地主さんから更地返還などの要求が来るのはどういう要因があるのか
地代の不払いがある場合
地代の不払いが続いた場合には、借地権の解除の要因になります。
しかし、「信頼関係の破壊」があると認められた時です。地代の不払いが6ヶ月以上ある場合には信頼関係の破壊があると認められることが多いようですが、2ヶ月で認められた判例もあるようです。
無断で建て替えや増改築を行った場合
借地人さんは原則として借地上の建物を自由に増改築する事はできますが、土地賃貸借契約書に「増改築禁止の条文が記載されていた場合」には、地主さんの承諾が必要になり、無断で増改築を行った場合には契約違反になり、借地権の解除の要因になります。
しかし、判例によっては増改築禁止の条文が記載されていても、解除を認めなかったケースもあるようです。
無断で第三者に借地を売却・譲渡または転貸した場合
借地権を無断譲渡転貸した場合には、「背信行為」(信頼関係を破壊するような行為)として借地権の解除の要因となります。
上記のように借地権者さんが契約内容に対し不履行や契約上の義務違反を行った場合です。判例では解除されたりされなかったりとありますが、裁判となれば借地人さん地主さんの労力は相当なものになりまし、借地権者さんが、裁判に勝ったとしても、その後の地主さんとの関係問題が出てきます。
※地主さんによっては不履行を行っていない場合でも更新時期のタイミングで更地返還を要求してくるケースもあります。
明け渡し・立退きには正当事由が必要
地主さんに土地を無償で返してほしい、更地にして返還して下さい等言われているのでどうしたら良いですか?と相談を受けます。
地主からの借地権の明け渡し・立退きには正当事由が必要となります。旧借地法では、正当事由の内容を「土地所有者が自ら土地を使用することを必要とする場合その他正当の事由」と概括的に規定していましたが、新法ではこれを明確にし、下記の4パターンが正当事由であるとしています。
- 1.地主・借地人が土地の使用を必要とする事情。
- 2.借地に関する従前の経過
権利金や更新料の授受の有無・額(支払いにより保護が厚い)、契約の履行状況(地代の額や支払いの遅れ) - 3.土地の利用状況
借地上の建物の存否、建物の使用用途(居住用・事業用)、低層か高層か、朽廃しているか否かなど - 4.地主が土地の明渡し条件として、財産上の給付(立退き料等)の支払いを申し出ている
1を基本とし2~4を総合的に判断して裁判では正当事由と認めるようです。
その他に、借地権者が地主に対し債務不履行・契約上の義務違反等、信頼関係の破壊にある場合、明け渡し・立ち退きを認める判例もあります。
地主側が有利となる場合
地主側からの立退きに対してどういった場合、借地権者側が不利となってしまうのか?
地代支払いの延滞や不払いが発生しているケース
何ヶ月という明確な規定はありません。一般的には半年~1年程度の未納がある場合に借地契約を解除することができると言われております。中には2ヶ月で認められた判例もあるようです。
無断で建て替えや増改築を行った場合
土地賃貸借契約書に「建て替えや増改築禁止の事項が記載されている場合」は、地主の承諾が必要となります。また建替え承諾料や増改築承諾料が発生します。地主の承諾を得る事なく無断で建て替えや増改築を行った場合は、借地権解約の要因となるので注意が必要です。
無断で第三者に借地権を売却・譲渡及び転貸した場合
借地権を売却する際は必ず地主の承諾が必要となり、譲渡承諾料が発生致します。親族への贈与の場合も地主の承諾及び譲渡承諾料が発生するケースがありますので、注意が必要です。
※契約解除までとするのは妥当ではないとの判例が出ておりますが、地主の承諾は必要です。地主さんとの信頼関係こそが借地契約においては、一番大事なので契約不履行と思わせない・言わせない為の行動が求められます。
明け渡しが必要となる借地権
平成4年8月1日から施行された「定期借地権」「事業用定期借地権」「建物譲渡特約付借地権」といった種類の借地権では、借地権の契約満了と共に地主側に返還する内容となっております。
それまでの旧借地法では地主側が不利となってしまうことが多く、返らずの土地をなくし借地の普及を進める目的で新たに成立された法律です。