借地権の地代はいくら?相場・計算方法・値上げされた場合の対処法を解説

地代相場借地権地主契約書更新道路税負担訴訟固定資産税

最終更新日:2026/09/25

借地権を所有していると、地主へ毎月または一定期間ごとに「地代」を支払います。

ただ、「今払っている地代は高いのか安いのか」「地代はどうやって計算するのか」「地主から値上げを求められたら応じなければならないのか」と疑問に思う方も多いでしょう。

結論からいうと、借地権の地代には全国共通の一律相場や、法律で決められた計算式はありません。

地代は基本的に地主と借地権者の契約によって決まります。そのため、同じ地域で同じくらいの広さの土地でも、契約時期やこれまでの経緯によって地代が異なることがあります。

一方、地代が適正かどうかを見る際には、固定資産税・都市計画税、土地価格、近隣の地代、これまでの賃料改定状況などが参考になります。

実務上は、土地の固定資産税・都市計画税の合計額の3~5倍程度が一つの目安として使われることもありますが、これも法律で定められた相場ではありません。

この記事では、借地権の地代の相場や簡単な計算方法、不動産鑑定で用いられる4つの算定方法、地主から地代の値上げを求められた場合の対応、地代を受け取ってもらえない場合の供託まで解説します。

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借地権の地代とは?

地代とは、借地権者が地主の土地を使用する対価として支払う金銭です。

借地権では、借地権者が地主の土地の上に建物を所有しているため、土地を借りている間は契約に基づいて地代を支払い続けることになります。

地代の支払いは借地契約の基本的な義務です。

長期間にわたって地代を支払わず、地主との信頼関係が破壊されたと判断されるような場合には、借地契約の解除を求められる可能性もあります。

そのため、地代の金額について地主と争いがある場合でも、自己判断で支払いを完全に止めることは避けた方がよいでしょう。

借地権の地代の相場はいくら?

借地権の地代について、「坪単価はいくら」「土地価格の何%」という全国共通の相場はありません。

土地の所在地、広さ、利用方法、契約時期、地代改定の履歴などによって異なるためです。

一方、現在の地代が妥当かを大まかに確認する際には、土地にかかる固定資産税・都市計画税が参考になります。

実務上、住宅用の借地などでは、固定資産税と都市計画税の合計額の3~5倍程度を年間地代の目安として説明することがあります。

ただし、これはあくまで簡易的な目安です。

「固定資産税の3倍なら必ず適正」「5倍を超えていれば高すぎる」という判断はできません。

固定資産税から地代を計算する方法

地代の目安を簡単に確認したい場合は、固定資産税・都市計画税を基準に計算する方法があります。

例えば、土地にかかる年間の固定資産税と都市計画税の合計が20万円だったとします。

3倍の場合は、

20万円 × 3 = 年間60万円

5倍の場合は、

20万円 × 5 = 年間100万円

月額にすると、おおよそ5万円~8万3,000円程度です。

ただし、土地の税額は住宅用地特例などの影響を受ける場合もあります。単純な倍率だけで地代を決めるのではなく、これまでの契約内容や周辺の地代などとあわせて考える必要があります。

地代は誰がどのように決める?

借地契約を新しく結ぶ際の地代は、原則として地主と借地権者の合意で決まります。

そのため、同じ道路沿いにある隣り合った土地でも、契約を結んだ時期や地主が異なれば地代が違うことがあります。

特に古くから続く借地契約では、数十年前に決めた地代がそのまま続いているケースもあります。

逆に、更新や相続などをきっかけに、地主から現在の土地価格や税負担に合わせて地代を見直したいと言われることもあります。

適正な地代を算定する4つの方法

地主と借地権者の間で地代について意見が合わない場合など、より客観的な地代を求める必要があるときは、不動産鑑定の考え方が用いられます。

国土交通省の不動産鑑定評価基準では、継続中の土地賃貸借の賃料を評価する方法として、主に次の4つが挙げられています。

  • 差額配分法
  • 利回り法
  • スライド法
  • 賃貸事例比較法

実際の鑑定では一つの方法だけで決めるのではなく、複数の方法から求めた賃料を比較・調整して判断します。

国土交通省でも、継続賃料の鑑定ではこれら4手法を関連づけて決定する考え方を示しています。

詳しくは、国土交通省「不動産鑑定評価基準等」をご確認ください。

差額配分法

差額配分法とは、現在支払っている地代と、現在の土地価値などから考えた適正な地代との差額を求め、その差額を地主・借地権者へどの程度配分するのが妥当かを考える方法です。

例えば、現在の地代が月5万円で、現在の経済価値から考えると月10万円程度が適正と評価されたとしても、すぐに地代を10万円へ上げるとは限りません。

契約の内容、契約を結んだ経緯、これまでの地代改定などを考慮して調整します。

利回り法

利回り法は、土地の基礎価格に一定の利回りを掛けて純賃料を求め、固定資産税などの必要経費を加えて地代を算定する考え方です。

土地価格だけでなく、過去に地代を決めた時点の利回りや、その後の地価変動、周辺の賃貸事例なども考慮します。

地価が大きく上昇・下落している地域では、単純に現在の土地価格へ一定の利回りを掛けるだけでは適正な地代にならないこともあります。

スライド法

スライド法は、前回地代について合意した時点の金額を基準に、その後の物価・土地価格・所得水準などの変化を反映して現在の地代を求める方法です。

長期間地代を変更していない借地などで、以前の地代から現在までの経済事情の変化をどの程度反映するかを考える際に使われます。

賃貸事例比較法

賃貸事例比較法は、周辺にある類似した土地の地代事例と比較して適正な地代を求める方法です。

考え方としては分かりやすいものの、借地契約では契約時期、権利金の有無、更新料、これまでの経緯などが物件ごとに異なります。

そのため、本当に比較できる継続地代の事例を集めることが難しい場合があります。

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地主から地代の値上げを求められたら応じる必要がある?

地主から突然、「来月から地代を上げます」と言われることがあります。

地主が地代の増額を求めること自体は可能ですが、地主が希望する金額へ自動的に変更されるわけではありません。

借地借家法11条では、現在の地代が次のような事情によって不相当になった場合、地主・借地権者のどちらからでも将来に向かって地代の増減を請求できると定められています。

  • 固定資産税など土地に対する租税・公課が増減した
  • 土地価格が上昇・下落した
  • その他の経済事情が変化した
  • 近隣の類似した土地の地代と比べて不相当になった

なお、「一定期間は地代を増額しない」という特約がある場合には、その期間中はその定めが優先されます。

借地借家法11条については、e-Gov法令検索「借地借家法」でも確認できます。

地代の値上げに納得できない場合はどうする?

地主から地代の増額を求められたものの、金額に納得できない場合は、まず増額の根拠を確認しましょう。

  • 固定資産税・都市計画税がどの程度上がったのか
  • 土地価格がどの程度変化しているのか
  • 近隣の地代はいくらなのか
  • 最後に地代を変更したのはいつなのか
  • 契約書に地代改定についてどのような記載があるか

地主と借地権者の話し合いで金額がまとまれば、新しい地代で契約を続けます。

話し合いがまとまらず、法的な手続きへ進む場合、地代の増減請求については原則として訴訟の前に民事調停を申し立てる必要があります。

これは民事調停法24条の2で定められており、いわゆる「調停前置」と呼ばれています。

調停前置については、e-Gov法令検索「民事調停法」をご確認ください。

地代増額の争いが解決するまでいくら払えばいい?

地主から地代を値上げすると言われても、話し合いや裁判が終わるまで地代を支払わなくてよいわけではありません。

借地借家法11条では、地代の増額について合意できない場合、増額を正当とする裁判が確定するまでは、借地権者は自分が相当と認める額を支払えばよいとされています。

ただし、最終的に裁判で増額が認められ、それまで支払っていた金額では不足していた場合には、その差額を精算する必要があります。

さらに法律上、不足額には年10%の割合による支払期後の利息を付して支払うこととされています。

反対に、地代の減額が認められ、地主が受け取っていた金額が多すぎた場合には、超過分に年10%の利息を付して返還する規定があります。

そのため、増額請求を受けた際に極端に低い金額を自己判断で支払い続けるのも注意が必要です。

地主が地代を受け取ってくれない場合は供託を検討する

地代の値上げや土地の明け渡しをめぐって地主とトラブルになり、地主が地代を受け取ってくれないことがあります。

しかし、地主が受け取らないからといって地代をそのまま支払わずに放置すると、後から「地代を支払っていない」と問題になる可能性があります。

このような場合に利用できる制度が弁済供託です。

地主へ適切に地代を支払おうとしたにもかかわらず受領を拒否された場合などには、法務局の供託所へ地代を供託することで、地代の支払債務を免れることができます。

また、地主が死亡したものの相続人が分からない場合など、誰に支払えばよいか借地権者の責任では判断できないケースでも供託できる場合があります。

法務省も、地代の受取拒否や地主の所在不明、相続人が分からない場合などを弁済供託の例として案内しています。

詳しくは、法務省「供託Q&A」をご確認ください。

地代の供託をするときの注意点

地主から値上げを要求されたという理由だけで、いきなり法務局へ供託すればよいわけではありません。

受領拒否を理由に供託する場合は、原則としてまず地主へ適切な金額の地代を支払おうとする「弁済の提供」を行い、それでも地主が受け取らなかったことが必要です。

法務省も、単に値上げ要求を受けただけでは「受領拒否」が明確とはいえず、まず貸主に賃料を提供する必要があると案内しています。

地主との間で争いがある場合は、供託する金額や方法について弁護士や法務局へ確認してから進めるとよいでしょう。

相続で地主が代替わりし、連絡がつかない場合はどうする?

古くから続く借地では、地主が亡くなり、その後誰が土地を相続したのか分からないケースがあります。

地主が変わったからといって、地代の支払い義務がなくなるわけではありません。

相続人が分からない、地主の連絡先が分からないなど、借地権者の責任では地代を支払えない場合には、供託を利用できる可能性があります。

地主が死亡し、その相続人が誰なのか分からない場合についても、法務省は弁済供託が利用できるケースとして案内しています。

地代を長期間支払わない状態のままにせず、早めに法務局や専門家へ確認しましょう。

地代が高い・値上げされたことを理由に借地権を売却できる?

地主から地代の増額を求められ、今後の負担が大きくなることを理由に借地権の売却を考える方もいます。

借地権には財産的な価値があるため、地主や第三者、不動産会社などへ売却することが可能です。

ただし、第三者へ土地賃借権を譲渡する場合には、原則として地主の承諾が必要になります。

また、現在の地代は借地権の売却価格にも影響します。

同じような土地でも、地代が月3万円の借地権と月10万円の借地権では、買主が購入後に負担する金額が異なるためです。

借地権の売却については、借地権は売却できる?相場・売却方法・地主の承諾や注意点を解説も参考にしてください。

地主との地代トラブルについては、借地権のトラブル!様々なトラブルが潜んでいますでも解説しています。

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借地権の地代に関するよくある質問

借地権の地代はいくらが相場ですか?

法律で決められた全国一律の相場はありません。実務上は、土地の固定資産税・都市計画税の合計額の3~5倍程度が一つの目安として使われることがありますが、契約内容や地域、土地の利用状況などによって異なります。

固定資産税の3倍が適正地代ですか?

必ずしもそうではありません。固定資産税・都市計画税の3~5倍という考え方は、地代を確認するための簡易的な目安の一つです。法律で定められた計算方法ではないため、土地価格や近隣の地代、これまでの契約内容などもあわせて確認する必要があります。

地主は自由に地代を値上げできますか?

地主が地代の増額を請求することはできますが、地主が希望する金額へ当然に変更されるわけではありません。固定資産税などの負担、土地価格、経済事情、近隣の地代などの変化によって、現在の地代が不相当になっているかがポイントになります。

地代の値上げに納得できない場合は今までの金額を払えばいいですか?

地代の増額について合意できない場合、借地借家法では、決着するまで借地権者が自分で相当と認める額を支払うことができるとされています。ただし、最終的に増額が認められた場合は不足額と利息を支払う必要があるため、金額について争いがある場合は専門家への相談をおすすめします。

地主が地代を受け取ってくれない場合はどうすればいいですか?

適切に地代を支払おうとしても地主が受領を拒否した場合は、法務局への弁済供託を利用できる場合があります。地代を支払わずに放置せず、供託できる条件を確認しましょう。

地主が亡くなり誰に地代を払えばいいか分かりません

地主が死亡し、相続人が誰なのか分からない場合などには、弁済供託を利用できる可能性があります。地代未払いの状態を長期間放置せず、法務局や専門家へ確認しましょう。

まとめ|地代は固定資産税だけでなく契約内容や周辺相場も確認する

借地権の地代には、全国一律の相場や法律で決められた計算式はありません。

実務上は固定資産税・都市計画税の3~5倍程度が一つの目安として使われることがありますが、これはあくまで簡易的な目安です。

実際に適正な地代を判断するときは、土地価格、近隣の地代、これまでの契約内容や地代改定の経緯なども確認する必要があります。

地代について地主と借地権者の意見が合わない場合には、差額配分法、利回り法、スライド法、賃貸事例比較法などを使って不動産鑑定士が適正な継続地代を判断することもあります。

また、地主から地代の増額を求められた場合でも、提示された金額をそのまま受け入れなければならないわけではありません。

一方で、金額に納得できないからといって地代の支払いを止めてしまうのも避けるべきです。地主が受け取らない場合には供託を利用できるケースもあります。

マーキュリーでは、地代の値上げや地主との関係に悩んでいる借地権についても、売却・買取のご相談を承っています。地代負担を含めて今後借地権を持ち続けるべきか迷っている場合は、現在の借地権の売却価格と比較してみるのも一つの方法です。

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