不動産の売却は、多くの方にとって人生で数回あるかどうかの手続きです。何から始めればよいのか、どれくらい時間がかかるのか、当日は何をするのか。全体像が見えないまま動き出すと、途中で判断に迷います。
流れそのものは決まっています。準備をして、価格を決め、契約を結び、決済で引き渡す。この骨格を押さえておけば、いま自分がどの段階にいるのかが分かります。
期間を左右するのは、買主を探す工程があるかどうかです。仲介ではここに数か月を要しますが、直接買取であればその区間がまるごとありません。同じ「売却」でも、要する時間はまったく異なります。
この記事では、売却の全体像から7つのステップ、必要書類、決済当日の動き、期間を左右する要因、つまずきやすい点までを順に整理します。
不動産売却の全体像|仲介と買取で流れが変わる
まず、二つの売り方で流れがどう違うのかを押さえましょう。ここが期間の差を生みます。
| 工程 | 仲介 | 直接買取 |
|---|---|---|
| 査定 | あり | あり |
| 媒介契約 | 必要 | 不要 |
| 広告・内見対応 | 必要(数か月) | 不要 |
| 価格交渉 | 買主と行う | 会社と条件を調整 |
| 売買契約 | あり | あり |
| 決済・引き渡し | あり | あり |
| 全体の期間 | 数か月〜半年以上 | 数日〜数週間 |
| 仲介手数料 | 発生する | かからない |
仲介は、不動産会社が買主を探す方法です。市場での需要によって価格が決まるため、条件のよい物件なら高い金額を狙えます。ただし、いつ買主が現れるかは読めません。内見のたびに自宅を整え、対応する必要もあります。
直接買取は、不動産会社そのものが買主になる方法です。買主を探す工程がないため、期間が読めます。広告も内見もなく、仲介手数料もかかりません。訪問査定で提示された金額がそのまま買取価格になります。
期限が決まっている場合、この差は決定的です。住み替え先の引き渡し日が迫っている、相続税の納付期限がある、離婚の話し合いを早く終えたいといった事情があるなら、期間が読める方法を選ぶほうが安全です。
ステップ1〜3|準備から価格の決定まで
前半の三つは、売却の土台をつくる工程です。ここが丁寧であるほど、後半は滞りません。
ステップ1は現状の確認です。 登記事項証明書を取得し、名義が誰になっているか、抵当権が設定されていないかを確認します。相続した不動産では、名義が亡くなった方のままというケースが非常に多く見られます。この状態では売買契約に進めません。住宅ローンが残っていれば、金融機関から残高証明書を取り寄せておきます。
ステップ2は書類の準備です。 登記識別情報または権利証、本人確認書類、印鑑証明書、固定資産税の納税通知書を揃えます。マンションであれば管理規約と長期修繕計画、土地であれば測量図と公図が加わります。購入時の売買契約書も探しておいてください。売却益が出た場合の取得費を証明する唯一の資料です。
ステップ3は査定です。 現地を確認したうえで金額が提示されます。ここで大切なのは、金額の根拠を確認することです。どの条件をどう評価したのか、説明を求めてください。相場観をつかむには、国土交通省の不動産価格指数や不動産情報ライブラリが役に立ちます。土地であれば国税庁の路線価図も参考になります。
たとえば、相続した実家を売ろうとして初めて登記が済んでいないと気づき、そこから戸籍の収集を始めたために数か月を要した、という例があります。ステップ1を先に済ませておく意味は大きいのです。
出典:国土交通省|不動産価格指数
国土交通省|不動産情報ライブラリ
国税庁|路線価図・評価倍率表
ステップ4〜5|条件の調整と売買契約
金額に納得できたら、契約へ進みます。ここで決めた条件が、その後のすべてを規定します。
ステップ4は条件の調整です。 決めるのは金額だけではありません。引き渡しの時期、残置物や家財の扱い、境界確定を誰が行うか、設備の不具合をどう扱うか。これらを事前に固めておかないと、決済の直前で揉めます。
買取であれば、引き渡し時期を売主の都合に合わせられる場合があります。住み替え先が決まるまで待ってもらう、家財を残したまま引き渡すといった調整も相談できます。
ステップ5は売買契約です。 契約書を取り交わし、手付金を受け取ります。契約書で必ず確認したいのは、手付金の額と解除の条件、引き渡しの期日、そして契約不適合責任の扱いです。買取では契約不適合責任が免責となる契約が一般的ですが、実際の効力は契約書の記載で決まります。
ここで注意すべき点があります。不動産の売買契約にクーリング・オフは原則として適用されません。契約を結んだあとで解除するには、手付金の放棄など相応の負担が生じます。その場での即決を求められても、書面を持ち帰って確認する時間を確保してください。
国民生活センターは、高額な金額を提示したあとで理由をつけて値下げを迫る手口について、繰り返し注意を呼びかけています。金額が動くのであれば、必ず説明があるはずです。契約する相手が宅地建物取引業の免許を受けている事業者かどうかも、国土交通省の検索システムで確認しておきましょう。
出典:国民生活センター|不動産売却トラブル注意喚起
国土交通省|建設業・宅建業者等企業情報検索
ステップ6〜7|決済当日の動きと引き渡し後
決済は、売却の山場です。当日は何が行われるのかを知っておきましょう。
ステップ6は決済と引き渡しです。 金融機関の応接室などに、売主、買主、司法書士、金融機関の担当者が集まります。所要時間は1時間から2時間程度です。
当日の流れは決まっています。まず司法書士が本人確認と書類の確認を行い、所有権移転登記が可能な状態かを判断します。次に買主から代金が振り込まれ、着金を確認します。住宅ローンが残っていれば、その場で完済して抵当権抹消の手続きに入ります。最後に鍵と関係書類を引き渡し、固定資産税や管理費を日割りで精算します。
登記は司法書士がその日のうちに法務局へ申請します。代金の受領と所有権の移転を同時に行うことで、どちらか一方だけが履行されるリスクを避ける仕組みです。
ステップ7は引き渡し後の手続きです。 売却益が出た場合、あるいは特例を使う場合には、翌年に確定申告を行います。譲渡所得の内訳書を作成し、確定申告書とあわせて提出します。
住民税は時期が異なります。確定申告の内容にもとづき、売却した翌年度の住民税として課されます。所得税を納めたあとに住民税の請求が来るため、資金を残しておく必要があります。
なお、自分が住んでいた自宅であれば、マイホームを売ったときの3,000万円の特別控除を使える可能性があります。これらの特例は確定申告をして初めて適用されるため、納税額がゼロになる場合でも申告は必要です。
出典:国税庁|土地や建物を売ったとき(譲渡所得)
国税庁|マイホームを売ったときの特例(3,000万円控除)
売却にかかる期間と、期間を左右する要因
「どれくらいで売れますか」という質問には、条件次第としか答えられません。何が期間を決めるのかを整理します。
| 要因 | 期間が延びる条件 | 対処の方向 |
|---|---|---|
| 売り方 | 仲介で買主を探す | 期限があるなら買取を検討 |
| 名義 | 相続登記が済んでいない | 登記の準備と査定を並行して進める |
| 境界 | 確定測量が必要 | 現況のまま引き取れる相手を選ぶ |
| 権利者 | 共有名義で合意が要る | 持分のみの売却も検討 |
| 融資 | 買主の住宅ローン審査 | 買取なら審査そのものがない |
最も大きいのが売り方です。仲介では買主が現れるまでの期間が読めず、契約後も買主の住宅ローン審査で止まることがあります。買取であればこの区間がありません。
次に効くのが名義です。相続登記が済んでいない不動産は、名義を移してからでなければ売却できません。相続登記は2024年(令和6年)4月1日から義務化されており、相続を知った日から3年以内の申請が求められます。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象です。戸籍の収集と遺産分割協議には時間がかかるため、登記の準備と査定は並行して進めるのが現実的です。
土地では境界の問題もあります。確定測量には隣地所有者全員の立会いが必要で、相手が遠方にいる、相続で名義が変わっていないといった事情があると数か月から年単位を要します。
売却にかかる費用と手取りの考え方
流れを把握したら、次は手元にいくら残るかです。売却価格から差し引かれるものを押さえましょう。
仲介で売る場合、まず仲介手数料が発生します。売却価格に連動するため、価格が高いほど負担も大きくなります。直接買取であれば、この費用はかかりません。
そのほかに、売買契約書に貼る印紙税、住宅ローンが残っている場合の抵当権抹消にかかる登録免許税と司法書士報酬が必要です。土地であれば測量費、古家があれば解体費、マンションでは管理費と修繕積立金の日割り精算も加わります。
税金は、売却益が出た場合に譲渡所得税と住民税が課されます。課税されるのは売却価格そのものではなく、そこから取得費と譲渡費用を差し引いた譲渡所得です。ここがマイナスであれば課税されません。
所有期間も税額に影響します。売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていれば長期譲渡所得、5年以下であれば短期譲渡所得となり、適用される税率が異なります。年をまたぐ判断が手取りを左右する場面もあります。
買取では、訪問査定で提示された金額から抵当権抹消などの実費を除いた分が、そのまま手元に残ります。手取りが確定するため、次の住まいの資金計画を立てやすくなります。
出典:国税庁|譲渡所得の計算のしかた(分離課税)
国税庁|長期譲渡所得の税額計算
つまずきやすい場面と対処
流れは決まっていても、途中で止まることはあります。よくある場面を挙げておきます。
購入時の契約書が見つからない場合。 取得費を証明できず、売却価格の5%を概算取得費として使うことになります。実際の取得費より低くなることがほとんどで、譲渡所得が大きく計算されます。購入した不動産会社や借入をした金融機関に写しが残っていないか、問い合わせてみる価値があります。
買主の住宅ローン審査が通らない場合。 仲介では、契約後に融資が下りず白紙解除となることがあります。築年数が経っている、再建築ができないといった条件では起こりやすくなります。買取であれば審査そのものがありません。
共有者の合意が取れない場合。 不動産全体の売却には共有者全員の同意が必要です。ただし、自分の持分だけであれば単独で売却できます。話がまとまらないときの出口として検討できます。
設備の不具合が引き渡し後に見つかった場合。 仲介では売主が契約不適合責任を負うのが原則です。築年数の経った物件では、事前に把握していない不具合が出てくることもあります。買取では免責となる契約が一般的です。
残置物の処分が進まない場合。 家財の処分には費用と手間がかかります。買取であれば、残したままの引き渡しを条件に含められる場合があります。
マーキュリーが選ばれる4つの理由|あらゆる不動産を価値ある未来へ
売却は、途中で止まる要因をどれだけ引き受けてもらえるかで期間が変わります。
① 権利調整に対応
共有名義、相続人が複数いる、境界が未確定、借地権が絡むといった状態でもご相談いただけます。権利関係を解きほぐしたうえで買い取ります。
② 再建築不可・訳あり物件の再生
旧耐震の建物、再建築不可の土地、事故のあった物件も対象です。一般の市場で買主の融資が通らない条件でも、再生を前提に評価いたします。
③ 相続対策をワンストップで
相続登記が済んでいない段階からご相談いただけます。司法書士や税理士と連携し、登記から売却までを一括して進められます。査定だけ先に受けることも可能です。
④ 直接買取で仲介手数料ゼロ・査定額がそのまま手取り
買主を探すのではなく、当社が直接買い取ります。買主の融資審査を待つ必要がないため、決済までの期間が読めます。仲介手数料はかからず、提示した金額がそのまま手取り額になります。
不動産売却の流れに関するよくある質問
売却の流れについて、お客様からよくいただくご質問をまとめました。
売却にはどれくらいの期間がかかりますか
仲介では数か月から半年以上、直接買取では数日から数週間が目安です。買主を探す工程があるかどうかで大きく変わります。
何から始めればよいですか
登記事項証明書で名義と抵当権の状況を確認するところからです。相続した不動産では、名義が亡くなった方のままというケースが多く見られます。
決済当日は何をしますか
司法書士による本人確認と書類確認、代金の受領、住宅ローンの完済と抵当権抹消、鍵と書類の引き渡し、税金の日割り精算を行います。1時間から2時間程度です。
住みながら売却できますか
できます。買取であれば内見の対応も不要で、引き渡し時期も相談のうえ調整できます。
相続登記が済んでいませんが査定だけ受けられますか
受けられます。登記の準備と並行して価格の見当をつけておけば、遺産分割の話し合いも進めやすくなります。
まとめ|マーキュリーへご相談ください
不動産売却の流れは決まっています。全体像を把握しておけば、いま何をすべきかで迷いません。
- ●期間を最も左右するのは、買主を探す工程があるかどうか
- ●最初にすべきは登記事項証明書での名義と抵当権の確認
- ●購入時の売買契約書は取得費を証明する唯一の資料。早めに探す
- ●決済では代金の受領と所有権移転を同時に行い、1〜2時間で完了する
- ●特例を使うなら確定申告が必要。納税額がゼロでも申告は要る
相続登記が済んでいない、境界が未確定、共有者と話がまとまらないといった事情がある不動産も、マーキュリーは直接買取で承ります。「まず何から始めればよいか分からない」という段階でも構いません。査定は無料で、ご相談だけでも歓迎いたします。





