所有権

マンション売却で押さえるポイントと注意点!区分と一棟の違いも解説

マンション売却で押さえるポイントと注意点!区分と一棟の違いも解説

マンションの売却を考えたとき「何から始めれば良いのか」「どんな手続きが必要なのか」と不安になる方も多いでしょう。
さらに、区分マンションと一棟マンションを売却する方法の違いや、売却を成功するための方法についても悩むことがあると思います。初めての売却で失敗したくないという気持ちは誰しも同じです。
そこでこの記事では、マンション売却の基礎知識から具体的な手続き、費用や税金に関する詳細、さらに成功のポイントと注意点について詳しく解説します。初めてマンションを売却する方や、売却に関して不安を抱えている方はぜひ参考にしてみてください。

マンション売却の基礎を知っておこう

マンション売却の成功には、まず基礎知識をしっかりと身につけることが重要です。マンション売却には「区分マンション」と「一棟マンション」という二つの大きなカテゴリーがあります。
それぞれに特徴や売却方法には違いがあるため、理解しておきましょう。

区分マンションと一棟マンションの違い

区分マンションと一棟マンションの特徴や違いを、以下の表でわかりやすくまとめました。

項目 区分マンション 一棟マンション
定義 建物内の一つの部屋を所有する形式 建物全体を一つの物件として所有する形式
所有者 各部屋ごとに異なる所有者がいる 建物全体を個人(法人)が所有している
売却対象 個々の部屋を売却 建物全体を売却
管理 管理費と修繕積立金を支払い、共用部分は管理会社が管理。自主管理のケースもあり得る 自分で建物全体の管理を行うか、管理会社に委託
費用負担 管理費や修繕積立金を毎月支払う 建物全体の維持管理費用がかかる

それぞれの違いを理解し、最適な売却戦略を立てましょう。

マンション売却の流れと必要な手続き

マンション売却にはいくつかのステップがあり、それぞれに必要な手続きがあります。初めて売却する方にとって手続きが複雑に感じることが多いですが、流れを理解すれば安心です。
売却の流れは主に以下のように進みます。

  1. 1.物件の状態を確認し、市場価格を調べる
  2. 2.登記簿謄本、固定資産税納税通知書、マンション管理規約などの必要書類を準備する
  3. 3.不動産会社に査定を依頼し、媒介契約を交わす会社を選ぶ
  4. 4.物件の広告や内覧会を通じて、不動産会社に売却活動を依頼する
  5. 5.買い手が見つかったら、不動産会社の担当者と一緒に契約内容を細かく確認して売買契約を締結する
  6. 6.マンション引き渡し

マンションの売却は、信頼できる不動産会社と協力することで、スムーズに進めることが可能です。
マンション売却のステップについては、次章で詳しく解説します。

マンション売却を成功させる5つのステップ

マンション売却を成功させるためには、事前の準備と計画が欠かせません。ここでは、マンション売却を成功させるための5つのステップを詳しく解説します。内容を参考にして、スムーズかつ効果的に売却を進めましょう。

ステップ1. 事前準備と市場調査

マンションを売却する際に、まずは事前準備と市場調査を行いましょう。極端に汚れや傷がひどい壁紙の貼り換えやクリーニングを行い、物件をきれいにしておくことが大切です。
これにより、内覧時に購入者に良い印象を与えられます。
さらに、インターネットで類似物件の価格を調べたり、近くの不動産会社に問い合わせたりして、周辺の市場価格を把握しましょう。
市場価格を把握することで、適切な売却価格を設定し、スムーズな売却が実現できます。

ステップ2. 査定依頼と不動産会社選び

事前準備や市場調査が整ったら、不動産会社にマンション価格の査定を依頼しましょう。複数の不動産会社に依頼することで、異なる視点からの評価を得ることが可能です。
複数の不動産会社を比較して、適正な売却価格で査定してくれる不動産会社を選びましょう。
また、不動産会社を選ぶ際には、過去の実績や評判を参考にすることで信頼度が増します。
信頼できる不動産会社と協力することで、スムーズな売却が期待できます。

ステップ3. 売却活動の開始

不動産会社が決まったら、売却活動を開始します。
物件の魅力を最大限にアピールするため、高品質な画質の写真を豊富に掲載するように、不動産会社に依頼しましょう。
また、内覧会を開催し、潜在的な買い手に物件を実際に見てもらうことも重要です。
効果的な広告やプロモーションを行うことで、早期の売却を目指します。

ステップ4. 売買契約の締結

買い手が見つかったら、売買契約を締結します。契約内容をしっかりと確認し、納得のいく形で契約を進めましょう。
契約には多くの書類が必要となるため、事前に準備しておくことが重要です。契約内容に不明点がある場合は、不動産会社の担当者に相談しましょう。

ステップ5. 物件の引き渡し

最後に、マンションの引き渡しとなります。引き渡しの前に物件の状態を確認し、残置物やライフライン(水道・電気・ガス)の使用停止手続きが完了しているかどうかを確認します。
以上の手続きをしっかりと行うことで、マンションの売却が完了します。

区分マンションを売却する2つの注意点

マンションを売却する際に、区分マンション特有の注意点があります。注意点を押さえておくことで、売却をスムーズに進め、トラブルを避けることが可能です。
ここでは、区分マンション売却時の2つの注意点について詳しく説明します。

注意点1. 管理費や修繕積立金を確認する

区分マンションの売却を考える際、管理費や修繕積立金の支払い状況を確認しましょう。これらの費用が未払いの場合、売却手続きに影響を及ぼすことがあります。
未払い分の管理費や修繕積立金を支払うタイミングは、以下のとおりです。

  • ●マンションの引き渡しまでに返済
  • ●マンションの引き渡し時に売買代金から相殺

管理費や修繕積立金の滞納が長期間続いている場合、買い手に対する印象が悪くなり、売却価格にも影響が出る可能性があります。
未払いがないかを管理会社に確認し、必要ならば支払いを済ませておくことがおすすめです。

注意点2. 売却に伴う税金を把握する

マンション売却には様々な税金が伴いますが、適切に把握していないと後々の負担が大きくなることがあります。
例えば、居住用のマンションを売却する場合、3000万円の特別控除を利用できます。
この特別控除は、不動産売却の際に不動産売却益である「譲渡所得」から最高3,000万円を控除できる制度です。これにより、譲渡所得にかかる所得税や住民税を節税できます。
一方で、事業用のマンションの場合は3000万円の特別控除は利用できず、短期所有(短期譲渡)か長期所有(長期譲渡)かで譲渡所得税率が異なります。
短期譲渡は所有期間が5年以下で高い税率が適用され、長期譲渡は所有期間が5年を超えると低い税率が適用されます。

計算項目 計算式
所有期間5年以下の税率(短期譲渡所得) 譲渡所得 × 39.63%
所有期間5年超の税率(長期譲渡所得) 譲渡所得 × 20.315%

参考:国税庁|“No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)

売却に伴う税金を把握し、適切な税金対策を講じることで「税負担」を軽減することが可能です。

一棟マンション売却の3つの注意点

ここでは、一棟マンション売却時の3つの注意点について詳しく説明します。注意点を押さえて、売却をスムーズに進めましょう。

注意点1. 空室率や入居率が売却額に影響する

一棟マンションの空室が多い場合、収益性が低く見られ、売却価格が下がる可能性があります。
反対に、入居率が高いマンションは安定した収益を期待できるため、高値で売却しやすくなります。
つまり、売却を考える際には、以下のような方法により「空室を減らす努力」が必要です。

  • ●空室のリフォーム
  • ●賃料の見直し
  • ●入居者募集活動を強化

空室率や入居率が売却額に大きく影響するため、入居率を向上させて、物件の魅力を高めましょう。

注意点2. 建物全体の管理状態が売却額に影響する

一棟マンションの売却額は、建物全体の管理状態によって大きく左右されます。例えば、以下のような状態が挙げられます。

  • ●築年数が古いにもかかわらず一度も建物状況調査していない
  • ●外壁や防水工事などを15年以上塗装していない

建物状況調査や修繕工事などが適切に行われてなければ、売却する前に一度施しておくことが望ましいです。
適切な管理が行われているマンションは、買い手にとって安心感があり、高い評価を受けやすくなります。
売却する前に建物全体の管理状態を見直し、改善点があれば積極的に対応しましょう。

注意点3. 一棟売却時の市場動向を把握する

一棟マンションを売却する際、現在の市場動向を把握することが重要です。
一棟マンションを購入する主なターゲットは投資家になるため、市場の需要が高まっているかどうかを確認し、売却のタイミングを見極めるようにしましょう。
売却をおすすめするタイミングの例は、以下のとおりです。

  • ●物件の近くに商業施設が建築される
  • ●大手会社の移転により県外から従業員が転勤してくる

不動産市場の景気や金利の動向、地域の開発計画などを調査し、適切な時期に売却を進めることで、最適な価格での売却が可能となります。
市場動向を把握しておけば、スムーズに売却できる可能性が高まります。

マンション売却で押さえるべき4つのポイント

マンション売却を成功させるためには、いくつかのポイントを押さえておくことが重要です。ここでは、具体的な4つのポイントについて詳しく解説します。

物件の価値を最大限に引き出す

物件の価値を最大限に引き出すためには、内覧の際に部屋の掃除や整理整頓を徹底することが大切です。見た目が良くなることで、買い手に良い印象を与えられます。
また、不動産会社には高品質なカメラでマンションの外観や室内を撮影してもらい、不動産情報サイトで物件の魅力を強調できるようにしましょう。
これにより、興味を持つ買い手が増え、売却のチャンスが広がります。
特に、自然光が入る時間帯に写真を撮影することで、部屋が明るく広く見えます。
また、購入者の心をつかむために、部屋をモデルルームのように整えることも効果的です。

マンション管理を改善する

共用部分や設備の定期的な点検と修繕を行い、建物の状態を良好に保つことで、買い手に安心感を提供できます。

  • ●エレベーターの定期点検
  • ●共用廊下の清掃
  • ●外壁の修繕

これらの管理を定期的に実施することで、マンション全体の印象を向上できます。管理状況が良好であることは、買い手にとって大きな魅力となります。
また、マンション管理組合の活動報告や会計報告を確認し、管理状況を知ってもらうことで買い手の安心に繋がります。

売却タイミングを見極める

不動産市場の価格が上昇している時期を狙うことで、より高値で売却することが可能です。市場動向を把握し、需要が高まる時期に売却を進めましょう。
例えば、春や秋は引越しシーズンでマンションの需要が高まるため、売却には最適な時期です。
また、地域の開発計画や新たなインフラ整備の情報をチェックすることで、将来的な価格上昇のタイミングを予測できます。
タイミングを見極めて、最適な時期に売却しましょう。

信頼できる不動産会社を選ぶ

不動産会社の選び方によって、売却の成功が左右されることがあります。
過去にマンション売却の実績がある会社を選ぶことで、安心して売却することが可能です。過去の実績や評判を調べ、信頼性の高い会社を選びましょう。
例えば、インターネットの口コミや知人の紹介を参考にできます。
また、複数の不動産会社にマンションの査定を依頼し、最適な条件を提示してくれる会社を選ぶことも重要です。
不動産会社担当者との相性や対応の迅速さも考慮し、安心して任せられるパートナーを見つけましょう。

マンション売却にかかる費用と税金

マンションを売却する際、どのような費用や税金がかかるのかを事前に把握しておくことが重要です。
売却後に思わぬ出費が発生することを避けるためにも、しっかりと準備をしておきましょう。
ここでは、マンション売却にかかる具体的な費用と税金について詳しく解説します。

登記費用や仲介手数料などの諸費用

マンションを売却する際には、いくつかの諸費用が発生します。主な費用としては、以下のとおりです。

費用項目 内容 費用
登記費用 住所変更登記・抵当権抹消登記 約3~5万円
仲介手数料 売却価格の3%+6万円(税別) 売却価格3000万円の場合:税別96万円
印紙税 売買契約書に貼る印紙代 売却価格3000万円の場合:1万円

これらの費用は売却の際に発生するため、事前に予算に組み込んでおくことが大切です。特に仲介手数料は高額になることが多いので、売却価格を設定する際に考慮する必要があります。
また、区分マンションのオーナーチェンジ物件や一棟マンションを売却する際には、入居者から預かっている敷金を買主(新貸主)に支払う必要があります。
売却するマンションの種類や状況に応じて支払う費用も代わるため、売却時の諸費用を細かく把握しておきましょう。

譲渡所得税の計算方法

マンション売却によって得られる利益には、譲渡所得税が課せられます。
譲渡所得税は、売却価格から取得費用(購入時の価格)や売却にかかる諸費用(仲介手数料など)を差し引いた額に対して課税されます。
以下は、計算方法と具体的な事例です。

譲渡所得の計算方法
譲渡所得 = 売却価格 -(取得費用 + 諸費用)
譲渡所得税の計算式
短期譲渡(所有期間5年以下) 譲渡所得 × 39.63%
長期譲渡(所有期間5年超) 譲渡所得 × 20.315%

参考:国税庁|土地や建物を売ったとき

具体的な事例

  • ●売却価格:3000万円
  • ●取得費用(購入時の価格):2000万円
  • ●諸費用(仲介手数料など):100万円
  • ●所有期間:10年(長期譲渡)
譲渡所得
3000万円 – (2000万円 + 100万円) = 900万円
譲渡所得税
900万円 × 20.315% = 約183万

売却価格や取得費用、諸費用をしっかりと計算することで、実際にかかる税金の額を把握できます。
また、居住用のマンションなら3000万円特別控除などの税制優遇を受けることで、税金を軽減することも可能です。
税金の計算方法や控除については、税理士に相談することをおすすめします。

まとめ

マンションの売却には、多くの手続きや費用が伴いますが、正しい知識と準備があればスムーズに進めることができます。特に、区分マンションと一棟マンションの違いを理解し、売却の流れや費用を把握することがマンション売却成功へのポイントです。

株式会社マーキュリーなら、豊富な経験と実績を持つ専門家が丁寧に対応し、適切なアドバイスを提供します。また、複雑な手続きや税金に関する疑問にも親身になってサポートします。