
不動産投資で安定した家賃収入を得るには、空室を埋めるだけでなく、「どんな入居者に選ばれる物件なのか」を把握し、その人に合った募集と管理を続けることが大切です。
空室が長引いたときに、すぐ家賃を下げたり設備を増やしたりする必要はありません。まず確認したいのは、問い合わせが少ないのか、内見までは入るのか、内見後に申込みがないのか、あるいは入居しても短期間で退去してしまうのかです。
どこで入居者が離れているかが分かれば、家賃、募集条件、写真、設備、管理会社など、見直すべきポイントも絞れます。
この記事では、不動産投資で入居者を集める方法から、空室の原因の見分け方、入居後に長く住んでもらうための管理まで順番に解説します。
入居者が決まらないときは、いきなり家賃を下げるのではなく、次の順番で確認します。
① 周辺でどんな入居者が部屋を探しているか
② 家賃・初期費用が競合物件と合っているか
③ ポータルサイトで十分に露出しているか
④ 問い合わせから内見につながっているか
⑤ 内見後に申込みが入っているか
⑥ 入居後の退去理由に共通点がないか
原因を分けて考えることで、不要な値下げやリフォームを避けやすくなります。
不動産投資で入居者を集めるには「原因の切り分け」が先
空室が続くと、「家賃が高いのでは」「設備が古いからでは」と考えたくなります。
ただ、問い合わせすらない物件と、毎週内見が入っている物件では、同じ対策をしても意味がありません。
| 現在の状況 | 考えられる原因 | 最初に見るポイント |
|---|---|---|
| 問い合わせが少ない | 家賃・初期費用・露出不足 | 周辺相場、掲載媒体、写真、募集条件 |
| 問い合わせはあるが内見が少ない | 情報不足・条件面で比較負け | 間取り、写真、初期費用、入居条件 |
| 内見はあるが申込みがない | 現地の印象・設備・競合との差 | 室内、共用部、臭い、清掃、設備 |
| 申込み後に契約にならない | 審査・契約条件・対応速度 | 保証会社、必要書類、連絡体制 |
| 入居しても短期間で退去する | 管理・設備・住環境 | 退去理由、クレーム、修繕対応 |
たとえば内見が何件も入っているのであれば、広告自体はある程度機能しています。それでも申込みがないなら、内見時の印象や家賃と設備のバランスを確認した方がよいでしょう。
反対に、問い合わせがほとんどない状態なら、室内リフォームより先に、募集条件や掲載方法を見直した方が効果的なことがあります。
まず「どんな入居者に選ばれたいか」を決める
設備や募集条件は、想定する入居者によって優先順位が変わります。物件の立地・間取り・現在の入居者層を見ながらターゲットを整理します。
空室対策で意外と抜けやすいのが、「誰に住んでもらいたい物件なのか」という視点です。
単身者向けの1Kと、子育て世帯向けの3LDKでは、求められる設備も周辺環境も違います。
たとえば、次のように考えます。
| 想定する入居者 | 比較されやすいポイント |
|---|---|
| 単身者 | 駅距離、インターネット、宅配ボックス、防犯、コンビニ |
| 学生 | 学校までの距離、家賃、初期費用、家具家電の使いやすさ |
| 共働き世帯 | 交通利便性、宅配ボックス、収納、生活動線 |
| ファミリー | 広さ、収納、学校、買い物環境、騒音や周辺環境 |
今すでに入居している人の属性や、直近で成約した部屋の入居者像も参考になります。
「何となく人気設備を付ける」のではなく、現在の物件に合う入居者を想定して募集条件を整える方が、費用をかける場所を判断しやすくなります。
入居率とは?数字を見るときの注意点
入居率は計算方法によって見え方が変わります。「現在何戸埋まっているか」だけでなく、年間の空室期間も確認しましょう。
入居率は、所有する賃貸物件のうち、どの程度の部屋に入居者がいるかを見る指標です。
入居率 = 入居中の戸数 ÷ 総戸数 × 100
10戸のうち9戸が入居中なら、入居率は90%です。
ただし、この数字だけでは年間の収益状況まで分かりません。
たとえば、現在は満室でも、退去のたびに次の入居まで3か月空いているのであれば、その分だけ年間収入が失われます。
管理会社が公表する「入居率」を比較するときも、どの時点・どの計算方法で算出しているのかを確認した方がよいでしょう。
不動産投資全体のリスクについては、不動産投資のメリット・デメリットとは?初心者向けにわかりやすく解説も参考にしてください。
不動産投資で入居者が決まらない主な原因
空室は一つの原因だけで起きるとは限りません。家賃・広告・物件の見せ方・設備・管理体制を順番に確認します。
家賃や初期費用が周辺相場と合っていない
入居希望者は、同じエリアで似た広さ・築年数・駅距離の物件を比較します。
条件がほぼ同じなのに、自分の物件だけ家賃が高かったり、敷金・礼金などの初期費用が大きかったりすると、候補から外れやすくなります。
ただし、空室だからといってすぐ家賃を下げる必要はありません。
家賃を5,000円下げれば年間6万円、5年間では30万円の収入減です。フリーレントや礼金の見直しなど、期間を限定した施策で対応できないかも比較します。
ポータルサイトで十分に見られていない
物件に魅力があっても、部屋探しをしている人に見つけてもらえなければ内見にはつながりません。
管理会社へ任せている場合も、自分で一度募集ページを確認してみましょう。
- 主要な不動産ポータルサイトに掲載されているか
- 募集開始が遅れていないか
- 家賃や初期費用が正しく記載されているか
- 写真の枚数は十分か
- 間取り図は見やすいか
- 設備情報に漏れがないか
写真や募集情報で生活イメージが伝わっていない
入居希望者は、ポータルサイト上で候補を絞ってから内見することが多いため、写真の第一印象は重要です。
室内が暗い、写真が少ない、収納や水回りの状態が分からないといったページでは、比較段階で外されることがあります。
室内だけでなく、エントランス、宅配ボックス、駐輪場、眺望、周辺のスーパーなど、暮らしを想像できる情報を揃えると物件の特徴を伝えやすくなります。
内見したときの印象がよくない
内見はあるのに申込みがない場合は、現地に原因がないか確認します。
特に、
- 水回りや床の汚れ
- 排水口や室内の臭い
- 切れた照明
- ポストにたまったチラシ
- 汚れた廊下やゴミ置き場
- エントランスの管理状態
などは、少ない費用でも改善できる部分です。
高額なリフォームを決める前に、まず第一印象を悪くしている要因がないかを確認しましょう。
設備と入居者ニーズがずれている
設備は多ければよいわけではありません。
物件によっては、無料インターネット、宅配ボックス、モニター付きインターホン、独立洗面台などが比較材料になりますが、ターゲットとする入居者が重視していなければ投資効果は限定的です。
設備を追加する前に、管理会社へ「このエリアでは何が理由で成約しているのか」「競合物件にはどの設備が付いているのか」を確認すると判断しやすくなります。
不動産投資で入居者を集める7つの対策
低コストで直せる部分から着手し、反響を見ながら次の対策へ進みます。最初から大幅な家賃値下げや高額リフォームをする必要はありません。
1.競合物件と家賃・初期費用を比べる
同じ駅、徒歩分数、広さ、築年数、設備など、条件が近い物件を並べて確認します。
家賃だけでなく、管理費、敷金、礼金、保証料などを含めた「入居時にいくら必要か」まで比べるのがポイントです。
2.フリーレントなどで初期負担を調整する
家賃を恒久的に下げる前に、フリーレントや礼金の減額など、期間を限定できる条件変更も検討します。
たとえば月8万円の物件で1か月のフリーレントなら、負担は8万円です。一方、家賃を5,000円下げると、5年間で30万円の収入減になります。
長期的な収益まで比較して判断しましょう。
3.募集ページの写真・文章・設備情報を整える
自分の物件を競合物件と同じ検索条件で表示し、入居希望者の立場で比較してみます。
「静かな住宅街」「スーパーが近い」「在宅勤務に使えるスペースがある」など、弱点だけでなく、その物件ならではの生活メリットを伝えることも大切です。
4.内見前に室内と共用部を整える
空室期間が長い部屋は、定期的に換気や通水、清掃などを確認します。
専有部だけでなく、エントランス、郵便受け、廊下、駐輪場、ゴミ置き場も内見者が目にする場所です。
5.必要な設備だけを追加・更新する
競合物件より設備面で明らかに見劣りしている場合は、追加・交換を検討します。
ただし、設備費用だけを見るのではなく、家賃を維持できるか、空室期間を短縮できそうかまで見て費用対効果を判断します。
6.募集開始を遅らせない
退去が決まってから原状回復が終わるまで何もせず待っていると、その分だけ空室期間が長くなります。
退去予定日が分かった段階で、現在の入居者や契約内容に配慮しながら、管理会社と募集開始時期を相談しておくとよいでしょう。
7.管理会社に反響データを出してもらう
「まだ決まりません」という報告だけでは、次の対策を判断できません。
管理会社には、
- 問い合わせ件数
- 内見件数
- 申込件数
- 内見者からの意見
- 競合物件の成約状況
- 募集条件変更後の反響
などを確認し、数字を見ながら改善します。
国土交通省は、賃貸住宅管理業者について、管理受託契約の相手方へ管理業務の実施状況を定期的に報告する義務を設けています。
新しい入居者を集めるだけでなく「退去を減らす」ことも重要
空室対策は客付けだけではありません。現在の入居者に長く住んでもらえれば、原状回復費や募集費用、空室期間の発生も抑えやすくなります。
転勤や結婚など、オーナー側では防げない退去もあります。
一方で、設備故障への対応が遅い、共用部が汚れている、騒音相談を放置するなど、管理面の不満がきっかけになる退去はできるだけ避けたいところです。
既存入居者に長く住んでもらうためには、
- 設備故障へ早く対応する
- 共用部を清潔に保つ
- 騒音などの相談を放置しない
- 更新時の問い合わせへ分かりやすく対応する
- 退去時に理由を確認する
といった日常管理が重要です。
国土交通省の調査でも、賃貸住宅管理業者が行う管理業務として、苦情対応、敷金精算・原状回復、契約更新などが多く実施されています。
参考:国土交通省「賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査結果」
管理会社の募集力を確認するポイント
管理料の安さだけでなく、募集開始の早さ、反響報告、空室時の提案、入居後の対応まで見て判断します。
家賃や物件自体に大きな問題がないのに空室が長く続く場合は、管理会社の募集体制も確認します。
- 退去連絡後、すぐ募集準備を始めるか
- 主要ポータルサイトへ適切に掲載しているか
- 周辺の成約相場を説明できるか
- 問い合わせ・内見数を報告してくれるか
- 反響が少ない場合に具体的な改善案があるか
- 原状回復や設備更新を費用対効果で提案するか
- 入居者トラブルへ迅速に対応するか
賃貸住宅管理業を営み、管理戸数が200戸以上の事業者には、国土交通大臣への登録が義務付けられています。管理会社を確認する際は、国土交通省の検索システムで登録情報を調べることもできます。
不動産管理の業務については、不動産管理とは?管理会社へ委託できる業務を解説も参考にしてください。
サブリースなら入居者がいなくても安心?
サブリースは管理の手間を抑えられる場合がありますが、「契約時の賃料がずっと保証される」「空室リスクが完全になくなる」という仕組みではありません。
サブリースは、サブリース会社がオーナーから賃貸住宅を借り、入居者へ転貸する仕組みです。
オーナー側では入居者募集や家賃回収などの負担を軽減できる場合があります。
一方で、契約内容によっては賃料の見直し、免責期間、中途解約などの条件があります。
検討するときは、
- 賃料の見直し時期
- 減額条件
- 免責期間
- 契約期間
- 中途解約
- 修繕費の負担
などを確認してください。
参考:国土交通省「賃貸住宅管理業法 サブリース事業の適正化」
入居率だけでなく収益まで確認する
満室にすること自体が目的ではありません。値下げ・広告費・リフォーム費を含め、最終的に手元へ残る収益で判断します。
入居率を上げるために大きく家賃を下げたり、高額なリフォームを行ったりすると、満室になっても利益が減ることがあります。
最終的には、
- 家賃収入
- 管理費
- 広告・募集費
- 原状回復・修繕費
- 固定資産税などの税金
- ローン返済
まで含めて確認する必要があります。
空室率や管理費、修繕費は収益物件の収益力にも影響します。保有を続けるか売却するか迷っている場合は、収益物件の買取|相場・流れ・売却の注意点を徹底解説も参考にしてください。
入居者が決まらない状態が続くなら管理方法を見直す
管理会社を変更すれば必ず空室が埋まるわけではありません。変更前に「今なぜ決まっていないのか」を数字で確認します。
何か月も空室が続いているにもかかわらず、管理会社から反響報告や改善提案がない場合は、管理体制を見直す余地があります。
ただし、管理会社だけが原因とは限りません。
家賃が相場より高い、物件自体の需要が弱い、繁忙期を外しているなど別の原因も考えられます。
変更前に、問い合わせ件数、内見件数、申込み状況、競合物件との違いを整理し、新しい会社なら何を変えられるのか比較して判断しましょう。
不動産投資の入居者募集・管理はマーキュリーへご相談ください
家賃を下げる、設備を増やすといった一つの対策だけでなく、募集状況・物件状態・管理体制を整理して空室原因を確認することが重要です。
空室が長く続いていると、焦って家賃を下げたり、高額な設備投資をしたりしたくなることがあります。
しかし、問い合わせがないのか、内見後に決まらないのかによって、必要な対策は変わります。
マーキュリーでは、アパート・マンション・店舗・事務所ビルなどについて、入居者対応、家賃管理、建物・設備の維持管理、空室対策などの不動産管理を行っています。
「長期間入居者が決まらない」「現在の管理会社から改善案が出てこない」「家賃と設備のどちらを見直すべきか分からない」といった場合も、物件の状況を確認しながら対応方法を検討します。
また、空室や老朽化を理由に収益物件そのものを売却したい場合は、買取についてもご相談いただけます。
不動産投資の入居者に関するよくある質問
退去予定が分かったら、次の入居者募集はいつから始めればいいですか?
退去日や現在の賃貸借契約、室内確認の可否などによって異なりますが、退去が確定した段階で管理会社と募集準備を始めておくと、退去後の空室期間を短くしやすくなります。募集開始日、掲載内容、原状回復の予定を早めに整理しておきましょう。
募集条件を変更したら、どの数字を見て効果を判断すればいいですか?
問い合わせ数、内見数、申込数の変化を確認すると判断しやすくなります。問い合わせが増えたのに内見が増えない場合と、内見は増えたのに申込みがない場合では、次に見直す内容が異なります。
管理会社が公表している入居率は、そのまま比較してもいいですか?
入居率は算出方法や集計時点によって数字が変わるため、割合だけで単純比較しない方がよいでしょう。どの物件を対象に、どの時点・どの計算方法で算出しているかを確認し、募集期間や退去後の空室日数なども合わせて見ることが大切です。
広告料を増やせば入居者は決まりやすくなりますか?
仲介会社への募集促進策が有効な場合もありますが、家賃が相場から大きく外れていたり、募集写真や室内状態に問題があったりすれば、それだけで解決するとは限りません。まず反響が止まっている原因を確認したうえで検討しましょう。
退去理由は空室対策に活用できますか?
活用できます。転勤など避けられない理由もありますが、設備故障への対応、騒音、共用部の清掃、管理会社の対応など、同じ理由が繰り返されている場合は改善余地があります。退去理由を記録して傾向を見ると、次の対策を考えやすくなります。
空室期間中も部屋を定期的に確認した方がいいですか?
長期間空室になる場合は、室内の臭い、通水、清掃、照明、郵便受けなどを定期的に確認しておくと、内見時の印象悪化を防ぎやすくなります。確認方法や頻度は管理会社と相談して決めるとよいでしょう。





