
リースバックを利用するときは、まず不動産会社へ相談し、自宅の査定と売却後の家賃などの条件を確認します。その後、条件に納得できれば売買契約と賃貸借契約を結び、決済日に売却代金を受け取って所有権を移転します。売却後は賃借人として家賃を払いながら同じ家に住み続ける、というのが基本的な流れです。
手続き自体は一般的な不動産売却と大きく離れているわけではありませんが、リースバックでは「自宅を売る契約」と「その家を借りる契約」を同時に確認する必要があります。
この記事では、相談から査定、契約、決済までの流れを順番に整理し、必要書類や契約前に確認しておきたいポイントまで解説します。
① リースバックに対応する不動産会社へ相談
② 机上査定・訪問査定を受ける
③ 売却価格・家賃・契約期間などの条件を比較
④ 売買契約と賃貸借契約の内容を確認
⑤ 売買契約・賃貸借契約を締結
⑥ 決済・所有権移転・売却代金の受領
⑦ 売却後は家賃を払いながらそのまま居住
特に重要なのは③と④です。売却価格だけでなく、毎月の家賃、普通借家・定期借家のどちらか、契約期間、更新・再契約、買戻し条件まで確認してから進めましょう。
リースバックの流れを7ステップで解説
リースバック会社によって細かな手続きは異なりますが、一般的には次の流れで進みます。
| ステップ | すること | 確認したいポイント |
|---|---|---|
| 1 | 不動産会社へ相談 | 対応エリア・希望時期・利用目的 |
| 2 | 査定 | 売却価格・家賃の目安 |
| 3 | 条件比較 | 売却価格・家賃・契約期間・買戻し |
| 4 | 契約内容を確認 | 売買契約と賃貸借契約を別々に確認 |
| 5 | 契約締結 | 重要事項・特約・更新条件 |
| 6 | 決済・所有権移転 | 住宅ローン・抵当権・諸費用 |
| 7 | そのまま居住 | 家賃・修繕・将来の退去や買戻し |
STEP1|リースバックに対応する不動産会社へ相談する
最初に、リースバックを取り扱っている不動産会社へ相談します。
この段階では「必ずリースバックを利用する」と決めておく必要はありません。自宅がいくらで売れそうか、売却後の家賃はいくらになりそうかを確認し、通常売却や一般的な不動産買取と比較するところから始めます。
相談するときは、次の内容を伝えられると話が進みやすくなります。
- 物件の所在地・種類・築年数
- 住宅ローンの残高
- いつまでに資金が必要か
- 売却後にどのくらい住み続けたいか
- 将来買い戻したいか
国土交通省も、リースバックだけを前提にせず、複数の不動産会社や金融機関へ相談し、通常売却や融資なども含めて自分のライフプランに合う方法を選ぶことを勧めています。
STEP2|机上査定・訪問査定を受ける
相談後は、自宅の査定を受けます。
最初に所在地、土地・建物面積、築年数、周辺の取引事例などから概算価格を出す「机上査定」を行い、その後、必要に応じて担当者が現地を確認する「訪問査定」へ進みます。
訪問査定では、建物の状態や接道、周辺環境などを確認し、より具体的な売却価格を算出します。
リースバックでは、売却価格だけでなく、売却後の家賃や賃貸借契約の条件も同時に確認してください。
STEP3|売却価格・家賃・契約期間を比較する
査定結果が出たら、ここですぐ契約するのではなく、条件を比較します。
特に見たいのは次の項目です。
- リースバックでの売却価格
- 通常売却した場合の想定価格
- 毎月の家賃
- 敷金・保証金などの初期費用
- 普通借家契約か定期借家契約か
- 賃貸借契約の期間
- 更新・再契約の条件
- 家賃改定の条件
- 将来買戻しができるか
- 買戻し価格・期限・条件
売却価格が最も高い会社が、必ずしも最も有利とは限りません。売却価格が高くても、その後の家賃が高ければ、長く住むほど負担が大きくなることがあります。
リースバックと買取の違い|住み続けながら自宅を現金化する仕組みと選び方
STEP4|売買契約と賃貸借契約の内容を確認する
条件に納得できたら、契約書の内容を確認します。
リースバックで特に重要なのは、「売買契約」と「賃貸借契約」は別の契約だという点です。
売買契約では、自宅をいくらで売るのか、いつ代金を受け取るのか、住宅ローンや抵当権をどう処理するのかなどを確認します。
一方、賃貸借契約では、家賃、契約期間、更新・再契約、修繕費、原状回復など、売却後の生活に直接関わる内容を確認します。
| 売買契約で確認すること | 賃貸借契約で確認すること |
|---|---|
| 売却価格 | 毎月の家賃 |
| 手付金・残代金 | 敷金・保証金など |
| 決済・引渡し日 | 契約期間 |
| 抵当権の抹消 | 普通借家・定期借家 |
| 契約解除・違約金 | 更新・再契約条件 |
| 買戻しに関する取り決め | 家賃改定・修繕・退去条件 |
担当者から口頭で説明された内容と、契約書の記載が一致しているかも確認しましょう。
STEP5|売買契約と賃貸借契約を締結する
契約内容に問題がなければ、売買契約と売却後の賃貸借契約を締結します。
リースバックは、自宅を売却した後も同じ家に住み続けるため、一般的な売却のように引っ越しを前提とした引渡しにはなりません。
ただし、所有権は買主へ移るため、この時点から「自宅の所有者」ではなく「賃借人として住む」ことになります。
長く住みたい場合は、契約時に普通借家・定期借家の違いと、契約終了後の扱いを必ず確認してください。
STEP6|決済・抵当権抹消・所有権移転を行う
契約で定めた決済日に、買主から売却代金を受け取ります。
住宅ローンが残っている場合は、通常、売却代金などを使ってローンを返済し、金融機関の抵当権を抹消できる状態にする必要があります。
そのうえで所有権移転登記を行い、物件の所有者が買主へ変わります。
住宅ローン残高が売却価格を上回る場合は、自己資金で不足分を補えるか、別の方法が必要になるかを契約前に確認しておきましょう。
STEP7|売却後は家賃を払いながらそのまま住む
決済後は、売主から賃借人へ立場が変わります。
引っ越しをせず同じ家で生活を続けられますが、以後は賃貸借契約に沿って毎月家賃を支払います。
また、建物や設備に不具合が起きた場合の修繕費、家賃の改定、契約終了、買戻しなども賃貸借契約や関連する取り決めに沿って進めます。
リースバックは相談から現金化までどのくらいかかる?
「必ず○日で現金化できる」と決まっているわけではありません。物件調査、住宅ローン、必要書類、契約条件によって期間は変わります。期限がある場合は最初の相談時に伝えましょう。
リースバックを利用する方の中には、「できるだけ早く資金を用意したい」という方もいます。
ただし、問い合わせから決済までの期間は一律ではありません。
机上査定だけで条件を出せる物件もあれば、現地調査や権利関係の確認に時間がかかることもあります。住宅ローンが残っている場合は、残高確認や抵当権抹消の準備も必要です。
そのため、「1週間で必ず現金化できる」「必ず1か月で終わる」と考えず、希望する資金受取日を最初に伝え、逆算してスケジュールを確認してください。
リースバックの契約に必要な書類
必要書類は物件や事業者によって異なります。最初からすべて揃える必要はありませんが、権利関係・本人確認・税金・住宅ローンが分かる資料があると手続きが進みやすくなります。
リースバックでは、不動産の売買と賃貸借の両方を行うため、それぞれに必要な書類があります。
売買手続きで用意する主な書類
- 本人確認書類
- 実印
- 印鑑証明書
- 登記識別情報または権利証
- 固定資産税・都市計画税の納税通知書
- 土地測量図・境界確認書など(ある場合)
- 住宅ローンの残高が分かる書類
- マンションの場合は管理規約や管理費・修繕積立金が分かる資料
元記事では「登記簿謄本を売主が必ず準備する」「境界が不明なら必ず確定が必要」と読める表現になっていましたが、実際に必要になる資料や測量の有無は物件と契約条件によって異なります。
まず事業者へ確認し、必要なものだけを準備するとよいでしょう。
賃貸借契約で確認・準備するもの
売却後の賃貸借契約では、本人確認書類や住民票などを求められることがあります。
保証会社を利用するのか、連帯保証人が必要なのかについても事業者によって異なります。
「リースバックなら必ず連帯保証人が必要」と決まっているわけではないため、契約先へ確認してください。
住宅ローンが残っている場合の流れ
住宅ローンが残っていても相談はできます。ただし、売却時には原則として抵当権を抹消できる状態にする必要があるため、残債と売却価格の確認が重要です。
住宅ローン返済中の自宅にもリースバックを検討できますが、最初にローン残高を確認してください。
たとえば住宅ローン残高が2,000万円で、リースバックの売却価格が2,500万円なら、売却代金からローンを返済できる可能性があります。
反対に、住宅ローンが3,000万円残っているのに売却価格が2,500万円なら、500万円不足します。
この不足分を自己資金などで補えなければ、通常のリースバックとして進めるのが難しい場合があります。
売却代金で住宅ローンを完済できるかどうかは、査定時点で早めに確認しましょう。
リースバック契約前に確認したい5つのポイント
リースバックは「売却条件」と「住み続ける条件」の両方を確認する取引です。どちらか一方だけで判断しないことが大切です。
1.通常売却した場合の価格と比較する
リースバックの提示価格だけを見て、高い・安いを判断するのは避けましょう。
通常の仲介売却や一般的な買取ならいくらになるのかも確認し、「住み続けられるメリット」と価格差が見合うかを考えます。
2.売却価格と家賃をセットで比較する
売却価格が高くても家賃が高ければ、長期的な負担は大きくなります。
毎月の家賃だけでなく、5年住むなら60か月分、10年なら120か月分の家賃総額も試算してみましょう。
3.普通借家か定期借家かを確認する
「売却後も住める」と「希望する期間ずっと住める」は同じではありません。
定期借家契約の場合、契約期間の満了によって賃貸借が終了するのが原則です。再契約の可否や条件も確認してください。
4.買戻しを希望するなら条件を書面で確認する
将来自宅を買い戻したい場合は、「買戻しできます」という口頭説明だけではなく、価格、期限、条件を契約前に確認します。
国土交通省のガイドブックでも、買戻しを検討する場合は、いくらで買い戻せるのかなどの条件を契約前に確認するよう案内しています。
5.修繕費や設備故障の負担を確認する
売却後は賃貸住宅になるため、給湯器やエアコンなどが壊れたときの費用負担についても確認が必要です。
どこまで貸主が負担し、どこから借主負担になるのかを賃貸借契約書で確認しましょう。
リースバックの流れで失敗しないために複数の方法を比較する
リースバックを問い合わせたからといって、その方法に決める必要はありません。通常売却・買取・融資なども含めて比較します。
リースバックには「引っ越さずに自宅を現金化できる」という特徴があります。
一方、売却価格やその後の家賃、契約期間によっては、通常売却をして住み替えた方が手元に資金を残しやすいこともあります。
国土交通省も、複数の不動産会社・金融機関へ相談し、通常売却や融資なども含め、ライフプランに合う条件や方法を選択することを案内しています。
「リースバックができるか」だけでなく、「本当にリースバックが自分に合っているか」まで比較して判断することが大切です。
リースバックとは?仕組み・家賃・買戻し・向いている人をわかりやすく解説
リースバックを検討している方はマーキュリーへご相談ください
売却価格、家賃、住宅ローン、希望する居住期間などを整理し、リースバック以外の方法も含めて比較することが大切です。
マーキュリーでは、自宅を売却したあとも住み続けたい方からのリースバックのご相談を受け付けています。
まず不動産の査定を行い、住宅ローンの残高や必要な資金、今後どの程度住み続けたいのかなどを確認したうえで、条件を整理します。
リースバックだけを前提にするのではなく、通常売却や不動産買取なども比較し、ご希望に合う売却方法を検討することが重要です。
「まず査定額と家賃だけ知りたい」「いつまでに現金化できるか確認したい」という段階でもご相談ください。
リースバックの流れに関するよくある質問
リースバックの査定は自宅の中まで見てもらう必要がありますか?
最初は物件情報をもとに概算価格を確認できる場合がありますが、正式な条件を決める段階では現地確認が必要になることがあります。どこまで確認するかは物件や事業者によって異なるため、相談時に確認してください。
売買契約と賃貸借契約は同じ日に結ぶのですか?
同日に手続きを進めるケースもありますが、必ず同日と決まっているわけではありません。重要なのは、自宅を売却した後の居住条件が確定しないまま売買契約だけを進めないことです。両方の契約内容を確認してから進めましょう。
リースバックの決済日には何をしますか?
一般的には、買主から売却代金の支払いを受け、必要に応じて住宅ローンの返済や抵当権抹消、所有権移転登記などを行います。具体的な手続きは物件や住宅ローンの有無によって異なります。
リースバックの条件は複数社から同時に取ってもいいですか?
比較して構いません。売却価格だけでなく、家賃、契約期間、更新・再契約、買戻し条件などは会社によって異なります。国土交通省も、提示された売却価格について複数の事業者から意見を聞くことを勧めています。
家族も契約内容の説明を一緒に聞けますか?
事業者へ相談すれば、家族が同席して説明を聞ける場合があります。自宅の売却は家族の生活や将来の相続にも関わることがあるため、不安がある場合は家族と一緒に条件を確認するとよいでしょう。
リースバックの査定後に通常売却へ変更できますか?
査定を受けただけであれば、必ずリースバックを契約する必要はありません。提示された条件を見てから、通常売却や不動産買取など別の方法を選ぶこともできます。契約を締結する前に、それぞれの方法を比較して判断してください。





