相続放棄の前に不動産の査定を|損しないための判断基準と放棄以外の選択肢

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最終更新日:2026/10/28

相続放棄を決める前に確認したいこと相続放棄を決める前に確認したいこと

親が遺した家や土地が、使い道もなく、売れるかどうかもわからない。固定資産税だけかかるくらいなら、いっそ相続放棄してしまおうか。そう考える方は少なくありません。

  • 「相続放棄をして、あとで損をすることはないの?」
  • 「いらない不動産だけ放棄することはできるの?」
  • 「相続放棄のほかに、不要な不動産を手放す方法はないの?」

ただ、相続放棄は一度すると取り消せません。「売れないと思っていた土地に、実は値段がついた」と後からわかっても手遅れです。
この記事では、相続放棄の仕組みと注意点、放棄以外の選択肢、そして判断の前に不動産の査定を受けておくべき理由を、順に解説します。

相続放棄とは?

相続放棄の基本を4つに整理相続放棄の基本を4つに整理

まずは、相続放棄がどういう制度なのか、基本から押さえておきましょう。

相続放棄は遺産を相続しないこと

相続放棄とは、亡くなった人(被相続人)の財産を、一切受け継がないことです。家庭裁判所で手続きをすると、初めから相続人ではなかったものとして扱われます。
放棄の対象は財産のすべてです。借金などのマイナスの財産だけでなく、預貯金や不動産などのプラスの財産も受け取れなくなります。「この土地だけ放棄する」という選び方はできません。

相続人が複数いる場合は、放棄した人を除いた残りの相続人で財産を分けます。たとえば、子ども3人が3分の1ずつ相続する予定だったところ、1人が放棄すると、残りの2人が2分の1ずつ相続することになります。
また、子ども全員が放棄すると、相続の権利は亡くなった人の親へ、親がいなければ兄弟姉妹へと移ります。自分が放棄したことで、思わぬ親族が相続人になることもあるのです。相続人の順位については、法定相続人とは?範囲・順位・法定相続分を家族構成別にわかりやすく解説で詳しく紹介しています。

相続放棄の手続き方法とは?

相続放棄は、自分が相続人になったことを知った日から3か月以内に、亡くなった人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。
大まかな流れは次の通りです。

  • ●相続財産を調べて、放棄するかどうかを決める
  • ●必要書類をそろえて、家庭裁判所に「相続放棄申述書」を提出する
  • ●家庭裁判所から届く「照会書」に回答して返送する
  • ●放棄が認められると「相続放棄申述受理通知書」が届く

主な必要書類は次の通りです。

  • ●相続放棄申述書
  • ●亡くなった人の住民票除票または戸籍附票
  • ●放棄する人の戸籍謄本
  • ●亡くなった人の死亡の記載がある戸籍謄本(放棄する人との関係によって、追加の戸籍が必要になります)

このほか、申述人1人につき800円分の収入印紙と、連絡用の郵便切手が必要です。
相続放棄申述受理通知書は、借金の債権者や不動産の登記などで放棄したことを示すときに使います。別途、「相続放棄申述受理証明書」を家庭裁判所に請求することもできます。他の相続人に放棄を知らせる義務はありませんが、次の相続人に負担が移ることを考えると、伝えておくほうがトラブルになりにくいでしょう。

参考:裁判所|相続の放棄の申述

プラスとマイナスのどちらが多いかわからないときは「限定承認」

プラスの財産とマイナスの財産のどちらが多いのかわからない場合は、「限定承認」という方法もあります。限定承認は相続放棄とは別の相続の方法で、受け継いだプラスの財産の範囲内でだけ借金などを返す、というものです。財産を処分して借金を返し、それでも残った借金は返さなくてよくなります。

ただし、使いやすい制度とはいえません。相続人全員がそろって申し立てなければならず、1人でも反対すると使えません。期限も相続放棄と同じく3か月以内で、財産の目録の作成など手続きも複雑です。さらに、不動産などを含む場合は、亡くなった人がその財産を時価で売ったものとみなされ、譲渡所得税がかかることもあります。利用を考えるなら、弁護士や税理士に相談するのが安心です。

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相続放棄のデメリットと注意点

相続放棄で注意したい4つのポイント相続放棄で注意したい4つのポイント

相続放棄は借金から身を守るための制度ですが、使い方を誤ると損をすることもあります。デメリットと注意点を見ていきましょう。

相続放棄のデメリット

一番のデメリットは、プラスの財産も一切受け取れなくなることです。預貯金が残っていても、思い出の詰まった実家や大切な形見があっても、すべて手放すことになります。
また、自分が放棄した分は、ほかの相続人が引き継ぎます。借金が多い相続の場合、自分が放棄したことで、兄弟や、次に相続人になる親・おじおばに負担を回してしまうこともあります。放棄を考えるなら、家族や親族と早めに話しておきましょう。

相続放棄の注意点

相続放棄をするときは、特に次の4点に注意が必要です。

相続放棄には3か月間の期限があること

相続放棄は、自分が相続人になったことを知った日から3か月以内に申し立てる必要があります。この期間を「熟慮期間」といいます。
財産の調査が間に合わないときは、家庭裁判所に期間の延長(伸長)を申し立てることもできますが、それも3か月以内に行わなければなりません。
3か月を過ぎると、原則として放棄は認められません。「借金があるとはまったく知らなかった」といった特別な事情があれば認められることもありますが、例外的なケースです。

相続放棄をしたら、取り消しができない

一度相続放棄が認められると、原則として取り消せません。
あとからプラスの財産のほうが多かったとわかっても、「売れないと思っていた土地に買い手がついた」としても、やり直しはききません。3か月という限られた時間の中で、相続するかどうかを正しく判断する必要があります。

財産を処分すると、相続放棄できなくなる

見落としがちなのがこの点です。相続財産を売ったり、預金を引き出して使ったりすると、相続することを認めた(単純承認した)とみなされ、相続放棄ができなくなります。
不動産でいえば、査定を受けることは問題ありませんが、売買契約を結んで売ってしまうと、もう放棄はできません。また、建物を取り壊す、名義を変えて人に貸すといった行為も、処分とみなされるおそれがあります。放棄するかどうかを決めるまでは、財産には手をつけず、価値を確かめるところまでにとどめておきましょう。

放棄しても、空き家の管理が残ることがある

2023年4月の民法改正で、相続放棄をした時点でその財産を実際に管理・占有している人は、次の相続人や相続財産清算人に引き渡すまで、その財産を保存しなければならないと定められました。
たとえば、亡くなった親と同居していた家を放棄した場合、放棄したからといってすぐに管理から解放されるとは限りません。倒壊や火災で近隣に迷惑をかければ、責任を問われる可能性もあります。「放棄すれば何もしなくてよい」と考えるのは危険です。

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不要な不動産を相続する場合の考え方

不要な不動産でも価値確認が先不要な不動産でも価値確認が先

預貯金や株式は金額がはっきりしていますが、不動産は「いくらになるのか」がわかりにくい財産です。
すぐに売れない不動産は、持っているだけで固定資産税や草刈り・修繕などの管理費がかかり続けます。一方で、売れるのであれば、借金を上回る価値があるかもしれません。状況次第でプラスにもマイナスにもなるのが不動産です。

不要な不動産を受け継いだときの主な選択肢は、次の通りです。

選択肢特徴注意点
相続してから売却する売却代金が手元に残る。買取なら短期間で現金化できる相続登記が必要。売却益が出れば譲渡所得税がかかる
相続放棄する借金も含めて一切受け継がないプラスの財産もすべて失う。3か月の期限があり、取り消せない
相続土地国庫帰属制度を使う相続した土地を国に引き取ってもらえる建物がある土地などは対象外。審査手数料と負担金がかかる
相続人同士の共有にするひとまず結論を先送りできる売却や管理で意見が割れやすく、将来トラブルになりやすい

「売るのは大変そうだから、いっそ放棄してしまおう」と考える前に、ほかの選択肢と比べてみることが大切です。各方法の詳しい進め方は、不動産を手放す方法を徹底解説|売却・買取・相続放棄・国庫帰属の選び方でまとめています。

兄弟などで共有名義にする方法は、一見穏やかな解決に見えますが、将来の売却や管理の方針で意見が分かれ、トラブルにつながることも少なくありません。共有にするなら、事前にリスクや解消方法を知っておきましょう。共有持分を相続したときの対処法は、共有持分を相続することになったらどうする?一番スムーズな対処法とは?で解説しています。

参考:兄弟で不動産を共有名義にするリスクとは?トラブルになる理由や解消方法を弁護士が解説 | 弁護士法人アクロピース

相続土地国庫帰属制度という選択肢

2023年4月から、相続した土地を国に引き取ってもらえる「相続土地国庫帰属制度」が始まりました。相続放棄と違い、ほかの財産は受け継いだまま、いらない土地だけを手放せるのが特徴です。

ただし、どんな土地でも引き取ってもらえるわけではありません。建物が建っている土地、抵当権などがついている土地、境界がはっきりしない土地、土壌汚染がある土地などは対象外です。古家付きの実家なら、まず建物を取り壊す必要があります。
費用も、申請時に土地1筆あたり14,000円の審査手数料がかかり、承認されると原則20万円(土地の種類や面積によってはそれ以上)の負担金を納めます。解体費などを含めると、かえって売却したほうが手元に残る場合もあります。

参考:法務省|相続土地国庫帰属制度について

売れにくい不動産の査定額を知る方法はないの?

ひと口に「売れにくい不動産」といっても、理由はさまざまです。たとえば次のような不動産です。

こうした不動産は、一般の不動産会社に相談しても査定を断られたり、「売り出してみないとわからない」と言われたりすることがあります。

「売りに出しても、いつ売れるかわからない」
「結局いくらになるのかわからない」

これでは、相続放棄をすべきかどうかの判断がつきません。3か月の期限が迫る中で、価値がわからないまま放棄を選んでしまう方もいます。そこで頼りになるのが、売れにくい不動産を専門に扱う買取会社の査定です。

査定は相続放棄の前に受けても大丈夫

「放棄するかもしれない不動産の査定を頼んでいいのだろうか」と心配される方もいますが、査定を受けるだけなら相続放棄に影響はありません。査定は財産の価値を調べる行為で、財産を処分することにはあたらないからです。
注意したいのは、その先です。査定の結果を見て売ると決めたら、それは相続することを選んだことになります。逆に、売買契約を結んだあとで放棄することはできません。「まず査定で価値を知り、相続するか放棄するかを決め、相続すると決めてから売却する」という順番を守りましょう。

相続すると決めた不動産は、相続登記をしてから売却します。登記が済んでいない状態からの進め方は、相続登記が未了の不動産は売却できる?義務化後の手続きと進め方を解説をご覧ください。

一般の不動産会社と訳あり不動産専門の買取業者との違いとは?

一般会社と訳あり不動産専門会社の違い一般会社と訳あり不動産専門会社の違い

売れにくい不動産を手放すとき、一般の不動産会社に頼む場合と、訳あり不動産を専門に買い取る会社に頼む場合とでは、進め方が大きく異なります。

一般の不動産会社(仲介)訳あり不動産専門の買取会社
売り方媒介契約を結び、一般の買主を探してもらう買取会社が直接買い取る
売れるまでの期間訳あり物件は買い手が見つかるまで時間がかかりやすい条件がまとまれば短期間で現金化できる
査定額の意味「このくらいで売れそう」という見込みの価格。その金額で売れるとは限らない買取会社自身が買う価格。条件が合えばその金額で売却できる
契約不適合責任売主が負うのが一般的免責とする契約が多い
仲介手数料かかるかからない

一般の不動産会社は、ふつうの住宅を一般の買主に売ることを得意としています。訳あり物件の場合、買い手が見つかるまで何か月もかかったり、売れずに値下げを重ねたりすることもあります。
専門の買取会社は、借地権や再建築不可といった事情のある不動産を、自社で活用・再生するノウハウを持っています。そのため、一般の市場では値段がつきにくい物件でも、買取価格を提示できることがあります。訳あり物件の買取の仕組みは、訳あり物件の買取とは?事故物件・再建築不可・共有持分の相場と注意点でも詳しく解説しています。

買取業者での不動産売却のメリット

買取会社に売る主なメリットは、次の4つです。

契約不適合責任が免責になる

契約不適合責任とは、売った不動産に契約内容と違う欠陥(雨漏りやシロアリ被害など)が見つかったときに、売主が修理や代金の減額などに応じなければならない責任のことです。以前は「瑕疵担保責任」と呼ばれていました。
買取会社が買主になる場合は、この責任を免除する契約にすることが多く、売ったあとに責任を問われる心配が少なくなります。親が住んでいた家で、建物の状態を自分では把握しきれない、という場合にも安心です。

現況有姿での売却ができる

一般の買主に売る場合は、見た目をよくするためにリフォームやハウスクリーニングをすることが多いものです。買取会社なら、今のままの状態で買い取ってもらえるため、そうした費用をかけずに済みます。家財道具が残ったままでも相談できる会社もあります。

未測量でも売却できる

土地を売るときは、売主の費用で隣地との境界を確定させてから売るのが一般的です。測量には数十万円かかることもあります。買取会社によっては、測量をしていない状態でも買い取ってくれるため、その費用や手間を省けます。

スピーディな対応を期待できる

相続放棄の期限は3か月しかありません。その間に財産全体を調べ、プラスとマイナスのどちらが多いかを判断する必要があります。不動産の査定に何週間も待たされると、判断の時間がどんどん削られてしまいます。
買取会社は自社で価格を判断するため、査定から買取価格の提示までが早いのが特徴です。限られた期間の中で、判断材料を早くそろえられます。

相続した不動産を現金化する具体的な流れは、相続した不動産を現金化する方法|売却の流れ・税金・買取と仲介の違いを解説で紹介しています。

マーキュリーでは、借地権・底地、再建築不可など「訳あり物件」の無料査定を行っています。相続放棄をするか迷っている段階でも、まずは価値を知るためにお気軽にご相談ください。

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相続放棄と不動産についてよくある質問

相続放棄と、相続した不動産の扱いについて、よくいただくご質問をまとめました。

相続放棄を決める前に、不動産の査定を受けても大丈夫ですか

大丈夫です。査定は財産の価値を調べるだけなので、相続放棄に影響はありません。ただし、売買契約を結んで不動産を売ると、相続を認めたとみなされて放棄できなくなります。査定で価値を確かめてから、相続するか放棄するかを決めましょう。

いらない不動産だけを相続放棄することはできますか

できません。相続放棄は、預貯金や不動産などすべての財産をまとめて放棄する制度です。特定の土地だけを手放したい場合は、相続したうえで売却するか、要件を満たせば相続土地国庫帰属制度を使う方法があります。

相続放棄の期限の3か月を過ぎたらどうなりますか

原則として、相続放棄はできなくなります。借金があることをまったく知らなかったなど、特別な事情があれば認められる場合もありますが、例外的なケースです。財産の調査が間に合わないときは、3か月以内に家庭裁判所へ期間の延長を申し立てましょう。

相続放棄をしたら、誰が相続人になりますか

同じ順位のほかの相続人がいれば、その人が相続します。子ども全員が放棄した場合は亡くなった人の親へ、親もいなければ兄弟姉妹へと相続の権利が移ります。次の相続人に負担が移ることもあるため、放棄する場合は親族に伝えておくと安心です。

相続放棄をすれば、実家の管理はしなくてよいですか

必ずしもそうとは限りません。放棄した時点でその家を実際に管理・占有していた場合は、次の相続人などに引き渡すまで、家を保存する義務があります。放置して近隣に被害が出ると、責任を問われる可能性もあります。

相続放棄をしても、生命保険金は受け取れますか

受け取れます。受取人が指定されている生命保険金は、受取人自身の財産とされるため、相続放棄をしても受け取れます。ただし、相続税の計算では、放棄した人は生命保険金の非課税枠を使えません。

相続した土地を国に引き取ってもらうことはできますか

2023年4月に始まった相続土地国庫帰属制度を使えば可能です。ただし、建物がある土地や境界がはっきりしない土地などは対象外で、審査手数料と原則20万円の負担金がかかります。条件によっては、売却したほうが手元にお金が残る場合もあります。

相続放棄前に押さえるべきまとめ

相続放棄前に押さえる5つの要点相続放棄前に押さえる5つの要点

相続放棄は、一度すると取り消せません。期限も3か月しかなく、慌てて決めると後悔につながります。特に、借地権付きの家や再建築不可の物件、買い手の少ない地域の空き家など「売れにくい不動産」は、価値がわからないまま放棄を選んでしまいがちです。

  • ●相続放棄をすると、借金だけでなくプラスの財産もすべて受け取れなくなる
  • ●期限は相続人になったと知った日から3か月。延長の申し立ても期限内に必要
  • ●査定は放棄前に受けてもよいが、売却すると放棄できなくなる
  • ●放棄しても、管理していた家の保存義務が残ることがある
  • ●放棄のほかに、相続して売却する、国庫帰属制度を使うといった選択肢もある

相続するか放棄するかを正しく判断するには、まず不動産の本当の価値を知ることが第一歩です。「どうせ売れない」と決めつける前に、訳あり不動産を専門に扱う買取会社の査定を受けてみてください。マーキュリーでは、相続放棄を迷っている段階からのご相談も承っています。

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