同時売却ってそもそもなに?
借地権・底地の同時売却とは、借地権者様が所有する借地権(付建物)と地主様が所有する底地を一緒のタイミング(同時に)で第三者に売る(売却)ことをいいます。
業界用語で、底借同時(売却)といわれることもあります。
同時売却は、買う側(同時売却にて取得する方)にとっても、売る側(借地権者・地主)にとっても、メリットがある売却方法です。
カップを借地権、ソーサーを底地に例えられることがよくあります。それぞれ単体で売却した場合は価値が下がってしまいますが、セットで販売する事によって本来の価値になるという例えです。
マーキュリーでは、同時売却に関する借地権者様、地主様のやり取りも弊社で全面的にサポートいたしますので、まずはお気軽にご相談ください。
同時売却のメリット
同時売却のメリットは購入する側、売却する側にも大きなメリットがあります。
<買う側>
借地権と底地を同時売却にて取得する方は、土地賃貸借契約に基づく債権及び債務が混同することで消滅し、完全に所有権の不動産を取得することになります。
買う方にとっては、底借同時売却により所有権の不動産が取得できるので、一般的な所有権の不動産を購入することと、なんら変わりはありません。
<売る側>
借地権者様と地主様のメリットは、買う側のメリットでもあるように所有権の不動産として売却できることにあります。
借地権と底地を同時に売却することで所有権の不動産として売却ができ、その総額金額を借地権は○○円・底地は○○円と割り振りをすることで、借地権・底地をそれぞれバラバラに売却するよりも高い金額で売却することが可能です。
また、借地権者が借地権を売却する際に必要な、地主に支払う承諾料等の負担がないため、実際に得られる売却代金が同時売却の方が大きくなる傾向にあります。
同時売却はタイミングが大事?
借地権と底地の同時売却は、文字のとおり、借地権と底地を同時に売却することが前提となります。
借地権者が借地権を売却するタイミングや、地主が底地を売却するタイミングが合わなければ成立しません。よくあるケースとして、過去に地主が借地権者に底地の売却を持ちかけた経緯があり、その時は借地権者が諸事情によって、底地を買取ることはなかった。
しかし、いざ借地権者が借地権を処分(売却)したいと思ったとき、地主が過去に底地を売却する意思があったので、地主様に同時売却を提案したが、地主様に底地は売らないと言われてしまったということがよくあります。
つまり、借地権者と地主が借地権・底地を売却するもしくは、売却したい・売却してもいいと思うタイミングが合わなければ同時売却が成立しないということです。
売買金額の割合によって地主とトラブルも・・・
借地権者と地主が、借地権・底地を売却する意思のタイミングが合い、同時売却に向けてお話しが進むとします。
ここで考えなければいけないことが売買金額の割合です。
つまり、借地権が○○円・底地が○○円と金額を決めることです。
単純に考えると、同時売却によって所有権の不動産として売却できるわけですから、売却する金額(売買代金総額)を借地権と底地の割合で按分すればいいということですが、この按分割合でトラブルになるケースがよくあります。
<トラブル要因① 借地権割合>
借地権と底地の割合を考える場合、国税庁の相続税路線価図(路線価図)の借地権割合を参考にすることが多いです。路線価図の借地権割合は、あくまで相続税を計算する基となる相続評価額を算出するために、国税庁が指針としているものです。路線価図にA~Gまでのアルファベットが記載してあり、これに従い借地権の評価割合が90%~30%と算出されます。
商業性の高いエリアや、不動産の流通価値が高いエリアなど、土地利用の権利(借地権)の方が評価される場合は、借地権割合が高い傾向にあります。
しかし、不動産売買においては、借地権割合のとおりに按分しなければいけないというルールはなく、あくまでお互いの合意で決定します。
路線価図の借地権割合が60%のエリアでも、地主様が底地の売却代金割合を40%で納得されない限り、同時売却は成立しません。
売却代金の按分割合については、お互いが協議して決めなければならず、この按分割合についてトラブルに発展することがあります。
<トラブル要因② 負担の按分>
不動産の売買には、金額だけではなく条件が付きます。条件によって、金額が変わるということです。
わかりやすいのは、引き渡す際に現存する建物をどうするか、建物付のまま引渡すのか、解体して更地で引き渡すのか。また、引渡し前に測量を行うのか、行わないのかです。
例えば、借地権者様と地主様の間で借地権と底地の売却金額割合を60対40とし、所有権としての売買代金を割合に応じて按分しましょうと合意できたとします。
同時売却によって購入したいと考えている方(買主)が、建物そのままで引き渡しにしてほしい。
だから解体費相当額分安くしてほしいと条件および金額提示をしたとします。
売買代金は建物解体費相当額が減額されることになり、減額した売買代金を借地権者と地主で合意した按分割合に基づいて按分することになります。
この場合、地主様が建物解体費相当額の40%を負担することになります。
また、測量等費用についても同様です。売買金額の金額按分割合は合意していても、負担割合についてトラブルになることがあります。
同時売却の契約書の注意点
同時売却とは、借地権者様が所有する借地権(付建物)と地主様が所有する底地(借地権負担付土地)を同時に第三者に売却することですので、互いの売買契約を同時に履行することが条件となります。
具体的には、借地権者様が所有する借地権(付建物)について、借地権者様と買主が借地権(付建物)売買契約を締結し、地主様が所有する底地(借地権負担付土地)について、地主様と買主が借地権負担付土地(底地)売買契約を締結します。
それぞれの契約書に、この2つの契約が一体(一体不可分)であることを明記し、どちらかの契約が不成立になった場合、もう一方の契約も不成立となるようにする必要があります。また、同時に売却することから、引渡し日も同日にする必要があります。
同時売却に関するQ&A
同時売却の期間
- 借地権と底地を同時売却した際、現金化できるまでどのぐらいの期間が掛かりますか?
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借地人さん、地主さんとの譲渡条件の調整がスムーズに行えた場合は一ヶ月~三ヶ月程度とお考え下さい。
同時売却のメリット
- 同時売却するメリットって?
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所有権として売却が可能となるため、借地権、底地を単体で売却するより売却しやすくなり、売却価格も上がります。
同時売却の注意点
- 個人や法人が地主の場合、借地権と底地を同時売却する場合の注意点は?
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売却後の価格案分(借地権者、地主の取り分)でトラブルになることが多いようです。このトラブルで売却がとん挫してしまう可能性が十分にあります。