底地評価方法について
底地などの事情のある物件も含め、不動産を売却する際の査定の目安になるのは評価額です。不動産の価値を第三者に客観的に評価してもらうことで、売却時の見積もりが適正か否かということを判断する際の目安になります。
あるいは等価交換など他の手段を選ぶべきか否かを判断する際の参考にもなります。
底地の場合、売却の方法や相手方によって評価額が大きく変動することや、評価方法が複数あることなどから、底地を手放すことを検討されている方は、底地の評価についての知識を学んでおくべきです。
今回は底地の評価方法について、できるだけ専門用語を使わずにかみ砕いて詳しく解説します。
底地の評価額は取引相手によって大きく異なる
一般的な不動産よりも流通性が低いことから、不動産価値を評価する際にも、そのような事情を踏まえて計算する必要がありますが、中でも最も大きなポイントとなるのが取引の相手方です。
底地の売却相手として理論上考えられる売却相手には、以下の三通りがあります。
- ●借地人
- ●不動産会社の買取
- ●一般の第三者(不動産会社の仲介)
底地売却の相手方は借地人がベスト
底地を売る相手には、借地人(底地に建物を建てて使用している人)、もしくは第三者(不動産会社を含む)の2通りがありますが、可能であれば借地人への売却がベストです。
売買手続きによって第三者が底地を取得した場合、借地人が立ち退かない限りは自由に土地利用ができません。
底地を取得した第三者のメリットは地代などによる収入が生まれることです。
一方、借地人が売買手続きによって底地を取得すると、借地人は不動産の完全な所有者になれます。
地代を支払う義務が無くなり不動産価値も高まるので、借地人にとって底地を取得するメリットは決して小さくないのです。
しかし、借地人にまとまった金額が必要になるので、事情や状況によっては借地人への売却がうまく進まないことも考えられます。
借地人への売却がスムーズに進まない時には、底地専門に買取を行っている不動産会社に買取依頼をすることが理想的な最善の手段の一つです。
底地の査定依頼は底地の取り扱いに長けた専門会社に依頼すべき
「底地は売れにくい」という話を耳にして、心配になっている方もいるかと思います。
確かに底地は、通常の不動産とは異なる事情があるため、底地売買の実績の少ない不動産会社では取り扱いが難しい物件です。
ですが、上で少し案内しましたが、底地を専門的に取り扱っている不動産会社も存在します。
こうした会社は、底地の運用についての実績が豊富であり有効活用する術を把握しているため、他の不動産会社よりも底地を高く評価してくれる可能性があります。
底地の査定の際に必要な書類・情報
物件の情報を細かく伝えると、底地の査定がスムーズに進みやすくなります。
どんな情報や書類が必要かについては不動産会社ごとに若干異なりますが、概ね必要なものは以下の5つです。
- ●住宅地図などの底地の場所を特定できる書類
- ●登記簿謄本
- ●土地賃貸借契約書
(定期借地権など、期間の設定がある不動産の場合には、期間を表す書類) - ●公図
- ●測量図
また、査定後に売却する際には以下のものが必要になります。
- ●ご自身の身分証
- ●実印
- ●印鑑証明書
- ●登記済み権利書(登記識別情報通知)
- ●固定資産税の納税通知書
※住所変更などがある場合にはほかにも書類が必要になってきます。
必要な時に提示できるよう準備しておくことをおすすめします。
底地査定のポイント
底地の査定依頼の前に把握しておきたい2点を押さえたら、不動産会社との手続きを進めましょう。
専門会社を探すポイント
底地は通常の不動産とは物件自体の特徴も運用も異なるため、借地権や底地に精通した不動産会社をを探せるかどうかがポイントになります。
査定を依頼して比較検討するポイント
希望の会社が見つかったら、必要な情報を会社に伝えて実際に査定を依頼します。
査定に要する期間は、一般的には数日以内に結果が分かることが多いです。
ただし、不動産会社によって対応が異なる部分もあるので、お急ぎの方は査定の依頼時に完了までの日数の目安を確認しておきましょう。
底地の評価方法は主に3通り
底地を売却する場合の評価方法は、以下の3通りのいずれかを用いるケースが想定されます。
- ■割合方式
- ■取引事例比較法
- ■収益還元法
更地価格×底地割合によって求められます。
売却する底地と、条件の近い取引事例を参考にして評価額を算出する方法です。
取引事例比較法も借地人に売却するケースで用いられる手法です。
地代や更新料など、購入者が将来得られる収益を元に計算する方法です。
般的に借地人に対する売却の際には、割合方式や取引事例比較法、第三者に対する売却の際には収益還元法が用いられます。
借地人に売却する際に、割合方式と取引事例比較法のどちらが用いられるかについては、査定をおこなう不動産会社の判断次第ですが、不動産の地域性や状況などを踏まえて専門的な判断がなされます。
実際に複数の会社に査定を依頼して判断されると、分かりやすいのではないかと思います。
次の章以降で、3通りの評価方法の基本的な考え方について紹介していきますので、評価方法を理解するために参考にしてください。
割合方式の計算方法とは?
借地人に底地を売却する際に最もよく用いられるのは、割合方式による計算です。
底地の本来の評価額を算出した後に、一定の調整をしたうえで評価額を算出します。
底地の評価額は、以下の計算式で計算できます。
底地の本来の評価額=路線価×(1- 借地権割合)
計算式を見ても「意味が分からない」という方も少なくないと思いますので、一つひとつ解説します。
路線価
路線価とは、毎年1月1日を評価時点とし7月に発表される価額となります。
不動産鑑定士など専門的な知識を有する識者の意見などを基に国税庁が税金(相続税など)を試算するために表した価額となります。
路線価は宅地に面する道路に1㎡当たりの評価額や借地権割合も表されています。
公示価格
公示価格とは、国土交通省の土地鑑定委員会が地価公示法に基づいて、適正な地価を示すために示している価格のことです。
不動産の売買や相続、行政の公共事業のための土地取得の際の価格の指標となる価格です。
ご自身の不動産の価値を割り出すには、路線価から計算した方がスムーズです。
路線価は、更地1㎡あたりの評価額の一つで、国税庁ホームページにて公開されています。
目安として、路線価は公示価格×0.8で計算ができます。
逆に路線価÷0.8で公示価格を算出することができます。
例えば路線価が1億の評価額の土地であれば公示価格は1億÷0.8=1億1250万となります。
参照:地価公示・地価調査・取引価格情報 | 土地総合情報システム
借地権割合と底地割合
借地権が設定されている場合、一つの土地に対して借地人と地主という二人の権利者が存在することになります。
不動産価値についても「借地権割合」と「底地割合」といった形で、住宅価値に応じて案分することになります。
言い換えれば、底地割合とはその土地の権利の中で底地の価値が何割を占めるかということです。
具体的な借地権割合は、国税庁の「路線価」のホームページで公開されています。
そして、1から借地権割合をマイナスしたものが底地割合になります。
傾向としては商業地になるほど借地権割合が高い傾向があります。
底地の評価額は売買の際には参考にならない
運用が困難な底地が、本来の評価額で売買取引されることはまずありません。
従って、借地人に売却をする際には、底地割合で交渉するケースが一般的です(具体的には土地の利便性や形状などを踏まえて計算します)。
取引事例比較法の評価額とは?
取引事例比較法は、対象不動産と条件が類似した過去の取引事例をいくつか参考に評価額を決定します。
近隣もしくは同地域などにおいて、対象不動産と類似した不動産の取引が行われている場合に有効な比較法です。
収益還元法の評価額とは?
収益還元法の評価額は、将来収入として入ることを想定した地代や更新料を元に計算されます。
収益還元法は主に賃貸用不動産などの価格を求める際に有効な比較法です。
ただし、現在の賃料などに妥当性があるのかなどの精査が必要です。
マーキュリーではお客様の不動産に合わせた比較法で査定を出しております。
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