共有持分を売却したくても、どこに相談していいか分からない方は多いのではないでしょうか。共有不動産に住んだり使用したりしていないのに、税金だけ支払うのはもったいないものです。
さらに共有持分を所有している事実を知らず、突然高額な税金の請求をされるケースがあるため、早急に処分したい方もいるでしょう。
そこでこの記事では、共有持分のメリットやデメリット、スムーズに売却する方法ついて解説します。共有持分について詳しく知りたい方や悩んでいる方は、ぜひ最後まで読んでみて下さい。
不動産の共有持分とは「所有の割合」のこと
共有持分とは、不動産を複数人で所有する場合の「各所有者が持つ権利の割合」のことです。持分が少しでもあれば、共有している不動産を利用する権利があります。
ただし、あくまでも「権利の割合」になるため、物理的な割合で共有するわけではありません。
たとえば、面積100㎡の土地の持分割合が4分の1の場合で考えてみます。この場合、土地全体(100㎡)のうち4分の1(25㎡分)だけを利用できるわけではなく、共有不動産のすべて(100㎡)を利用する権利があるということです。
とくに以下のような場合、共有名義になるケースが多くあります。
- 相続で親の不動産を取得したケース
- 夫婦の共有名義で不動産を所有しているケース
- 複数人で不動産を購入したケース
不動産は、売却や賃貸により大きな収益となります。共有持分があれば、まとまった資金を得られるケースがあるため、トラブルになるケースが多いです。
トラブルにならないように共有持分に関して正しい知識が必要になるため、ぜひ覚えておきましょう。
共有持分のメリットは少なめ
共有持分にはメリットがありますが、決して多いわけではありません。メリットを受けられるのは、次のような場面です。
- 相続するとき
- 居住用不動産を購入するとき
- 居住用不動産を売却するとき
親などから不動産を相続する場合には、相続税が発生します。単独で相続する場合は、不動産評価額に対して1人の負担です。
しかし、持分を2分の1づつ所有していれば、不動産評価額が持分に応じて按分されるため、1人あたりの負担が軽減します。
また、居住用不動産の購入時に夫婦共有名義で住宅ローンを組めば、2人とも所得税等の控除を受けられます。
居住用財産の売却で利用できる「3,000万円までの特別控除」も、双方それぞれ上限3,000万円まで控除が可能になるため、合計6,000万円まで受けられます。
共有持分は、相続やマイホームの購入・売却などの「一定期間のみ」で有益なものになるため、メリットは少なめです。
民法第251条
各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。参照:e-gov 民法第251条
賃貸の場合には原則管理行為になるため過半数の同意で賃貸することが可能となっていますが判例も様々あるため注意が必要です。
参照:https://www.retpc.jp/archives/24688/
共有で所有する不動産を売却、賃貸する場合は、事前に全員の承諾を得るようにしましょう。
共有持分の5つのデメリットや注意点
共有持分のデメリットや注意点を把握しておけばトラブルの軽減に繋がるため、詳しく理解することが必要です。
ここでは、5つのデメリットや注意点を詳しく解説します。
不動産売却や賃貸の際に共有者の承諾が必要
共有で所有している不動産は、自分だけのものではありません。そのため、共有持分の不動産を売却する場合には原則全員の承諾が必要になります。
例えば共有者の1人が不動産(建物)に住んでいる場合、持分があるからと言って勝手に売却すれば、住んでいる共有者は不法占拠者になってしまいます。
共有者の権利を守るためにも、売却等の際には同意を得ることが必要です。根拠としては、民法第251条に規定があります。
大幅なリフォームやリノベーションが自由にできない
お風呂の電球交換や網戸の張替えなどの簡単な修理・修繕などは、共有者の承諾なしに単独でできます。これらの行為は「不動産の価値を保つための保存行為」だからです。
しかし資産価値が高くなるような変更を加える場合は、共有者の同意が必要になります。例えば、以下のような場合です。
- 部屋のデザインを変えるための家全体の壁紙の張替え(管理行為の可能性)
- お風呂やトイレなどの設備を新品に変えるリフォーム工事(変更行為の可能性)
- 家の老朽化による大幅なリノベーション(変更行為の可能性)
管理行為の場合は各共有者の持分価格に従い「過半数の同意」が必要となり、変更行為の場合は「共有者全員の同意」が必要になるため、あらかじめ確認するようにしておきましょう。
共有者が占有していれば追い出せない
共有不動産には、すでに共有者が占有(住んでいる)しているケースがあります。不動産の持分(各所有者が持つ権利の割合)が1%でもあれば、共有している不動産を利用する権利があるため、珍しいことではありません。この内容は、民法第249条にも規定されています。
民法第249条第1項
各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。参照:e-gov 民法第249条第1項
持分がある共有者は不動産を使用できる権利があるため、占有が可能です。共有名義人に対する明け渡しを求めるためには、次のような「正当理由」が必要になります。
正当理由 | 内容 |
---|---|
占有者が強引な方法で住んでいるケース | ●侵入させないようにバリケードを設置 ●玄関の鍵を交換 |
勝手に家を建てようとしているケース | ●他の共有者の承諾なしに家を建てている |
協議内容と異なる方法で使用しているケース | ●居住用で使用する約束だったが農地や店舗として使用している |
協議内容を拒否して住んでいるケース | ●過半数の持分がなく勝手に住んでいる ●使用方法に関する話し合いを拒否している |
共有者による不動産の占有に対する明け渡し請求は、特別な理由がない限りほぼ不可能です。
相続手続きが複雑で面倒になるケースがある
共有者の一人が死亡した場合、持分が相続の対象になります。相続人が自分1人だけなら手続きもスムーズですが、複数いる場合は手間がかかります。
が複数の場合「遺産分割協議」によって、遺産の分け方を決めます。協議がスムーズに進み何事もなく完了すれば良いですが、簡単ではありません。
例えば、共有者の1人が遺言書を遺さずに死亡した場合、戸籍を調べて相続人を探すことが必要です。
相続人が判明しても、住所変更などで住んでいる場所が分からい場合、相続手続きの際に連絡が取りづらい場合があります。結果的に遺産分割協議が長引くため、相続手続きが進みません。
固定資産税や維持管理費用がかかる
共有持分がある限り、不動産を使用していなくても固定資産税や維持管理費用を支払う義務があります。
民法でも、共有不動産に必要な税金や諸費用などは、共有者全員で持分割合に応じた費用を負担するように定められています。
民法第253条
1.各共有者は、その持分に応じ、管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負う。
2.共有者が1年以内に前項の義務を履行しないときは、他の共有者は、相当の償金を支払ってその者の持分を取得することができる。参照:e-gov 民法第253条
共有者の1人が立て替えて、後に他の共有者へ負担分を請求する方法が多いです。
共有持分があると知らず、突然多額の固定資産税を請求される恐れがあるため、持分がある不動産の把握はしっかり行いましょう。
共有持分のスムーズな売却が難しい3つの理由
共有持分にはデメリットや注意点が多いため「売却したい」と考える人は多いです。
しかし、様々な理由によりスムーズな売却が難しくなっています。ここでは、共有持分が売却しづらい3つの理由を解説します。
買い手が見つかりにくいから
共有持分を売却する方法は、主に3つあります。
- 共有者全員の同意を得て不動産ごと売却する
- 他の共有者に持分を売却する
- 第三者に持分を売却する
不動産ごと売却するためには、共有者全員の同意があれば可能です。
立地や価格次第ではスムーズに売却できるでしょう。
また、他の共有者に対する売却行為は「単独」でできるため、共有者の中に購入希望者がいれば実現可能です。
この2つの方法が実現できない場合、第三者に売却する方法になります。
しかし、第三者へ持分のみを売却する方法はスムーズにいかないケースが多いと言えます。買い手が持分のみを購入しても、目的が達成できる可能性が低いからです。
売却金額が低くなる
運よく買い手が見つかっても、思っているような金額では売却しにくいでしょう。そもそも共有持分を購入しても不動産を活用できる保証がないことから、購入する希望者が極端に少ないからです。むしろ売却価格を安くしても、購入する第三者がいつまでも現れない恐れもあります。
そのため、不動産会社などに買取を依頼するのが理想です。持分を買い取ったうえで他の共有者にも持分の売却を持ちかけていき、最終的に不動産会社が単独で所有して活用します。
不動産会社へ売却するメリットは、他の共有者へ知られることなく売却できる、早期に売却できるなどがあげられます。
共有者とトラブルになる恐れがあるから
共有持分は単独で売却できるため、他の共有者の同意をもらう必要はありません。しかし勝手に売却することで、共有者とトラブルになる恐れがあります。
例えば、共有者の1人が家屋の全部を使用人として第三者に賃貸使用していた場合、他の共有者が「家屋使用分」に対しての賃料を貰っていないことが多くあります。
この場合、固定資産税を使用者が支払っているため「賃料をもらうのは申し訳ない」と考えるかもしれません。
そんな中、家屋を使用していない他の共有者が使用者に対して「共有持分の買取」を打診しても応じてもらえない場合、売却を検討するのが一般的です。
しかし持分を売却することによって、購入後の第三者が使用者に賃料を請求する可能性があります。
使用者は今まで、賃料を支払う代わりに固定資産税を納めていたため、共有持分を売却した共有者に対して「なぜ相談せずに勝手に売却したのか」という気持ちになるでしょう。
このようなトラブルで共有者との関係性に亀裂が入る恐れがあるため、単独で売却できるとはいえトラブルに注意が必要です。
共有持分を買取会社に売却するおすすめの理由3選
共有持分の売却時は、買い手が見つかりづらいため苦労します。しかし共有持分を購入してくれる買取会社なら、スムーズに売却できるケースがあるためおすすめです。
ここでは、共有持分を買取会社に売却するおすすめの理由を3つ解説します。
現金化が早い
共有持分は買い手が制限されるため、簡単には売却できません。大手の不動産会社に仲介で売却を依頼しても、買い手が見つからずに売り逃してしまう恐れがあります。
一方で買取会社は、豊富な実績と経験を活かして自ら買取金額を査定します。
そのため、提示された金額にお互い納得すれば、スピーディーな現金化が可能です。
すぐにでも現金化したい場合は、共有持分専門の買取会社に依頼するのがおすすめです。
共有者に知られずに売却できる
動産仲介会社に売却の依頼を行う場合、インターネットや広告チラシなどの販売活動を行うのが一般的です。
そのため、近所の人や他の共有者に売却の意思が知られてしまう恐れがあります。
特に、共有者同士で揉めている場合などは、さらなるトラブルの拡大が予想されるため注意が必要です。
専門の買取会社に依頼すれば広告に出すことなく売却できるため、周りに知られることがありません。
共有者へ相談なしに売却できる
共有持分は単独で売却できるうえ、買取会社に売却すれば誰にも相談せずに手元から離れます。
共有不動産についてのややこしい話し合いや共有者とのトラブルも、売却してしまえば一切無縁です。
さらに買取してもらう共有持分専門の不動産会社は、法律などの専門知識や豊富な実績があるため安心です。
売却後に他の共有者との間でありがちな、やり取りや話し合いなども全て任せられます。
共有持分の売却はマーキュリーにお任せください!
共有持分には、デメリットや注意点が多いです。売却したくても買い手がいなかったり、使用していなくても固定費がかかったり、費用面や精神面で様々な負担がかかります。
そのため、共有持分を売却する場合はスムーズな買取が可能な「買取会社」がおすすめです。
株式会社マーキュリーなら、共有持分の悩みを持つ方のために「共有持分事業」を行っています。共有持分に特化した情報の紹介を行い、売却や買取などの実績も豊富です。
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