

リースバックは、自宅を売却して資金を得たあとも、家賃を払いながら同じ家に住み続けられる仕組みです。
便利な方法である一方、「売却価格が思ったより低かった」「家賃が上がって払えなくなった」「ずっと住めると思っていたのに契約が終わった」「買い戻そうとしたら高額だった」といったトラブルも起きています。
リースバックで後悔しないために大切なのは、売却価格だけで決めないことです。毎月の家賃、賃貸借契約の種類、住める期間、家賃改定、修繕費、買戻し条件まで確認し、売却後の生活を含めて判断する必要があります。
この記事では、実際に起こりやすいトラブルと、契約前に確認しておきたいポイントを分かりやすく整理します。
リースバックを契約する前に、最低でも次の7点を確認してください。
①通常売却した場合の価格
②リースバックでの売却価格
③毎月の家賃と将来の改定条件
④普通借家・定期借家のどちらか
⑤何年住めるのか
⑥修繕費や原状回復費の負担
⑦買戻しをする場合の価格・期限・条件
「売ったあとも住める」という説明だけで契約せず、売買契約と賃貸借契約の両方を確認することが重要です。

- 1 リースバックで起こりやすいトラブルを一覧で確認
- 2 トラブル① 売却価格が思っていたより安かった
- 3 トラブル② 家賃が高い・途中で値上げされて支払えなくなった
- 4 トラブル③ 「ずっと住める」と思っていたのに退去が必要になった
- 5 トラブル④ 買い戻そうとしたら高額だった・買い戻せなかった
- 6 トラブル⑤ 修繕費・設備故障の負担で揉める
- 7 トラブル⑥ 家族・相続人と意見が食い違う
- 8 強引な勧誘や「今すぐ契約」にも注意する
- 9 リースバック会社や所有者が変わったらどうなる?
- 10 契約前に確認したいリースバックのチェックリスト
- 11 すでにリースバックでトラブルになっている場合の相談先
- 12 リースバックで後悔しないために大切なこと
- 13 リースバックを検討している方はマーキュリーへご相談ください
- 14 リースバックのトラブルに関するよくある質問
リースバックで起こりやすいトラブルを一覧で確認
トラブルは「売却価格」「家賃」「住める期間」「買戻し」「家族」「修繕費」など、契約後の条件を十分に確認しないまま進めたときに起こりやすくなります。
| よくあるトラブル | 主な原因 | 契約前の確認 |
|---|---|---|
| 売却価格が想定より低い | 通常売却との価格差を確認していない | 通常売却・買取と比較する |
| 家賃の負担が重い | 長期的な家賃総額を試算していない | 5年・10年後まで試算する |
| 家賃を値上げされた | 家賃改定条件を確認していない | 改定条件を契約書で確認する |
| 希望する期間住めない | 定期借家の期間や再契約条件を確認していない | 契約種類・期間・再契約条件を確認する |
| 買戻し価格が高い | 価格・期限を事前に決めていない | 買戻し条件を書面化する |
| 修繕費を巡って揉める | 貸主・借主の負担範囲が曖昧 | 設備故障や修繕の負担を確認する |
| 家族と意見が対立する | 売却を家族へ説明していない | 相続や今後の住まいも含めて話す |
リースバックは「自宅の売買」と「売却後の賃貸借」を組み合わせた取引です。どちらか一方だけを確認しても十分ではありません。
リースバックとは?仕組み・家賃・買戻し・向いている人をわかりやすく解説
トラブル① 売却価格が思っていたより安かった
リースバックの売却価格だけを見ず、通常売却や一般的な買取をした場合の価格も確認してから判断します。
リースバックで最初に認識のズレが起きやすいのが、売却価格です。
リースバックでは、買主が物件を取得したあとも元の所有者が賃借人として住み続けます。買主がすぐ自由に利用できる物件ではないため、通常の仲介売却より売却価格が低くなることがあります。
国土交通省のガイドラインでも、提示された売却価格について相場から大きく外れていないか、複数の事業者から意見を聞いて検討することが重要とされています。
「いくら受け取れるか」だけで決めない
たとえば、通常売却なら3,000万円、リースバックでは2,400万円という査定だったとします。
この場合、600万円の差があります。大切なのは、その差額を負担してでも「引っ越さずに今の家に住み続けること」にメリットがあるのかを考えることです。
通常売却、一般的な不動産買取、リースバックの3つを並べて比較すると判断しやすくなります。
リースバックと買取の違い|住み続けながら自宅を現金化する仕組みと選び方
トラブル② 家賃が高い・途中で値上げされて支払えなくなった
現在の家賃だけでなく、将来の家賃改定条件と、5年・10年住んだ場合の総支払額まで確認します。
リースバックでは、自宅を売却したあとに家賃の支払いが始まります。
たとえば月15万円なら年間180万円、5年間では900万円です。契約時にまとまった売却代金を受け取っても、家賃負担が重ければ数年後の生活が苦しくなる可能性があります。
さらに注意したいのが、将来の家賃改定です。
国民生活センターは2026年8月、リースバック契約後に家賃を約7万円から約10万円へ値上げすると言われ、応じないなら退去するよう求められたという相談事例を公表しています。
参考:国民生活センター「自宅の『リースバック』トラブルにご注意!」
家賃の「現在額」と「改定条件」の両方を見る
契約書では、毎月の家賃だけでなく、賃料をどのような場合に見直すのかを確認してください。
また、売却価格が高い会社が必ずしも有利とは限りません。売却価格が高くても家賃が高ければ、長く住むほど支払総額が増えます。
少なくとも、次の3つをセットで比べましょう。
- 自宅の売却価格
- 毎月の家賃
- 予定居住期間に支払う家賃総額
退職後や年金生活に入った後でも無理なく払えるかまで考えることが大切です。
トラブル③ 「ずっと住める」と思っていたのに退去が必要になった
普通借家契約なのか定期借家契約なのかを必ず確認します。特に定期借家は、期間満了で契約が終了するのが原則です。
「自宅を売ったあとも、そのまま住み続けられます」と説明されると、何年でも住めるように感じるかもしれません。
しかし、実際にどのくらい住めるかは賃貸借契約の内容によります。
| 項目 | 普通借家契約 | 定期借家契約 |
|---|---|---|
| 契約期間 | 期間を定める場合がある | 期間を定める |
| 期間満了時 | 期間満了だけで当然に終了するとは限らない | 原則として期間満了で終了 |
| 住み続ける場合 | 更新等によって継続 | 貸主と合意して再契約 |
| 特に確認したいこと | 更新・賃料改定条件 | 契約期間・再契約の可否と条件 |
たとえば2年間の定期借家契約なら、2年後に当然に同じ条件で更新されるわけではありません。
再契約できる可能性があっても、「必ず再契約できる」のか、「そのときの所有者の判断なのか」で意味は大きく変わります。
長く住みたい方ほど、「何年契約か」だけではなく、「その後どうなるか」を確認してください。
口頭説明ではなく契約書を見る
「ずっと住めます」「希望すれば再契約できます」と説明されても、契約書の内容と一致しているとは限りません。
契約前に少なくとも次の項目を確認しましょう。
- 普通借家契約か定期借家契約か
- 契約期間
- 更新・再契約の可否と条件
- 家賃改定の条件
- 中途解約の条件
- 退去時の原状回復
トラブル④ 買い戻そうとしたら高額だった・買い戻せなかった
リースバックを利用しただけでは、将来自宅を買い戻せる権利が自動的に付くわけではありません。価格・期限・条件を書面で確認します。
「いったん自宅を売って資金を確保し、数年後に買い戻したい」という目的でリースバックを利用する方もいます。
しかし、売却価格と買戻し価格が同じとは限りません。
国民生活センターは2026年8月、200万円で売却した自宅について、買戻しを申し出たところ1,000万円を提示されたという相談事例も公表しています。
買戻しを考えている場合は、契約前に次の点を確認してください。
- 買戻し価格または価格の算定方法
- いつまで買戻しができるのか
- 買戻しに必要な手続き
- 買戻し前に第三者へ売却される可能性
- 家賃滞納などで買戻し条件へ影響があるか
「将来相談できます」という説明だけでは不十分です。買戻しを前提に利用するなら、契約書にどこまで明記されているかを確認しましょう。
トラブル⑤ 修繕費・設備故障の負担で揉める
売却後は「所有者」から「賃借人」に立場が変わります。設備が壊れたときに誰が費用を負担するかを、契約前に確認してください。
リースバック後は、これまで自分の家だった建物を「借りて住む」ことになります。
そのため、給湯器、エアコン、屋根、外壁、水回りなどに不具合が出た場合、どこまで貸主が修繕し、どこから借主が負担するのかが問題になることがあります。
国土交通省のガイドラインでも、設備が壊れた場合の修繕費を誰が負担するのか、新しい設備を設置できるのかなどを事前に確認するよう案内しています。
契約書では、次の点を確認しておきましょう。
- 建物本体の修繕
- 給湯器・エアコンなど設備の故障
- 小修繕の負担
- 借主が設備を交換・設置する場合のルール
- 退去時の原状回復
トラブル⑥ 家族・相続人と意見が食い違う
リースバックで売却すると、自宅の所有権は買主へ移ります。将来その家を家族へ相続させることはできなくなるため、契約前の共有が重要です。
契約そのものに問題がなくても、家族との間でトラブルになることがあります。
たとえば親が自宅をリースバックで売却したあと、子どもが初めて知り、「将来はこの家を相続するつもりだった」と意見がぶつかるケースです。
リースバックを利用すると、不動産の所有権は買主へ移ります。
そのため、売却した家そのものを将来子どもへ相続させることはできません。
家族が実家に住む予定がある場合や、買戻しを考えている場合は、契約前に次の点を共有しておくとよいでしょう。
- なぜリースバックを利用するのか
- 売却代金を何に使うのか
- 何年程度住む予定か
- 将来買い戻す予定があるか
- 買い戻さない場合の住み替え計画
強引な勧誘や「今すぐ契約」にも注意する
自宅の売却は大きな契約です。訪問営業などで勧められても、その場で契約せず、家族や別の不動産会社にも相談して条件を比較します。
国民生活センターは2025年、住宅のリースバックについて「何時間も勧誘された」「マンションを売るよう執拗に勧誘された」といった相談が寄せられているとして注意を呼びかけました。
契約当事者の約7割が70歳以上だったことも公表されています。
参考:国民生活センター「強引に勧められる住宅のリースバック契約にご注意!」
自宅の売却はクーリング・オフできない
特に注意したいのが、「あとで考え直せばいい」と安易に契約しないことです。
消費者が不動産会社へ自宅を売却する契約について、宅地建物取引業法上のクーリング・オフ制度は適用されません。
売買契約が成立したあとに無条件で取り消せるわけではなく、契約内容や時期によっては手付解除や違約金が問題になることがあります。
分からない条項がある場合は、その場で署名・押印せず、内容を持ち帰って確認しましょう。
高額なリフォームとセットで勧められるケースにも注意
国民生活センターは2026年8月、高額なリフォーム工事を契約させた後、「支払えないならリースバックで」と自宅売却を勧める事例についても注意を呼びかけています。
リースバックを使う目的が本当に自分の生活設計に合っているのか、工事代金を払うためだけの売却になっていないかを一度考えることが大切です。
リースバック会社や所有者が変わったらどうなる?
所有者が変わっただけで直ちに退去となるとは限りませんが、賃貸借契約の内容と、新しい所有者へ契約関係がどう引き継がれるかを確認することが重要です。
リースバック事業者が物件を第三者へ売却し、途中で所有者が変わる可能性もあります。
所有者が変わったからといって、必ずその時点で賃貸借契約がなくなるわけではありません。
ただし、普通借家なのか定期借家なのか、契約期間がいつまでなのか、再契約についてどのように定めているのかによって、将来の住み方は変わります。
契約前に「物件を第三者へ売却する可能性があるか」「所有者が変わった場合、現在の賃貸借契約がどう扱われるか」を確認しておきましょう。
契約前に確認したいリースバックのチェックリスト
売買契約書だけでなく、売却後に締結する賃貸借契約書も同じくらい重要です。両方の条件を確認してから契約します。
- 通常売却した場合の想定価格
- リースバックの売却価格
- 売却価格の査定根拠
- 住宅ローン残債と売却後に残る金額
- 毎月の家賃
- 家賃の改定条件
- 敷金・保証金・更新料など
- 普通借家か定期借家か
- 契約期間
- 更新・再契約の条件
- 中途解約の条件
- 修繕費・設備交換費の負担
- 退去時の原状回復
- 第三者へ売却される可能性
- 買戻しの可否
- 買戻し価格・算定方法
- 買戻し期限
特に、売却価格と家賃は別々に考えず、セットで比較してください。
「3,000万円で売れる会社」と「2,700万円で売れる会社」なら前者が魅力的に見えますが、その後の家賃が大幅に高ければ、長期的な負担では逆転する可能性があります。
すでにリースバックでトラブルになっている場合の相談先
契約内容に納得できない、強引な勧誘を受けた、家賃値上げや退去を求められた場合は、一人で判断せず専門窓口へ相談します。
すでに契約してしまい、「説明と条件が違う」「解約したい」「家賃を突然上げられた」といった問題が起きている場合は、契約書や事業者とのやり取りを手元に残して相談しましょう。
消費者トラブルについては、消費者ホットライン「188」に電話すると、最寄りの消費生活センターなどにつながります。
参考:国民生活センター「自宅の『リースバック』トラブルにご注意!」
契約解除、損害賠償、賃貸借契約の法的解釈などが問題になっている場合は、弁護士への相談も検討してください。
リースバックで後悔しないために大切なこと
「今いくら受け取れるか」ではなく、「売ったあとも無理なく暮らせるか」で判断します。
リースバックは、自宅を売却して終わる取引ではありません。
売却した翌月からは、所有者ではなく賃借人として生活していきます。
そのため、契約前には、
- 売却によって手元にいくら残るのか
- 毎月いくらの家賃を払うのか
- 何年間住むつもりなのか
- その間の家賃総額はいくらか
- 退職後や年金生活でも支払えるか
- 最終的に買い戻すのか、住み替えるのか
まで考えておくことが大切です。
リースバックだけに絞らず、通常売却、不動産買取、住宅ローンの見直しなど、別の方法も比較したうえで判断しましょう。
リースバックとは?仕組み・家賃・買戻し・向いている人をわかりやすく解説
リースバックを検討している方はマーキュリーへご相談ください
リースバックだけを前提にするのではなく、通常売却や買取も含めて比較し、自分の目的に合う方法を選ぶことが重要です。
「まとまった資金は必要だが、できれば今の家から引っ越したくない」という場合、リースバックは一つの選択肢になります。
一方で、売却価格、家賃、契約期間、買戻しなどの条件によっては、通常売却や不動産買取の方が適していることもあります。
マーキュリーでは、不動産の価格や住宅ローンの残高、今後どのくらい住み続けたいのかなどを確認しながら、リースバックを含めた売却方法を検討します。
「リースバックを勧められているが、この条件でよいのか分からない」「通常売却した場合の価格とも比較したい」という段階でもご相談ください。
リースバックのトラブルに関するよくある質問
リースバック契約後に家賃を値上げすると言われたら、必ず応じなければなりませんか?
一律に必ず応じなければならないとはいえません。賃貸借契約の種類や契約書の賃料改定条項、値上げの理由などによって扱いが変わります。まず契約書を確認し、納得できない場合は消費生活センターや法律専門家へ相談してください。
リースバックの売買契約はクーリング・オフできますか?
消費者が不動産会社へ自宅を売却する契約については、宅地建物取引業法上のクーリング・オフはできません。契約成立後は無条件で解除できるとは限らないため、契約内容を理解できない場合は署名・押印する前に確認することが重要です。
リースバック後の固定資産税は誰が払いますか?
自宅を売却すると所有権が買主へ移るため、その後の固定資産税の納税義務は原則として所有者側にあります。ただし、売買した年の固定資産税・都市計画税を当事者間で日割り精算することもあるため、売買契約の精算条件を確認してください。
リースバック後に給湯器やエアコンが壊れた場合、修理代は誰が払いますか?
設備の種類や故障原因、賃貸借契約の内容によって異なります。リースバックでは売却後に賃貸住宅として暮らすため、貸主が修繕する範囲と借主が負担する範囲を契約前に確認しておくことが大切です。
リースバックした家から自分の都合で途中退去できますか?
中途解約できるかどうかは賃貸借契約の内容によります。解約予告期間や違約金などが定められている場合もあるため、「住み続けられる条件」だけでなく「自分から退去するときの条件」も契約前に確認してください。
リースバック後に物件が別の会社へ売却されたら、すぐ退去しなければなりませんか?
所有者が変わっただけで直ちに退去しなければならないとは限りません。賃貸借契約の種類や契約期間、新しい所有者への賃貸人の地位の承継などによって扱いが変わります。契約前に第三者への売却可能性と、その場合の契約の扱いを確認しておきましょう。





