底地は、借地人が利用している土地を地主が所有している状態です。土地そのものは地主のものですが、借地人がいるため自由に利用できず、一般的な土地に比べて買主を見つけにくい特徴があります。
そのため、底地を売りたいときは「誰に売るか」が重要です。借地人への売却、借地権と底地の同時売却、底地を扱う不動産会社への直接買取などがあり、それぞれ売却価格や手間、売却までの期間が変わります。
できるだけ価格を重視するなら借地人への売却や同時売却、借地人との交渉が難しい場合や早く手放したい場合は底地に詳しい買取会社への売却が選択肢になります。
この記事では、底地買取の相場の考え方から、査定価格を左右するポイント、高く売る方法、買取業者の選び方まで順番に解説します。
底地の買取価格には、「更地価格の○%」という公的な相場はありません。
同じ底地でも、借地人へ売るのか、借地権と一緒に売るのか、買取会社へ売るのかによって評価は大きく変わります。
また、地代、借地契約、土地の立地、借地人との関係なども査定に影響します。まずは底地単独の価格だけでなく、複数の売却方法を比較することが大切です。
底地買取とは?なぜ一般の土地より売りにくい?
底地とは、借地権が設定されている土地について、地主が持っている土地所有権を指します。
地主は土地を所有していますが、実際には借地人が建物を所有し、土地を使用しています。
そのため、底地を購入した人が土地を自由に使えるわけではありません。
| 項目 | 通常の所有権の土地 | 底地 |
|---|---|---|
| 土地所有者 | 所有者 | 地主 |
| 土地利用者 | 原則として所有者 | 借地人 |
| 自己利用 | 可能 | 原則として自由にできない |
| 主な収入 | 活用方法による | 地代など |
| 売却先 | 一般の個人・法人など | 借地人・投資家・専門業者など |
底地を購入しても借地関係はそのまま続くため、一般の住宅用地を探している人には向きません。
この買主層の狭さが、底地が売りにくい大きな理由です。
一方、借地人にとっては事情が異なります。借地人が底地を取得すれば、土地と借地権が一つになり、土地を自分で所有できるようになります。
そのため、底地は買主によって価値が大きく変わる不動産といえます。
底地の売却先は主に3つ
底地を手放す方法は、大きく分けると次の3つです。
| 売却方法 | 価格 | 進めやすさ | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 借地人へ売却 | 高く評価される可能性がある | 借地人の意思・資金次第 | 借地人に購入意思がある |
| 借地権と底地を同時売却 | 所有権として評価しやすい | 借地人との協力が必要 | 双方が売却を希望している |
| 専門の買取会社へ売却 | 上記より低くなる場合がある | 比較的進めやすい | 早く手放したい・交渉が難しい |
借地人に底地を買い取ってもらう
底地を高く評価してもらえる可能性がある相手の一つが、現在その土地を利用している借地人です。
借地人が底地を取得すると、土地を自分で所有することになるため、これまで支払っていた地代がなくなります。
借地契約によって必要だった更新料や、建替え・譲渡時の承諾手続きなども原則として必要なくなります。
借地人にとってメリットが大きいため、第三者より高い価格で話がまとまるケースがあります。
ただし、借地人に購入義務があるわけではありません。
購入資金がない、今後長く住む予定がない、相続人がその土地を必要としていないといった理由で、購入を断られることもあります。
借地権と底地を一緒に売る
借地人も不動産を手放したいと考えている場合は、借地権と底地を同じ買主へ同時に売却する方法があります。
いわゆる「底借同時売却」です。
買主は借地権と底地をまとめて取得するため、通常の所有権の不動産として利用できます。
底地だけ、借地権だけで販売するより買主を探しやすくなり、売買価格の総額も高くなる可能性があります。
ただし、地主と借地人の双方が売却に同意しなければ成立しません。
さらに、売却代金を地主と借地人でどのように分けるのか、測量費や解体費などを誰が負担するのかについて話し合う必要があります。
底地に詳しい不動産会社へ直接売却する
借地人が購入を希望しない場合や、借地人との交渉が進まない場合には、底地を直接買い取る不動産会社へ売却する方法があります。
一般的な不動産会社の中には、底地の買取を行っていない会社もあります。
底地は、通常の土地査定だけではなく、
- 借地権の種類
- 借地契約の内容
- 地代
- 更新料等の取り決め
- 借地人との関係
- 買取後の権利調整
まで確認したうえで査定する必要があるからです。
底地を専門的に扱う会社であれば、取得後の運用や借地人との権利調整まで見込んで査定できます。
底地の買取相場はいくら?
路線価や借地権割合は税務上の評価を考える材料にはなりますが、実際の底地買取価格は買主や契約条件によって変わります。
「底地はいくらで買い取ってもらえるのか」を調べると、インターネット上では更地価格に対する割合を示している記事が多くあります。
ただし、底地の買取価格について国が公表している一律の相場はありません。
民間の不動産会社が公表する目安にもかなり幅があり、同じ土地でも誰が買うかによって金額が変わります。
そのため、「底地なら更地価格の○%」と決めてしまうより、まず自分の底地がどのような条件なのか確認する方が重要です。
路線価の借地権割合は税務上の評価に使う
底地の価格を調べる際によく使われるのが、国税庁の路線価図です。
路線価図には、土地1㎡あたりの路線価とあわせて借地権割合が示されています。
たとえば借地権割合70%の地域であれば、相続税・贈与税上の貸宅地評価は、原則として自用地としての価額から借地権相当額を差し引いて計算します。
- 自用地としての価額 × 借地権割合
= 貸宅地の税務上の評価額
ただし、これは相続税・贈与税を計算するための評価方法です。
この金額がそのまま不動産会社の買取価格になるわけではありません。
借地人へ売る価格と買取会社へ売る価格が違う理由
借地人が底地を購入すると、それまで土地を借りていた状態から、自分で土地を所有する状態になります。
一方、第三者の買取会社が底地を購入しても、借地人がいるため土地を自由に利用できるようになるわけではありません。
つまり、同じ底地でも、借地人と第三者では購入後に得られるメリットが違います。
この違いが、売却先によって価格差が生まれる大きな理由です。
底地の買取価格を左右する7つのポイント
底地の査定では、土地そのものだけでなく、借地契約や収益性まで確認されます。
1.所有権としての土地価格
まず基準になるのは、その土地が通常の所有権だった場合にどの程度の価値があるかです。
立地、面積、形状、接道状況、用途地域などを確認します。
2.地代の金額
底地を第三者が取得した場合、主な収入になるのは地代です。
そのため、現在の地代が土地価格に対してどの程度の水準なのかは重要な査定項目です。
長年地代を改定しておらず、固定資産税などの負担に対して地代収入が低い場合は、収益性が低い底地として評価されることがあります。
3.借地権の種類
旧法借地権、普通借地権、定期借地権など、契約の種類によって土地が地主へ戻る可能性や時期が異なります。
特に定期借地権は契約期間満了時の取り扱いが普通借地権とは異なるため、同じ査定方法にはなりません。
4.借地契約の内容
借地契約書には、契約期間だけでなく、地代、更新料、建替え、増改築、譲渡などについて定められていることがあります。
契約内容が整理されているほど、買主側も取得後の状況を把握しやすくなります。
5.借地人との関係
地代の滞納が続いている、契約条件をめぐって争いがある、長期間連絡が取れていないといった事情がある場合は査定に影響することがあります。
反対に、地代の支払いが安定しており、契約内容も明確であれば、買取会社が状況を判断しやすくなります。
6.土地の権利関係
底地そのものが共有名義になっている場合や、抵当権などが設定されている場合も確認が必要です。
特に相続によって地主側の共有者が増えていると、底地全体の売却には共有者間の調整が必要になります。
7.買取会社がどのように活用できるか
同じ底地でも、買取会社によって査定価格が違うことがあります。
これは、取得した底地をその会社がどのように運用・売却できるかが異なるためです。
借地人との交渉や同時売却、底地の長期保有など、複数の出口を持つ会社ほど、その物件に合った評価をしやすくなります。
底地を少しでも高く売るための方法
まず借地人に購入意思があるか確認する
借地人に資金と購入意思があるなら、底地を高く評価してもらえる可能性があります。
特に、
- 建替えを検討している
- 借地契約の更新時期が近い
- 借地権付き建物を売却したい
- 相続を控えて権利関係を整理したい
といったタイミングでは、借地人側も底地取得のメリットを感じやすくなります。
ただし、一方的に購入を迫ると関係が悪化することもあります。借地人に購入義務はないため、条件を提示したうえで意思を確認することが大切です。
同時売却ができないか検討する
借地人も借地権を売却したいと考えているなら、借地権と底地を一緒に売る方法も検討しましょう。
所有権の不動産として市場に出せるため、底地単独より買主候補が広がる可能性があります。
ただし、地主と借地人で売却代金の配分を決める必要があります。
路線価の借地権割合を参考にすることはありますが、その割合で分けなければならないという決まりはありません。
底地の資料を揃えておく
査定を依頼する際は、手元にある範囲で次の資料を用意しておくと話が進みやすくなります。
- 土地賃貸借契約書
- 地代の金額が分かる資料
- 更新に関する覚書
- 登記事項証明書
- 固定資産税・都市計画税が分かる資料
- 測量図や境界関係資料
すべて揃っていなければ査定できないわけではありません。
古い借地では契約書が見つからないケースもあるため、分かる範囲から状況を整理します。
底地を扱った実績のある会社へ相談する
一般的な土地売却と底地売却では、査定の考え方が異なります。
底地を高く売却したい場合は、単純に土地価格だけを見る会社ではなく、借地人との調整や権利関係の整理まで扱える会社へ相談した方がよいでしょう。
底地買取と仲介はどちらがいい?
底地を不動産会社へ売却する方法には、仲介で買主を探してもらう方法と、不動産会社に直接買い取ってもらう方法があります。
| 比較項目 | 仲介 | 直接買取 |
|---|---|---|
| 買主 | 投資家などを探す | 不動産会社 |
| 売却価格 | 条件次第で高値を目指せる | 仲介より低くなる場合がある |
| 売却期間 | 買主が見つかるまで未確定 | 条件が合えば進めやすい |
| 仲介手数料 | 原則発生 | 直接買取なら不要 |
| 向いている人 | 時間をかけても価格を重視したい | 早く手放したい・手間を減らしたい |
「高く売りたいなら必ず仲介」「早く売りたいなら必ず買取」と単純に分けられるわけではありません。
底地は買主が限られるため、仲介で売り出しても長期間売れない場合があります。
一方、底地を専門に扱う買取会社であれば、借地人との関係や今後の運用まで踏まえて直接査定できます。
価格だけでなく、売却までの期間や借地人との交渉負担も含めて比較しましょう。
底地買取業者を選ぶ5つのポイント
1.底地・借地権の取扱実績があるか
底地を扱うには借地契約や借地借家法、不動産評価などの知識が必要です。
会社のホームページなどで、実際に底地や借地権を取り扱った事例があるか確認しましょう。
2.査定価格の根拠を説明してくれるか
「○万円で買います」という金額だけではなく、
- 土地全体をいくらと評価したのか
- 地代収入をどう評価したのか
- 借地契約をどう見ているのか
- 買取後にどのような活用を想定しているのか
まで説明してくれる会社の方が査定内容を比較しやすくなります。
3.借地人との調整にも対応できるか
底地売却では、借地人との関係が切り離せません。
売却後の借地人対応や、必要に応じた購入打診・同時売却なども相談できるか確認するとよいでしょう。
4.極端に高い査定額だけで判断しない
複数社のうち一社だけ極端に高い査定を提示した場合は、その価格の根拠を確認しましょう。
契約直前になって条件変更や大幅な減額がないかも確認しておくことが大切です。
5.売却条件まで比較する
同じ買取価格でも、測量や境界、契約不適合責任などの条件が違えば、売主の負担は変わります。
査定額だけでなく、最終的に何を売主が行う必要があるのかまで比較してください。
底地を買取会社へ売却する流れ
- 底地の状況を整理する
土地所在地、借地人、地代、借地契約の内容など、分かる範囲で確認します。 - 査定を依頼する
底地を扱っている不動産会社へ査定を依頼します。契約書などが手元になくても、まず相談できる場合があります。 - 調査・査定価格の提示
土地の価格や地代、契約内容、権利関係などを確認したうえで査定価格が提示されます。 - 条件を確認する
買取価格だけでなく、引渡し時期、測量、境界、借地人対応などの条件も確認します。 - 売買契約を締結する
価格と条件に納得できたら売買契約を結びます。 - 決済・所有権移転
売買代金を受け取り、土地の所有権を買主へ移転します。
底地を売却すると、買主が新しい地主となります。
借地借家法では、一定の対抗要件を備えた借地権は土地所有者が変わった場合でも第三者へ対抗できる仕組みになっています。そのため、底地を売っただけで借地人の権利が消えるわけではありません。
マーキュリーの底地買取
マーキュリーでは、借地権・底地など権利関係のある不動産を取り扱っています。
底地は「土地だから土地相場だけを見ればよい」という不動産ではありません。
地代や借地契約、借地人との関係、土地の利用価値などを確認し、物件ごとに売却方法を検討します。
たとえば、
- 相続した底地を手放したい
- 地代収入が少なく管理負担が大きい
- 借地人へ購入を提案したが断られた
- 借地人と長年連絡を取っていない
- 複数の借地人がいる土地をまとめて整理したい
- 借地権と底地を一緒に売れないか相談したい
といった段階からご相談いただけます。
マーキュリーでは直接買取の場合、物件の状況に応じて現況での買取、境界非明示、契約不適合責任免責などの条件についてもご相談いただけます。
「売ると決めてはいないが、今の底地がいくらになるのか知りたい」という場合でも、まずは査定価格を確認してから判断できます。
底地買取に関するよくある質問
借地契約書を紛失していても底地を査定できますか?
契約書が見つからないからといって、直ちに査定できなくなるわけではありません。登記、地代の支払状況、借地人とのやり取り、過去の資料などから確認できる場合があります。古くから続く借地では契約書が残っていないこともあるため、まず分かる範囲の情報を整理して相談するとよいでしょう。
地代を滞納している借地人がいても底地を売却できますか?
売却できる場合はあります。ただし、地代滞納の金額や期間、借地人とのやり取りなどは査定や売却条件に影響する可能性があります。滞納がある場合は隠さず、査定時に状況を伝えてください。
借地人と連絡が取れなくても底地を買い取ってもらえますか?
連絡が取れないという理由だけで必ず買取できなくなるわけではありません。借地契約や地代の支払い状況、建物の登記などを確認しながら対応を検討します。状況によって必要な手続きが異なるため、底地・借地権を扱う不動産会社へ相談するとよいでしょう。
底地に抵当権が付いていても売却できますか?
抵当権が設定されている場合でも売却自体は検討できますが、決済時の抹消などについて金融機関との調整が必要になることがあります。まず登記事項証明書を確認し、抵当権の内容や残債を把握しておきましょう。
複数の借地人に貸している土地でもまとめて売却できますか?
複数の借地人がいる底地でも売却できる場合があります。ただし、それぞれの借地範囲、契約内容、地代などを確認する必要があります。一筆の土地に複数の借地権が設定されている場合は、測量や土地の利用状況も含めて査定します。
借地人に知らせずに底地を売却できますか?
底地の売却自体について、借地人の承諾が必要になるとは限りません。ただし、売却後は地主が変わるため、地代の支払先など実務上の案内が必要になります。また、借地契約の内容や権利関係によって確認事項があるため、売却前に専門家へ確認しておくと安心です。





