係に影響するので、状況を整理したうえで判断しましょう。売却相場の考え方は共有持分は売却できる?をご覧ください。

このほか、話し合いでまとまらない場合の最終手段として、裁判所に分け方を決めてもらう共有物分割請求があります。

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相続放棄と持分放棄の違い

相続放棄で共有持ち分を引き継がない方法もある相続放棄で共有持ち分を引き継がない方法もある

共有持分をそもそも引き継ぎたくない場合、「放棄」という選択肢もあります。ただし「相続放棄」と「持分放棄」はまったく別の手続きなので、混同しないようにしましょう。

相続放棄|相続する前に、すべての財産を放棄する

相続放棄は、最初から相続人ではなかったことにする手続きです。相続の開始を知った日から3ヶ月以内に、家庭裁判所に申述します。たとえば相続人が子A・B・Cの3人で、Aが相続放棄をすれば、残りのB・Cが2分の1ずつ相続することになります。

  • 不動産(共有持分)だけを放棄することはできず、預貯金なども含めすべての財産を相続できなくなる
  • 一度放棄すると、原則として取り消せない
  • 財産の一部を売ったり使ったりすると、相続を承認したとみなされ放棄できなくなる
  • 放棄した時点でその不動産に住んでいるなど、現に占有している場合は、ほかの相続人などに引き渡すまで管理(保存)する義務が残る

ほかに価値のある財産がある場合は、相続放棄は向きません。放棄するか迷っている場合は、先に不動産の価値を確かめておくと判断を誤りにくくなります(参考:相続放棄の前に不動産の査定を)。
なお、不動産だけを受け取りたくない場合は、相続放棄ではなく、遺産分割協議でほかの相続人に不動産を取得してもらう方法もあります。

持分放棄|相続した後に、自分の持分だけを手放す

共有者は自分の持分を放棄することができ、放棄した持分はほかの共有者に、持分の割合に応じて帰属します(民法255条)。ただし、放棄による名義変更の登記はほかの共有者と共同で申請する必要があり、協力が得られなければ進みません。また、持分を受け取った共有者には贈与税がかかることがあります。結果的にほかの共有者に負担を押しつける形になるため、関係がこじれる原因になることもあります。

不動産を手放す方法全般は不動産を手放す方法でもまとめています。

共有持分の相続・売却でかかる税金

  • 相続税:共有持分は、不動産全体の評価額に持分割合を掛けて評価します。基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えれば申告が必要です(参考:借地権の相続税と評価額の計算方法)。
  • 登録免許税:相続登記には、固定資産税評価額×持分×0.4%の登録免許税がかかります。
  • 譲渡所得税・住民税:持分を売って利益が出れば課税されます。親が買ったときの価格や時期を引き継いで計算します。相続税の申告期限から3年以内に売れば、払った相続税の一部を経費(取得費)に加えられる特例があります。
  • 贈与税:ほかの共有者に無償や極端に安い価格で持分を渡すと、受け取った側に贈与税がかかることがあります。

相続した共有持分の売却はマーキュリーにご相談ください

共有持分の売却は専門会社へ早めに相談する共有持分の売却は専門会社へ早めに相談する

当社は、相続や離婚で共有になった不動産の持分を直接買い取る「共有持分事業」を行っています。借地権・底地などの権利調整を本業とし、権利調整の実績は400件を超えます。

  • ほかの共有者の同意は不要:持分の大小にかかわらずご相談いただけます。仲介手数料もかかりません。
  • ほかの共有者に知られずに相談できる:相談や査定の段階で、当社からほかの共有者に連絡することはありません。売買が成立した後は、当社が新しい共有者になるためお知らせすることになります。
  • 売却後の話し合いは当社が行う:持分を買い取った後は、当社が共有者としてほかの共有者の方と話し合い、意向を丁寧にうかがいながら権利関係の整理を進めます。売主様が親族と直接やりとりする必要はありません。
  • 借地権の共有持分にも対応:土地・戸建て・マンション・収益物件のほか、借地権を共有で相続したケースもご相談いただけます。

相続した不動産全体の現金化については相続した不動産を現金化する方法、持分の買取の仕組みは共有持分の買取とは?もあわせてご覧ください。

共有持分の相続に関するよくある質問

Q. 相続した不動産は共有名義にしないほうがいいですか?

できれば避けたほうが安心です。共有にすると売却や建て替えに全員の同意が必要になり、次の相続で共有者が増えてさらに動かしにくくなります。一人が相続して代償金を払う、売って代金を分けるなど、共有を避ける分け方を先に検討しましょう。

Q. 相続した共有持分だけを売ることはできますか?

できます。自分の持分の売却には、ほかの共有者の同意は必要ありません。ただし、持分だけを買う一般の個人はほとんどいないため、共有持分を扱う買取会社に売るのが一般的です。価格は不動産全体の価格に持分割合を掛けた金額より低くなります。

Q. 共有持分だけを相続放棄することはできますか?

できません。相続放棄はすべての財産を放棄する手続きです。不動産だけを受け取りたくない場合は、遺産分割協議でほかの相続人に取得してもらうか、相続した後に持分を売却・放棄する方法を検討します。

Q. 共有持分を相続したら相続登記は必要ですか?

必要です。2024年4月から相続登記は義務になり、取得を知った日から3年以内に登記しないと10万円以下の過料の対象になります。2024年4月より前の相続の場合、期限は2027年3月31日です。遺産分割がまとまらない場合は、相続人申告登記で義務を果たすこともできます。

Q. 共有者の一人が住んでいる場合、ほかの相続人は何もできませんか?

住んでいる共有者に、持分に応じた使用料を請求できます。ただし、持分が多いというだけで退去させることは原則としてできません。住んでいる人に持分を買い取ってもらう、自分の持分を売るといった方法で解決を図るのが現実的です。

Q. 共有持分の売却を相談したら、ほかの共有者に知られますか?

当社では、相談や査定の段階でほかの共有者に連絡することはありません。売買が成立した後は、当社が新しい共有者になるため、ほかの共有者の方にもお知らせすることになります。

Q. マーキュリーはどのエリアに対応していますか?

東京都内を中心に、首都圏で開発を行っています。

まとめ

不動産を共有で相続すると、その場は公平に見えても、売却や活用に全員の同意が必要になり、次の相続で共有者が増えて身動きが取れなくなりがちです。これから遺産分割をするなら、現物分割・代償分割・換価分割で共有を避ける方法を先に検討しましょう。
すでに共有持分を相続した場合は、まず登記簿で共有者を確認し、3年以内に相続登記を済ませたうえで、全員で売る、誰かに集約する、分筆する、自分の持分だけを売る、といった選択肢から状況に合うものを選びます。話し合いが難しい場合や、親族と直接やりとりしたくない場合は、株式会社マーキュリーにご相談ください。

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