「借地権付きの家を売りたいが、地主に何を確認すればよいかわからない」。こうしたお悩みは、相続や住み替えのタイミングで急に持ち上がることが少なくありません。
借地権の売却は、土地そのものを所有する通常の不動産売却とは事情が異なります。土地の所有者である地主との関係が常に絡むため、譲渡の承諾や費用負担をめぐって話がこじれやすいのです。
この記事では、借地権を売却する際に起こりやすいトラブルを、地主との関係・承諾料・境界確定という切り口から整理し、事前に押さえておきたい回避のポイントをあわせて解説します。
トラブルの芽は、多くの場合「確認不足」と「書面に残さないやり取り」から生まれます。仕組みを知ったうえで準備を進め、納得できる形で手放す道筋を見つけましょう。
借地権とは?売却でトラブルが起こりやすい理由
借地権とは、他人が所有する土地を借りて、その上に自分の建物を建てて使用できる権利のことです。地上権と賃借権の二種類がありますが、実務で多いのは賃借権にもとづく借地権です。
土地そのものを所有しているわけではないため、借地権を売却するということは、実質的には「建物と、その土地を使い続ける権利」を第三者に譲り渡すことを意味します。土地の所有者である地主の存在を抜きにしては成立しない取引です。
そのため、通常の土地・建物の売却であれば買主と条件がまとまれば完了するところ、借地権の売却では地主の意向確認や承諾という工程がもう一段加わります。ここでのやり取りが不十分だと、契約直前になって話が止まってしまうことも珍しくありません。
たとえば、親から相続した借地権付きの住宅を売ろうとしたところ、地主への説明が後回しになり、買主が決まった段階で初めて相談したために、承諾の可否や条件の調整に半年近くかかったという例があります。地主への相談は、できるだけ早い段階で行うことが望ましいといえます。
地主との関係でよくあるトラブル(譲渡承諾をめぐって)
借地権を第三者へ譲渡する場合、原則として地主の承諾が必要になります。この承諾をめぐるやり取りが、最も多いトラブルの入り口です。
地主が譲渡に難色を示す理由はさまざまです。新しい借地権者の人柄や使用目的への不安、地代の見直しをこの機会に求めたいという思惑、あるいは単に長年のやり取りの中で関係がこじれていたことが背景にある場合もあります。中には、明確な理由を示さないまま返事を引き延ばされるケースもあります。
地主が合理的な理由なく承諾しない場合には、裁判所に借地非訟事件として申し立て、地主の承諾に代わる許可を求める手続きが用意されています。ただし、この手続きには時間と費用がかかるため、まずは話し合いによる解決を目指すのが現実的です。
たとえば、借地権者が生前から地主と疎遠になっていた土地で、いざ売却の相談をしたところ、地主が「知らない相手に貸すのは不安」として難色を示し、交渉に長期間を要した例があります。日頃からの関係づくりが、いざというときの交渉の土台になります。
承諾料(名義書換料)をめぐるトラブル
借地権を譲渡する際には、地主に対して承諾料(名義書換料と呼ばれることもあります)を支払う商慣行が広く見られます。これは法律で金額が一律に定められているものではなく、地主との交渉によって決まるのが実情です。
トラブルになりやすいのは、金額の根拠や支払いの前提を書面で確認しないまま話を進めてしまうケースです。口頭でおおよその了承を得たつもりが、契約の直前になって地主から追加の金額を求められたり、逆に買主側が想定していた負担割合と食い違ったりすることがあります。
また、承諾料を売主・買主のどちらが負担するのかも、あらかじめ取り決めておくべき点です。この負担割合が不明確なまま契約書を作成すると、決済の段階になって揉める原因になります。
たとえば、承諾料は買主が負担するものと売主が思い込んでいたところ、契約書に明記されておらず、決済直前になって双方の認識のずれが発覚し、契約全体が一時中断したという例があります。金額と負担者は、必ず書面で早めに確認しておく必要があります。
境界確定をめぐるトラブル
借地権付きの土地は、長年にわたって同じ状態で使われてきたケースが多く、隣地との境界がはっきり確定していないことも少なくありません。売却の段階になって初めて、境界の問題が表面化することがあります。
境界があいまいなままでは、買主が土地の範囲を正確に把握できず、契約そのものが進めにくくなります。地主自身が境界に関する資料を十分に保管していない場合、測量からやり直す必要が生じ、時間と費用がかかることもあります。
隣地の所有者との関係によっては、境界の位置について認識の違いが表面化し、話し合いが難航することもあります。この場合、地主・借地権者・隣地所有者という三者の利害が絡むため、調整には相応の時間を要します。
たとえば、境界標が失われていた借地の売却で、隣地所有者との間で塀の位置をめぐる認識の違いが見つかり、測量と話し合いに数か月を要したという例があります。売却を考え始めた時点で、境界の状況を一度確認しておくと安心です。
借地権を売却する方法の選択肢
借地権を手放す方法は一つではありません。地主との関係や急ぎ具合によって、向いている方法は変わってきます。代表的な選択肢を整理しておきましょう。
地主に買い取ってもらう方法では、地主が底地とあわせて借地権を引き取る形になります。地主にとっても土地の権利関係を整理できるメリットがあるため、交渉がまとまれば比較的スムーズに進みます。
第三者へ譲渡する方法では、地主の承諾を得たうえで、新たな借地権者に権利を引き継いでもらいます。買い手の選択肢は広がりますが、承諾料や地主への説明といった手間は避けられません。
専門の買取業者へ売却する方法では、業者が地主との調整や承諾に関するやり取りを含めて引き受けてくれる場合があります。訪問査定で提示された金額がそのまま買取価格となるため、資金計画を立てやすいことも特徴です。
下の表は、それぞれの方法の特徴を整理したものです。
| 方法 | 地主の承諾 | スピード | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 地主への売却 | 交渉で成立 | 交渉次第で変動 | 地主も権利整理を望んでいる |
| 第三者への譲渡 | 必須 | 数か月かかることが多い | 買い手候補があり、時間に余裕がある |
| 買取業者への売却 | 業者が調整することも | 数週間〜が目安 | 早く確実に手放したい・地主対応の負担を減らしたい |
いずれの方法でも、借地権の取扱いに慣れているかどうかで結果が大きく変わります。実績や地主対応の進め方を確認したうえで、その物件タイプに強い会社を選ぶことが大切です。
トラブルを避けるために売却前に確認しておきたいポイント
ここまで見てきたトラブルの多くは、事前の確認不足から生まれています。売却を検討し始めた段階で、次のポイントを押さえておくと安心です。
まず、土地賃貸借契約書の内容を確認しましょう。存続期間や更新条件、地代の改定条項、譲渡に関する取り決めなど、契約の前提を把握しておくことが交渉の出発点になります。契約書が手元にない場合は、早めに地主へ相談し、内容を確認しておく必要があります。
次に、地主への相談はできるだけ早い段階で行うことが望ましいといえます。買主が決まってから初めて相談するのではなく、売却を考え始めた時点で意向を伝えておくことで、後々の交渉がスムーズになります。
承諾料や測量費用など、費用の負担者についても、早い段階で書面に残しておくべきです。相場よりも著しく高い金額を提示したうえで後から条件を変えてくるような相手には注意が必要です。国民生活センターは、不動産の売却をめぐるこうしたトラブルについて繰り返し注意を呼びかけています。
下の表は、ここまで見てきた借地権売却のトラブルと、その主な原因、避けるためのポイントを整理したものです。
| トラブルの種類 | 主な原因 | 避けるためのポイント |
|---|---|---|
| 譲渡承諾が得られない | 地主への相談が遅い・関係が疎遠 | 早い段階で地主に意向を伝え、話し合いを重ねる |
| 承諾料をめぐる食い違い | 金額・負担者を口頭でしか決めていない | 金額の根拠と負担者を書面で確認する |
| 境界に関する認識の違い | 境界標の紛失・測量資料の未整備 | 売却を考え始めた時点で境界の状況を確認する |
| 相続後の権利関係の不明確さ | 相続登記や名義変更が未了のまま放置 | 相続登記の状況を確認し、必要な手続きを進める |
また、相続によって借地権を引き継いだ場合は、相続登記が済んでいるかどうかもあわせて確認しておきましょう。相続登記は2024年4月1日から申請が義務化されており、相続を知った日から3年以内に申請する必要があります。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象になることもあるため、売却を機に手続き状況を整理しておくことをおすすめします。
出典:国民生活センター|不動産売却トラブル注意喚起 法務省|相続登記の申請義務化
借地権付き建物を保有し続けるリスク・注意点
「いずれ売るつもりだから」と考えて、借地権付きの建物をそのままにしている方もいらっしゃいます。しかし、保有を続ける間も費用と手間は発生し続けます。
代表的な負担が、毎月または毎年支払う地代です。加えて、建物が古くなるほど、修繕や管理の責任は借地権者側に残り続けます。更新の時期が近づけば、更新料をめぐる交渉も必要になります。
地主との関係を放置したまま時間が経つと、いざ売却しようとしたときに、譲渡承諾の交渉がより難しくなる場合もあります。関係が良好なうちに将来の売却について話しておくことが、結果的にスムーズな手放し方につながります。
たとえば、地主とのやり取りを長年避けていた借地権者が、いざ売却を検討した際に、疎遠になっていた関係の立て直しから始めなければならず、想定より時間がかかったという例があります。使う予定がないのであれば、早めに方針を決めることが負担を抑える近道です。
マーキュリーが選ばれる4つの理由|あらゆる不動産を価値ある未来へ
借地権のように権利関係が複雑な不動産こそ、対応してきた実績と調整力が問われます。マーキュリーが多くの方に選ばれている理由をご紹介します。
① 権利調整に対応
借地権・底地・共有持分など、権利関係が複雑な物件の取扱い実績が豊富です。地主や共有者との交渉、境界の調整まで自社で一貫して対応し、売主の負担を最小限に抑えて取引を前に進めます。
② 再建築不可・訳あり再生
再建築不可・違法建築・傾斜地・狭小地・ゴミ屋敷状態など、活用が難しい物件も自社で再生して価値を生み出します。不動産開発事業を手がけており、買取後の活用・再販まで自社で完結できる体制です。
③ 相続ワンストップ
相続税の納税資金の確保、遺産分割、共有名義の整理など、単なる売却にとどまらないサポートが可能です。税理士や司法書士との連携により、税務・登記・売却を一括で進められます。
④ 直接買取で仲介手数料ゼロ・査定額がそのまま手取り
自社で直接買い取るため、仲介手数料がかかりません。査定額がそのまま買取金額として確定するため、資金計画が立てやすくなります。契約不適合責任も原則免責のため、引渡し後の心配がありません。
借地権の売却に関するよくある質問
最後に、借地権の売却について寄せられることの多い質問にお答えします。
地主が譲渡を承諾してくれない場合はどうすればよいですか
まずは話し合いによる解決を目指すことが基本です。合理的な理由なく承諾が得られない場合には、裁判所に借地非訟事件として申し立て、承諾に代わる許可を求める手続きもあります。ただし時間がかかるため、早めの相談をおすすめします。
承諾料はどのくらい用意すればよいですか
承諾料の金額は法律で一律に定められているものではなく、地主との交渉で決まります。相場の考え方だけで判断せず、金額の根拠と負担者を書面で確認しておくことが大切です。
境界が未確定のままでも売却できますか
境界が未確定の状態でも相談は可能ですが、契約を進めるうえでは測量や隣地との調整が必要になる場合があります。早い段階で境界の状況を確認しておくと、手続きがスムーズに進みます。
相続した借地権でも売却できますか
相続した借地権でも手放すことは可能です。相続登記が済んでいない場合は、あわせて手続きを進める必要があります。必要な書類の整理から段取りまでサポートします。
まとめ|マーキュリーへご相談ください
借地権の売却は、地主との関係・承諾料・境界確定といった、通常の不動産売却にはない確認事項が伴います。しかし、事前に準備を整え、早めに相談することでトラブルの多くは避けられます。
- ●借地権の譲渡には原則として地主の承諾が必要になる
- ●承諾料は交渉で決まるため、金額と負担者を書面で確認する
- ●境界があいまいな場合は早めに状況を確認しておく
- ●相続で引き継いだ場合は相続登記の状況もあわせて確認する
- ●高額な条件を示したあとに変更を求める相手には注意する
権利関係が複雑な借地権の売却も、マーキュリーは地主対応や境界の調整まで含めて直接買取で承ります。「地主との交渉が不安」「何から手をつければよいかわからない」という方こそ、お気軽にご相談ください。査定は無料で、ご相談だけでも歓迎いたします。





