セットバックが必要な土地とは?後退距離・面積・費用・売却時の注意点を解説

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最終更新日:2026/09/29

セットバックが必要な土地で確認したいポイント セットバックが必要な土地で確認したいポイント

土地の販売図面などに「要セットバック」と書かれている場合、将来その土地に建物を新築・建替えするときに、道路から敷地を後退させる必要があります。

一般的な2項道路では、道路の基準時の中心線から2mの位置まで後退し、その内側を建築敷地として使います。セットバックした部分には、建物だけでなく門や塀なども原則として設置できません。

そのため重要なのは、登記簿上の土地面積だけを見るのではなく、セットバック後に実際に使える土地が何㎡残るのかを確認することです。

この記事では、セットバックが必要になる土地の条件、後退距離と面積の考え方、建築への影響、費用、固定資産税、土地を売却・購入するときの注意点まで順番に解説します。

まず押さえておきたいポイント

・セットバックが必要なのは、主に幅員4m未満の「2項道路」に接する土地
・一般的には基準時の道路中心線から2mまで後退する
・向かい側が川・崖などの場合は、道路の反対側から4m確保するケースがある
・後退部分は建築敷地として使えない
・建ぺい率・容積率はセットバック部分を除いた敷地面積を基準に考える
・セットバックが必要な土地でも売却は可能

購入・建替え・売却をする前に、役所で道路種別と後退線を確認することが大切です。

セットバックとは?

セットバックで道路幅員を確保する仕組み セットバックで道路幅員を確保する仕組み

セットバックとは、建物を新築・建替えするときに、道路と敷地の境界を後退させることです。「道路後退」と呼ばれることもあります。

建築基準法上の道路は原則として幅員4m以上ですが、古い住宅地には4m未満の道路が数多く残っています。

そこで、建築基準法が適用されるようになった時点ですでに建物が立ち並んでいた一定の道路については、特定行政庁が指定することで、幅員4m未満でも建築基準法上の道路として扱う仕組みがあります。

これが一般に「2項道路」「みなし道路」と呼ばれる道路です。

2項道路沿いで建替えなどを行う際は、将来的に必要な道路幅を確保できるよう、敷地を後退させます。

参考:国土交通省「2項道路とセットバック」

どんな土地でセットバックが必要になる?

「前の道が4m未満なら、すべてセットバックが必要」と考えるのは正確ではありません。

まず確認する必要があるのは、前面の道が建築基準法上どのような道路として扱われているかです。

確認項目 確認する内容
前面道路の幅員 現在何mあるか
道路種別 建築基準法42条のどの道路に該当するか
2項道路指定 幅員4m未満でも2項道路として指定されているか
基準時の中心線 どこを基準に後退するのか
反対側の状況 宅地か、川・崖・線路などか

見た目だけで道路種別を判断するのは難しいため、自治体の建築指導課などで確認するのが確実です。

「セットバックすれば必ず建築できる」とは限らない

ここも誤解しやすいところです。

セットバックは、主に道路幅員の問題を解消するためのものです。

一方、建物を建築するためには、原則として建築基準法上の道路へ敷地が2m以上接していることなど、ほかの条件も満たす必要があります。

そのため、セットバックを行ったとしても接道長が足りない、そもそも前面の通路が建築基準法上の道路ではないといった場合は、再建築できない可能性があります。

建築基準法の道路・接道義務について詳しく見る

セットバックする距離はどう決まる?

セットバックの後退距離の考え方 セットバックの後退距離の考え方

一般的な2項道路の場合、基準時の道路中心線から両側へ2mずつ確保するのが基本です。

道路の両側が宅地の場合

道路の両側に宅地がある場合は、原則として基準時の中心線からそれぞれ2mの位置が道路境界とみなされます。

基準時の道路中心線
↓
両側に2mずつ確保
↓
将来的に道路幅4m

向かい側が川・崖などの場合

道路の反対側が川、崖、線路敷地などで、そちら側へ道路を広げられない場合があります。

この場合には、反対側の道路境界線からこちら側へ4mの位置まで後退するケースがあります。

通常の「中心線から2m」とは計算方法が違うため注意してください。

通常のセットバックと川や崖がある場合の後退方法

6m道路の指定がある地域もある

元記事では「6m指定道路なら中心から3m」としていましたが、これはすべての土地に共通するルールではありません。

建築基準法上は、特定行政庁が指定する区域などで、4mではなく6mを基準とする場合があります。

該当するかどうかは地域によって異なるため、「前面道路が狭い=必ず中心から3m」と判断せず、自治体へ確認してください。

向かい側がすでにセットバックしている場合は中心線に注意

現在の道路中心だけでセットバックを判断しない 現在の道路中心だけでセットバックを判断しない

向かい側の土地がすでにセットバックしていると、現在見えている道路の中心と、後退距離を判断する際の基準時の中心線が一致しないことがあります。

この状態で現在の道路幅だけを測り、その中心から2mと判断すると、本来必要な後退距離を間違える可能性があります。

セットバックの位置は、道路台帳や指定図、過去の測量資料などを確認しながら特定します。

土地を購入したり建替えを計画したりする場合は、現地を測っただけで判断せず、役所や土地家屋調査士などへ確認した方がよいでしょう。

セットバックで土地はどのくらい狭くなる?

セットバックが必要な土地で特に気になるのが、「実際に何㎡使えなくなるのか」という点です。

単純な形状の土地なら、おおよその面積は次のように考えられます。

後退する距離 × 道路に接している間口
= セットバック部分のおおよその面積

たとえば前面道路の幅員が3.6mで、基準時の中心線が道路中央にあり、土地の間口が10mだとします。

必要な道路幅は4mなので、道路全体では0.4m不足しています。両側が同じように後退する場合、自分側の後退距離は0.2mです。

項目 数値
現在の道路幅員 3.6m
必要な幅員 4.0m
自分側の後退距離 0.2m
土地の間口 10m
セットバック面積の目安 0.2m×10m=約2㎡

ただし、道路が斜めに接している、不整形地である、中心線が道路中央ではないといった場合は単純計算できません。

正確な面積は測量によって確認します。

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セットバック部分は建築敷地として使えない

セットバック部分は建築敷地として利用できない セットバック部分は建築敷地として利用できない

セットバックした部分は、所有権が自分に残っていたとしても、建築基準法上は道路として扱われます。

そのため、建物を建てる敷地として利用することはできません。

門や塀などを設置することも原則としてできません。

建ぺい率・容積率の計算にも影響する

土地を買うときに特に注意したいのが、建ぺい率・容積率への影響です。

セットバック部分は敷地面積から除いて計算するため、登記簿上100㎡ある土地でも、セットバック後の有効宅地面積が95㎡なら、基本的には95㎡をもとに建築可能な規模を考えます。

その結果、

  • 予定していた建物が入らない
  • 建築面積が小さくなる
  • 延べ床面積が小さくなる
  • 駐車スペースを確保しにくくなる

といった影響が出ることがあります。

土地を購入して注文住宅を建てる場合は、土地面積ではなくセットバック後の有効宅地面積で建築プランを作ることが重要です。

セットバック部分を駐車場として使える?

道路として扱われるセットバック部分を、自分専用の駐車スペースとして使用することはできません。

「所有権が残っているから自由に使える」という考え方ではない点に注意しましょう。

セットバックした土地の所有権はどうなる?

セットバックした土地の扱い セットバックした土地の扱い

セットバックしたからといって、土地の所有権が自動的に自治体へ移るわけではありません。

自治体によって制度は異なりますが、主に次のような扱いがあります。

扱い 土地の所有者 概要
自治体へ寄付 自治体 後退部分を自治体へ移転する
無償使用 元の所有者 所有権を残したまま道路として使用させる
自己管理 元の所有者 所有権を残し、自ら管理する

寄付する場合

自治体が寄付を受け付けている場合は、セットバック部分の土地を自治体へ移転します。

ただし、どの土地でも必ず寄付できるわけではありません。

境界確定や道路形状など、自治体ごとに受入条件があります。

測量・分筆・登記などの費用についても自治体によって制度が異なるため、事前確認が必要です。

無償使用にする場合

所有権は土地所有者に残したまま、道路として一般の通行に利用させる方法です。

道路整備や管理の扱いは自治体ごとに違います。

自分で所有・管理する場合

所有権を残したまま、自分でセットバック部分を管理するケースもあります。

ただし、私有地であってもセットバック部分は建築基準法上道路とみなされるため、建物や塀を設けて自由に利用できるわけではありません。

セットバックにかかる費用

セットバックにかかる主な費用 セットバックにかかる主な費用

セットバックでは、土地を後退させること自体に代金がかかるのではなく、測量や境界確定、工作物の撤去、道路整備などに費用が発生します。

主な費用 内容
測量費 道路境界や敷地境界、後退位置を確認
境界確定費用 隣地所有者などとの境界確認
分筆登記費用 後退部分を別の土地として分ける場合
塀・門などの撤去費 後退部分に工作物がある場合
道路整備費 舗装などが必要な場合

民間の不動産情報では、セットバック関連費用として数十万円程度を目安にしている例がありますが、境界が未確定の場合や擁壁・塀の撤去が必要な場合は大きく変わります。

そのため、「セットバックは○万円」と決めつけず、土地ごとに見積もる方が確実です。

また、自治体によっては狭あい道路整備などの助成制度を設けています。

建替え前に自治体へ確認しておくと、測量や整備費の一部について助成を受けられることがあります。

セットバック部分の固定資産税はどうなる?

セットバック部分の固定資産税 セットバック部分の固定資産税

セットバック部分を道路として一般の通行に利用している場合、一定の要件を満たせば固定資産税・都市計画税が非課税になることがあります。

ただし、セットバックをしただけで自動的に非課税になるとは限りません。

東京都23区では、道路として利用されている土地が一定の要件を満たす場合、固定資産税・都市計画税の非課税申告を行う制度があります。

道路部分の位置や面積を示す測量図などを提出し、都税事務所が現地の利用状況などを確認したうえで判断します。

参考:東京都主税局「道路に対する非課税のご案内」

東京都以外では手続きや要件が異なるため、土地所在地の自治体へ確認してください。

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セットバックが必要な土地は売却できる?

セットバックが必要な土地でも売却できます。

ただし、通常の土地と比べて、買主が確認する項目が増えるのは事実です。

特に購入後に建替えを予定している人にとっては、セットバック後の有効面積が重要になります。

売却価格に影響することがある

たとえば登記簿上100㎡ある土地でも、セットバックによって5㎡が道路扱いとなれば、建築に使える面積は実質的に小さくなります。

そのため、同じ地域の100㎡の整形地とまったく同じようには評価されないことがあります。

さらに、

  • 道路幅が狭い
  • 車の出入りがしにくい
  • セットバック費用が必要
  • 希望する建物が建てにくい
  • 境界が確定していない

といった事情も査定へ影響します。

売却前にセットバック工事まで行う必要はある?

売却するためだけに、必ず売主側でセットバック工事を済ませなければならないわけではありません。

土地や古家付き物件の状態、買主がどのような建築をするのかによっても対応は変わります。

先に測量・分筆・塀の撤去などへ費用をかけても、その金額がそのまま売却価格へ上乗せできるとは限りません。

売却予定であれば、まず現況のまま査定を受け、

  • 現況のまま売る場合
  • 測量だけ行う場合
  • セットバック部分を整理してから売る場合

の価格差を確認してから判断するとよいでしょう。

セットバックが必要な土地を買うときの注意点

セットバックが必要な土地は、条件を理解したうえで購入することが重要です。

道路種別を確認する

まず、その道路が本当に2項道路なのか確認します。

単に道路幅が狭いだけでは、セットバックによって建築できるとは限りません。

セットバック後の有効宅地面積を確認する

販売図面に「土地100㎡」と書かれていても、そのすべてを建築敷地として使えるとは限りません。

「セットバック面積○㎡」と記載されている場合は、後退後にどれだけ土地が残るのか確認しましょう。

希望する建物が建つか確認する

有効宅地面積が減れば、建ぺい率・容積率にも影響します。

購入契約を結ぶ前に、建築会社や設計士へ相談して希望する間取りや駐車スペースを確保できるか確認した方が安心です。

費用まで含めて土地価格を比較する

セットバックが必要な土地は、周辺の一般的な土地より価格が低く設定されていることがあります。

しかし、購入後に測量、境界確定、塀の撤去、道路整備などの費用が必要になる場合があります。

土地代だけではなく、建物完成までの総額で比較しましょう。

セットバックと再建築不可は同じではない

セットバックが必要な土地と、再建築不可物件は同じものではありません。

セットバックが必要な土地 再建築不可物件
建替え 必要な後退等をすれば可能な場合がある 原則としてそのままでは難しい
代表的な問題 道路幅員 接道幅・道路種別など
有効宅地面積 セットバック分減少 物件による
売却 可能 可能だが買主が限られやすい

たとえば、前面道路が2項道路で幅員3.6mの場合、必要なセットバックを行えば建替えできることがあります。

一方、そもそも建築基準法上の道路に接していない、接道幅が2m未満といった物件は、セットバックだけでは問題を解消できません。

再建築不可物件が売りにくい理由と売却方法を詳しく見る

マーキュリーの再建築不可・接道に問題がある不動産の取扱実績

マーキュリーでは、セットバックが必要な土地だけでなく、接道条件や権利関係に問題を抱えた不動産も取り扱っています。

公式サイトでは、再建築不可物件として、たとえば次のような取扱実績を公開しています。

所在地 種別 土地面積
目黒区中目黒1丁目 再建築不可 70.99㎡
北区十条仲原1丁目 再建築不可 106.18㎡
新宿区四谷4丁目 再建築不可 62.88㎡
港区西新橋1丁目 再建築不可 81.28㎡

※上記事例がすべて「セットバックだけ」が原因の物件という意味ではありません。接道や再建築の条件が複雑な不動産の取扱例です。

マーキュリーの不動産買取・再生実績を見る

セットバックが必要な土地を売却するなら、まず現況を確認

「セットバックが必要」と言われただけでは、土地の価値を正確に判断することはできません。

確認したいのは、

  • 前面道路の道路種別
  • 基準時の道路中心線
  • 必要な後退距離
  • セットバック面積
  • セットバック後の有効宅地面積
  • 接道幅
  • 建替えが可能か
  • 境界が確定しているか

といった点です。

マーキュリーでは、再建築不可や接道に問題がある土地なども買取対象としています。

また、直接買取では物件の状況に応じて、現況での買取、境界非明示、契約不適合責任免責などについてもご相談いただけます。

そのため、「セットバックしてから売るべきか」「費用をかけずそのまま売った方がよいのか」で迷っている場合も、まず現況での査定価格を確認してから判断できます。

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受付 平日9:30-20:00
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セットバックが必要な土地に関するよくある質問

セットバック部分を駐車場として使えますか?

原則としてできません。セットバック部分は建築基準法上、道路とみなされる部分です。所有権が自分に残っていても、自分専用の駐車場として利用したり、門や塀などを設けたりすることはできません。

セットバックが必要な状態のまま土地を売却できますか?

売却できます。売却するために、必ず売主が先にセットバック工事や分筆を行わなければならないわけではありません。ただし、必要な後退面積や建築条件が買主の判断材料になるため、査定時に道路状況を確認しておくと売却条件を整理しやすくなります。

セットバックすると登記簿の土地面積も自動的に減りますか?

いいえ。セットバックしただけで登記簿上の地積が自動的に変更されるわけではありません。後退部分を分筆する場合などには、土地家屋調査士による測量や分筆登記が必要になります。

セットバック部分も建ぺい率・容積率の敷地面積に含められますか?

原則として含められません。セットバックによって道路とみなされる部分を除いた敷地面積をもとに、建ぺい率や容積率を計算します。そのため、セットバック面積が大きい土地では建てられる建物が想定より小さくなることがあります。

向かいの土地がすでにセットバックしていれば、自分は後退しなくてもいいですか?

必ずしもそうではありません。通常は基準時の道路中心線をもとに、それぞれの敷地側で必要な後退位置を判断します。向かい側が先に大きく後退していても、その現在の道路形状だけを基準に自分側の後退距離を決めることはできない場合があります。

セットバック部分は必ず自治体へ寄付しなければなりませんか?

必ずしも寄付する必要はありません。自治体によって、寄付、無償使用、所有者による管理など取り扱いが異なります。また、寄付を希望しても自治体の受入条件を満たさなければ受け付けてもらえないことがあります。土地所在地の自治体へ確認してください。

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