土地を売却する際「何から始めればいいのか分からない」「手続きや税金についての知識が不足していることに不安を感じる」
という方は多いのではないでしょうか。初めての土地売却では、どのように進めるべきかが分からず、困惑することもあるでしょう。
また、節税対策や注意点について知りたい方もいると思います。
そこでこの記事では、土地売却の流れを解説し、注意点や節税対策についても詳しく説明します。初めて土地を売却する方や、売却手続きをスムーズに進めたい方はぜひ参考にしてください。
土地売却 仲介と買取の流れ
土地売却には、仲介と買取の2つの方法があります。それぞれに必要な手続きが異なるため、分けて解説します。このガイドを参考に、スムーズな土地売却を目指しましょう。
仲介の場合
ここでは、仲介の場合の流れを解説します。
1. 必要書類を準備する
土地売却を仲介で進める場合、登記簿謄本や固定資産評価証明書、測量図などの書類が必要です。
これらの書類は売買契約時に求められるため、事前に揃えておくことが重要です。不足している書類は市区町村役場や法務局で入手できるため、早めに準備を進めましょう。
2. 査定を依頼する
仲介の売却では、まず不動産会社に査定を依頼し、土地の適正価格を知ることが必要です。
複数の不動産会社に査定を依頼し、提示された査定額を比較することで、より正確な売却価格を設定できます。
3. 不動産会社と媒介契約を結ぶ
査定結果に納得したら、不動産会社と媒介契約を結びます。
専任媒介契約、専属専任媒介契約、一般媒介契約の3種類から選択し、自分に合った契約を結びましょう。
専属専任媒介契約や専任媒介契約では、1社の不動産会社が積極的に売却活動を行う一方で、一般媒介契約では、複数の不動産会社に依頼することが可能です。
4. 買い手と売買契約を締結する
販売活動を経て買い手が見つかったら、売買契約を締結します。
契約書には重要な内容が記載されているため、内容を十分に確認しましょう。
契約書の内容を十分に確認し、不明点があれば不動産会社に確認することが重要です。
また、契約不適合責任(売買契約において、品質不良、品物違い、面積不足、その他の不備があった場合に、売主が買主に対して負う責任のこと )についても理解しておく必要があります。
売買契約は法的な効力を持つため、慎重に対応することが求められます。
5. 引き渡しに向けて準備をする
契約が成立したら、土地の引渡しに向けて準備を進めます。
残置物がないか最終確認を行い、引渡し当日に備えましょう。
6. 土地の引き渡しと決済
引渡しと決済は、土地売却の最終段階です。
金融機関での決済と所有権の移転登記を同時に行います。必要書類を忘れないよう、しっかりと準備して臨みましょう。
買取の場合
ここでは、買取の場合の流れを解説します。仲介との違いを知っておきましょう。
1. 必要書類を準備する
買取の場合でも、登記簿謄本や固定資産評価証明書などの書類が必要です。
これらの書類を早めに準備し、スムーズに買取手続きを進められるようにしましょう。
2. 査定を依頼する
買取の場合も、まず不動産会社に査定を依頼し、買取価格を確認します。査定結果をもとに、買取業者と交渉を行い、納得のいく価格で売却しましょう。
3. 買取業者と売買契約を締結する
査定結果に納得したら、買取業者と売買契約を結びます。
契約内容をしっかりと確認し、納得のいく取引を進めることが大切です。
4. 土地の引き渡しと決済
買取では、契約と同時、あるいは契約後すぐに引渡しと決済が行われるケースが多いです。
残置物があっても現状のまま引き渡せる場合もあるため、契約内容を確認しておきましょう。
土地の売却に必要な4つの費用
土地を売却する際には、さまざまな費用が発生します。これらの費用を事前に把握しておくことで、予期せぬ出費に戸惑うことなく、スムーズに売却を進めることができます。ここでは、土地売却に必要な4つの主要な費用について詳しく解説します。
1. 仲介手数料
土地売却時に最も一般的な費用が、仲介手数料です。
不動産会社に土地の売却を依頼する場合、仲介手数料が発生します。具体的には、以下の表のように計算されます。
売買価格 | 計算式 | 計算例(税別) |
---|---|---|
200万円以下 | 売買価格×5% | 200万円×5%=10万円 |
200万円超~400万円以下 | 売買価格×4%+2万円 | 300万円×4%+2万円=14万円 |
400万円超 | 売買価格×3%+6万円 | 1000万円×3%+6万円=36万円 |
参考:国土交通省|宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額
仲介手数料は法律で上限が定められており、売買価格に応じて計算されます。売買価格が高額になればなるほど仲介手数料の額も大きくなるため、知っておきましょう。
2. 住所変更登記費用
売主の現住所が、登記簿上の住所と異なる場合「住所変更登記」が必要となります。司法書士に依頼する場合は、10,000〜20,000円が相場価格です。
引き渡しのときまでに変更登記を完了しておく方法と、決済と同時に行う方法があります。
3. 抵当権抹消登記費用
土地に抵当権が設定されている場合、決済まで(決済日に抹消も可能)に抵当権抹消登記が必要です。司法書士に依頼する場合の費用は以下のとおりです。
費用項目 | 費用 |
---|---|
登録免許税 | 不動産1件につき1,000円 |
司法書士報酬 | 1~3万円程度 |
抵当権抹消登記の手続きには専門的な知識が必要になるため、司法書士に依頼するのが一般的です。
4. 譲渡所得税・住民税
土地を売却した際の利益には、譲渡所得税が課せられます。
譲渡所得税は、売却価格から取得費用と諸費用(売却時に支払う仲介手数料や抵当権抹消登記費用など)などを差し引いた金額に対して課税されます。
具体的な計算方法は以下のとおりです。
計算項目 | 計算式 |
---|---|
譲渡所得 | 売却価格 – (取得費用 + 諸費用) |
所有期間5年以下の税率(短期譲渡所得) | 譲渡所得 × 39.63% |
所有期間5年超の税率(長期譲渡所得) | 譲渡所得 × 20.315% |
参考:国税庁|No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)
例えば、売却価格が1,000万円、取得費用が400万円、諸費用が100万円の場合、譲渡所得は以下のように計算されます。
譲渡所得=1,000万円−(400万円+100万円)=500万円
所有期間が5年以下の場合 |
---|
短期譲渡所得税 = 500万円 × 39.63% = 198.15万円 |
所有期間が5年を超える場合 |
---|
長期譲渡所得税 = 500万円 × 20.315% = 101.575万円 |
譲渡所得税は、土地の所有期間に応じて違うため、事前に費用を確認しておきましょう。
土地の売却に関する節税対策
土地を売却する際には、譲渡所得税が発生することが一般的です。しかし、適切な節税対策を行うことで、税負担を軽減できます。
代表的な節税対策と内容は、以下の3つです。
代表的な節税対策 | 内容 |
---|---|
居住用財産の特例 | ・居住用財産を売却すると、3,000万円の特別控除を受けられる ・売却する土地が自分の居住用であったこと、売却した年の前年、前々年に他の特例を利用していないことなどが条件 |
5年超所有の減税 (居住用財産以外) |
・土地の所有期間が5年以下の場合は39.63%の譲渡所得税となるが、5年を超えると20.315%の税率に減税される |
売却益の繰延べ | ・売却益を新たな不動産の購入に充てることで、所得税の課税を将来に繰り延べることが可能 |
土地売却による節税対策については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
整形地と不整形地で売却価格はどう変わる?
土地の形状によっては、売却価格に大きな影響を与えます。ここでは、整形地と不整形地の違いが売却価格にどのような影響を与えるのかについて、詳しく解説します。
整形地とは
整形地は、四角形や長方形など、規則正しい形状の土地を指します。
整形地は、建築計画が立てやすく、有効面積を最大限に活用できるため、多くの買い手に人気があります。そのため、市場価値が高く、売却価格も高く設定される傾向です。
また、整形地は需要が高く、短期間で売却できることが多いといえます。整形地が好まれる理由として、建築コストの低減や使い勝手の良さが挙げられます。
不整形地とは
不整形地は、三角形や、旗竿地など、規則正しくない形状の土地を指します。
建築計画が複雑になるため、建築に係るコストが増加しやすく、買い手にとって不利となります。そのため、売却価格は整形地に比べて低く設定されることが一般的です。
また、不整形地は需要が少なく、売却に時間がかかることがあります。
不整形地は「旗竿地」「三角地」の代表例
不整形地にはいくつかの種類があります。代表的なものは以下のとおりです
旗竿地 敷地が旗の竿のように細長く延びた部分を持つ土地。敷地全体の利用効率が低下しやすい。
三角地 三角形の土地で、建築の設計が難しくなる場合がある。特に、角度によっては建物の配置に制約が生じる。
不整形地は、形状に応じて建築計画が難航することが多く、結果として売却価格が低くなる傾向があります。
しかし、立地や周辺環境によっては整形地に匹敵する価格で売却できる場合もあるため、専門の不動産会社に相談することが重要です。
土地の形状が売却価格にどのように影響するかを理解し、適切な売却戦略を立てましょう。
土地を売却するときの5つの注意点
土地を売却する際の注意点を押さえておくことで、スムーズな売却手続きを進めることが可能です。ここでは、土地を売却する際に特に注意すべき5つのポイントについて詳しく解説します。
1. 共有者がいないか確認する
共有者がいる場合、全員の同意がなければ土地そのものを売却できません。共有者がいるかどうかの確認を怠ると、売却手続きが大幅に遅れる可能性があります。
共有者が見つからない場合や連絡が取れない場合もありますが、事前に全員の意向を確認し、協力を得ることが重要です。
2. 相続登記を済ませる
相続によって取得した土地を売却する場合、相続登記を済ませる必要があります。相続登記が済んでいないと、売却手続きが進められないため、事前に確認することが重要です。
相続登記を行うには、相続人全員の同意が必要となります。事前に相続登記を完了させ、必要書類を揃えておくことで、スムーズな売却が可能です。
3. 境界確定を済ませる
土地の境界が曖昧な場合、売却後にトラブルが発生する可能性があります。売却前に境界確定を済ませておくことが重要です。
隣接地の所有者との協議を行い、境界を明確にすることで、安心して売却できます。また、境界確定には専門家の協力が必要な場合もありますので、土地家屋調査士に依頼することを検討しましょう。
4. 契約不適合責任を確認する
土地を売却する際には、契約不適合責任について確認することが必要です。契約不適合責任とは、売却後に土地の面積に大きな相違があったり、地中にコンクリート片が大量に埋まっていたりしていた場合、売主が「売買価格の減額」や「撤去費用」などの責任を負うことを意味します。
売主が責任を負わないためには、契約書に特約を記載することが重要です。また、売却前に土地の状態をしっかりと確認し、不適合がないかを調査することも重要です。
契約不適合責任を明確にすることで、売却後のトラブルを防ぐことができます。
5. 地中埋設物に注意する
土地を売却する際には、地中埋設物の存在に注意することが必要です。地中に埋まっている配管や古い基礎などがあると、売却後にトラブルになる可能性があります。
地中埋設物を確認するためには、地中レーダー探査などの方法を用いることが有効です。事前に地中埋設物を確認し、必要に応じて撤去することで、買主に安心して土地の引き渡しができます。
土地をスムーズに売却するコツ2選
土地をスムーズに売却するためには、適切な戦略と準備が必要です。ここでは、特に重要な2つのポイントについて解説します。
1. 適正な売り出し価格を設定する
土地の売却を成功させるためには、適正な売り出し価格を設定することが不可欠です。過大な価格設定は買い手を遠ざけ、過小な価格設定は損失を招く可能性があります。
適正価格を知るためには、周辺の相場や市場の動向を調査することが重要です。多くの売主が価格設定に悩むのは、情報不足や市場の変動に対する不安からです。
複数の不動産会社に査定を依頼し、価格の妥当性を確認することが効果的です。適正な価格設定を行うことで、買い手の興味を引き、早期売却を実現できます。
2. 実績のある買取業者に売却する
土地をスムーズに売却するためには、実績のある買取業者を選ぶことが重要です。経験豊富な業者は市場の動向を熟知しており、適正な価格で迅速に買い取ってくれます。
また、信頼できる業者は手続きもスムーズに進めてくれるため、ストレスなく売却を完了できます。口コミや評判をチェックし、実績を確認することで安心して取引を進めることが可能です。
適正な売り出し価格を設定し、実績のある買取業者に依頼することで、土地の売却をスムーズに進めることができます。
まとめ
土地売却には多くのステップと注意点があり、しっかりと準備を整えることでスムーズな売却ができます。特に、土地の形状や市場動向を考慮し、最適な売却戦略を立てることが重要です。
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