「登記や相続の手続きで評価証明書が必要と言われたけれど、どこで取ればいいのかわからない」「名寄帳や課税明細書とは何が違うのか」。不動産の手続きを進める中で、評価証明書について迷う方は少なくありません。
評価証明書は、正式には固定資産評価証明書といい、土地や建物の評価額を公的に証明する書類です。登記・相続・売却など、不動産の価額を確認する場面で使われます。一方で、東京23区の登記申請では原則として不要とされているなど、使う場面によって扱いが異なる点に注意が必要です。
この記事では、評価証明書の意味と評価額の考え方、名寄帳・課税明細書・公課証明との違い、東京での取得場所と手数料、必要なもの、使う場面までを順に整理します。
東京都主税局の案内をもとに、23区と23区以外での違いにも触れていきます。手続きの前に、全体像をつかんでおきましょう。
評価証明書とは|固定資産課税台帳の登録事項を証明する書類
評価証明書とは、市区町村(東京23区では東京都)が管理する固定資産課税台帳に登録された事項を証明する書類です。記載されるのは、土地や家屋の所在・地番、地目や床面積、評価額、課税標準額などです。
固定資産税は、毎年1月1日時点で固定資産課税台帳に所有者として登録されている人に課税されます。評価証明書は、この台帳の内容を公的に証明するものであり、不動産の価額を示す資料として幅広い手続きで使われています。
東京23区の場合、評価証明書は今年度を含めて6年度分を発行でき、新年度の分は毎年4月1日から発行されます。過去の年度分が必要になる場面もあるため、何年度分が必要かを提出先に確かめてから申請するとよいでしょう。
たとえば、相続した実家の名義変更を司法書士に依頼すると、「最新年度の評価証明書を用意してください」と案内されることがあります。これは、登記にかかる税金の計算に評価額を使うためです。ただし、東京23区では後述のとおり課税明細書で足りる場合が多くなっています。
評価額とは何か|固定資産税評価額の基本
評価証明書に記載される評価額は、一般に「固定資産税評価額」と呼ばれます。固定資産税や都市計画税を計算するもとになる価格で、固定資産課税台帳に登録されている価格のことです。
評価額は、実際に売買される価格(時価)とは別のものです。市場での取引価格は、立地や需要、建物の状態などによって動きます。評価額は税金を計算するための公的な価格であるため、売却価格の目安としてそのまま使うことはできません。
また、評価額と課税標準額が一致しないこともあります。住宅用地には税負担を軽くする特例があるため、評価額より課税標準額が低く記載される場合があります。書類を見るときは、どの欄の金額が何を表しているかを確かめることが大切です。
評価額は、登記の登録免許税を計算するときにも使われます。課税標準となる「不動産の価額」は、原則として固定資産課税台帳に登録された価格とされています。登記の費用を見積もるうえでも、評価額の確認は欠かせません。
名寄帳・課税明細書・公課証明との違い
評価証明書とよく似た書類に、名寄帳、課税明細書、公課証明があります。いずれも固定資産税に関する書類ですが、記載内容や証明の効力、入手の方法が異なります。目的に合わない書類を取ると二度手間になるため、違いを押さえておきましょう。
名寄帳は、納税義務者が同じ区(市町村)に持つ物件すべての評価額などを一覧にした帳簿です。所有する不動産をまとめて把握できるため、相続財産の洗い出しに役立ちます。ただし、東京都では名寄帳に証明の効力はないとされています。
課税明細書は、毎年6月に届く固定資産税・都市計画税の納税通知書に同封される書類です。その年の1月1日時点の課税内容が記載されています。納税通知書と課税明細書は再発行できないため、大切に保管しておく必要があります。
公課証明は、評価証明書の記載内容に加えて、税額なども証明する書類です。東京都では「関係(公課)証明」と呼ばれています。
| 書類 | 主な記載内容 | 証明の効力 | 入手方法 |
|---|---|---|---|
| 評価証明書 | 評価額・課税標準額など | あり | 都税事務所・市町村に申請 |
| 名寄帳 | 同じ区にある所有物件の一覧と評価額など | なし | 都税事務所・市町村に申請 |
| 課税明細書 | その年の1月1日時点の課税内容 | 証明書ではない | 納税通知書に同封(再発行不可) |
| 公課証明(関係証明) | 評価証明の内容+税額など | あり | 都税事務所・市町村に申請 |
評価証明書を取得できる場所と取得できる人
評価証明書の申請先は、物件がある場所によって変わります。東京都の場合、23区と23区以外(多摩・島しょ部)で窓口が異なるため、まずは物件の所在地を確認しましょう。
東京23区の物件は都税事務所で申請する
23区にある物件の評価証明書は、23区にある都税事務所のどこでも申請できます。物件がある区の都税事務所でなくても申請できるのは、23区ならではの特徴です。窓口に行く時間が取れない場合は、郵送でも申請できます。
23区以外の物件は各市町村で申請する
多摩地域や島しょ部の物件は、東京都ではなく各市町村が固定資産税を扱っています。そのため、評価証明書は物件のある市役所・町村役場に申請します。受付窓口や申請方法は市町村ごとに異なるため、事前に確認しておくと安心です。
申請できる人
評価証明書を申請できるのは、納税義務者(所有者)本人のほか、その相続人、賃借人、代理人などです。所有者が亡くなった場合は、相続人が申請できます。家族が代わりに申請する場合は、代理人として委任状などを用意します。
| 物件の所在地 | 申請先 | 補足 |
|---|---|---|
| 東京23区 | 23区内の都税事務所(どこでも可) | 郵送での申請も可能 |
| 多摩地域・島しょ部 | 物件のある市町村 | 窓口や方法は市町村ごとに確認 |
評価証明書の手数料と必要なもの
評価証明書は有料で発行されます。東京23区の場合の手数料と、申請時に一般的に必要となるものを確認しておきましょう。23区以外の市町村では金額や必要書類が異なることがあります。
東京23区の手数料
東京23区の評価証明書は、1件目が400円、同じ所有者・同じ区の2件目以降は1件100円です。名寄帳は所有者ごとに300円です。たとえば、同じ区にある自宅の土地と建物の評価証明書をまとめて取る場合、1件目400円と2件目100円を合わせた金額になります。
| 書類 | 東京23区の手数料 |
|---|---|
| 評価証明書(1件目) | 400円 |
| 評価証明書(同じ所有者・同じ区の2件目以降) | 1件100円 |
| 名寄帳 | 所有者ごとに300円 |
申請に必要なもの
申請では、申請書のほか、窓口に来た人の本人確認書類が必要になるのが一般的です。代理人が申請する場合は委任状、相続人が申請する場合は相続関係がわかる戸籍などを求められます。必要な書類は申請する人の立場によって変わるため、東京都主税局や市町村の案内で確認しておきましょう。
評価証明書を使う場面|登記・相続・売却
評価証明書は、不動産の価額を確認する必要がある手続きで使われます。ここでは代表的な3つの場面を取り上げ、それぞれでの扱いを整理します。とくに登記では、東京23区の扱いが一般的な説明と異なる点に注意しましょう。
登記申請|東京23区では原則不要
所有権移転などの登記では、登録免許税を計算するために不動産の価額を確認します。東京23区は固定資産の価格を法務局に電子通知しているため、登記申請に評価証明書は原則不要とされています。納税通知書に同封の課税明細書(の写し)で足ります。
ただし、4月・5月に申請する場合は、新年度の価格が課税明細書でまだ確認できないため、評価証明書が必要です。非課税の物件なども評価証明が必要になります。23区以外の物件は扱いが異なることがあるため、管轄の法務局や依頼先の司法書士に確認しましょう。
出典:東京都主税局|固定資産の証明に関するよくあるお問合せ
法務局|不動産登記の申請書様式
相続|財産の把握と相続登記
相続では、亡くなった方が持っていた不動産を把握し、遺産分割や相続税の検討を進めます。評価証明書や名寄帳は、不動産の一覧と評価額を確認する資料として役立ちます。土地の相続税評価では、国税庁の路線価図も確認します。
相続登記は2024年4月1日から義務化され、相続を知った日から3年以内の申請が必要です。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象になります。評価額の確認は、登記費用の見積もりにもつながります。
出典:法務省|相続登記の申請義務化
国税庁|路線価図・評価倍率表
売却|固定資産税の精算や登記費用の確認
売却では、買主への所有権移転登記や、引き渡し日を基準にした固定資産税の精算などで評価額や税額を確認します。売却の相談時に課税明細書や評価証明書があると、物件の概要をスムーズに伝えられます。
売却を考えている方の準備|評価証明書とあわせて整えたいこと
不動産の売却を考えている方にとって、評価証明書や課税明細書は準備の出発点になります。物件の所在・地番・面積・評価額がひと目でわかるため、相談先に正確な情報を伝えやすくなります。
ただし、前述のとおり評価額は税金を計算するための価格であり、市場価格とは別物です。周辺の取引価格は、国土交通省の不動産情報ライブラリで地図から調べられます。
東京の地価は上昇が続いています。令和8年東京都基準地価格では、東京都全域の住宅地は5.8%、区部の住宅地は8.7%の上昇でした。評価額だけを見て売却価格を判断せず、実際の取引の動きもあわせて確認しましょう。
売却の方法には、仲介で買い手を探す方法と、不動産会社が直接買い取る方法があります。買取の場合、訪問査定で提示された金額がそのまま買取価格となり、手取り額になります。相続した実家を早く現金化したい場合などは、選択肢の一つになります。
| 準備するもの | 主な用途 |
|---|---|
| 課税明細書・評価証明書 | 所在・面積・評価額の確認 |
| 登記識別情報(権利証) | 所有権移転登記 |
| 本人確認書類 | 契約・登記の本人確認 |
| 相続関係の書類(相続した場合) | 相続登記・売主の確認 |
出典:国土交通省|不動産情報ライブラリ(成約価格・地価)
東京都|令和8年東京都基準地価格の概要
評価証明書についてよくある質問
評価証明書について、よく寄せられる質問にお答えします。申請の前に気になる点を確認しておきましょう。
評価証明書は何年度分まで取れますか
東京23区では、今年度を含めて6年度分を発行できます。新年度の分は毎年4月1日から発行されます。23区以外の市町村では扱いが異なる場合があるため、各市町村に確認しましょう。
登記申請には必ず評価証明書が必要ですか
東京23区の物件であれば、原則として不要で、課税明細書の写しで足ります。ただし、4月・5月の申請や非課税の物件などでは評価証明書が必要になります。
課税明細書をなくした場合は再発行できますか
東京都では、納税通知書と課税明細書は再発行できません。登記などで価格の確認が必要な場合は、評価証明書を申請して対応します。
所有者が亡くなった場合、家族は評価証明書を取れますか
相続人であれば申請できます。相続関係を確認できる書類を求められるのが一般的です。相続人でない家族は、代理人として委任状などを用意して申請します。
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まとめ|マーキュリーへご相談ください
評価証明書は、固定資産課税台帳に登録された評価額などを証明する書類です。似た書類との違いや、東京23区での扱いを押さえておくと、手続きを無駄なく進められます。
- ●評価証明書は、固定資産課税台帳の登録事項(評価額・課税標準額など)を証明する書類
- ●名寄帳は所有物件の一覧で証明の効力はなく、課税明細書は納税通知書に同封される
- ●23区の物件は23区内の都税事務所、23区以外は各市町村で申請する
- ●東京23区の手数料は1件目400円、同じ所有者・同じ区の2件目以降は1件100円
- ●23区の登記申請では原則不要で、課税明細書で足りる(4・5月の申請や非課税物件は必要)
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