不動産を夫婦や親子、兄弟姉妹など複数人で所有するときは、それぞれがどの程度の権利を持つのか「持分割合」を決めます。
特に住宅を共同購入する場合は、実際に負担した購入資金の割合と登記する持分割合を合わせることが基本です。負担額と持分が大きくずれていると、共有者間で贈与があったとみなされ、贈与税の問題が生じることがあります。
一方、相続で共有する場合は、法定相続分どおりにする方法だけでなく、遺言や遺産分割協議によって割合を決めることもできます。
この記事では、持分割合の意味から、購入時・相続時の決め方、計算例、税金の注意点、すでに共有している不動産を売却する方法まで順番に解説します。
不動産を共同購入する場合は、原則として実際の資金負担割合に合わせて持分を登記すると考えると分かりやすいです。
相続の場合は、法定相続分、遺言、遺産分割協議などによって割合が決まります。
「夫婦だから2分の1ずつ」といった理由だけで持分を決めると、実際の負担額との差によって贈与税などの問題が生じる可能性があります。
- 1 不動産の持分割合とは?
- 2 持分割合によって何が変わる?
- 3 不動産を購入するときの持分割合の決め方
- 4 親から住宅購入資金の援助を受けた場合の持分割合
- 5 持分割合と実際の負担額が違うと贈与税がかかることがある
- 6 住宅ローン控除と持分割合の関係
- 7 持分割合に端数が出た場合はどうする?
- 8 相続で不動産を共有するときの持分割合
- 9 共有マイホームを売ったときの3,000万円特別控除
- 10 持分割合を決めるときに注意したい4つのこと
- 11 持分割合が分からない・共有者と意見が合わない場合
- 12 共有持分を売却する前に、まず現在の価値を確認する
- 13 マーキュリーの共有持分買取・権利調整事例
- 14 持分割合や共有不動産でお悩みならマーキュリーへご相談ください
- 15 持分割合に関するよくある質問
不動産の持分割合とは?
持分割合とは、一つの不動産を複数人で共有しているときに、それぞれが持つ所有権の割合です。
たとえば、夫と妻がマンションを共有し、夫が3分の2、妻が3分の1の持分を持っている場合、それぞれがマンション全体についてその割合の権利を持っています。
「夫はリビング、妻は寝室」というように物理的に場所を分けて所有するわけではありません。
民法249条では、各共有者は共有物全体について、その持分に応じた使用ができるとされています。
また、民法250条では、持分割合が明らかでない場合には、各共有者の持分は等しいものと推定すると定められています。
持分割合はどこを見れば分かる?
すでに共有名義になっている不動産なら、登記事項証明書を確認します。
所有権の欄に、
- 持分2分の1
- 持分3分の1
- 持分5分の2
などと記載されています。
自分がどの程度の持分を所有しているのか分からない場合は、まず登記を確認しましょう。
持分割合によって何が変わる?
持分割合は、単に登記簿に書かれている数字ではありません。
共有不動産の管理や費用負担などにも関係します。
| 項目 | 持分割合との関係 |
|---|---|
| 所有権 | 不動産に対して持つ権利の割合を示す |
| 管理 | 管理に関する事項は原則として持分価格の過半数で決める |
| 管理費用 | 原則として持分に応じて負担する |
| 売却代金 | 共有不動産全体を売却した場合、持分を基準に分配することが多い |
| 相続 | 共有者が亡くなれば、その人の持分が相続対象になる |
たとえば固定資産税や修繕費などについては、共有者間で特別な取り決めがなければ、持分割合を基準に負担を考えることが一般的です。
一方、共有不動産全体を売却する場合は、自分の持分が多いからといって一人で決められるわけではありません。
不動産全体を売却するには、原則として共有者全員の合意が必要です。
不動産を購入するときの持分割合の決め方
夫婦や親子などで不動産を共同購入する場合、もっとも基本になるのが「実際に誰がいくら負担したか」です。
国税庁も、購入資金の負担割合と登記上の持分割合が異なる場合には、共有者間で贈与税の問題が生じることがあるとしています。
現金で購入する場合は出資額で考える
5,000万円の不動産を夫婦で購入し、夫が3,000万円、妻が2,000万円を負担したケースで考えます。
| 共有者 | 負担額 | 持分割合 |
|---|---|---|
| 夫 | 3,000万円 | 3,000万円÷5,000万円=3/5 |
| 妻 | 2,000万円 | 2,000万円÷5,000万円=2/5 |
この場合、夫3分の5、妻2分の5と登記すれば、実際の負担割合と持分が一致します。
住宅ローンを利用する場合
住宅ローンを利用するときも、基本的には自己資金と借入金を合わせた実際の負担額を確認します。
ただし、ペアローンと連帯債務では契約の仕組みが異なるため、「借入額だけ」で判断しないことが大切です。
ペアローンの場合
ペアローンは、夫婦などがそれぞれ別の住宅ローンを契約する方法です。
たとえば5,000万円の住宅について、
| 夫 | 妻 | |
|---|---|---|
| 頭金 | 200万円 | 100万円 |
| 借入額 | 1,800万円 | 2,900万円 |
| 合計負担額 | 2,000万円 | 3,000万円 |
| 持分の目安 | 2/5 | 3/5 |
となります。
自己資金とローンを合計し、実際に負担する購入資金を基準に考えます。
連帯債務の場合
連帯債務では、一つの住宅ローンについて夫婦など複数人が債務を負います。
この場合は、単純に「ローン総額÷2」で持分を決めればよいとは限りません。
自己資金、実際の返済負担、金融機関との契約内容なども含めて確認する必要があります。
特に夫婦間で返済負担の割合をどうするのかは、登記前に金融機関や税理士、司法書士などへ確認しておくと安心です。
親から住宅購入資金の援助を受けた場合の持分割合
親から資金援助を受けて住宅を購入する場合も注意が必要です。
たとえば5,000万円の住宅を購入し、夫の親から夫へ1,000万円の贈与があり、夫婦がそれぞれ2,000万円ずつ住宅ローンを負担するとします。
| 夫 | 妻 | |
|---|---|---|
| 親から受けた資金 | 1,000万円 | 0円 |
| 住宅ローン等 | 2,000万円 | 2,000万円 |
| 負担額合計 | 3,000万円 | 2,000万円 |
| 持分の目安 | 3/5 | 2/5 |
この場合、夫が取得した1,000万円を妻の出資として扱うのではなく、夫側の住宅取得資金として考えます。
なお、親から住宅取得資金の贈与を受けた場合には、一定の要件を満たせば「住宅取得等資金の贈与税の非課税」を利用できる場合があります。
ただし、贈与を受ければ自動的に非課税になるわけではありません。
参考:国税庁「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」
持分割合と実際の負担額が違うと贈与税がかかることがある
持分割合で特に注意したいのが贈与税です。
たとえば5,000万円の住宅について、夫が4,000万円、妻が1,000万円を負担したとします。
実際の負担割合は、
| 夫 | 妻 |
|---|---|
| 4,000万円÷5,000万円=4/5 | 1,000万円÷5,000万円=1/5 |
です。
ところが登記上の持分を夫2分の1、妻2分の1にすると、妻は2,500万円相当の所有権を取得することになります。
妻が実際に負担した金額は1,000万円なので、差額1,500万円について夫から妻へ財産が移ったとみなされ、贈与税の問題が生じる可能性があります。
「夫婦だから半分ずつ」という決め方ではなく、まず実際の負担額を確認することが大切です。
住宅ローン控除と持分割合の関係
住宅ローン控除についても、持分割合は無関係ではありません。
住宅ローンを多く借りていても、自分が取得した住宅の持分に対応する取得価額などとの関係で、控除対象となる借入金額が制限される場合があります。
そのため、単純に「住宅ローン残高×0.7%が必ず控除される」と考えない方がよいでしょう。
住宅取得等資金の贈与税の非課税制度を利用している場合には、住宅ローン控除を計算するときに、その贈与を受けた金額を取得対価から差し引く必要がある場合もあります。
購入金額が大きい場合やペアローンを利用する場合は、登記前に持分と住宅ローン控除の関係を確認しておくと安心です。
持分割合に端数が出た場合はどうする?
出資割合を計算すると、きれいな分数にならないことがあります。
たとえば5,500万円の住宅について、夫が3,700万円、妻が1,800万円を負担するケースです。
| 夫 | 妻 | |
|---|---|---|
| 負担額 | 3,700万円 | 1,800万円 |
| 割合 | 約67.27% | 約32.73% |
このような場合、「67/100・33/100」のように丸めてよいかは、金額への影響も見て判断します。
端数調整によって実際の出資割合との差が生まれれば、その差額が共有者間の贈与として問題になる可能性があります。
単に計算を簡単にするためだけに大きく丸めるのではなく、登記を依頼する司法書士や税理士へ確認した方がよいでしょう。
相続で不動産を共有するときの持分割合
相続の場合は、購入時とは考え方が異なります。
自分がお金をいくら負担したかではなく、遺言や遺産分割、法定相続分などによって相続する割合を決めます。
法定相続分を基準にする
遺言がなく、相続人が法定相続分どおりに不動産を共有する場合は、民法で定められた割合を基準にします。
たとえば父が単独所有していた不動産について、相続人が妻と子ども2人の場合は、法定相続分は次のようになります。
| 相続人 | 法定相続分 |
|---|---|
| 妻 | 1/2 |
| 子どもA | 1/4 |
| 子どもB | 1/4 |
もともと共有だった不動産を相続する場合
少し分かりにくいのが、亡くなった人が不動産の一部だけを所有していたケースです。
たとえば夫婦が2分の1ずつ所有している家で夫が亡くれ、相続人が妻と子ども2人だったとします。
相続対象になるのは、不動産全体ではなく夫が持っていた2分の1の持分です。
| 相続人 | 夫の持分から取得する割合 | 相続後の持分 |
|---|---|---|
| 妻 | 1/2×1/2=1/4 | もともとの1/2+1/4=3/4 |
| 子どもA | 1/2×1/4=1/8 | 1/8 |
| 子どもB | 1/2×1/4=1/8 | 1/8 |
このように、「亡くなった人の持分×各相続人の相続割合」で計算すると分かりやすくなります。
遺産分割協議で別の割合にする
相続人全員が合意すれば、必ず法定相続分どおりに不動産を共有しなければならないわけではありません。
たとえば、
- 長男が不動産を単独で取得する
- 兄弟2人で7対3の共有にする
- 不動産を一人が取得し、他の相続人へ代償金を支払う
といった分け方も検討できます。
相続後に売却する予定なら、何となく全員で共有するより、将来の売却まで考えて名義を決めた方がよい場合があります。
遺言書がある場合
有効な遺言書がある場合は、その内容を確認します。
ただし、遺言内容と異なる遺産分割が可能かどうかは、遺言の内容や遺言執行者の有無などにも関係します。
「遺言があっても相続人全員が同意すれば必ず自由に変更できる」とは限らないため、司法書士や弁護士などへ確認してください。
共有マイホームを売ったときの3,000万円特別控除
元記事では「共有なら2人で6,000万円まで控除できる」と説明していましたが、ここは条件を整理しておく必要があります。
共有のマイホームを売却した場合、居住用財産の3,000万円特別控除を受けられるかどうかは共有者ごとに判定します。
要件を満たしている共有者であれば、それぞれ最高3,000万円まで控除を受けられる場合があります。
一方、建物は一人の所有で土地だけ共有しているケースなどでは、単純に共有者全員がそれぞれ3,000万円控除を使えるわけではありません。
持分割合を決めるときに注意したい4つのこと
1.夫婦だからと自動的に2分の1ずつにしない
共同購入の場合は、実際の資金負担額を確認します。
夫婦であることと、購入資金を半分ずつ負担していることは別の話です。
2.住宅ローンだけでなく頭金も含める
住宅購入では、ローン以外に頭金や親からの援助を利用するケースがあります。
誰が実際にいくら負担するのかをすべて整理したうえで割合を計算します。
3.土地と建物で持分割合が違うこともある
土地と建物は別々の不動産なので、それぞれ異なる持分で登記することもできます。
たとえば土地購入時と建築時で資金負担が違う場合には、土地と建物で持分割合が変わることがあります。
ただし、税金や将来の売却にも関係するため、意図せず複雑な持分にしないよう注意しましょう。
4.将来の売却・相続まで考える
共有名義は住宅購入時には便利でも、将来売却するときには共有者全員の調整が必要になります。
また、共有者が亡くなると、その持分がさらに相続人へ引き継がれ、共有者が増えることもあります。
特に相続で共有する場合は、「公平だから全員の名前を入れる」と決める前に、その不動産を将来どうするのかまで話し合うことが大切です。
持分割合が分からない・共有者と意見が合わない場合
すでに共有名義になっていて、
- 自分の持分割合が分からない
- 他の共有者が不動産を使用している
- 固定資産税だけ負担している
- 売却したいが他の共有者が反対している
- 共有者同士で持分を整理したい
という場合は、まず登記上の持分と現在の不動産価値を確認します。
そのうえで、
| 方法 | 特徴 |
|---|---|
| 共有者全員で売却 | 不動産全体を通常の市場で売却しやすい |
| 他の共有者へ持分を売る | 共有関係を整理しやすい |
| 他の共有者の持分を買う | 単独所有にできる可能性がある |
| 自分の持分だけ売る | 他の共有者の同意なく処分できる |
などを検討します。
自分の共有持分だけであれば、原則として他の共有者の同意を得ずに売却できます。
ただし、共有持分だけを一般の購入者が買うケースは多くありません。
また、持分の売却価格は「不動産全体の価格×持分割合」で単純に計算できるとは限りません。
共有持分を売却する前に、まず現在の価値を確認する
持分を手放すか迷っている場合は、最初から売却すると決める必要はありません。
まず不動産全体の市場価格と、自分の持分がどのように評価されるのかを確認すると判断しやすくなります。
① 不動産全体を売った場合の価格
② 他の共有者へ持分を売った場合の価格
③ 第三者・買取会社へ持分だけ売った場合の価格
売却相手によって持分の価値は変わることがあります。
特に共有者の一人が自分の持分を取得すれば単独所有になるケースでは、その共有者にとっての価値と、一般の第三者にとっての価値は異なります。
マーキュリーの共有持分買取・権利調整事例
共有持分は、持分割合だけを見て査定できる不動産ではありません。
同じ2分の1の持分でも、
- 誰が不動産を使用しているか
- 共有者が何人いるか
- 共有者同士で連絡を取れるか
- 土地・建物の状態
- 将来、不動産全体を売却できる可能性があるか
によって評価は変わります。
マーキュリーでは、共有持分の直接買取や共有不動産の権利調整を行っています。
公開している共有持分買取実績には、たとえば次のようなものがあります。
| 所在地 | 種別 | 土地面積 |
|---|---|---|
| 大田区千鳥2丁目 | 共有持分買取 | 138.40㎡(41.86坪) |
| 港区麻布十番2丁目 | 共有持分買取 | 84.48㎡(25.56坪) |
また、マーキュリーでは共有持分のみの直接買取だけでなく、共有関係の整理や、その後の不動産の再流通まで含めて対応しています。
持分割合や共有不動産でお悩みならマーキュリーへご相談ください
持分割合については、購入前に「何分の何にすればよいか」と悩むケースもあれば、相続後に「自分の持分をどうすればよいか」と困るケースもあります。
特にすでに共有名義になっている不動産では、持分割合そのものよりも、共有者同士の意見が合わず不動産を動かせないことが問題になる場合があります。
マーキュリーでは、
- 相続で共有持分を取得した
- 他の共有者が不動産を使用している
- 自分の持分だけ売却したい
- 共有者全員での売却が難しい
- 固定資産税だけ負担している
- 離婚後も共有名義が残っている
といった共有不動産についてもご相談いただけます。
「まだ売却すると決めていない」「まず持分にどのくらいの価値があるのか知りたい」という段階でも問題ありません。
持分割合に関するよくある質問
登記した持分割合はあとから変更できますか?
変更することはできますが、単に登記上の数字を書き換えるだけではありません。持分を他の共有者へ移す場合は、売買・贈与・財産分与など、その持分が移転する原因に応じた登記や税金を確認する必要があります。
夫婦で住宅を買う場合、必ず出資割合どおりの持分にしなければいけませんか?
持分割合を自由に登記すること自体はできますが、実際の購入資金の負担割合と大きく異なる場合には、共有者間で贈与があったとみなされる可能性があります。特別な理由がなければ、実際の資金負担に合わせて持分を決めるのが基本です。
土地と建物の持分割合を別々にすることはできますか?
できます。土地と建物は別の不動産なので、それぞれ異なる持分割合で登記できます。土地購入時と建築時で出資割合が違う場合などに持分が異なるケースがあります。ただし、将来の売却や税金が複雑になることもあるため、登記前に確認しておくとよいでしょう。
持分割合が大きければ、共有不動産を一人で売却できますか?
持分が過半数を超えていても、共有不動産全体を一人の判断だけで第三者へ売却することは原則としてできません。不動産全体を売却する場合は共有者全員の同意が必要です。一方、自分が所有している持分だけであれば単独で売却できます。
相続で兄弟3人が不動産を取得する場合、必ず3分の1ずつになりますか?
必ず3分の1ずつになるわけではありません。法定相続分が同じであっても、遺言や遺産分割協議によって一人が単独で取得したり、異なる割合で共有したりすることがあります。相続人の構成や遺言の内容によっても変わります。
自分の持分だけ売る場合、持分割合を掛ければ売却価格が分かりますか?
単純には決まりません。不動産全体が6,000万円で、自分の持分が2分の1だからといって、持分だけを必ず3,000万円で売れるわけではありません。持分だけを取得する買主には利用・売却上の制約があるため、共有者の状況や物件条件によって評価が変わります。





