借地契約の更新時期が近づき、地主から突然「更新料を支払ってください」と言われて戸惑う方も少なくありません。
「更新料はいくらが相場なのか」「そもそも支払う義務があるのか」「払わないと借地権を失ってしまうのか」と不安になる方もいるでしょう。
結論からいうと、借地権の更新料は法律で一律に金額や支払い義務が決められているものではありません。
実際に更新料を支払う必要があるかどうかは、借地契約書の内容や過去の更新時の取扱い、地主と借地権者との合意などによって判断します。
また、更新料の金額についても全国一律の基準はなく、地域の慣習や土地価格などによって異なります。実務上は、更地価格の2~5%程度が一つの目安として使われることがあります。
この記事では、借地権の更新料を支払う必要があるケース、更新料の相場と計算方法、旧法借地権・普通借地権の更新期間、地主から高額な更新料を請求されたときの対応までわかりやすく解説します。
借地権の更新料は支払う必要がある?
借地契約を更新するときに、地主から更新料の支払いを求められることがあります。
ただし、借地借家法などに「更新時には必ず更新料を支払わなければならない」と一律に定められているわけではありません。
そのため、更新料を請求された場合は、まず現在の借地契約書を確認しましょう。
契約書に、例えば次のような記載があるか確認します。
- 契約更新時に更新料を支払う旨の記載
- 更新料の計算方法
- 更新料の金額または割合
- 更新期間
- 更新時のその他の条件
契約書で更新料について明確に合意している場合は、その契約内容に基づいて支払いを検討することになります。
一方、契約書に更新料について何も書かれていない場合や、古い契約で契約書そのものが残っていない場合には、過去の支払い状況や地主との合意内容なども確認する必要があります。
判断が難しい場合は、自己判断で支払いを拒否するのではなく、弁護士などの専門家へ相談することをおすすめします。
借地契約は更新料を払わなくても更新される?
「更新料を払わなければ契約が終了してしまうのでは」と心配する方もいます。
普通借地権では、契約期間が満了したからといって、地主の意思だけですぐに借地権が終了するわけではありません。
借地権者が契約の更新を請求し、借地上に建物がある場合などには、法律上、従前の契約と同じ条件で更新される仕組みがあります。
地主が更新を拒絶する場合には、地主自身が土地を使用する必要性やこれまでの経緯、立退料の申出などを考慮した正当事由が必要になります。
そのため、「地主が更新を認めないと言えば必ず更地にして返さなければならない」というものではありません。
ただし、定期借地権は普通借地権とは仕組みが異なります。
定期借地権は原則として契約期間満了による更新がありません。 契約の種類を取り違えないよう、最初に契約書を確認してください。
借地権の更新料の相場はいくら?
更新料には法律で定められた全国共通の金額はありません。
地主と借地権者の契約内容、地域の慣習、土地価格、これまでの更新時の取扱いなどによって変わります。
実務上は、更地価格の2~5%程度が一つの目安として使われることがあります。
ただし、2~5%という数字も法律で決まった基準ではありません。
東京都心など土地価格が高い地域では金額そのものが大きくなりますし、過去の更新時に使われてきた計算方法がある場合には、その方法が参考にされることもあります。
借地権の更新料の計算方法
更新料を「更地価格の2~5%」で計算する場合、基本的には次のように考えます。
更地価格 × 更新料の割合 = 更新料の目安
更新料の計算例
例えば、更地としての土地価格が5,000万円だった場合を考えてみましょう。
2%の場合は、
5,000万円 × 2% = 100万円
5%の場合は、
5,000万円 × 5% = 250万円
となるため、このケースでは100万~250万円程度が一つの目安になります。
ただし、実際の更新料がこの範囲になるとは限りません。契約書で別の計算方法が定められている場合は、その内容を確認する必要があります。
路線価から更新料を計算できる?
土地価格を把握する方法の一つとして、国税庁が公表している路線価があります。
例えば、路線価図に「460C」と記載されている道路に面し、土地面積が50㎡の場合、単純計算では次のようになります。
46万円 × 50㎡ = 2,300万円
この2,300万円を基準に2~5%を掛けると、46万~115万円という計算になります。
ただし、ここで注意したいのは、路線価は実際の売買価格そのものではないという点です。
路線価は主に相続税や贈与税の土地評価に使われる価格です。実際の更地価格を判断するときは、公示地価や基準地価、周辺の取引事例なども参考にする必要があります。
路線価を確認したい場合は、国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」をご確認ください。
旧法借地権の契約期間と更新期間
1992年8月1日より前に設定された借地権には、原則として旧借地法が適用されます。
旧借地法では、建物が「堅固建物」か「非堅固建物」かによって契約期間が異なります。
| 堅固建物 | 非堅固建物 | |
|---|---|---|
| 最初の契約期間 | 30年以上 | 20年以上 |
| 期間を定めなかった場合 | 60年 | 30年 |
| 更新後の期間 | 30年以上 | 20年以上 |
| 更新期間を定めなかった場合 | 30年 | 20年 |
堅固建物とは、一般に鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造などを指し、非堅固建物には木造住宅などが含まれます。
旧法借地権は、現在でも相続や売買によって借地権者が変わったからといって、新法の普通借地権へ自動的に切り替わるわけではありません。
普通借地権(新法)の契約期間と更新期間
1992年8月1日以降に設定された普通借地権では、旧借地法のような堅固建物・非堅固建物による区別はありません。
| 区分 | 期間 |
|---|---|
| 最初の存続期間 | 30年以上 |
| 期間を定めなかった場合 | 30年 |
| 1回目の更新 | 20年以上 |
| 2回目以降の更新 | 10年以上 |
当事者間でこれより長い期間を定めた場合は、その期間が適用されます。
一方、借地権者に不利になるような短い期間を設定しても、法律上そのまま有効になるとは限りません。
旧法借地権と新法の違いについて詳しく知りたい方は、旧法借地権とは?借地権の種類や特徴をわかりやすく解説も参考にしてください。
更新料を払わないと借地契約を解除される?
更新料を請求されると、「払わなければ借地契約を解除されるのではないか」と心配になるかもしれません。
しかし、更新料を支払わなかったからといって、常に直ちに借地契約が終了するわけではありません。
そもそも更新料の支払い義務があるかどうかは、契約内容やこれまでの合意状況などによって異なります。
特に、契約書に更新料についての記載がなく、これまで更新料を支払ったこともない場合などは、地主から突然請求された金額をそのまま支払うべきか慎重に確認した方がよいでしょう。
ただし、地主との関係は借地契約が続く限り長期間続きます。
支払い義務があるかどうかだけを争点にして地主との関係が悪化すると、将来の建替えや借地権売却の際の話し合いに影響することも考えられます。
金額に納得できない場合は、契約書や過去の経緯を整理したうえで、地主と話し合うか、弁護士へ相談するとよいでしょう。
地主から高額な更新料を請求されたらどうする?
更新時に、想定していたより高額な更新料を請求されるケースもあります。
その場合は、すぐに支払う・拒否するのではなく、まず次の点を確認しましょう。
- 借地契約書に更新料の記載があるか
- 契約書に計算方法が定められているか
- 前回の更新ではいくら支払っているか
- 地主がどの価格を基準に計算しているか
- 周辺地域でどの程度の更新料が使われているか
例えば、地主が「更地価格の5%」と説明している場合でも、その更地価格をどのように算定したのかによって金額は大きく変わります。
路線価なのか、実勢価格なのか、不動産鑑定による価格なのかを確認するとよいでしょう。
話し合いで解決できない場合や、契約内容の解釈について争いがある場合は、弁護士への相談を検討してください。
更新時に地代の値上げを求められることもある
借地契約の更新時には、更新料だけではなく、地主から地代の増額を求められることもあります。
ただし、更新料と地代は別のものです。
更新料は契約更新時に一時金として支払う金銭であるのに対し、地代は土地を使用する対価として継続的に支払う金銭です。
地主から「更新料を払ううえに、来月から地代も上げたい」と言われるケースもあります。
今後の負担を考える際は、更新料だけではなく、更新後の地代がいくらになるのかも確認しておきましょう。
更新料を払うか迷ったら借地権の売却も選択肢
借地契約を更新するということは、今後もその土地を借り続けるということです。
自宅として長く住み続ける予定であれば、地主と条件を調整して更新することになるでしょう。
一方、相続したものの誰も住む予定がない、建物が老朽化している、更新料や地代の負担が大きいという場合は、更新する前に借地権の売却を検討する方法もあります。
借地権は土地そのものを所有していなくても財産的な価値があるため、売却することができます。
借地権の売却方法については、借地権は売却できる?相場・売却方法・地主の承諾や注意点を解説も参考にしてください。
売却する場合は地主の譲渡承諾や譲渡承諾料も関係するため、更新料だけを見て判断するのではなく、「このまま借地権を持ち続ける場合の費用」と「売却した場合の手取り額」を比較してみると判断しやすくなります。
借地権の更新料に関するよくある質問
借地権の更新料は必ず払わなければいけませんか?
法律上、借地契約を更新する場合に必ず更新料を支払うと一律に決められているわけではありません。
ただし、借地契約書に更新料について明確な取り決めがある場合などは、その契約内容に基づいて支払いが必要となる可能性があります。
借地権の更新料の相場はいくらですか?
全国一律の相場はありませんが、更地価格の2~5%程度が一つの目安として使われることがあります。
契約内容や土地価格、地域の慣習などによって変わります。
路線価で更新料を計算できますか?
更新料を考える際の参考として路線価を使うことはできます。
ただし、路線価は相続税評価などに使われる価格であり、実際の更地の市場価格と同じではありません。
更新料を払わないと土地を返さなければいけませんか?
更新料を支払わなかったという理由だけで、常に直ちに借地権がなくなるわけではありません。
支払い義務の有無や契約更新の扱いは契約内容・事情によって変わるため、地主から返還を求められた場合は専門家へ相談しましょう。
地主は借地契約の更新を拒否できますか?
普通借地権の場合、地主が契約更新を拒絶するには正当事由が必要です。
単に「契約期間が終わったので返してほしい」という理由だけで当然に借地権が終了するわけではありません。
定期借地権にも更新料はありますか?
定期借地権は原則として契約期間満了による更新がないため、普通借地権のような更新を前提とした更新料は通常問題になりません。
契約期間満了時の取扱いは契約内容によって異なるため、契約書を確認してください。
まとめ|借地権の更新料は契約書と金額の根拠を確認する
借地権の更新料は、法律で全国一律の支払い義務や金額が決められているものではありません。
実際に更新料を支払う必要があるかどうかは、借地契約書の内容、過去の更新時の取扱い、地主と借地権者の合意などによって判断します。
金額については、更地価格の2~5%程度が一つの目安として使われることがありますが、これも法律で決められた基準ではありません。
地主から更新料を請求された場合は、まず契約書を確認し、「何を基準に、どのように計算した金額なのか」を確認することが大切です。
また、更新料だけでなく、その後に支払う地代や建物の維持費も含めて今後の負担を考えましょう。
借地権を今後利用する予定がなく、更新料や地代の負担が大きい場合には、契約更新の前に売却価格を確認してみる方法もあります。
マーキュリーでは、借地権の更新時期を迎えている物件や、地主から更新料・地代の増額を求められている借地権についても売却・買取のご相談を承っています。現在の借地権にどの程度の価値があるのか確認したうえで、更新するか売却するかを比較してみてください。





