不動産には、購入するとき、所有している間、売却するとき、さらに相続や贈与によって取得するときなど、それぞれのタイミングで税金がかかります。
例えば、不動産を購入すると「不動産取得税」や「登録免許税」、所有している間は「固定資産税・都市計画税」、売却して利益が出れば「譲渡所得に対する所得税・住民税」がかかる場合があります。
また、相続や贈与によって不動産を取得した場合には、相続税・贈与税の対象になることがあります。
不動産は金額が大きいため、税金について知らないまま購入・売却を進めると、想定以上の納税が必要になることもあります。
この記事では、不動産にかかる主な税金を「取得時」「保有中」「売却時」「相続・贈与時」に分けて、計算方法や税率、注意点をわかりやすく解説します。
不動産にかかる税金をタイミング別に確認
不動産に関係する主な税金を整理すると、次のようになります。
| タイミング | 主な税金 |
|---|---|
| 購入・取得するとき | 不動産取得税、登録免許税、印紙税、消費税など |
| 所有している間 | 固定資産税、都市計画税 |
| 売却するとき | 譲渡所得に対する所得税・住民税、復興特別所得税、印紙税など |
| 相続するとき | 相続税、登録免許税 |
| 贈与するとき | 贈与税、不動産取得税、登録免許税など |
すべての不動産取引でこれらの税金が必ず発生するわけではありません。
住宅か事業用不動産か、個人か法人か、所有期間、取得方法などによって課税関係は変わります。
不動産を取得するときにかかる税金
不動産取得税
不動産取得税は、土地や建物を取得したときに都道府県から課税される地方税です。
売買だけでなく、贈与や交換などによって不動産を取得した場合にも課税されることがあります。
基本的な計算式は次のとおりです。
不動産の価格(課税標準) × 税率 = 不動産取得税
ここでいう「不動産の価格」は、原則として実際に購入した売買価格ではなく、固定資産課税台帳に登録されている固定資産評価額です。
2026年現在の主な税率は次のとおりです。
| 不動産 | 税率 |
|---|---|
| 土地 | 3% |
| 住宅 | 3% |
| 非住宅の家屋 | 4% |
土地・住宅についての3%の特例税率は、現行制度では2027年3月31日までの取得に適用されます。
また、宅地等については課税標準を2分の1とする特例や、新築住宅・中古住宅などについて一定の軽減措置があります。
具体的な要件は取得した不動産や地域によって異なるため、所在地を管轄する都道府県税事務所などで確認しましょう。
登録免許税
不動産を購入すると、所有権移転登記などを行います。
この登記をするときにかかる国税が登録免許税です。
税額は原則として、固定資産課税台帳に登録されている不動産の価格に所定の税率を掛けて計算します。
例えば、土地を売買によって取得した場合の所有権移転登記は、本来2%ですが、2029年3月31日まで一定の土地について1.5%の軽減税率が適用されています。
住宅用家屋についても、一定の条件を満たせば所有権保存登記や所有権移転登記などに軽減税率が適用される場合があります。
詳しくは、国税庁「登録免許税の税額表」をご確認ください。
印紙税
紙で不動産売買契約書を作成した場合には、契約書の記載金額に応じて印紙税がかかります。
不動産売買契約書については、2027年3月31日まで一定の契約書に印紙税の軽減措置があります。
例えば、契約金額が1,000万円を超え5,000万円以下の場合、軽減後の印紙税額は1万円です。
なお、電子契約で作成される契約書については、紙の課税文書とは取扱いが異なります。
印紙税については、国税庁「不動産の譲渡に関する契約書の印紙税の軽減措置」をご確認ください。
不動産を所有している間にかかる税金
固定資産税
固定資産税は、毎年1月1日時点で土地・家屋などを所有している人に課税される地方税です。
標準税率は1.4%で、基本的には次の計算式で計算します。
固定資産税の課税標準額 × 1.4%
ただし、住宅用地や新築住宅などには税負担を軽減する制度があります。
また、固定資産税は原則として1月1日時点の所有者にその年度分が課税されます。
年の途中で不動産を売却しても、税法上の納税義務者が買主へ変更されるわけではありません。
不動産売買では、売主と買主の間で引渡日を基準に固定資産税を日割り精算することがありますが、これは法律上の課税ではなく、売買契約上の精算です。
都市計画税
都市計画税は、原則として市街化区域内にある土地や家屋に課税される地方税です。
税率は市町村の条例によって定められ、0.3%が上限です。
東京都23区では税率0.3%となっています。
都市計画税についても住宅用地などには軽減措置があります。
固定資産税・都市計画税は自治体によって制度の詳細が異なる場合があるため、不動産所在地の自治体で確認しましょう。
不動産を売却するときにかかる税金
売却しただけでは所得税がかかるとは限らない
不動産を売却すると必ず「売却価格×税率」の税金がかかるわけではありません。
所得税・住民税の対象になるのは、基本的に不動産売却によって生じた「譲渡所得」です。
譲渡所得は次のように計算します。
課税譲渡所得 = 譲渡価額 -(取得費+譲渡費用)- 特別控除額
例えば、4,000万円で売却したからといって、その4,000万円すべてに税金がかかるわけではありません。
購入したときの取得費や売却に直接かかった費用などを差し引き、利益が出た部分が課税対象になります。
取得費とは
取得費には、土地・建物の購入代金や購入時の仲介手数料など、不動産を取得するためにかかった費用が含まれます。
建物については、所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて計算します。
取得費が分からない場合や、実際の取得費が譲渡価額の5%より少ない場合は、譲渡価額の5%を概算取得費として計算できる場合があります。
譲渡費用とは
譲渡費用とは、不動産を売却するために直接かかった費用です。
代表的なものには次のような費用があります。
- 売却時の仲介手数料
- 売買契約書の印紙税
- 売却のために行った測量費
- 売却のために支払った立退料
- 土地を売却するために行った建物解体費など
不動産売却の税率は所有期間で変わる
土地や建物の譲渡所得にかかる税率は、その不動産を所有していた期間によって異なります。
判断する基準日は、売却した日の時点ではなく、売却した年の1月1日現在です。
| 区分 | 所有期間 | 所得税 | 住民税 |
|---|---|---|---|
| 長期譲渡所得 | 5年を超える | 15% | 5% |
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 30% | 9% |
さらに、2037年まで所得税額に対して2.1%の復興特別所得税が加算されます。
そのため、一般的に使われる実質的な税率の目安は、長期譲渡所得が約20.315%、短期譲渡所得が約39.63%となります。
ただし、マイホームなど一定の不動産については特例が利用できる場合があります。
マイホームを売却した場合の3,000万円特別控除
自分が住んでいるマイホームを売却して譲渡所得が生じた場合、一定の要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。
この特例は所有期間の長短に関係なく利用できます。
例えば、特例適用前の譲渡所得が2,000万円で3,000万円特別控除の要件を満たしている場合は、課税譲渡所得が0円となることがあります。
ただし、親子や夫婦など特別な関係にある人への売却では利用できないなど、適用には複数の条件があります。
また、住宅ローン控除など他の制度との併用関係にも注意が必要です。
詳しくは、国税庁「マイホームを売ったときの3,000万円特別控除」をご確認ください。
土地・建物を売却したときの消費税
不動産売却では、土地と建物で消費税の扱いが異なります。
土地や借地権の譲渡は、原則として消費税が非課税です。
一方、建物については、課税事業者が事業として売却する場合には消費税の課税対象になることがあります。
例えば、不動産会社が販売用の建物を売却する場合や、課税事業者が事業用・賃貸用建物を売却する場合などです。
一方、一般の個人が自宅を売却するような、事業として行う取引ではない場合には、通常、建物部分にも消費税はかかりません。
「土地は非課税、建物は必ず消費税がかかる」ということではないため注意しましょう。
不動産を相続したときにかかる税金
相続税
相続によって土地や建物を取得した場合、不動産を含む相続財産の総額などによって相続税がかかることがあります。
ただし、不動産を相続した人全員に相続税がかかるわけではありません。
相続税には基礎控除があり、遺産総額が基礎控除額以下であれば、原則として相続税はかかりません。
基礎控除額は次の計算式で求めます。
3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
例えば、法定相続人が2人なら基礎控除額は4,200万円です。
相続税における土地の評価
相続税を計算するとき、不動産を実際の売買価格そのままで評価するとは限りません。
土地は原則として、路線価方式または倍率方式で評価します。
路線価が設定されている地域では、国税庁が公表する路線価を基準に、土地の形状や接道状況などに応じた補正を行って評価します。
路線価については、国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で確認できます。
不動産を贈与したときにかかる税金
親から子へ土地を無償で譲るなど、不動産を贈与した場合には贈与税がかかることがあります。
贈与税についても、土地の評価には相続税と同様に路線価方式や倍率方式などが使われます。
また、不動産の贈与では贈与税だけでなく、不動産取得税や登録免許税などが発生する場合もあります。
相続と贈与では税負担が大きく異なることがあるため、生前贈与を検討する場合は事前に税理士などへ相談することをおすすめします。
借地権・底地にも税金はかかる?
借地権や底地も財産的な価値があるため、売却・相続・贈与などの場面で税金が関係します。
例えば、借地権を売却して利益が生じた場合には、土地・建物と同様に譲渡所得の課税対象になることがあります。
また、借地権を相続・贈与した場合には、借地権割合などを使って評価額を計算します。
底地についても、借地権が設定されていることを考慮して相続税評価を行います。
なお、借地権そのものの譲渡は消費税の非課税取引とされています。
不動産売却前に確認しておきたい税金のポイント
購入時の契約書や領収書を探す
不動産を売却する場合、購入時の売買契約書や領収書などは重要な資料になります。
取得費を証明できない場合、売却価格の5%を概算取得費として計算することがあります。
実際の購入価格が高かった場合、取得費を証明できないことで課税譲渡所得が大きくなり、税負担が増える可能性があります。
所有期間を確認する
不動産売却では、所有期間が5年を超えるかどうかで税率が大きく変わります。
ただし、5年を判定するのは売却日ではなく、売却した年の1月1日時点です。
売却時期が年をまたぐ場合などは、長期譲渡所得になる時期を確認しておくとよいでしょう。
利用できる特例を確認する
マイホームの3,000万円特別控除をはじめ、不動産売却には複数の税制特例があります。
不動産の種類や取得経緯、所有期間、売却相手などによって利用できる特例が異なります。
売却してから税金を確認するのではなく、できれば売買契約前に税負担を確認しておくことをおすすめします。
不動産の税金に関するよくある質問
不動産を購入するとどのような税金がかかりますか?
主に不動産取得税、登録免許税、売買契約書の印紙税などがかかります。建物については、取引の内容や売主が課税事業者かどうかによって消費税が関係する場合があります。
固定資産税は毎年いつの所有者にかかりますか?
原則として毎年1月1日時点で固定資産課税台帳に所有者として登録されている人に、その年度の固定資産税が課税されます。年の途中で売却しても税法上の納税義務者は変更されません。
不動産を売却すると売却価格全額に税金がかかりますか?
いいえ。基本的には売却価格から取得費や譲渡費用、利用できる特別控除を差し引いて計算した課税譲渡所得に対して税金がかかります。売却して利益が出ていなければ、譲渡所得に対する所得税・住民税が発生しない場合があります。
不動産売却の税率は何%ですか?
売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超える長期譲渡所得は所得税15%・住民税5%、5年以下の短期譲渡所得は所得税30%・住民税9%です。さらに2037年までは所得税額に対して2.1%の復興特別所得税が加算されます。
マイホームを売れば3,000万円まで税金がかからないのですか?
一定の要件を満たせば、マイホームを売却したときの譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。ただし、売却価格から3,000万円を引く制度ではなく、計算した譲渡所得から控除する制度です。また、適用には複数の要件があります。
土地を売却すると消費税はかかりますか?
土地や借地権の譲渡は原則として消費税の非課税取引です。建物については、課税事業者が事業として売却する場合などには消費税が課税されることがあります。
不動産を相続すると必ず相続税がかかりますか?
必ずかかるわけではありません。相続財産の課税価格の合計額が相続税の基礎控除額以下であれば、原則として相続税はかかりません。基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。
まとめ|不動産の税金は取得・保有・売却の各段階で確認する
不動産には、取得時・保有中・売却時・相続や贈与のタイミングでさまざまな税金が関係します。
購入時には不動産取得税・登録免許税・印紙税、所有している間は固定資産税・都市計画税、売却して利益が出れば譲渡所得に対する所得税・住民税などがかかる場合があります。
また、相続・贈与では不動産の評価方法や利用できる特例によって税額が大きく変わることがあります。
特に不動産売却では、取得費、所有期間、マイホームなどの特例が税額に大きく影響するため、売却前に購入時の契約書や領収書などを確認しておきましょう。
税金について個別具体的な判断が必要な場合は、税理士や税務署などへ確認することをおすすめします。
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