毎年9月になると「基準地価が発表された」というニュースを目にします。ただ、地価公示や路線価、固定資産税評価額など、土地の価格を示す指標はいくつもあり、違いがわかりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。
基準地価は、都道府県が毎年7月1日時点の土地の価格を調べて公表するもので、土地取引や地価の動きを知るための大切な目安です。一方で、個別の土地がいくらで売れるかをそのまま示すものではありません。
この記事では、基準地価の意味と地価公示・路線価・固定資産税評価額との違い、令和8年の基準地価の結果、ご自身の土地の近くの基準地価の調べ方、売却を考えるときの使い方までを順に整理します。
ニュースの数字をご自身の不動産にどう当てはめるかを考える手がかりにしてください。
基準地価とは?都道府県地価調査の基本をおさえる
基準地価とは、都道府県が行う「都道府県地価調査」によって公表される土地の価格のことです。国土利用計画法施行令に基づき、都道府県知事が毎年7月1日時点における基準地の1㎡当たりの価格を調査し、公表します。ニュースなどでは「基準地価」と呼ばれることが多く、この記事でもその呼び方で説明します。
基準地は、その地域で土地の利用状況や環境などが標準的と考えられる地点から選ばれます。令和8年の調査では、全国21,466地点が対象になりました。公表は毎年9月で、令和8年は9月16日に公表されています。
基準地価の主な役割は、一般の土地取引における価格の目安を示すことです。土地の価格には売り手と買い手の事情が反映されやすいため、公的な立場から標準的な価格を示すことに意味があるのです。
たとえば、都内で相続した土地の売却を考え、周辺の地価の傾向を知りたいとき、基準地価は手軽に確かめられる公的な数字の一つです。
| 項目 | 基準地価(都道府県地価調査)の内容 |
|---|---|
| 調査・公表する機関 | 都道府県知事 |
| 根拠となる法令 | 国土利用計画法施行令 |
| 価格の時点 | 毎年7月1日 |
| 公表の時期 | 毎年9月(令和8年は9月16日) |
| 価格の単位 | 基準地の1㎡当たりの価格 |
| 令和8年の地点数 | 全国21,466地点 |
基準地価と地価公示の違い|調査時期と地点で補い合う関係
基準地価とよく似た指標に「地価公示」があります。地価公示は、国土交通省の土地鑑定委員会が毎年1月1日時点の標準地の価格を判定し、3月に公示するものです。どちらも土地の標準的な価格を示す公的な指標ですが、調査する主体と時点が異なります。
基準地価は7月1日時点、地価公示は1月1日時点の価格です。そのため、両方をあわせて見ると、半年ごとの地価の動きをつかみやすくなります。たとえば、年の前半に地価の勢いが強まったのか、落ち着いてきたのかを確かめる手がかりになります。
また、調べる地点もそれぞれ別に選ばれています。国土交通省は、両者を調査時期と地点の両面で相互に補完する関係と位置づけています。
| 項目 | 基準地価(都道府県地価調査) | 地価公示 |
|---|---|---|
| 実施する機関 | 都道府県知事 | 国土交通省 土地鑑定委員会 |
| 価格の時点 | 7月1日 | 1月1日 |
| 公表の時期 | 9月 | 3月 |
| 令和8年の地点数 | 全国21,466地点 | 全国26,000地点(うち435地点は休止) |
| 性格 | 地価公示を補完する都道府県の調査 | 国による土地の標準価格の公示 |
なお、令和8年地価公示でも、全国の全用途平均・住宅地・商業地のいずれも5年連続で上昇しています。全国の変動率は全用途平均2.8%、住宅地2.1%、商業地4.3%でした。1月時点と7月時点のどちらで見ても、上昇が続いていることがわかります。
出典:国土交通省|地価公示(制度の概要)
国土交通省|令和8年地価公示の概要
基準地価と路線価・固定資産税評価額の違い
土地の価格には、基準地価と地価公示のほかにも、税金の計算に使う「路線価」や「固定資産税評価額」があります。目的が違えば価格の決め方も違うため、同じ土地でも指標ごとに金額が異なるのが一般的です。ここでは、それぞれの目的と調べ方の違いを整理します。
路線価は相続税・贈与税の計算に使う価格
路線価は、国税庁が公表する、道路に面した土地の1㎡当たりの価格です。主に相続税や贈与税を計算するときの土地の評価に使われます。路線価が定められていない地域では、固定資産税評価額に一定の倍率をかける「倍率方式」で評価します。路線価図と評価倍率表は、国税庁のサイトで調べられます。
固定資産税評価額は固定資産税などの課税に使う価格
固定資産税評価額は、固定資産税や都市計画税を計算するもとになる価格で、固定資産課税台帳に登録されています。東京23区では都税事務所が扱い、毎年6月ごろに届く納税通知書に同封の課税明細書で確かめられます。登記にかかる登録免許税の課税標準も、原則としてこの台帳の価格が使われます。
| 指標 | 決める機関 | 主な目的 | 調べ方 |
|---|---|---|---|
| 基準地価 | 都道府県 | 土地取引の目安 | 国土交通省・都道府県の公表資料、不動産情報ライブラリ |
| 地価公示 | 国土交通省 | 土地取引の目安 | 国土交通省の公表資料、不動産情報ライブラリ |
| 路線価 | 国税庁 | 相続税・贈与税の計算 | 国税庁の路線価図・評価倍率表 |
| 固定資産税評価額 | 市町村(23区は東京都) | 固定資産税などの課税 | 課税明細書、固定資産評価証明書 |
4つの指標は目的が異なるため、ある指標から別の指標の金額を一律に割り出すのは難しいと考えておきましょう。売却の検討には基準地価や地価公示、相続の税金には路線価、というように、目的に合った指標を使うのが基本です。
令和8年の基準地価の結果|全国は5年連続で上昇
令和8年の都道府県地価調査では、全国の全用途平均・住宅地・商業地のいずれも5年連続で上昇しました。地価の上昇傾向が、全国的に続いていることを示す結果です。
全国の変動率は、全用途平均が1.5%、住宅地が1.0%、商業地が2.9%でした。住宅地より商業地の上昇が大きい傾向が見られます。
三大都市圏では、東京圏と大阪圏で上昇幅が拡大した一方、名古屋圏は上昇幅が縮小しました。東京圏の変動率は、全用途平均5.4%、住宅地4.0%、商業地8.9%で、全国平均を大きく上回っています。また、地方圏も4年連続で上昇しました。
| 区分 | 全用途平均 | 住宅地 | 商業地 |
|---|---|---|---|
| 全国 | 1.5% | 1.0% | 2.9% |
| 東京圏 | 5.4% | 4.0% | 8.9% |
たとえば東京圏の住宅地は、全国平均より高い上昇率が続いています。ただし圏域全体の平均なので、個別の土地の水準は地点ごとの数字で確かめましょう。
出典:国土交通省|令和8年都道府県地価調査
国土交通省|令和8年都道府県地価調査の概要
令和8年の東京都基準地価|区部は726地点すべてで上昇
東京都は、都内1,295地点を対象に令和8年の東京都基準地価格を公表しました。東京都全域の変動率は、住宅地が5.8%、商業地が11.4%、全用途が7.9%で、全用途は14年連続のプラスとなっています。
特に上昇が目立つのが区部です。区部の住宅地の変動率は8.7%で、区部では726地点のすべてで価格が上昇しました。区部の住宅地で上昇率が最も高かったのは港区の16.3%で、台東区の15.6%、文京区の13.8%が続いています。
| 区分 | 変動率 |
|---|---|
| 東京都全域・住宅地 | 5.8% |
| 東京都全域・商業地 | 11.4% |
| 東京都全域・全用途 | 7.9%(14年連続のプラス) |
| 区部・住宅地 | 8.7% |
| 区部の住宅地で上昇率が最も高い区 | 港区 16.3%(台東区 15.6%、文京区 13.8%) |
区部で土地や家を持つ方にとっては、資産の水準を確かめておくよい機会といえます。ただし、上昇率はあくまで基準地の平均的な動きです。旗竿地や再建築不可の土地、借地権付きの土地などは、周辺の基準地価と同じように価格が動くとは限りません。
基準地価の調べ方|不動産情報ライブラリで地図から探す
自分の土地の近くの基準地価を知りたいときは、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」が便利です。地図上で地域を選ぶと、近くの基準地や地価公示の標準地の価格を確かめられます。あわせて、実際の不動産の取引価格や成約価格の情報も調べられます。
調べ方の流れは、次のとおりです。
- ●不動産情報ライブラリを開き、地図で調べたい地域を表示する
- ●地価公示・都道府県地価調査の地点を表示して、近くの地点を選ぶ
- ●1㎡当たりの価格や、過去の価格の推移を確認する
- ●取引価格・成約価格の情報もあわせて見て、実際の取引の水準をつかむ
相続税の計算が目的なら国税庁の路線価図、固定資産税の評価額なら課税明細書と、目的に合わせて調べる先を使い分けましょう。
たとえば世田谷区の自宅なら、近くの基準地のうち用途や前面道路の条件が似た地点を選ぶと、水準をつかみやすくなります。
基準地価と実際の売買価格の関係|売却での使い方
基準地価は、あくまで標準的な地点の土地の価格を示す指標です。実際の売却価格は、形や広さ、前面道路、建物の状態、権利関係など、その不動産ならではの条件で決まります。基準地価に土地の面積をかけた金額が、そのまま売れる価格になるわけではありません。
基準地価は相場の「方向」をつかむのに役立つ
基準地価が役立つのは、地域の地価が上がっているのか横ばいなのかという「方向」をつかむ場面です。近くの基準地の推移を見ておくと、提示された金額の背景を理解しやすくなります。
提示額の根拠を確認する
宅地建物取引業者が売買すべき価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならないと宅地建物取引業法で定められています。提示された金額については、周辺の地価や取引事例をどう反映したのかを遠慮なく確かめましょう。
買取なら提示額がそのまま手取りになる
不動産会社に直接買い取ってもらう場合は、訪問査定で提示された金額がそのまま買取価格となり、手取り額になります。仲介手数料はかかりません。再建築不可や借地権付きなど、周辺の基準地価どおりに評価されにくい土地でも、その物件タイプに強い会社であれば活用を前提とした価格を提示できることがあります。
出典:e-Gov法令検索|宅地建物取引業法
国民生活センター|不動産売却トラブル注意喚起
基準地価についてよくある質問
最後に、基準地価について寄せられることの多い質問にお答えします。ニュースで数字を見たときや、ご自身の土地について調べるときの参考にしてください。個別の土地については、公表資料や専門家の説明で確かめるようにしましょう。
基準地価はいつ公表されますか
毎年7月1日時点の価格が9月に公表され、令和8年は9月16日でした。1月1日時点の地価公示とあわせて、半年ごとに地価の動きを確かめられます。
自分の土地そのものの基準地価はわかりますか
基準地価は都道府県が選んだ基準地の価格で、すべての土地に付いているわけではありません。近くの基準地や標準地の価格を目安に、条件の違いを考えて水準をつかむのが一般的です。
基準地価が上がると固定資産税も上がりますか
固定資産税は、固定資産課税台帳に登録された価格をもとに計算されます。基準地価の上昇率がそのまま税額に反映されるわけではありません。毎年の課税明細書で確認しましょう。
基準地価が高いうちに売ったほうがよいですか
売り時は、地価の動きだけでなく、住み替えや相続の事情、建物の状態によって変わります。地価の上昇は検討のきっかけになりますが、ご自身の事情にあわせて判断しましょう。
マーキュリーが選ばれる4つの理由|あらゆる不動産を価値ある未来へ
公的な指標だけでは測りきれない土地ほど、物件の事情を読み解き、活用の道を描ける力が問われます。マーキュリーが多くの方に選ばれている理由をご紹介します。
① 権利調整に対応
借地権・底地・共有持分など、権利関係が複雑な物件の取扱い実績が豊富です。地主や共有者との交渉、境界の調整まで自社で一貫して対応し、売主の負担を最小限に抑えて取引を前に進めます。
② 再建築不可・訳あり物件の再生
再建築不可・違法建築・傾斜地・狭小地・ゴミ屋敷状態など、活用が難しい物件も自社で再生して価値を生み出します。不動産開発事業を手がけており、買取後の活用・再販まで自社で完結できる体制です。
③ 相続対策をワンストップで
相続税の納税資金の確保、遺産分割、共有名義の整理など、単なる売却にとどまらないサポートが可能です。税理士や司法書士との連携により、税務・登記・売却を一括で進められます。
④ 直接買取で仲介手数料ゼロ・査定額がそのまま手取り
自社で直接買い取るため、仲介手数料がかかりません。査定額がそのまま買取金額として確定するため、資金計画が立てやすくなります。契約不適合責任も原則免責のため、引渡し後の心配がありません。
まとめ|マーキュリーへご相談ください
基準地価は、都道府県が7月1日時点の基準地の価格を調べて9月に公表する、土地取引の目安です。地価公示とあわせると、半年ごとの地価の動きをつかめます。
- ●基準地価は都道府県知事が調べる7月1日時点の価格で、毎年9月に公表される
- ●地価公示(1月1日時点)とは、調査時期と地点の両面で補い合う関係にある
- ●路線価は相続税・贈与税、固定資産税評価額は固定資産税の計算に使う価格
- ●令和8年は全国の全用途平均・住宅地・商業地のいずれも5年連続で上昇した
- ●東京都の区部は住宅地が8.7%上昇し、726地点のすべてで上昇した
- ●実際の売買価格は個別の条件で決まるため、基準地価は相場の方向をつかむ目安として使う
東京で売却を考えている方は、基準地価で地域の動きを確かめたうえで、ご自身の不動産の条件を踏まえた価格を知ることが大切です。マーキュリーは、借地権や再建築不可など、周辺の地価どおりに評価されにくい不動産も直接買取で承ります。査定は無料で、ご相談だけでも歓迎いたします。





