住宅ローンの返済が難しくなり任意売却を検討しているものの、「期限までに買主が見つかるのだろうか」と不安に感じる方も多いでしょう。
任意売却では、一般の買主を探す「仲介」だけでなく、不動産会社に直接買い取ってもらう方法も選択肢になります。
直接買取であれば一般の買主を探す必要がないため、販売期間を短縮しやすく、競売手続きが進んでいて時間に余裕がない場合にも検討しやすい方法です。
ただし、任意売却であれば自由に買取を選べるわけではありません。住宅ローンを完済できない価格で売却する場合には、抵当権を抹消してもらうために金融機関や保証会社など債権者の同意が必要です。
また、買取価格は仲介で一般の買主へ売却する場合より低くなることもあるため、「早く売れるから買取が必ず有利」とは限りません。
この記事では、任意売却で買取会社を利用する6つのメリット、デメリット、仲介との違い、買取が向いているケース、買取会社を選ぶ際の注意点まで解説します。
任意売却でも不動産会社による直接買取は利用できる
任意売却とは、住宅ローンの残高が不動産の売却代金を上回っており、通常の方法では住宅ローンを完済できない場合などに、金融機関等の債権者から同意を得て不動産を売却する方法です。
通常の不動産売却では、売却時に住宅ローンを完済し、金融機関が設定している抵当権を抹消する必要があります。
しかし、売却代金だけでは住宅ローンを完済できず、不足額を自己資金でも用意できない場合は、そのままでは抵当権を抹消できません。
そこで債権者と協議し、売却価格や売却代金の配分などについて同意を得て、残債が残る状態でも抵当権を外してもらうのが任意売却です。
売却方法には、主に次の2つがあります。
| 売却方法 | 特徴 |
|---|---|
| 仲介 | 不動産会社が一般の買主を探す。高く売れる可能性がある一方、買主が決まるまで時間がかかることがある |
| 買取 | 不動産会社が直接買主になる。買主探しが不要で、売却時期を見通しやすい |
任意売却だから仲介しか利用できないということはなく、債権者が買取価格や売却条件を認めれば、不動産会社への直接買取で進めることも可能です。
任意売却そのものの仕組みについては、任意売却とは?競売との違いやメリット・デメリットを解説も参考にしてください。
任意売却で買取会社を利用する6つのメリット
1.一般の買主を探す必要がない
買取の大きなメリットは、不動産会社自身が買主になることです。
仲介では、不動産情報を公開し、内覧などを行いながら購入希望者を探す必要があります。
販売を開始してもすぐに買主が見つかるとは限らず、価格や物件の状態によっては数か月以上売れないこともあります。
一方、買取では不動産会社が査定を行い、価格などの条件がまとまれば、その会社がそのまま買主になります。
競売手続きが進んでいて販売期間を十分に確保できない場合には、買主探しが不要であることは大きなメリットです。
2.売却できる時期を見通しやすい
任意売却では、いつまででも販売活動を続けられるわけではありません。
競売手続きが進行すると、売却できる期間は徐々に限られていきます。
ただし、「任意売却は必ず4か月以内」など全国一律の期限が決められているわけではありません。
競売手続きの進行状況や債権者の方針などによって、任意売却できる期間は異なります。
買取の場合は一般の買主が現れるまで待つ必要がないため、債権者との条件がまとまれば決済時期を設定しやすくなります。
3.住宅ローン特約によるキャンセルリスクを抑えやすい
仲介で個人へ売却する場合、買主が住宅ローンを利用するケースが多くあります。
売買契約を締結しても、金融機関の審査に通らず住宅ローンを利用できなければ、住宅ローン特約によって契約が解除される場合があります。
任意売却では時間が限られているため、買主が決まった後に契約が白紙になると大きな影響があります。
不動産会社による直接買取では、一般個人の住宅ローン審査を前提としないことが多いため、このようなキャンセルリスクを抑えやすい点がメリットです。
4.現況のまま売却できる場合がある
任意売却を検討している状況では、売却前に多額の修繕費やリフォーム費用を負担するのが難しいケースもあります。
買取会社によっては、次のような状態でも現況のまま買取を検討できます。
- 建物が老朽化している
- 雨漏りなど不具合がある
- 室内に荷物や残置物がある
- リフォームしていない
- 土地の測量が済んでいない
売却前に修繕・リフォームを行わずに済めば、売主の持ち出し費用を抑えながら売却できる可能性があります。
5.契約不適合責任を限定できる場合がある
不動産を売却した後、契約内容に適合しない不具合が見つかった場合、売主が契約不適合責任を負うことがあります。
例えば、売買契約で説明していた内容と異なる雨漏りや設備の不具合などです。
買取会社との売買では、売買契約の内容によって売主の契約不適合責任を免責または限定するケースがあります。
ただし、買取会社へ売れば自動的に契約不適合責任がなくなるわけではありません。
実際にどこまで責任を負うのかは売買契約書によって決まるため、契約前に確認しておきましょう。
6.仲介手数料がかからない
不動産会社が直接買主となる買取では、不動産会社が売主と買主を仲介するわけではありません。
そのため、その買取会社に支払う仲介手数料は通常発生しません。
任意売却では売却代金から仲介手数料などの売却費用を配分する場合がありますが、直接買取であれば仲介手数料分の費用を抑えられる可能性があります。
任意売却を買取会社へ依頼するデメリット
任意売却で直接買取を利用することにはメリットがありますが、デメリットもあります。
仲介より買取価格が低くなる場合がある
買取会社は、不動産を取得した後にリフォーム・権利調整・再販売などを行います。
そのため、その費用やリスクなどを考慮した価格で買い取ることになり、一般の個人へ仲介で売却する場合より価格が低くなることがあります。
任意売却では売却価格が高いほど住宅ローンの残債を減らせるため、時間に余裕があるのであれば、仲介で売却できる可能性も含めて比較した方がよいでしょう。
査定価格だけで売却を決められない
通常の不動産買取であれば、売主と買取会社が価格に合意すれば売買を進められます。
しかし、任意売却では住宅ローンを完済できないため、抵当権を抹消してもらうには債権者の同意が必要です。
そのため、買取会社から査定価格を提示されても、債権者がその価格での売却を認めなければ任意売却を進められない場合があります。
会社によって任意売却の経験に差がある
不動産を直接買い取っている会社であれば、どこでも任意売却に詳しいとは限りません。
任意売却では、通常の買取査定に加えて、住宅ローン残高、抵当権、差押え、債権者が認める売却条件などを確認する必要があります。
会社を選ぶときは、買取実績だけでなく任意売却の取扱経験も確認しましょう。
任意売却は仲介と買取のどちらがいい?
任意売却では、「仲介がよい」「買取がよい」と一律に決めることはできません。
| 比較項目 | 仲介 | 買取 |
|---|---|---|
| 売却価格 | 市場価格に近い価格で売れる可能性がある | 仲介より低くなる場合がある |
| 買主探し | 必要 | 不要 |
| 売却時期 | 買主次第で読みにくい | 条件がまとまれば予定を立てやすい |
| 住宅ローン特約 | 個人の買主では問題になることがある | 一般個人の住宅ローンを前提としないことが多い |
| 現況売却 | 可能だが買主が見つかりにくくなる場合がある | 対応できる会社が多い |
| 仲介手数料 | 必要 | 直接買取なら通常不要 |
例えば、競売まである程度時間があり、需要の高い物件であれば、まず仲介でできるだけ高い価格を目指す方法があります。
一方、競売手続きが進んでいる、仲介で一定期間販売しても買主が見つからない、建物の状態が悪いといった場合は、直接買取が有力な選択肢になります。
任意売却で買取会社が向いているケース
次のようなケースでは、買取会社への直接売却を検討する価値があります。
- 競売手続きが進み、売却できる時間が少ない
- 仲介で販売しているが買主が見つからない
- 買主の住宅ローン否決で契約が流れるのを避けたい
- 建物が古くリフォーム費用を用意できない
- 残置物を処分する費用や時間がない
- 早めに売却時期を確定させたい
ただし、これらに当てはまるからといって、必ず買取が最適とは限りません。
仲介での想定売却価格、買取価格、競売までに残された期間、住宅ローン残債などを確認して判断することが大切です。
任意売却で買取会社を選ぶときのポイント
任意売却の取扱実績を確認する
任意売却では、単に不動産価格を査定できるだけでは十分ではありません。
住宅ローン残高や債権者、抵当権、競売手続きの進行状況などを確認しながら売却を進める必要があります。
過去に任意売却を取り扱った実績があるか確認しましょう。
査定価格の根拠を確認する
任意売却では売却価格が住宅ローンの残債に直結するため、査定価格の根拠を確認することが重要です。
「すぐ買い取ります」というスピードだけで判断するのではなく、周辺相場や物件の状態などを踏まえてどのように査定したのか説明してもらいましょう。
債権者との調整経験があるか確認する
任意売却では、売却価格や抵当権抹消、売却代金の配分などについて債権者との確認・調整が必要になります。
このような任意売却特有の手続きを理解している会社へ相談すると進めやすくなります。
ただし、残債の免除や債務整理など、法的な債務の交渉が必要な場合は不動産会社ではなく弁護士など法律の専門家へ相談する必要があります。
任意売却の会社選びについては、任意売却はどこに相談する?業者選びのポイントと注意点も参考にしてください。
任意売却で直接買取するまでの流れ
一般的には、次のような流れで進めます。
- 住宅ローンの残高・滞納状況を確認する
- 不動産会社へ査定を依頼する
- 任意売却が必要か確認する
- 金融機関・保証会社など債権者へ任意売却について相談する
- 買取価格・売却条件について債権者の同意を得る
- 売買契約を締結する
- 決済・抵当権抹消・物件引渡しを行う
- 残債がある場合は売却後の返済方法を確認する
実際の順番は、住宅ローンの滞納状況や代位弁済の有無、競売手続きなどによって変わります。
任意売却は時間が重要になるため、督促状や期限の利益喪失通知、代位弁済通知、競売開始決定通知などが届いている場合は、書類を手元に用意して早めに相談するとよいでしょう。
任意売却後に残った住宅ローンにも注意する
買取で任意売却が成立しても、売却代金で住宅ローンを完済できなければ残債は残ります。
そのため、「早く売却できたか」だけでなく、売却後に住宅ローンがいくら残るかも重要です。
例えば、仲介なら2,800万円、買取なら2,500万円で売却できるケースでは、300万円の価格差がそのまま残債額に影響する可能性があります。
時間に余裕があるのであれば仲介を試し、一定期間で売却できなかった場合に買取へ切り替えるといった方法も考えられます。
任意売却後の残債については、任意売却後の残債はどうなる?分割返済・債務整理と注意点を解説も参考にしてください。
マーキュリーでは任意売却物件の直接買取にも対応しています
マーキュリーでは、住宅ローンの返済が難しくなっている不動産について、仲介だけでなく直接買取も行っています。
物件の状況によっては、測量、残置物撤去、建物解体などを売主様側で事前に行わず、現況のまま買取を検討することも可能です。
マーキュリーが直接買主となる場合は仲介取引ではないため、マーキュリーへの仲介手数料は発生しません。
また、任意売却に必要となる不動産の査定や、売却価格・抵当権抹消・売却代金の配分などについて、債権者と確認しながら売却を進めます。
一方、残債の免除や債務整理など法的な対応が必要な場合は、弁護士など法律の専門家へ相談する必要があります。
「仲介で販売しているがなかなか売れない」「競売の手続きが進んでいて時間がない」「買取ならいくらになるのか知りたい」といった場合も、現在の住宅ローン残高と物件の状況を確認したうえでご相談ください。
任意売却の買取に関するよくある質問
任意売却でも不動産会社に直接買い取ってもらえますか?
可能です。ただし、住宅ローンを完済できない状態で抵当権を外して売却するには、買取価格や売却条件について金融機関・保証会社など債権者の同意が必要になります。
任意売却は仲介と買取のどちらがおすすめですか?
状況によって異なります。時間に余裕があり高い価格を目指したい場合は仲介、競売手続きが進んでいる場合や早く売却時期を確定させたい場合は買取が向いていることがあります。両方の想定価格と売却期間を比較して判断するとよいでしょう。
買取ならすぐに任意売却できますか?
一般の買主を探す必要がないため仲介より早く進めやすいものの、査定だけで売却が確定するわけではありません。任意売却では債権者から買取価格や抵当権抹消条件について同意を得る必要があるため、その確認期間も必要です。
任意売却で買取を利用すると価格は安くなりますか?
仲介で一般の買主へ売却する場合より低い価格になることがあります。買取会社は取得後の修繕・再販売費用やリスクなどを考慮して買取価格を決めるためです。ただし、物件や市場状況によって差は異なります。
買取なら契約不適合責任は負わなくていいですか?
必ず免責されるわけではありません。買取会社との売買契約で契約不適合責任を免責または限定するケースはありますが、実際の責任範囲は契約内容によって決まります。契約書を確認してから締結しましょう。
任意売却で買取会社へ売った後の残債はどうなりますか?
売却代金で住宅ローンを完済できなかった場合、残った債務が自動的になくなるわけではありません。売却後の返済方法について債権者へ確認し、返済が難しい場合は弁護士など法律の専門家への相談を検討します。
まとめ|任意売却では売却価格とスピードの両方を比較する
任意売却では、不動産会社による直接買取も有力な選択肢の一つです。
一般の買主を探す必要がなく、売却時期を見通しやすいことや、住宅ローン特約によるキャンセルリスクを抑えやすいこと、現況のまま売却できる可能性があることなどのメリットがあります。
一方、仲介で売却するより買取価格が低くなる可能性があり、その差額は任意売却後の残債にも影響します。
そのため、「任意売却だから買取」と最初から決めるのではなく、仲介で売却できる見込み、買取価格、競売手続きの進行状況、住宅ローン残高を比較して判断することが重要です。
時間に余裕がある場合はまず仲介で高値売却を目指し、一定期間で買主が見つからなければ買取へ切り替える方法もあります。
マーキュリーでは任意売却物件の査定・仲介・直接買取に対応しています。すでに競売手続きが進んでいる場合も、現在の状況を確認したうえで利用できる売却方法を検討します。





