

新築の一戸建ては憧れだけれど、価格が高すぎて手が届かない——そんな人の間で注目されているのが「戸建てリノベーション」です。
戸建てリノベーションには、中古の戸建てを買ってリノベーションする、リノベーション済みの中古戸建てを買う、古くなった実家を建て替えずにリノベーションする、といった選び方があります。家を手放す人の中にも、「思い入れのある建物を壊さず、手を入れて住み継いでほしい」と考える方は少なくありません。
この記事では、戸建てリノベーションの魅力と注意点、費用や工期の目安、耐震補強のポイント、そして2025年4月の建築基準法改正による影響まで、わかりやすく解説します。
リノベーションとは?リフォームとの違い


リノベーションとは、建物の性能を高め、新しい価値をつくることを目的とした改修工事のことです。機能面だけでなく、デザインや使い勝手の向上にも重点を置きます。間取りの変更、断熱性能の向上、エコキュートや太陽光発電などの省エネ設備の導入、内外装のデザインの刷新などが代表的な例です。
一方、リフォームは、古くなった部分や傷んだ部分を直して、新築に近い状態に戻す工事を指すのが一般的です。法律上の明確な線引きはありませんが、「元に戻す」のがリフォーム、「新しい価値を加える」のがリノベーション、と考えるとわかりやすいでしょう。マンションのリノベーションについてはマンションリノベーションのメリット・デメリットで解説しています。
戸建てリノベーションの魅力


① 自由なデザインと間取りを実現できる
建物を骨組みだけのスケルトン状態にすれば、好みやライフスタイルに合わせて、間取りもデザインも設備も一からつくり直せます。マンションと違って管理規約の制約がなく、外観や窓、屋根まで手を入れられるのも戸建てならではです。
また、古い戸建てには、梁や柱、建具など、新築にはない味わいがあることも多いものです。それを活かしながら手を入れれば、ほかにはない住まいになります。
② 新築より費用を抑えやすい
中古の戸建てを買ってリノベーションする、あるいはリノベーション済みの中古戸建てを買えば、注文住宅や新築の建売住宅を買うより総額を抑えやすくなります。
建て替えを考えている場合も、基礎や骨組みが健全なら、それを活かしてリノベーションすることで、解体費や新築の建築費を抑えながら、耐震補強も含めて新築同様に生まれ変わらせることができます。
③ 建て替えられない土地でも住まいを新しくできる
接道義務を満たさない再建築不可の土地や、建て替えるとセットバックで敷地が狭くなる土地、今の基準では同じ大きさの家を建てられない土地などでは、建て替えるより、今の建物を活かしたほうが広さや使い勝手を保てることがあります(ただし、後で説明する2025年の法改正で、大規模な工事の進め方には注意が必要です)。
再建築不可物件のリフォームについては再建築不可物件のリフォームはどこまでできる?で詳しく解説しています。
④ 環境や地域の街並みにやさしい
今ある建物を使い続けることで、新築に必要な資材やエネルギー、解体で出る廃棄物を減らせます。古い家を活かすことは、地域の街並みや歴史を受け継ぐことにもつながります。
戸建てリノベーションのデメリット・注意点


良い面だけでなく、注意点も知ったうえで、自分にとって何が大切かを考えて判断しましょう。
① 解体後に問題が見つかり、費用が増えることがある
中古の戸建ては、壁や床をはがして初めて、雨漏りによる腐食、浴室まわりの土台の傷み、シロアリの被害などが見つかることがあります。こうした補修が必要になれば、追加の費用と工期がかかります。予算には1〜2割程度の余裕を持たせておきましょう。
中古の戸建てを買った後に不具合が見つかった場合、売主に責任を求められることもありますが、個人が売主の中古住宅では、売主の責任を引き渡しから数ヶ月に限ったり、免除したりする契約が多いのが実情です。購入前に、建物の状態を専門家が調べる「インスペクション(建物状況調査)」を受けておくと安心です。
② 建物の構造による制限がある
戸建てでも、すべてが自由になるわけではありません。木造の在来工法(軸組工法)は比較的間取りを変えやすいですが、ツーバイフォー工法やプレハブ工法では、構造上取り払えない壁が多く、大きな間取り変更が難しいことがあります。どうしても実現したいプランがある場合は、その建物でできるかどうかを事前に確認しましょう。
③ 建築基準法などの法令への対応が必要
工事の内容によっては、建築確認の申請や、現行の基準への対応が必要になります。特に、増築して床面積を増やす場合は、建ぺい率・容積率の範囲に収める必要があり、防火地域・準防火地域では10㎡以下の増築でも建築確認が必要です。2025年4月からは、木造2階建てなどの大規模な修繕・模様替えにも建築確認が必要になりました(詳しくは後述)。
④ 築年数そのものは変わらない
リノベーションで見た目や性能が新しくなっても、登記上の築年数は変わりません。そのため、住宅ローンの審査や借入期間、将来売るときの評価では、築年数で判断されることがあります。耐震性や断熱性能を高めた場合は、工事の内容を記録した書類や、耐震基準適合証明書などを残しておくと、売却や減税の手続きで役立ちます。
⑤ 借地上の建物は地主の承諾が必要なことがある
借地に建っている家の場合、借地契約に増改築を制限する特約があれば、大規模なリノベーションに地主の承諾が必要です。承諾料がかかることも多いので、計画の前に契約書を確認しましょう(参考:借地権の承諾料はいくら?)。
2025年4月の法改正で大規模リノベーションに建築確認が必要に
2025年4月に施行された建築基準法の改正で、これまで「4号特例」により建築確認が不要だった木造2階建て住宅などが「新2号建築物」になりました。その結果、主要構造部(壁・柱・床・はり・屋根・階段)の一種以上について過半を修繕・模様替えする工事には、建築確認が必要になっています。
- スケルトン状態にして、床や壁の過半をやり直すフルリノベーション
- 屋根の過半の葺き替え、外壁の過半の張り替え
- 階段の架け替え
こうした工事は、確認申請の手続きや、現行の基準への適合の検討が必要になり、設計期間や費用が増えることがあります。特に、再建築不可の土地や、建築当時の確認済証・検査済証がない建物では、建築確認を取ること自体が難しく、大規模なリノベーションができないケースもあります。
一方、内装の張り替えやキッチン・浴室の交換、屋根材の上に新しい屋根材を重ねる「カバー工法」などは、大規模な修繕・模様替えにあたらず、原則として確認は不要とされています。どこまでの工事なら確認が必要か、計画の段階で設計者や施工会社に確認しましょう。法改正の全体像は建築基準法とは?で解説しています。
フルリノベーションと部分リノベーション


リノベーションには、家全体を工事する「フルリノベーション」と、必要な部分だけを工事する「部分リノベーション」があります。
フルリノベーション
内装や設備をすべて取り払い、柱や梁などの骨組みだけのスケルトン状態にしてから工事する方法です。間取りから一つひとつ計画するので、家をつくり直すイメージです。
メリット
- ライフスタイルや好みに合わせて、間取りから計画できる
- 骨組みの傷みを確認でき、耐震補強や断熱改修をまとめて行える
- 見た目は新築同様に仕上げられる
デメリット
- 新築よりは安いものの、費用が高くなる
- 工期が長く、住みながらの工事は難しいため、自宅の場合は仮住まいが必要
- 設計の打ち合わせに時間と手間がかかる
- 2025年4月以降は、多くの場合に建築確認が必要になる
部分リノベーション
家の一部だけを工事する方法です。壁の撤去や新設による間取りの変更、水回りの入れ替え、断熱窓への交換などが含まれます。
メリット
- フルリノベーションより費用を抑えられる
- 工期が短く、住みながら工事できることもある
- 予算に合わせて段階的に進められる
デメリット
- 新しい部分と古い部分の差が目立ち、全体のデザインに統一感が出にくいことがある
- 工事しなかった部分の劣化に後から気づき、追加工事が必要になることがある
費用と工期の目安
| 費用の目安 | 工期の目安 | |
|---|---|---|
| フルリノベーション(スケルトン) | 坪あたり50万〜100万円程度。延床30坪で1,500万〜3,000万円程度 | 着工から4〜8ヶ月程度(設計期間は別) |
| 部分リノベーション | 水回りの入れ替えで数十万〜数百万円、外壁・屋根の改修で100万〜300万円程度など、内容次第 | 数日〜2ヶ月程度 |
耐震補強や断熱改修、外装の全面改修を含むかどうかで、費用は大きく変わります。あくまで目安として、具体的な金額は建物の状態を調べたうえで見積もりを取りましょう。
戸建てリノベーションの主な工事内容


内装
床や壁、天井の仕上げの一新、システムキッチンや食洗機、浴室乾燥機の導入、トイレの交換などです。和室を洋室にする、カーペットを無垢のフローリングにする、調湿効果のあるタイルや塗り壁を取り入れるなど、暮らし方に合わせて空間を変える工事は、リノベーションらしい内容といえます。
外装
外壁の塗り替えや張り替え、屋根の葺き替え、窓の交換、バルコニーの防水、シーリングの打ち替えなどです。見た目を変えるだけでなく、雨漏りや湿気を防ぎ、建物を長持ちさせるためにも欠かせない工事です。
間取りの変更・増築
リビングと隣の洋室の間の壁を取り払って広いLDKにする、階段や廊下の位置を変える、増築して部屋を増やすといった工事です。構造上取り払えない壁がある場合や、建ぺい率・容積率に余裕がない場合は、希望どおりにできないことがあります。
省エネ性能の向上
断熱材の追加、断熱性の高い窓(内窓や複層ガラス)への交換、高効率な給湯器への入れ替えなどで、冷暖房の効率が上がり、光熱費を抑えやすくなります。冬の寒さや結露、部屋ごとの温度差によるヒートショックの対策にもなります。
屋根の状態や日当たりが合えば、太陽光発電の設置も選択肢です。蓄電池と組み合わせれば、災害時の備えにもなります。ただし、屋根の強度や劣化、方角、周辺の建物の影などの確認が必要です。築年数の古い戸建てでは、屋根の補修や防水工事とあわせて検討するとよいでしょう。
耐震補強
地震の多い日本では、特に重要な工事です。詳しくは次の章で解説します。
戸建てリノベーションで欠かせない耐震補強


耐震補強は、建物の骨組みに補強材を加えるなどして、地震の揺れに耐える力を高める工事です。地震の力を建物全体にバランスよく分散させ、倒壊を防ぐことを目的としています。
まずは築年数で耐震性の目安を知る
| 建築確認の時期 | 耐震性の目安 |
|---|---|
| 1981年5月31日以前 | 旧耐震基準。大きな地震で倒壊するおそれがあり、耐震診断と補強を強くおすすめします |
| 1981年6月〜2000年5月 | 新耐震基準ですが、木造住宅では柱と土台をつなぐ金物や、壁の配置のバランスの基準が現在より緩やかでした。補強が必要な場合があります |
| 2000年6月以降 | 現行の基準に近い耐震性があるとされます |
実際の耐震性は、建物の状態や劣化の具合によって変わります。リノベーションの前に、専門家による耐震診断を受けるのが基本です。木造住宅の耐震診断では、「上部構造評点」が1.0以上あれば、一応倒壊しない水準とされています。
耐震補強工事の種類
- 壁の補強:構造用合板を張ったり、筋かいを入れたりして、地震に抵抗する壁(耐力壁)を増やし、配置のバランスを整えます。
- 柱・梁・接合部の補強:柱と土台、梁の接合部を耐震金物で固定し、抜けたり外れたりしないようにします。腐朽やシロアリの被害がある部分は交換し、防腐・防蟻処理をします。
- 基礎の補強:鉄筋の入っていない古い基礎やひび割れた基礎を、鉄筋コンクリートで補強します。
- 屋根の軽量化:重い瓦屋根を軽い金属屋根などに替えると、地震の揺れを小さくできます。
- 制震装置の設置:揺れを吸収する制震ダンパーを壁の中に入れ、建物の変形を抑えます。
- 地盤の改良:地盤が弱い場合に行いますが、建物が建ったままでは難しく、費用も大きくなります。
耐震補強のメリットと使える制度


- 地震のときの倒壊や大きな被害を防ぎ、家族の命と財産を守れる
- 建物の寿命が延び、将来の修繕の負担を減らせる
- 耐震基準を満たすことで、住宅ローン減税などの税制優遇を受けやすくなり、将来売るときの評価にもつながる
旧耐震基準の木造住宅については、多くの自治体が耐震診断や補強工事の費用を助成しています。東京都内でも各区市が助成制度を設けているので、工事の前に確認しましょう。耐震改修をすると、所得税の控除や、固定資産税の減額を受けられる場合もあります。
リノベーション済みの中古戸建てを買う


不動産会社が中古住宅を買い取ってリノベーションし、販売している「リノベーション済み物件」を買う方法もあります。自分で一から計画しようとすると、どんな間取りや設備が良いのか迷ってしまうことも多いものです。リノベーション済み物件なら、完成したものを実際に見て選べます。
また、不動産会社は提携する施工会社にまとめて工事を発注し、設備や建材も一括で仕入れるため、個人でリノベーションするより工事費を抑えやすい面があります。その分、相場より手頃な価格で販売される物件もあります。
メリット
- 完成した状態を見て選べるので、イメージと違うという失敗が少ない
- 工事を待たず、すぐに住める
- 物件価格に工事費が含まれているので、住宅ローンをまとめて組みやすい
デメリット
- 間取りや設備を自分で選べない。気に入らない部分を直すと、費用を二重に払うことになる
- 壁の中や床下など、見えない部分にどこまで手が入っているかわかりにくい
買う前には、どこまで工事したのか(構造の補強、配管の交換、断熱の改修の有無など)、工事の記録や写真、耐震診断の結果、保証の内容を確認しておきましょう。
マーキュリーのリノベーション事業


株式会社マーキュリーでは、比較的築年数の浅い戸建てや区分マンションを買い取る場合、できるだけ既存の建物を活かしてリノベーションしています。今ある建物を活かすことで、資源やエネルギーの消費、廃棄物を抑えられ、持続可能な社会づくりにもつながるからです。建物の状態や土地の条件によっては、建て替えたほうが価値を高められる場合もあるため、物件ごとに最適な方法を検討しています。
当社はこれまでに不動産の再生事業を40件手がけ、再建築不可物件や借地上の建物など、一般の方には扱いにくい戸建ての買取・再生も行ってきました(当社サイト掲載時点)。
入居者はそのまま、オーナー住戸だけをリフォームして再販(江戸川区平井)
住み替えを機に、賃貸併用住宅を売りたいというオーナー様からのご相談でした。賃貸住戸の入居者にはそのまま住み続けていただき、オーナー様が住んでいたスペースだけを内装・設備ともにリフォーム。家賃収入を得ながら自分でも住める住宅として、自己使用を希望する方に販売しました。
事例を見る:江戸川区平井
戸建てリフォーム(板橋区中丸町)
板橋区中丸町の約57㎡(17.28坪)の戸建てで、既存の建物を活かしてリフォームを行った事例です。
事例を見る:板橋区中丸町
急な転勤や住み替え、相続などで戸建てを手放さなければならない場合は、株式会社マーキュリーにご相談ください。建て替えるか、リノベーションで既存の建物を活かすかも含めて、物件に合った買取のご提案をいたします。古い家や荷物が残ったままでもかまいません。ご相談・査定は無料です。一戸建ての買取については一戸建て買取の相場・流れ、古い家の売り方はボロ家の買取はどこまで可能?もご覧ください。
戸建てリノベーションに関するよくある質問
Q. 戸建てのフルリノベーションの費用はどのくらいですか?
スケルトン状態にするフルリノベーションの場合、坪あたり50万〜100万円程度が一つの目安で、延床30坪なら1,500万〜3,000万円程度です。耐震補強や断熱改修、外装の改修を含むかどうかで大きく変わります。
Q. 建て替えとリノベーション、どちらがいいですか?
基礎や骨組みが健全で、間取りの変更が構造的に可能なら、リノベーションのほうが費用を抑えやすくなります。一方、骨組みの劣化が激しい場合や、耐震補強に大きな費用がかかる場合は、建て替えのほうが合理的なこともあります。再建築不可の土地など、建て替えができない場合はリノベーションが選択肢になります。
Q. 2025年4月以降、戸建てのリノベーションに建築確認は必要ですか?
木造2階建て住宅などで、壁・柱・床・はり・屋根・階段のいずれかの過半を修繕・模様替えする大規模な工事には、建築確認が必要になりました。内装の張り替えや設備の交換など、大規模な修繕・模様替えにあたらない工事は原則として不要です。
Q. 古い戸建ての耐震性はどうやって確認すればいいですか?
まず建築確認の時期を確認しましょう。1981年5月以前なら旧耐震基準、1981年6月〜2000年5月の木造住宅も補強が必要な場合があります。そのうえで専門家の耐震診断を受け、上部構造評点が1.0以上あるかを確認します。自治体の助成制度を使える場合もあります。
Q. 古い戸建てはリノベーションしてから売ったほうが高く売れますか?
必ずしもそうとは限りません。買主が自分好みにリノベーションしたいと考えることも多く、かけた費用ほど価格が上がらないことがよくあります。買取会社に売る場合は、今の状態のままで売るのが一般的です。
Q. マーキュリーはどのエリアに対応していますか?
東京都内を中心に、首都圏で開発を行っています。
まとめ
戸建てリノベーションは、新築より費用を抑えながら、自由な間取りやデザインの住まいを手に入れられる方法です。建て替えが難しい土地でも、今の建物を活かして住まいを新しくできます。一方で、解体後の追加費用や構造上の制限があり、2025年4月からは大規模なリノベーションに建築確認が必要になるなど、計画の段階で確認すべきことも増えました。耐震診断を受けたうえで、耐震補強もあわせて検討しましょう。
戸建てを手放すことをお考えの方は、建て替えとリノベーションの両方の視点でご提案できる株式会社マーキュリーにご相談ください。





