- 1 借地トラブルは「何について揉めているか」を整理するところから
- 2 借地でよくある7つのトラブル
- 3 地主から地代の値上げを求められた
- 4 更新料を高額請求された・今まで払っていなかった
- 5 借地権を売りたいのに地主が譲渡を承諾してくれない
- 6 建替え・増改築を地主に認めてもらえない
- 7 地主から土地を明け渡してほしいと言われた
- 8 地主が亡くなった・地主が変わった場合のトラブル
- 9 昔からの借地で契約書が見つからない
- 10 借地トラブルが起きたときに避けたい4つの行動
- 11 借地トラブルを解決するまでの流れ
- 12 借地トラブルを抱えたままでも売却できる?
- 13 借地権・地主とのトラブルはマーキュリーへご相談ください
- 14 借地トラブルに関するよくある質問
借地トラブルは「何について揉めているか」を整理するところから
借地では、地代の値上げ、更新料、借地権の売却、建替え、土地の明渡しなどをきっかけに、地主と借地人の関係が悪くなることがあります。
大切なのは、感情的に話を進める前に、借地契約書に何が書かれているのか、借地借家法ではどう扱われるのか、これまでどのようなやり取りをしてきたのかを整理することです。
たとえば地主から地代の値上げを求められたからといって、言われた金額を必ず受け入れなければならないわけではありません。一方で、納得できないからと地代の支払いそのものを止めてしまうと、別の問題に発展するおそれがあります。
この記事では、借地で起こりやすいトラブルと、それぞれの対処方法を具体的に解説します。
① 土地賃貸借契約書・更新契約書を確認する
② 地代・更新料など過去の支払い履歴を確認する
③ 地主とのメール・手紙・書面を残しておく
④ 地代の支払いを自己判断で止めない
⑤ 合意できない場合は、不動産会社・弁護士など第三者への相談を検討する
借地でよくある7つのトラブル
借地トラブルは、大きく分けると「お金」「承諾」「契約終了」の3つに分けられます。
| トラブル | よくある状況 | 最初に確認すること |
|---|---|---|
| 地代の値上げ | 地主から突然増額を求められた | 値上げ理由・現在の地代 |
| 更新料 | 高額な更新料を請求された | 契約書・過去の支払い |
| 譲渡承諾 | 借地権を売りたいが地主が認めない | 借地権の種類・契約内容 |
| 建替え・増改築 | 地主から承諾を得られない | 承諾条項・工事内容 |
| 明渡し | 土地を返してほしいと言われた | 契約期間・理由 |
| 地主の変更 | 地主が亡くなった・土地が売却された | 登記・新所有者 |
| 契約書がない | 昔から借りていて書類が見つからない | 地代履歴・建物登記・過去資料 |
同じ「地主と揉めている」という状況でも、問題によって必要な対応は違います。
まずは何について意見が合わなくなっているのかを切り分けましょう。
地主から地代の値上げを求められた
地主が希望した金額へ自動的に変更されるわけではありません。一方、借地人側も従来の地代が永久に変わらないとは限りません。
借地トラブルの中でも多いのが、地代の値上げをめぐる問題です。
特に、地主に相続が発生して世代が変わったときや、長年地代を見直していなかった場合に、増額を求められることがあります。
借地借家法11条では、土地に対する税金などの負担、土地価格やその他の経済事情の変動、周辺の類似した土地の地代と比較して現在の地代が不相当となった場合、地主・借地人の双方から地代の増減を請求できると定められています。
まず値上げの根拠を確認する
地主から「来月から地代を上げます」と言われたら、まず理由を確認します。
たとえば、
- 固定資産税などの負担が増えている
- 長期間地代を改定していない
- 周辺の地代と大きな差がある
- 土地価格が大きく変化している
といった事情が考えられます。
借地人側でも、これまでの地代や周辺相場などを確認し、地主の提示額が妥当なのか話し合います。
合意できないからと地代を支払わないのは避ける
値上げ額に納得できなくても、地代の支払いそのものを止めてしまうのは避けた方がよいでしょう。
「値上げには同意しない」ということと、「地代を支払わない」ということは別の問題です。
地主が地代の受け取りを拒否した場合などには、法務局へ地代を供託する方法があります。
法務省では、地主から地代の値上げを要求され、借地人が相当と考える地代を提供したものの受領を拒否された場合には、その金額を弁済供託できる場合があると案内しています。
供託できるかどうかは状況によって異なるため、実際に手続きを行う場合は法務局や弁護士へ確認してください。
更新料を高額請求された・今まで払っていなかった
借地の更新料には、全国一律の金額や計算方法があるわけではありません。まず契約書と過去の取り扱いを確認します。
借地契約の更新時期になり、地主から想定以上の更新料を求められてトラブルになるケースがあります。
ここで注意したいのは、「更新料は必ず払う」「法律上まったく払う必要がない」と単純には判断できない点です。
確認したいのは、
- 借地契約書に更新料の定めがあるか
- 具体的な金額・算定方法が決められているか
- 過去の更新時に支払っているか
- 地主と借地人の間で更新料について合意した経緯があるか
といった点です。
インターネット上では「更地価格の○%」「借地権価格の○%」といった相場が紹介されていますが、更新料を一律に算出する法律上の計算式があるわけではありません。
地主から提示された更新料が高いと感じた場合は、提示金額の根拠を確認し、契約内容やこれまでの経緯を踏まえて話し合いましょう。
更新料を払えない場合は条件交渉も考える
支払い自体には納得していても、一括で支払うことが難しい場合があります。
その場合は、地主が応じるかどうかにもよりますが、分割払いなどの条件を相談する方法もあります。
借地は地主との関係がその後も続きます。建替えや借地権売却を考える可能性があるなら、金額だけでなく今後の関係も含めて話し合うことが大切です。
借地権を売りたいのに地主が譲渡を承諾してくれない
賃借権タイプの借地権は、第三者へ譲渡するときに原則として地主の承諾が問題になります。ただし、承諾が得られないから必ず売却できないわけではありません。
「相続した借地権を使わないので売りたい」「住み替えのため借地権付き建物を売却したい」と地主へ相談したところ、譲渡を認めてもらえないことがあります。
こうした場合、まず地主がなぜ承諾しないのか確認します。
たとえば、
- 新しい借地人に不安がある
- 譲渡承諾料について合意できない
- 過去の地代・更新料をめぐる問題が残っている
- 地主自身が土地を取り戻したい
など、別の問題が背景にある場合があります。
地主の承諾に代わる裁判所の許可を求められる場合がある
土地の賃借権を第三者へ譲渡する際、地主から承諾を得られない場合でも、一定の要件を満たせば借地借家法19条に基づき、地主の承諾に代わる裁判所の許可を申し立てられる場合があります。
これは一般に「借地非訟」と呼ばれる手続きです。
ただし、申立てをすれば必ず許可されるわけではありません。
譲受人、借地の利用状況、地主に不利となる事情がないかなどを踏まえて裁判所が判断します。
元記事では「裁判で判決が下る」としていましたが、借地非訟は通常の民事訴訟とは異なる非訟事件の手続きです。
期間についても案件ごとに異なるため、「必ず半年~1年」と決めつけることはできません。
実務上は、申立てまで進む前に地主との条件調整によって解決できるケースもあります。
建替え・増改築を地主に認めてもらえない
まず契約書を確認し、どこまでの工事に地主承諾が必要なのか整理します。
借地上の家が古くなり建替えを考えたところ、地主から「建替えは認めない」と言われるケースがあります。
また、地主から高額な建替承諾料を求められ、話が進まないこともあります。
まず確認したいのは、現在の借地契約です。
契約書に、
- 建替え
- 増改築
- 建物構造の変更
- 建物用途の変更
などについてどのような定めがあるか確認します。
小規模な修繕と、建物を取り壊して建て替える工事では扱いが異なります。
地主へ事前相談せず工事を進めると、別のトラブルにつながる可能性があるため注意しましょう。
地主から土地を明け渡してほしいと言われた
「地主の土地だから返してほしい」と言われただけで、直ちに借地権がなくなるわけではありません。
地主から「土地を使いたいので返してほしい」「契約が切れるから更地にして返してほしい」と言われることがあります。
しかし、借地契約には借地借家法が適用される場合があり、地主の希望だけで当然に借地契約が終了するわけではありません。
借地契約の種類、契約期間、更新状況、地主側の事情などを確認する必要があります。
そのため、明渡しを求められたからといって、すぐに解体工事へ進んだり、借地権を無償で返還すると約束したりせず、まず契約関係を確認しましょう。
使用していない借地権でも価値がある場合がある
「もう住んでいないから地主へ返すしかない」と考える方もいますが、借地権は売却できる場合があります。
そのため、地主へ無償返還する前に、
- 第三者へ売却できないか
- 地主へ買い取ってもらえないか
- 底地と借地権を同時売却できないか
- 不動産会社へ直接売却できないか
といった選択肢を確認した方がよいでしょう。
地主が亡くなった・地主が変わった場合のトラブル
地主が変わったことだけを理由に、それまでの借地権が当然になくなるわけではありません。
長期間借りている土地では、地主に相続が発生したり、地主が底地を第三者へ売却したりすることがあります。
新しい地主へ変わった直後に、
- 地代を値上げしたい
- 土地を返してほしい
- 契約書を作り直したい
- 更新料を支払ってほしい
と言われてトラブルになるケースがあります。
借地借家法10条では、借地権そのものの登記がなくても、土地の上に借地権者名義で登記された建物を所有している場合、借地権を第三者へ対抗できる仕組みが定められています。
地主が変わった場合は、新しい所有者が誰なのか登記事項証明書などで確認したうえで、地代の支払先や今後の契約について整理しましょう。
昔からの借地で契約書が見つからない
契約書がないからといって、借地関係そのものが存在しないと決まるわけではありません。
親や祖父母の代から続いている借地では、土地賃貸借契約書そのものが見つからないことがあります。
その場合は、
- 建物の登記事項証明書
- 土地の登記事項証明書
- 過去の地代領収書
- 銀行振込の履歴
- 更新時に交わした書類
- 地主との手紙・メール
など、借地関係を確認できる資料を集めます。
契約書がない状態で地主から新しい契約書への署名を求められた場合も、内容を十分に確認せず署名しない方がよいでしょう。
契約期間や更新、承諾料などの条件が従来より大きく変わっている可能性があるためです。
借地トラブルが起きたときに避けたい4つの行動
地代の支払いを勝手に止める
地主への不満があっても、自己判断で地代を止めると地代滞納という別の問題を生む可能性があります。
受け取ってもらえない場合は、供託を含め適切な方法を確認してください。
感情的なメール・手紙を送る
借地問題は地主との長年の関係が絡むため、感情的になりやすいものです。
しかし、一度送ったメールや書面はその後の話し合いでも残ります。
事実関係と希望条件を分けて伝えるようにしましょう。
内容を確認せず新しい契約書へ署名する
地主が変わったときなどに、新しい契約書を提示されることがあります。
以前とは異なる地代、更新料、承諾料などが記載されていないか確認しましょう。
借地権を無償で返すと約束する
借地権に価値がある場合、第三者への売却や地主による買取などが可能なことがあります。
「もう住まないから返します」と決める前に、まず現在の借地権にどの程度の価値があるのか確認しておくとよいでしょう。
借地トラブルを解決するまでの流れ
最初から裁判を考えるのではなく、事実整理→話し合い→第三者相談→法的手続きの順で検討します。
-
契約書・支払い履歴を確認する
借地契約書、更新契約書、地代・更新料の支払い履歴などを集めます。 -
何について意見が違うのか整理する
地代なのか、更新料なのか、譲渡承諾なのかを明確にします。 -
地主と条件を話し合う
双方の希望条件と、その根拠を確認します。 -
第三者へ相談する
借地・底地に詳しい不動産会社、弁護士などへ相談します。 -
必要に応じて法的な手続きを検討する
供託、調停、借地非訟など、問題に応じた手続きを確認します。
借地トラブルは、「法律上どちらが正しいか」だけで解決しないケースもあります。
たとえば地主が譲渡自体には反対していなくても、承諾料や新しい借地人への不安が原因で話が止まっていることがあります。
何が本当の争点なのかを整理すると、裁判まで進まず条件調整で解決できることもあります。
借地トラブルを抱えたままでも売却できる?
地主と揉めているからといって、必ず借地権を手放せないわけではありません。
地代・更新料・譲渡承諾などをめぐって地主とトラブルになっている場合、一般の購入者への売却は難しくなることがあります。
購入者から見ると、「購入後も地主との問題を引き継ぐのではないか」という不安があるためです。
一方、借地権を専門的に扱う不動産会社であれば、現在の契約関係や地主との状況を確認したうえで、買取や権利調整を検討できる場合があります。
そのため、
- 地主が譲渡を認めてくれない
- 地代について争いがある
- 更新料で揉めている
- 契約書が見つからない
- 地主と直接話したくない
という場合でも、最初から「売却できない」と決める必要はありません。
借地権・地主とのトラブルはマーキュリーへご相談ください
借地の問題では、地主と借地人のどちらか一方だけの話を聞いても、解決方法を判断できないことがあります。
地代の金額だけでなく、過去の更新、建替え、相続、売却希望などが複雑に絡んでいるケースもあるからです。
マーキュリーでは借地権・底地などの権利関係がある不動産を取り扱っており、
- 地主から譲渡承諾を得られない
- 更新料について話がまとまらない
- 地代の値上げをめぐって揉めている
- 借地権を相続したが使用する予定がない
- 地主との関係が悪く、直接交渉しにくい
- 借地権を現況のまま売却したい
といったご相談も承っています。
「裁判をしなければ解決できない」と決めつける前に、現在の契約状況や双方の意向を整理することで、別の解決策が見つかることもあります。
借地トラブルに関するよくある質問
実際に地主との問題が起きたときに迷いやすい内容をまとめました。
地主が変わったら、今までの借地契約は無効になりますか?
地主が変わっただけで借地契約が当然に無効になるわけではありません。借地借家法では、借地上に借地権者名義で登記された建物を所有している場合など、借地権を新しい土地所有者へ対抗できる仕組みがあります。地主が変わった場合は、土地の登記と地代の新しい支払先を確認しましょう。
地代の値上げに納得できない場合、今までの地代を払い続けてもいいですか?
地代の増額について争いがある場合の取り扱いは、借地借家法11条や個別の事情によって判断されます。少なくとも、値上げに納得できないからといって地代の支払い自体を止めるのは避けた方がよいでしょう。地主が相当と考える地代の受け取りを拒否する場合などには、供託を利用できることがあります。
契約書に更新料の記載がないのに請求された場合、支払わなければいけませんか?
更新料については、契約書の内容、これまでの支払い実績、地主との合意などを確認する必要があります。契約書に記載がないという理由だけで一律に結論を出すのではなく、これまでの契約関係を整理したうえで判断することが大切です。
地主が譲渡を承諾しないと、借地権は絶対に売れませんか?
必ずしもそうとは限りません。賃借権タイプの借地権では、地主から譲渡承諾を得られない場合でも、一定の条件を満たせば借地借家法19条に基づいて地主の承諾に代わる裁判所の許可を求められる場合があります。また、法的手続きに進む前に地主との条件調整で解決することもあります。
相続した借地ですが、契約書が見つかりません。どうすればいいですか?
契約書が見つからなくても、過去の地代の領収書や振込履歴、建物・土地の登記事項証明書、更新時の書類などから借地関係を確認できる場合があります。新しい契約書を作るよう地主から求められた場合は、従来の条件と大きく変わっていないか確認してから署名しましょう。
地主とトラブルになっている状態でも不動産会社へ買取相談できますか?
相談できます。地代、更新料、譲渡承諾などについて地主と意見が合っていない場合でも、借地権や底地を専門的に扱う不動産会社であれば、契約内容や現在の状況を確認したうえで買取や権利調整を検討できる場合があります。





