「不動産投資は安定している」という声がある一方で、「やめておけ」という声もよく聞きます。どちらも一面では正しく、結局のところ、メリットとデメリットの両方を知ったうえで、自分に合うかどうかを判断することが大切です。
この記事では、不動産投資のメリットとデメリット(リスク)を一つずつ取り上げ、デメリットへの対策や、ほかの投資との違い、向いている人・向いていない人までまとめました。不動産の買取や開発を行い、自社でも収益ビルを保有・運営しているマーキュリーの視点も交えてお伝えします。
不動産投資の種類や始め方を知りたい方は、初心者向けの不動産投資の解説記事もあわせてご覧ください。

不動産投資のメリット
まずは、不動産投資の主なメリットを9つ紹介します。
①長く安定した家賃収入が得られる
住まいは生活に欠かせないものなので、賃貸の需要は景気に左右されにくいのが特徴です。入居者は一度住み始めると、短期間で引っ越すことはそれほど多くありません。家賃も株価のように日々上下するものではないため、毎月の収入を見通しやすく、将来の収支計画を立てやすい投資です。
本業の給与とは別の「もう一つの収入源」として、また老後の年金を補う収入として考える人も多くいます。
②資産価値が上がる可能性がある
都市部を中心に、不動産の価格はここ10年ほど上昇基調が続いてきました。2026年の基準地価でも、東京圏の住宅地は4.0%上昇しています(2026年基準地価のニュース)。立地のよい物件を持っていれば、売るときに利益が出る可能性があります。
ただし、価格は一方向に動くとは限りません。首都圏の中古マンションは、2026年9月時点で平均成約価格が5か月連続で前年を下回り、在庫は5万件を超えています(首都圏中古マンション市場のニュース)。値上がりはあくまで「期待できることもある」程度に考え、家賃収入で利益が出る計画を立てておくことが基本です。
③借入れを使って大きな投資ができる(レバレッジ)
ほかの投資を始めるには、まず自分でお金を貯める必要があります。株式を買うために銀行がお金を貸してくれることは、まずありません。
不動産投資なら、物件を担保に金融機関から借入れができます。自己資金が少なくても大きな物件に投資でき、ローンの返済は家賃収入でまかなえます。他人のお金で資産を増やせる、という点は不動産投資ならではの強みです。
ただし、借りられる額は年収や勤務先などの「属性」と物件の評価で決まり、借りすぎは失敗のもとです。家賃収入からローン返済や経費を引いて、毎月いくら手元に残るのか(キャッシュフロー)を必ず確認しましょう。
④生命保険の代わりになる
投資用のローンでは、多くの金融機関で団体信用生命保険(団信)への加入が求められます。団信は、ローンの返済中に借りた人が亡くなったり、高度障害の状態になったりしたときに、ローンの残りがゼロになる保険です。
万が一のことがあっても、家族にはローンのない不動産が残ります。家族は、次のどちらかを選べます。
- ローンの返済なしで、そのまま家賃収入を受け取り続ける
- 不動産を売って、まとまったお金を得る
金融機関によっては、がん・脳卒中・急性心筋梗塞の3大疾病や、それに高血圧症や糖尿病などを加えた8大疾病と診断されたときに、残高がゼロになる保障をつけられるローンもあります。金利だけでなく保障の内容も比べて選ぶと、すでに入っている生命保険を見直すきっかけにもなります。
⑤所得税・住民税の負担を軽くできることがある
不動産投資で税金が軽くなる理由は、主に次の2つです。
赤字を給与所得と相殺できる(損益通算)
家賃収入から経費を引いた不動産所得が赤字になった場合、その赤字を給与所得などと差し引きできます。購入した年は登記費用や不動産取得税などがまとめてかかるため、赤字になりやすく、確定申告をすれば源泉徴収された所得税の一部が戻ってくることがあります。
ただし、土地を買うための借入れの利息にあたる部分は差し引きできないなど、細かいルールがあります。
減価償却費を経費にできる
建物は年月とともに価値が下がるため、買った金額を一定の年数(耐用年数)に分けて、毎年少しずつ経費にします。これを減価償却といいます。実際にはお金が出ていかないのに経費にできるため、税金を抑える効果があります。対象は建物部分だけで、土地は減価償却できません。
本業の所得が高い人ほど税率が高いため、効果も大きくなります。
ただし、税金が減るのは、裏を返せば帳簿上の赤字が出ているからです。節税だけを目的に、収益の出ない物件を買うのは本末転倒です。
⑥相続税の負担を抑えられる
現金で相続すると、その金額がそのまま相続財産の評価額になります。一方、不動産は路線価や固定資産税評価額をもとに評価するため、一般に実際の取引価格より低く評価されます。さらに人に貸している土地や建物は、自分で使っている場合より評価が下がります。
たとえば1億円の現金をそのまま相続すると評価額は1億円ですが、1億円で買った賃貸物件なら、評価額がそれより大きく下がることがあります(下がり方は物件によって異なります)。
ただし、相続の直前に借入れをして不動産を買うなど行き過ぎた対策は、税務署に通常の評価方法を否認されることもあります(2022年4月の最高裁判決)。くわしくは不動産で生前にできる相続税対策7選をご覧ください。
⑦インフレに強い
インフレとは、物価が上がり続けることです。物の値段が上がると、相対的にお金の価値は下がるため、預貯金はインフレのときに目減りしてしまいます。
不動産は「物」なので、物価とともに価格や家賃が上がりやすい資産です。家賃の上昇はゆるやかですが、現金だけで資産を持つよりも、インフレへの備えになります。
⑧管理を任せれば手間をかけずに運用できる
入居者の募集や家賃の集金、設備の故障への対応、退去時の手続きなどは、管理会社に任せられます。本業が忙しい会社員でも、手間をかけずに運用できるのは大きなメリットです。管理会社に任せられる業務については、不動産管理を任せるなら何をしてもらえる?で紹介しています。
⑨工夫しだいで価値を高められる
株式や投資信託は、買ったあとに投資家が価値を変えることはできません。不動産は、リフォームや用途の工夫、管理の質によって、オーナー自身が価値を高められる数少ない投資です。
マーキュリーでも、使われ方を変えることで不動産の価値を高めてきました。たとえば、金融機関の平置き駐車場だった土地に商業ビルを建てて、自社で保有・運営している事例(大田区上池台の事例)。測量会社の建物だった駅近の土地に、ペット共生型の賃貸マンションを建てた事例(横浜市神奈川区青木町の事例)。入居者に住み続けてもらいながら、オーナー住戸だけをリフォームして、賃貸併用住宅として再生した事例もあります(江戸川区平井の事例)。
個人の投資でここまで大がかりなことはしなくても、設備の更新や間取りの見直し、入居者のニーズに合わせた工夫で、家賃や入居率は変わります。空室対策については、不動産投資で入居者を集める方法で紹介しています。
不動産投資のデメリット(リスク)と対策
メリットがある一方で、不動産投資にはデメリットやリスクもあります。主なものを9つ、対策とあわせて紹介します。
①空室リスク
真っ先に思い浮かぶのが空室です。満室になっても、全員がずっと住み続けてくれるわけではありません。転勤や家族構成の変化といった入居者の事情のほか、近くに新しい物件が建って日当たりや眺めが悪くなった、浸水などの災害が起きた、といった外的な要因で退去が出ることもあります。
空室になっても、ローンの返済や固定資産税、マンションなら管理費・修繕積立金の支払いは続きます。空室が長引くほど、自己資金を取り崩すことになります。
対策:駅に近い、都心に近いなど、借り手が多い立地を選ぶことが一番の対策です。ハザードマップや近隣の建築計画も確認しておきましょう。リフォームや設備の更新で物件の魅力を保つこと、空室が出たときに積極的に募集してくれる管理会社を選ぶことも大切です。
②修繕費や管理費などの支出が増える
不動産投資は「不労所得」といわれますが、実際には管理や修繕が欠かせません。エアコンや給湯器、コンロ、インターホンなどの設備は、ふつうに使っていてもいずれ壊れ、その修理や交換はオーナーが負担します。一棟の物件なら、共用部分の清掃や外壁・屋上の修繕なども必要です。区分マンションでは、管理費や修繕積立金が途中で値上げされることもあります。
管理会社に任せない場合は、夜中に入居者から連絡が来て、自分で修理を手配しなければならないこともあります。
対策:管理委託料や修繕費、税金などのランニングコストを、あらかじめ収支計画に織り込んでおきましょう。部屋数が多いほど、築年数が古いほど費用はかさむため、修繕の履歴や長期修繕計画も購入前に確認しておくと安心です。
③入居者トラブル(家賃滞納など)
ほとんどの入居者は期日どおりに家賃を払いますが、中には支払いが遅れがちな人や、生活が苦しくなって滞納してしまう人もいます。騒音で近隣とトラブルになる、部屋をゴミ屋敷にしてしまうといったケースもあります。
たとえば学生が多いエリアは安定した需要がある一方で、夜中に友人と騒いでほかの入居者から苦情が出る、といったことも起こりえます。
対策:入居審査をしっかり行う、家賃保証会社の利用を必須にするといった方法でリスクを抑えられます。エリアに住む人の属性を考えて物件を選ぶことも有効です。審査や督促は手間がかかるため、管理会社に任せるのがおすすめです。
④物件の価格が下がる
建物は、年月とともに古くなります。都市部の一部では新築時より値上がりすることもありますが、一般的には古くなるほど価格は下がります。建物が古くなったり、周辺の地価が下がったりすると、入居者から家賃を下げてほしいと交渉される理由にもなります。
また、前述のとおり市場全体の流れで価格が下がる局面もあります。
対策:需要の多い立地を選ぶこと、修繕をきちんと行って建物の状態を保つことで、値下がりをある程度抑えられます。
⑤金利が上がる
長く続いた低金利の時代から、日本銀行の利上げをきっかけに金利は上がり始めています。変動金利でローンを組んでいると、金利の上昇で返済額が増えます。
たとえば3,000万円を35年返済で借りた場合、金利が1.0%なら毎月の返済は約8.5万円ですが、2.0%になると約9.9万円と、月に1.5万円近く増えます。家賃収入が同じなら、その分だけ手元に残るお金が減ります。
対策:購入前に「金利が1〜2%上がっても赤字にならないか」を試算しておきましょう。繰り上げ返済で元金を減らす、固定金利への切り替えや借り換えを検討するといった方法もあります。ただし、固定金利はもともと変動金利より高めなので、慎重に判断する必要があります。
なお、金利が上がる局面では物価も上がっていることが多く、家賃や不動産の価値が上がる可能性もあります。金利の上昇が、一概に悪いことばかりとはいえません。
⑥すぐに現金化できない(流動性が低い)
株式は、売りたいと思えばその日のうちに売れます。一方、不動産は買い手を見つけ、価格を交渉し、契約・決済するまでに、数か月かかるのが一般的です。
今の首都圏の中古マンション市場では、在庫が月間成約件数のおよそ15か月分に積み上がっており、売り出しても決まるまでに時間がかかりやすい状況です。また、入居者やテナントがいる物件、借地権付きの物件、老朽化した物件などは、買い手がさらに限られます。
対策:買う段階から「売るときに誰が買うか」を考えておくことが大切です。売るときに価格を左右するポイントは、不動産投資の解説記事の「買取会社の現場から見た『売るときに価格を左右するポイント』」で、マーキュリーの事例をもとに紹介しています。急いで現金化したいときは、仲介より短期間で売れる買取という方法もあります(収益物件の買取について)。
⑦災害のリスクがある
地震や台風、豪雨による浸水や土砂災害で、建物が損傷したり、住めなくなったりするおそれがあります。日本で不動産を持つ以上、避けて通れないリスクです。
対策:ハザードマップで浸水や土砂災害のリスクを確認し、旧耐震基準(1981年5月以前の建築確認)の建物は耐震性を確かめておきましょう。火災保険と地震保険に加入しておくことも欠かせません。
⑧初期費用と知識が必要
物件の価格のほかに、購入時には仲介手数料や登記費用、不動産取得税などの諸費用がかかり、一般に物件価格の7〜10%程度が目安です。また、物件選びや融資、税金、賃貸借契約など、幅広い知識が求められます。
対策:いきなり高額な物件を買わず、比較的少額の中古区分マンションから始めて経験を積むのが安全です。わからないことは、不動産会社や税理士などの専門家に相談しましょう。
⑨悪質な業者や不利な契約にだまされる
「必ず儲かる」「30年家賃保証」といった言葉で、相場より高い物件を売りつけたり、オーナーに不利なサブリース契約を結ばせたりする業者もいます。年収や預金の資料を書き換えて融資を通すような提案も、絶対に受けてはいけません。
対策:うまい話ほど疑ってかかり、物件の価格や家賃が周辺の相場と比べて妥当かを自分でも確認しましょう。家賃保証の契約は、家賃の見直しや解約の条件まで必ず読むことが大切です。
ほかの投資と比べた不動産投資の特徴
不動産投資のメリット・デメリットは、ほかの投資と比べるとよりはっきりします。
| 不動産投資(現物) | J-REIT | 株式 | 預貯金 | |
|---|---|---|---|---|
| 始めるのに必要な資金 | 数百万円〜(ローン利用時) | 数万円〜 | 数万円〜 | 少額から |
| 借入れ(レバレッジ) | 使える | 使えない | 原則使えない(信用取引を除く) | ― |
| 価格の変動 | 比較的ゆるやか | 大きい | 大きい | なし |
| 換金のしやすさ | 低い(数か月かかる) | 高い | 高い | 高い |
| 手間 | かかる(管理委託で軽減) | ほぼなし | ほぼなし | なし |
| 自分で価値を高められるか | できる | できない | できない | できない |
| インフレへの強さ | 強い | 比較的強い | 比較的強い | 弱い |
手間をかけずに少額から不動産に投資したいならJ-REIT、借入れを使って大きく資産を育てたい、自分で工夫して価値を高めたいなら現物の不動産投資、というように、目的に合わせて選ぶとよいでしょう。
マーキュリーの現場から:オーナーとして不動産を持つということ
マーキュリーは、不動産の買取や開発を行うだけでなく、自社でも首都圏に8件、土地面積の合計で約2,000坪の不動産を保有し、運営しています(マーキュリーの保有物件、当社サイト掲載時点)。その中には、令和に入って新築した収益ビルもあれば、昭和54年築のショッピングセンターや、平成6年築のビルもあります。
古い建物でも、立地を見極め、修繕や管理を続けることで、収益を生む資産として保有し続けることができます。逆にいえば、メリットとして挙げた「安定した家賃収入」や「資産価値」は、物件を買えば自動的に手に入るものではなく、立地の見極めと、日々の管理の積み重ねがあって初めて得られるものです。
マーキュリーでは、オーナーとしての経験も活かしながら、オーナー様の物件の管理や収支の改善、将来の売却のご相談まで承っています。
不動産投資に向いている人・向いていない人
向いている人
- ●長い目で、コツコツと資産を育てたい人
- ●安定した収入があり、ローンの審査に通りやすい人
- ●空室や修繕などの急な出費に備えて、手元資金に余裕がある人
- ●物件選びや市場の動きについて、学ぶ意欲がある人
- ●相続対策や、老後の収入源を考えている人
向いていない人
- ●短期間で大きく儲けたい人
- ●手元資金に余裕がなく、少しの赤字でも生活が苦しくなる人
- ●すぐに現金化できる資産を持っておきたい人
- ●物件選びや契約内容を、業者任せにしてしまいがちな人
不動産投資のメリット・デメリットについてよくある質問
不動産投資の一番のメリットは何ですか
人によって異なりますが、多くの人が挙げるのは、毎月の家賃収入が安定して得られることと、借入れを使って少ない自己資金で大きな投資ができることです。団体信用生命保険による保障や、相続税の負担を抑えられる点もメリットです。
不動産投資の一番のリスクは何ですか
空室によって家賃収入が入らなくなることです。空室でもローンの返済や税金、管理費の支払いは続くため、空室が長引くと手元資金が減っていきます。立地の見極めと、信頼できる管理会社選びが対策の基本です。
「不動産投資はやめとけ」と言われるのはなぜですか
空室や家賃の下落、修繕費、金利の上昇などで思ったほど利益が出ないケースや、相場より高い物件を買わされて失敗するケースがあるためです。表面利回りだけで判断せず、収支を慎重に計算し、リスクへの備えをしておけば、堅実な資産づくりの手段になります。
金利が上がると不動産投資はどうなりますか
変動金利でローンを組んでいると、返済額が増えて手元に残るお金が減ります。たとえば3,000万円を35年返済で借りた場合、金利が1.0%から2.0%に上がると、毎月の返済は約8.5万円から約9.9万円に増えます。購入前に、金利が上がっても赤字にならないかを試算しておきましょう。
不動産投資で節税はできますか
不動産所得の赤字を給与所得と相殺したり、減価償却費を経費にしたりすることで、所得税や住民税が軽くなる場合があります。ただし、税金が減るのは帳簿上の赤字が出ているからでもあります。節税だけを目的に物件を選ぶのは避けましょう。
不動産投資の物件はすぐに売れますか
株式のようにすぐには売れません。買い手を探して契約・決済するまで、数か月かかるのが一般的です。入居者がいる物件や借地権付きの物件は、さらに買い手が限られます。急いで現金化したい場合は、不動産会社による買取という方法もあります。
まとめ
不動産投資には、安定した家賃収入、レバレッジ、団信による保障、節税や相続税対策、インフレへの強さといった多くのメリットがあります。一方で、空室や修繕費、金利の上昇、売りにくさ、災害といったリスクもあり、物件選びを誤れば損をすることもあります。
大切なのは、メリットだけに目を向けず、リスクを数字で把握し、備えたうえで始めることです。どんな投資にもリスクはつきものですが、空室や管理、修繕といったよく起こるリスクは、プロの力を借りることで小さくできます。
マーキュリーでは、不動産管理から収支の改善、将来の売却まで、オーナー様のご相談を無料で承っています。保有物件の売却を考えている方は、投資用マンションを売却する方法もあわせてご覧ください。





